響きライブラリー
農村を考える─日本の農林漁業
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農家の家計が日本の国土を支えている事を忘れてはいけない。
日本の農家や第一次産業すべては(ああ、夕張市!)国際競争にモロに晒されてガタガタになっている。大概の業界は監督官庁が守る(&天下りする)ものなんだが、なぜか農業はそうはなっていない(農家や漁港には下りようがないのかな。農協という巨大組織についてはこのページに掲載の「農協」を読んでくれい)危機を訴えて改革を提案するのが官僚の常套手段だが、農業、とくに林業に関しては何も聞こえてこない。
一方で輸出産業のトヨタは純利益1兆円、キャノンは5000億円超だ(しかしこの砂上の樓閣でさえ、今後の金融情勢によっては日本のものでなくなる可能性もある)。農家がなくなれば、日本は一気に荒廃する。これは事実だ。
このページでは現状のレポートを中心にご紹介しています。
一方で輸出産業のトヨタは純利益1兆円、キャノンは5000億円超だ(しかしこの砂上の樓閣でさえ、今後の金融情勢によっては日本のものでなくなる可能性もある)。農家がなくなれば、日本は一気に荒廃する。これは事実だ。
このページでは現状のレポートを中心にご紹介しています。
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日本の食糧問題を考える
伊藤元重
内容(「MARC」データベースより)
「食料」問題を、「経済」問題との関連から捉えなおす。日本の「食料」にかかわる補助金、WTOなどの政策、流通上の経済的問題、さらに雪印、日本ハムのBSE(狂牛病)問題に関して、「消費者」として分析する。
税調会長に?働き盛りですな。
2007.1
がっぷり四つに組んだレポート。私はベットに入って眠るまでの間、本を読むのが好きなんですが、この本はその用途には適しません。覚醒してしまうのです。食糧問題を「考える」となってますが、食料を「どうすりゃいいんだ」っていう問題意識に裏打ちされてる訳ですから熱い訳です。カーッとなられると読んでる方は引いちゃいますが、そこは学者さんですから、出来るだけ思い込みなし、データに基づいて冷静にやる要請があります。その綱引きの結果、全編が穏やかな熱気を帯びてそれがずーっと続く。言語的確、意味了解という調子で、とても眠くはなれません。
そんな折、東大大学院教授である著者は政府税制調査会の委員だったそうなんですが、本間正明氏(官舎で愛人と同棲により辞職)の後任として会長に格上げ予定であります。働き盛りですな。え、違う人になりそうなの?
- 目次
- 消費者の視点から見る食料問題
- 第1部 行きづまる食料政策
- 誰がための農業予算―補助金と公共事業
- 農業を弱体化させた農業政策―農地法と食管法
- 農業交渉は何を目指すのか―ウルグアイ・ラウンドと日本)
- 第2部 変わる食料の現場
- 「消費者主権」時代における青果物流通のあり方
- 食料流通における農協の役割
- 「食」の巨人、外食産業
- 加工食品の開発輸入
- 日本とタイの間の鶏肉貿易―CPグループのケース
- 第3部 日本の食料は大丈夫か
- 安全性への挑戦
- 日本の食料安全保障
- 食料の安全保障は消費者に保障されているのか
- 食料の不安は解消するか?
- NTT出版 (2002/10)
日本の国土の67%は森林で、これは世界でダントツトップ!アマゾンのジャングルを抱える南米なんかも引き離してダントツトップなのだ。普段はあんまり気にしてないけど、日本という国はこの森林の豊かさを前提に成り立っている、と思いませんか?
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山村の保続と森林・林業
堀靖人
内容(「BOOK」データベースより)
林業と森林管理を担ってきた林家や森林組合、山村を主題として取りあげる。
実直なフィールドワーク。
2007.1
普通の山村、困ってる山村、がんばってる山村。山村の事実が見えてきます。好むと好まざるとに関わらず、みなさん複雑な生活をしていらっしゃいます。
- 目次
- 序章 研究の目的と方法
- わが国の戦後の林業・林政の展開と林業・森林管理の担い手
- 林家による森林管理の現状と課題
- 森林組合による森林管理の意義
- ドイツにおける農林家への支援策
- わが国における農林家への支援策をめぐる可能性―1990年代の担い手対策
- 終章 結言
- 九州大学出版会 (2000/02)
大規模ついでに株式会社の参入もOKにしようよという議論があります。こういうのは単に自分らだけの思いつきでアイデアを出すんじゃなくて、歴史に学ぶ必要があるんじゃないでしょうか。
農業の主体がどのように変遷してきたのか、所有・権利関係はどうだったのか、それぞれの時代で生活はどうだったのか、どんなプロセスとどんな意思で地主に集約されたりされなかったりしたのか、変化を促した原動力は何で人間の力の及ぶところなのか…
農業の主体がどのように変遷してきたのか、所有・権利関係はどうだったのか、それぞれの時代で生活はどうだったのか、どんなプロセスとどんな意思で地主に集約されたりされなかったりしたのか、変化を促した原動力は何で人間の力の及ぶところなのか…
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農協
立花 隆 (著)

20年前のルポタージュなのに全然古くない。やるじゃん。
2008.1
昭和54年から55年にかけて「週間朝日」に連載した「農協 巨大な挑戦」に加筆してまとめたもの。
はじめに より
本書は、農協の諸活動を追いながら、稲作、畑作、果樹、園芸、畜産の農業各部門の生産と農産物の加工・流通がどうなっており、それぞれに問題がどこにあるのか、農民、農村をとりまく経済的、社会的、政治的環境がどうなっているかを、地域的には北海道から九州まで目を配りながら、日本農業の今日と明日を語るために最低これだけのことは知っておいてもらいたいということを、一冊にコンパクトにまとめることをめざしたものである。
目次を見ると、一つ一つのテーマが今もって現在的なテーマであることが分かる。それとも、政府やマスコミを始め、私のような農協を直に知らない者たちの認識が当時のまま止まっているということだろうか。まるで種本じゃないかと思える程だ。現在の政策や世論が的外れでないことを祈る。そして何より、続編を希望します。
昨年(2007年)後半から原油価格が高騰している。本書から得られた知見として、日本の農業は燃料としての石油、肥料・農薬を生産する原料・動力としての石油に多くを頼っている。唯一そこだけは不問にして生き延びてきたのだ。この先どうなるのだろうか。
- 目次
- 規模拡大と資本設備で農民の夢を実現した日本一豊かな北海道・士幌農協の馬鈴薯コンビナート
- 東京にも農協がある=不動産業者・金融業者と化した偽装農民たちの宅地なみ課税への抵抗
- 補助金を徹底的に利用して地域農業再編を実現した鳥取・東伯農協のブロイラー・インテグレイション
- 米づくりに賭ける庄内・余目農協の有志共同=受委託による規模拡大がもたらす群小地主制
- ピンからキリまである日本の稲作と、生産性を無視した画一的転作配分のもたらす矛盾
- 破産から立ち直り、ミカンと肉牛肥育のコンピューター管理農業で飛躍する静岡・三ヶ日農協
- 日本一のマンモス農協、宮崎・都城農協に見る、和牛子牛生産の高コスト構造
- 日米農業の生産性格差=国際競争力を失った高コスト・高利潤・高価格の日本農業
- 「高い牛肉」を作る、高い子牛と高い飼料による長期肥育という構造と、世界一の配合飼料メーカーになった全農
- 施設園芸だけではない日本農業の石油漬けぶりと、日本最大の石油販売業者になった農協
- 肥料・農薬の独占的流通業者である農協の実力と、化学肥料・農薬づけ農業への反省
- 野菜王国・長野経済連の出荷調整を支える青果物情報オンラインシステムと低温流通システム
- 日本一の”保険会社”にのしあがった農協共済組合と全農連を震撼した怪文書スキャンダル事件の真相
- 二十二兆円の資金量を誇る農協信用事業に頻発する金融事故のケーススタディ=滋賀・信楽農協の場合
- 泥沼の財政赤字を生む食管制度のもたらした諸矛盾と、それを掘りくずす自由米の横行
- 合理化によって実力を蓄えた酪農化が実現した自主的生産調整と加工・流通部門への進出
- 食肉流通業界は戦国時代、問屋、加工メーカーと対決する農協の販売力の弱み
- 農協の集票力はどれだけあるか=地域によって天と地ほどのちがいがある農協農政組織の実力
- 全中が号令をかける農協農政活動の曲がり角=ひそかに進行する自民党農林議員の農民ばなれ
- 地域農業振興計画を軸に展開される農協の八〇年代戦略と情報産業としての農協の未来像
- 参考文献ならびに取材先
- 解説(井出耕也)
- 詳細
- 文庫: 416ページ
- 出版社: 朝日新聞社出版局 (1984/01)
- ISBN-10: 4022602627
- ISBN-13: 978-4022602626
- 発売日: 1984/01
- amazon該当ページ
- ハードカバーはこちら(朝日新聞社,1980)
「農地改革(解放)」というのがある(→wikipedia)。小作争議が頻発してた時代の話だ。実施されたのはGHQ時代。これで小さい農家がいっぱい生まれることになった。平等な世の中に少し近づいた。そして兼業農家とか宅地化とか色々あって今農業は行き詰ってる。今の基本政策は「大規模専業農家育成」だ。じゃあなんだ、農地改革ってのは文革だったのかな。結果としては小作人が小地主になって保守政党支持になっちゃったんだけどね。
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日本の選挙―何を変えれば政治が変わるのか
加藤 秀治郎
内容(「BOOK」データベースより)
とるに足りない些末な問題と見られがちな選挙制度だが、政治全般に及ぼす影響力は決して小さくない。「選挙制度が適切なら何もかもうまくいく」という哲学者オルテガの言をまつまでもなく、選挙は民主主義をいかなる形態にも変えうる力を秘めている。小選挙区制や比例代表制の思想的バックボーンをわかりやすく紹介し、「選挙制度のデパート」と揶揄される無原則な日本の現行システムを改善するための道筋を示す。
- 詳細
- 新書: 212ページ
- 出版: 中公新書 (2003/03)
- ISBN-10: 4121016874
- ISBN-13: 978-4121016874
- 発売日: 2003/03
- 著者略歴
- 加藤 秀治郎 (「BOOK著者紹介情報」より)
- 1949年(昭和24年)、岩手県に生まれる。慶応義塾大学法学部政治学科卒業。同大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。その間、ドイツのボーフム大学およびケルン大学に留学。京都産業大学講師、同助教授、同教授を経て、現在、東洋大学法学部教授。専攻、政治学、比較政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)