喪失された未来
「――私の死体は、捨てて」
そう言って、彼は微笑んだ。
貫いた剣も引かないままで、死にかけているその身体を抱き締める。取り戻した筈の記憶の何処を探しても、思い出せない感触だった。
「…すまない」
言葉が、出てこない。
約束したのに。
あの時、あんなにも固く、強く、約束したのに。
「…14年だ。14年…忘れていた。思い出せなかった。お前のことを、お前との約束を。…すまない、クレテイシャス」
「…お互い様さ。…私も、忘れていたよ。ずっと」
緩く目を瞑じ、大儀そうにもう一度瞼を上げて、彼は微笑んだ。その唇の端から鮮血が一筋流れた。
「私の死体は、誰も見つけられない場所に捨てて、忘れてくれ。…死んだと知れば、きっと、あの子達が悲しむだろうから」
信じないだろうな。私は本当に愛していたんだけれどな。
――それが、最期の言葉だった。
そう言って、彼は微笑んだ。
貫いた剣も引かないままで、死にかけているその身体を抱き締める。取り戻した筈の記憶の何処を探しても、思い出せない感触だった。
「…すまない」
言葉が、出てこない。
約束したのに。
あの時、あんなにも固く、強く、約束したのに。
「…14年だ。14年…忘れていた。思い出せなかった。お前のことを、お前との約束を。…すまない、クレテイシャス」
「…お互い様さ。…私も、忘れていたよ。ずっと」
緩く目を瞑じ、大儀そうにもう一度瞼を上げて、彼は微笑んだ。その唇の端から鮮血が一筋流れた。
「私の死体は、誰も見つけられない場所に捨てて、忘れてくれ。…死んだと知れば、きっと、あの子達が悲しむだろうから」
信じないだろうな。私は本当に愛していたんだけれどな。
――それが、最期の言葉だった。