山小屋バイト体験記 By 春名

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山ごもり報告


2010 年 7 月 17 日から 8 月 24 日まで、白馬岳蓮華温泉ロッジでいわゆる山小屋バイトをしてきました。私がお世話になった蓮華温泉ロッジは、白馬岳や雪倉岳など北アル プスへの登山口にあたるため、これから登るという方や下山してきた方はもちろんですが、 車やバスでも来ることができるので温泉目的で来る方も多くいました。そうはいっても標 高は 1475m で携帯は圏外、郵便や電気はきていません。下界の便利さとはなかなか離れた 生活でしたが温泉ロッジなだけあって水やお風呂には困らなかったし、すぐに慣れたので 思った以上に不便さを感じることはなかったです。

山の仕事


朝はお客さんの朝食の時間(たいてい 6 時)の 40 分前には準備を始めるので、それまでに起きます。温泉ロッジの特権を活かし、ほとんど毎日朝風呂していました。盛り付けや配膳、お客さんのさげた食器洗いなど仕事は皆でやり、お客さんの方が片付くと自分 たちも朝食になります。厨房の大きな机を従業員 11 人(うちバイト 6 人)で囲んで一息入れ たら次は掃除です。廊下や部屋、トイレなど全館を手分けしておこないます。だいたいどこも箒ではく、雑巾でふくといった流れで、部屋なら布団をたたんだり汚れていればシー ツをかえたりします。相部屋が多いですがそれでもピーク時は 100 人を超える人が宿泊す るのでいい全身運動になりました。

掃除が終わるとコーヒーを飲みつつお菓子を食べるお茶の時間です。15時にもお 茶の時間はありますが、どちらの時間帯もお客さんが少ないので、バスの運転手さんが持ってきてくれる新聞を見たり山の雑誌を見たり、おしゃべりしてゆっくりすごします。午前か午後に交代で休憩があり、部屋で寝る人や近くの山道を走りに行く人、藪をこぐ人、太鼓をたたく人など過ごし方は様々でした。自分はデジカメと図鑑を持ってふらふらした り野天風呂に入りに行ったりしていました。

休憩以外の人は夕食の仕込みなどをします。どの仕事も基本周りを見て自分のや れることを探してやっていかないといけないので、覚えて要領よくやれるまでがつらかっ たですが、親切に教えてくれるのでどんどん聞いてとにかく動くようにしていました。自 分は早弁(早立ちするお客さんの朝食代わりの弁当)係に任命されて、基本はみんなで作ると いっても準備などの責任があったのでいい経験になりました。

夕食は 18 時からでしたが、準備の本格化する 16 時半ごろは飛び入りのお客さん もいたりして人数は直前までわからないことが多く、一番忙しい時間帯でした。食堂には 72 人までしか入らないので、お盆前の休日などは 100 人を超える日もあり入れ替え制でし た。当然洗い場は戦場となります...。片付き次第自分たちも夕食をとりました。とにかく 従業員の食事はおいしかったです。時には餃子やハンバーグもつくりました。一人の方が 1 週間に 1 度ほど下界に食糧等買い出しに行くのですが、その日は決まって魚でした。下界 より確実に健康な食生活を送ることができたと思います。

夕食がすむと片付けをして 1 日が終わります。自家発電のため 21 時に消灯でその あとはヘッデンが必要になりますが、だいたい疲れてすぐお風呂に入って寝ていたのでお 風呂が暗い以外あまり不便ではなかったです。星がかなりきれいに見えるので外に出てぼ ーっとすることもありました。

人と山と


バイトに来る人はみんなばりばり登山する人かと思っていたらそうでもなく、日本各地を住み込みしながら生活している人、夫がいるけど 2 年連続来ている人、警察になって山岳救助目指している人などいろんな人がいました。みんな年上でしたが親切で、お 兄さんお姉さんがたくさんできた気分でとても居心地良かったです。さまざまな背景を持 つ人たちとたくさん話ができたおかげで、自分のことや将来のことなどを改めて考えるこ ともできました。いろんな生き方があるんだなあって。社長さんとその弟の昭栄さんは 60 くらいにみえましたが、ずっと山で働いてきたその経験からくる話は興味深く考えさせら れることも多かったです。せっかくだからもっと話を聞いておけばよかったと今は思います。

自分がいる間にも遭難のようなことが 3 回ほどあったり、いろんなお客さんと接 する中で登山マナーについて考えさせられることもあったりしました。でも、泊まったお 客さんが山で会った時覚えていてくれたり、逆に山で会った方が泊まったときに話しかけ てくれたり、うれしかったことのほうがたくさん思い出せます。山に関わる人、山を好き な人に悪い人はいないとしみじみ感じ、自分もそうでありたいと思いました。

うまくまとめられず拙い長文になってしまったのでいまいち伝わらないかもしれ ませんが、山で働くのは貴重な体験になると思います。1 か月は想像以上にあっという間で すがとても有意義でした。ぜひ興味のある人は一度やってみてはいかがでしょうか。




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