ロープワークと確保技術
沢登り、冬山、岩登りは一般の夏山と比べ危険度が高い。危険箇所の通過では、ロープを使って安全を確保することになる。
この章では基本的なロープの結び方から、道具の扱い方、懸垂下降、登攀における確保のシステムについて取り上げる。
この章では基本的なロープの結び方から、道具の扱い方、懸垂下降、登攀における確保のシステムについて取り上げる。
ロープワークは確実に行えるようにしておかなくてはならない。なぜなら、危険箇所において使用される技術であり、そこでのミスは致命的なものになる可能性があるためである。また、ロープを使う場所はその山行の核心部であることも多い。勉強会はもちろん技トレなどで入山前に完璧にしておくこと。
間違った技術やあいまいなロープワークは、むしろ危険性を増すことさえある。
間違った技術やあいまいなロープワークは、むしろ危険性を増すことさえある。
| ロープワーク技術は日々新しいものが出ており、また同じような技術にも様々な方法があるため、マニュアルにすべてを載せることは不可能である(この章に限ったことではないが)。『最新クライミング技術』をはじめとするクライミングに関する本で、状況に応じた技術を学んでおこう。 |
まずは・・・・
基本的なロープの結び方 結び目はきれいに整えること。
:ダブルフィッシャーマン結び
|ロープ同士を結ぶのに使う。引っ張れば引っ張るほどしまり、解けない。同じ径のロープにのみ有効。末端は径の10倍以上出すこと。スリングの作製、懸垂下降の捨て縄など、解く必要の無いものに使う。
|ロープ同士を結ぶのに使う。引っ張れば引っ張るほどしまり、解けない。同じ径のロープにのみ有効。末端は径の10倍以上出すこと。スリングの作製、懸垂下降の捨て縄など、解く必要の無いものに使う。
:テープ結び
|滑りやすいテープ状のものを結ぶ。末端は10cm以上。解けやすいので、結び目をきれいに作りしっかり締めること。テープスリングの作製。
|滑りやすいテープ状のものを結ぶ。末端は10cm以上。解けやすいので、結び目をきれいに作りしっかり締めること。テープスリングの作製。
- エイトノット
- :ダブルフィギュアエイトノット
- |エイトノットを折り返してたどると、ダブル…になる。結び目による強度低下が少なく、締まってもときやすい。懸垂時にロープの末端をまとめる、アンザイレン、ロープの途中にループを作る。
- プルージック結び
- :クレムハイストノット
- |メインとなるロープにそれより細いスリングをこれらで巻きつける。荷重がかかっていない状況ではメインのロープ上をスリングがスライドするが、荷重がかかると結び目がロックする。プルージックはどちらの方向にも効き、ブッシュなどから支点をとるのにも使える。クレイムハストノットは一方向にしか効かない。
- ほかにもバッチマン、ブリッジプルージック、オートブロックなど。
- 末端処理
- ブーリン結び
- クローブヒッチ
- ハーフクローブヒッチ
隔時登攀
滝や岩場など危険箇所を登るとき、基本は二人一組で登る。トップ(最初に登る人)が登っているときは、もう一人の人が下からロープで確保し、トップが終了点まで行ったらセカンド(あとから登る人)が上からトップに確保されながら登る。
確保とは、相手が滑落したときにすぐにロープを使って、それ以上滑落しないようにすることだ。これで二人とも互いに確保されながら登ることができる。
確保とは、相手が滑落したときにすぐにロープを使って、それ以上滑落しないようにすることだ。これで二人とも互いに確保されながら登ることができる。
トップの人は、確保者が下にいるので滑落したときにランナー(中間支点)をとり、これにロープをかけながら登る。もしも滑落したら、ランナーにぶら下がって止まることができる。
また、確保者は自分をしっかり固定していないと、パートナーの滑落に巻き込まれてしまう。確保者をしっかり固定する支点をアンカーという。
大きな流れとしては、
- セカンドはアンカーを作り、自分を固定する
- トップはランナーをとりながら登る。セカンドはトップの確保をする。
- トップが終了点についたら、アンカーを作製し、自分を固定する。
- セカンドはランナーを回収しながら登る。トップはセカンドを確保する。
となる。
実際の流れ
上の流れを頭に入れて、実際の手順を見ていこう。操作はお互いに決まったコール(掛け声)をしながら行う。繰り返し技トレで行い、体で覚えよう。
以下に、リードとフォローの各操作の流れを示す。
上の流れを頭に入れて、実際の手順を見ていこう。操作はお互いに決まったコール(掛け声)をしながら行う。繰り返し技トレで行い、体で覚えよう。
以下に、リードとフォローの各操作の流れを示す。
| リード(A) | フォロー(B) |
| セルフビレイ |
セルフビレイ ロープを扱く |
| アンザイレン アンカーを作る 確保体制をとる |
アンザイレン ギアを受け取る |
お互いに確認
- ハーネスは正しくはけているか
- 確保は正しくされているか
- ギアは十分にあるか
- 登るルートは適切か
- 支点はどの辺りにあるか
など。
セカンド「A、登れ」
トップ「B、登るぞ」
トップ「B、登るぞ」
トップ登攀中
トップ終了点到着
| リード(A) | フォロー(B) |
| セルフビレイをする アンカー構築 「ビレイ解除!」 |
ビレイ解除 |
| ロープを引き上げる | セルフ以外アンカーを解除 「ロープいっぱい!!」 |
| 確保体制をとり、「B、登れー!」 |
参考文献
最新クライミング技術
生と死の分岐点
最新クライミング技術
生と死の分岐点

