2012年度4月の実験班活動報告です。

今月は(言い訳ですが)、5/9(水)の研究発表会の準備、
新入生への科学部の説明、新入生への教室の準備により、
実験班のみに限らず各班において、活動がほとんどできていません…。

  • 有機化学の研究案がほぼ決定しました!
この場を借りて、(今までお世話になった・これからもお世話になるであろう)
webサイトの『放課後化学講義室』の管理人Chemisさんにお礼を申し上げます。
放課後化学講義室:http://chemieaula.web.fc2.com/
(左のリンク、special thanksにも追加しました)

実験班班長まっしゅは11月ごろからずっと研究案について悩んできました。
しかしついに2012年4月、ついに上手くいきそうな研究案が決まりました!

その名は『アルドール反応(aldol reaction)』
α水素を持つカルボニル化合物2つが1つに縮合し、
炭素の架橋構造が生じてβ-ヒドロキシアルデヒドができる、という反応です。

以上の研究案の試行錯誤の様子や、
これから進めていくアルドール反応の研究案などを
5/9の研究発表会の資料(班長まっしゅのレジュメ)にまとめたのでご覧ください!
有機化学と研究_HP.docx
【↑ 5/5,22:14更新】

また、アルドール反応の中でも、
「ジベンザルアセトンの生成」はOrganic Synthesesという学術論文に掲載されています。
じつはこれ、相当昔(1943年)の論文なのですが収率はなんと90~94%という頭が下がる数字!
※当時は今の実験室にあるような、正確な分析機器などありませんでした。

そんな環境の中…昔の人々って本当にすごいですよね。


ちなみに、英文の学術論文なのでもちろん実験手順も英文・・・

ということで、頑張って自分で和訳してみました!
≪≫の部分は僕の意訳であり、英文にはそのようなことは書いてありません。
アルドール反応の研究の第一歩は、この実験の1/160スケールくらいでやろうと思ってます!

また、時間がなかったので、注(Note)の和訳は6月の活動方向に回したいと思います。


それでは以下、活動の成果ということで英文とその和訳をコピペしておきます。和訳間違えてたらごめんなさい。
(もしよければ左メニューのメールフォームよりご連絡いただけると嬉しいです)

Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.167 (1943); Vol. 12, p.22 (1932).
DIBENZALACETONE

1, Procedure
① A cooled solution of 100 g. of sodium hydroxide in 1 l. of water and 800 cc. of alcohol (Note 1) is placed in a 2-l. wide-mouthed glass jar which is surrounded with water and fitted with a mechanical stirrer.
② The solution is kept at about 20–25° and stirred vigorously (Note 2) while one-half of a mixture of 106 g. (1 mole) of benzaldehyde and 29 g. (0.5 mole) of acetone is added (Note 3). In about two or three minutes a yellow cloud forms which soon becomes a flocculent precipitate.
③ After fifteen minutes the rest of the mixed reagents is added, and the container is rinsed with a little alcohol which is added to the mixture.
④ Vigorous stirring is continued for one-half hour longer, and the mush is then filtered with suction on a large Büchner funnel.
⑤ The product is thoroughly washed with distilled water (Note 4) and then dried at room temperature to constant weight.
⑥ The yield is 105–110 g. (90–94 per cent of the theoretical amount) (Note 5) of a product which melts at 104–107°.
⑦  The crude dibenzalacetone may be recrystallized from hot ethyl acetate, using 100 cc. of solvent for each 40 g.    
of material. The recovery in this purification is about 80 per cent; the purified product melts at 110–111°.

1、実験手順
① 1000ccの10%水酸化ナトリウム水溶液と800ccのエタノールを、スターラー(攪拌機)の上にある水浴化の2Lビーカーの中に入れる。
② 溶液の温度は約20~25℃に保ち、勢いよくかき混ぜながら、106g (1mol分)のベンズアルデヒドと29g(0.5mol分)のアセトンの混合物の半分≪つまり67.5g≫を加える。約2~3分するうちに溶液は黄色く濁り、黄色沈殿が生じる。
③ (②の作業の)15分後に残りの半分量の混合物を加える。これらの混合物が入っていた容器は≪すべて≫、少量のエタノールで洗って余す事無く反応容器に加える。
④ 30分以上激しくかき混ぜたのち、大きなブフナー漏斗で吸引ろ過する。
⑤ 生成物を蒸留水で余すところなく洗ったのち、恒常的な重さになるまで≪重さが変わらなくなるまで?≫乾かす。
⑥ 105~110g(理論収率の90~94%)のジベンザルアセトンが精製する。104℃~107℃で融ける粉末である。

⑦ 精製していないジベンザルアセトンは、40g当たり溶媒として100gの熱した酢酸エチルにも溶けるでしょう。この溶液を精製すると理論収率の約80%の収率でジベンザルアセトンが得られます。精製物は110℃~111℃で融解します。

英文出典:Organic Syntheses, Coll. Vol. 2, p.167 (1943); Vol. 12, p.22 (1932). DIBENZALACETONE
URL:http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepcontent.asp?prep=cv2p0167

以上です。応援よろしくお願いします。
担当:部長兼実験班班長まっしゅ

参考文献など
最終更新:2012年09月19日 22:52