ワイナリー訪問その89
Napa > Fantesca(ファンテスカ)


Fantesca Estate & Winery(2012年3月訪問)

 第2回ナパ・ソノマ旅行もいよいよ最終日(8日目)となった。この日の朝、最初に訪問したのがここ、Fantesca。

 ここを訪れるに至ったいきさつについては、この旅行の初日、Paradigmを訪問したときの出来事から説明せねばならない。

 既にある程度Paradigmの記事にも書いたことだが、Paradigmのテイスティングルームを訪問したときに出会ったとある陽気なご婦人から、激賞と共に紹介されたワイナリーこそ、このFantescaだったのである。

 FantescaのオーナーであるDuane Hoff氏は、元々Best Buy(有名な家電量販店チェーン)の重役で、退職と共にワイナリーを立ち上げるという、いかにもカリフォルニアン・ドリームな転身を成し遂げた人らしい。

 そして、ワインメーカーは、かのハイジ・ピーターソン・バレット女史。彼女についてはParadigmの記事でも書いたし、何よりウェブのそこここにより正確な記述があるはずだから、ここで繰り返すのはやめておこう。

 例のご婦人によれば「何度か訪問したけれど本当に素敵な場所で、ワインも素晴らしいからおススメよ」とのことであるし、しかもハイジ・バレット女史が携わったワイナリーときているのであるから、これは確かに大変な興味をそそられた。しかし、1つ大きな問題が。このFantesca、例のご婦人に紹介されてからウェブで調べてみたところ、どうやらNot open to the public、すなわち一般客は訪問できないワイナリーだったのである。

 とはいえ、例のご婦人がせっかく紹介されたのだからと、ダメ元でメールしてみた。「私の名前を出すことで何かの助けになるかどうかはわからないけれど…」と言われてはいたが、一応、例のご婦人から紹介を受けた旨も申し添えておいた。

 結論からいうと、なんと、あっさり訪問を許してもらえた。このワイナリーのワインクラブの会員の紹介があれば、訪問&テイスティングさせてもらえるとのことで、OKしてもらえたのである。そう、例のご婦人はメンバーだったようなのだ。

 そういうわけで、当初予定していたスケジュールを変更し、第2回ナパ・ソノマ旅行最終日となるこの日の朝一番に、ここを訪問することにしたのだった。

 非公開ワイナリーにありがちな話だが、道に看板が出ていない。住所だけを頼りになんとか辿り着いた。


↑番地だけを頼りに敷地の中へ

 この日この時間に訪問する客は我々(自分と妻と子供たち)だけだったらしく、ブランド・マネージャーのKarenさんが、わざわざ表まで出てきて我々を出迎えてくれた。


 この日は本当に雨がひどかったが、妻と子供たち共々、ゴージャスな応接室に招き入れてもらうと、そこは本当に別世界という感じだった。


 テーブルの上には、既に複数のグラスが並べられ、それぞれ別のワインが注がれていた。それも、2人分、つまり妻の分まで用意してくれてあったのである。妻は飲まないと伝えてあったのだが、「香りを嗅ぐだけなら大丈夫でしょ。是非そうしてみて」と言って下さった。なんとも嬉しい。


 試飲させてもらえたワインは、以下のとおり。着席して、1種類ずつ説明を聞きながら、ゆっくりと味わわせてもらえた。

2009 Chardonnay RRV
 ハイジ・バレット女史の手掛けるワインの中で、白ワインというのは実に珍しいらしい。色はしっかりとしているが、樽の風味が強すぎず、さりとて酸も強すぎず、ほのかな甘さとも釣り合って、全てがちょうど良いバランス。中庸、という言葉が本当にしっくりくる。おいしい。

2011 La Petite Rose
 メモが取りきれていないのだが、確かカベルネで造ったロゼ。2011年は、葡萄が思うような成熟を遂げなかったものの、赤ワインには向かないその成熟の仕方が、ロゼにはうってつけだったのだそうだ。それで、ハイジ女史が造ったのがこれ。色は鮮やかなピンク。甘酸っぱくて、まるでスパークリングのような、ウキウキする香り。酸味がしっかりしていてフルーティ。

2008 La Petite Soeur
 赤のブレンド。香りは穏やか。口当たりは軽やかで、なめらかな甘さと酸味が中心。

2009 Cabernet Sauvignon
 これがFantescaのフラッグシップワイン。甘くエレガントな香り。味は、鮮やかな酸味と、なめらかな甘さとのバランスが素晴らしい。La Petite Seourよりやや甘い印象。おいしい!

2009 Amuse Bouche Red Wine
 メルローが主体。イチゴのような、軽やかだが落ち着いた香り。クールで軽やかでなめらかな甘さがある。アフターにはかすかな苦味。おいしい!

2009 Au Sommet
 ややハービィな香り。苦味と渋みがあってスモーキーだが、重たくはない。苦み走った長いアフター。


 特に、シャルドネと、カベルネ・ソーヴィニヨンと、Amuse Boucheは本当に自分好みだった。

 さて、では、どうやったらこのFantescaのワインを買えるのだろうか。それには、通常はまずワイナリーのメーリングリストに登録しないといけないようだった。だが、自分の場合は、ここを訪問させてもらう際に既にメールでやりとりしていたので、すぐにでも購入させてもらえるらしい。

 ただ、残念ながら1本単位での小売りはしておらず、少なくとも6本以上からのまとめ売りになってしまうとのことだった。そういうわけで、さすがに購入を即決するのはためらわれ、とりあえず注文用紙をもらって帰ることにした。後でメールで注文させてもらえるとのことだった。

 ちなみに、"Fantesca"という名前は、どうやらシルク・ド・ソレイユの登場キャラクターから来ているらしい。その衣装が斜めのチェック柄なので、ワインのボトルにも同様の模様が施されているのだそうだ。


↑ファンテスカ

 試飲の後は、カーヴの中も見せてもらえた。


 素敵な空間と、おいしいワイン、温かいホスピタリティ。確かに例のご婦人の仰るとおり、素晴らしいワイナリーだった。


ワイナリーのWebサイトはこちら:http://www.fantesca.com/

最終更新:2013年05月19日 23:44