Hilliard Bruce Vineyards(2012年5月訪問)
この日一番期待度の大きかった、要予約のワイナリー。Santa Barbara Vintners' Associationのウェブサイトで発見し、興味をそそられたので訪問することに。この日の2時に予約をとってあった。ちなみに、スタッフの方の都合の合う時間だったので予約させてもらえたわけで、早めに申し込めば大丈夫というものでもなさそう。
246号線から細い道に切れ込み、突き当たりにゲートが出現。小脇に備え付けられたテンキーで、予約時に教えてもらっていた番号をプッシュすると、重々しく扉が開いた。
そこからしばらく車で進むと、赤い屋根のテイスティングルームが。建物の前には噴水もあり、その周りがロータリーのようになっている。既に車が1台停まっていた。ここに駐車すればよいようだ。
建物からワイナリーのスタッフ(Jenniferさん)が出てきて歓待してくれた。今回は自分の他にもう2組参加者がいるとのこと。
建物には厩がくっついている。厩ですぞ。馬がいるのです、馬が!オーナーの趣味なんだろうなー。
敷地内には馬の走るための広場まである。
さて、建物内に招じ入れられると、これがまたゴージャスな内装。お金持ちの家に招かれたような気分。テイスティングルーム、という感じではない。
まずはシャルドネのグラスを渡されつつ歓談。
ここで使っているグラスはチューリップ型。つまり、キュッとすぼまった口がちょっと上向きに開いている。薄くて口当たりがいい。
グラスを片手に、建物の奥側から裏庭に案内される。そこにはまた可愛らしい庭があって、小さなバラ園と、野菜畑があった。
バラ園
野菜畑 奥には馬の遊ぶ広場が
歓談しているうち、自分を含めて3組の客が揃った。これでこの時間にアポを取った客が勢ぞろいしたらしい。そこからまずは、葡萄畑を見にちょっと車で移動。馬の走る広場を右手に見つつ坂を上りきると、そこからは海が見えた。
空と紛れてわかりにくいが、海が見える
う~ん、この海から吹く風による冷涼な気候、その恩恵を享受する上でまさに絶好の地形(なんだろうなあ)。急な坂を眺め下すと、そこに葡萄畑が広がっている。この斜面に植わっているのがピノで、下の方の畑にはシャルドネが植わっているらしい。
建物へと戻り、シャルドネを終えてピノへと飲み進む。ここらへんから、座ってゆっくり飲み始める。シャルドネの分も含めて、以下、メモ。
2010 Chardonnay Sta. Rita Hills ($45)
しっかりしたイエロー。使っている樽はニュートラルオーク。香りはまろやかな樽の香りが中心だが、味は酸味がくっきり。
2009 "Moon" Pinot Noir Sta. Rita Hills ($70)
暗く深い黒紫色。静かで深い、ハーブのようにクールな香りが美しい。口に含むと涼しげな甘さがあって、ほどよい苦味とあいまってムーディでエレガント。ビッグでジューシー。うまい!
2010 "Sun" Pinot Noir Sta. Rita Hills ($55)
色はMoonよりやや明るい印象。やや甘いシャボンのような香りが混じっている。Moonよりやや甘味が強く、全体としてやや柔らかい印象だが、苦さもしっかりあって複雑。
2010 "Moon" Pinot Noir Sta. Rita Hills ($70)
暗く深い黒紫色。香りは2009より、甘く華やかな要素が強い印象で素晴らしい。甘味は2009よりもやや強く、苦味は2009より少なく、旨味が厚い。仄かな渋みがあり、ビッグ。
グラスが空になっていると、1度飲んだやつでもどんどん飲ませてくれる。誰もスピットバケツ的なものを使わないでどんどん飲む。手酌でいく。テイスティングというよりワイン会のようなノリだ。おつまみにカシューナッツが置いてあって、これがまた塩が効いていて美味しかった。
それにしてもここのピノは本当に美味しい。"Moon"は特に気に入った。"Moon"は静かで暗い夜のような、"Sun"は明るいような、それぞれ名前通りの印象が感じられたのがまた面白かった。MoonとSunはそれぞれ畑が別なのだそうな。
基本的に各自1つのグラスを使っていただったが、他のお客さんが次に何を飲もうか悩んでいると、Jennは「Side by Sideで飲んでみる?」ともう1個グラスを出してくれた。そういうわけで、ワインの味のみならず、ホスピタリティにも痛く満足。
妻も子供も、美しい庭や馬との触れ合いなど、楽しめる要素満点だったようだ(別に、客を呼ぶためにやっているわけではないと思うけど)。これだけの歓待をしてくれながら、テイスティング料は取られなかった。
自分以外の2組は、何かしらワインを買って帰っていった。自分は、ここでしか購入できない、あるいは入手しづらいワインがあるのかどうかよくわからなかったので、迷った末に結局購入しなかった。今思えば、申し訳ないことをしたものだ。例えばMoonがワイナリーでしか購入できないならば是非1本買いたいところだったが、ショップでも買えるようだったので、そちらで買おうと思ったのだった。
以下は後日談であるが、家に帰ってオンラインで調べてみると、2008年のMoonが
Los Olivos のワインショップ
The Los Olivos Wine Merchant & Café のオンラインショップで売られているのを発見した。2008年といえばMoonの出来が素晴らしい年だったらしく、ワイナリーにもあと1ケースしか残っていないという品。ワイナリーでは1本$100とのことだったが、ショップではもっと安く、これはもう是非買いたいと思った。そこで
Los Olivos に行ったときついでに現地で購入しようとしたわけだが、残念なことにその時にはもう売り切れてしまっていた。その後、他の
ワインショップ でも探したが、ついに2008 Moonに巡り合うことなく、ついにカリフォルニアを去る日を迎えることとなってしまった。
2009でも、2010でも、見かけたときに1本はMoonを買っておくべきだった…と大変後悔しながら帰国することとなった私は、その後日本の通販で2010のMoonを入手した。今も家のセラーで眠っているMoon 2010を、いつの日か飲むのが楽しみだ。
それはそうと、Hilliard Bruceの畑で撮った気になる写真。
最終更新:2021年02月01日 08:13