仮初の恋
本当は、ずっと分かっていた。
気管から血がこみ上げてくるのが分かったけれど、絶え間ない激痛が胸を貫いて鼓動を刻むから、それを飲み込むことも出来ない。
閉じた筈の唇の端から、後から後から鮮血が溢れ落ちて、こんな時なのに、情けない面をしているだろうと自嘲した。
でも大丈夫。
笑うことだけは出来る。それだけはいつもと変わらずに出来る。
だって俺はずっとそうしてきただろう。
いつだってこの胸は痛くて、痛くて堪らなくて、でもそんなことは誰にも悟らせず、笑い続けてきただろう。
だから…
嗚呼。今この胸を貫く金属の痛みは、ずっと空のまま痛んできたそこへの充足にすら思えた。
だから大丈夫、俺はいつものように笑える。
閉じた筈の唇の端から、後から後から鮮血が溢れ落ちて、こんな時なのに、情けない面をしているだろうと自嘲した。
でも大丈夫。
笑うことだけは出来る。それだけはいつもと変わらずに出来る。
だって俺はずっとそうしてきただろう。
いつだってこの胸は痛くて、痛くて堪らなくて、でもそんなことは誰にも悟らせず、笑い続けてきただろう。
だから…
嗚呼。今この胸を貫く金属の痛みは、ずっと空のまま痛んできたそこへの充足にすら思えた。
だから大丈夫、俺はいつものように笑える。
俺はこんなにも無力で、何にも届くことが出来なくて、皆に嘘をついたまま果てていくけれど、
それでも、笑っていられる。
それでも、笑っていられる。
本当は、ずっと分かっていた。
俺と同じように、貴方の笑顔も嘘だってことを。
いいひとなんかじゃなくて、俺のことなんか見てもいないって、分かっていた。
俺の言葉なんて届かないと、今だって分かっているのに、
「…好きなら」
ごめんね、ソル。
君を庇ったんじゃない。俺はただ、この人の心に少しでも触れたかった。
俺のことなんて忘れてしまって。
「…こんな、やり方じゃ…駄目…なんだよ…」
分かってた。いいひとなんかじゃないって。
でも、貴方の願いを叶えたかった。
俺と同じように、貴方の笑顔も嘘だってことを。
いいひとなんかじゃなくて、俺のことなんか見てもいないって、分かっていた。
俺の言葉なんて届かないと、今だって分かっているのに、
「…好きなら」
ごめんね、ソル。
君を庇ったんじゃない。俺はただ、この人の心に少しでも触れたかった。
俺のことなんて忘れてしまって。
「…こんな、やり方じゃ…駄目…なんだよ…」
分かってた。いいひとなんかじゃないって。
でも、貴方の願いを叶えたかった。
最期の言葉すらうち捨てられ、届かないと知って、尚、それでも。