あらすじ詳細。あらすじなのに詳細。自分用なので非常に読みにくい。百八式の資料にもならないでもない。

一度最初から最後までどういう流れで書きたいのかを省略気味に書かないと書けない。
入れたいネタは随時追加なので細かいところはそこそこ細かい。
ていうか四堂気絶しすぎwwwwwwwwwwwwwwwwよえええwwwwwww

百八式を新聞部員に変化させるために項目追加しました。

 冒頭(共通)
選択肢『百八式と書かれた紙だった』
 主人公「・・百八式?」部長「人数合わせの為に協力してもらってる幽霊部員よ。切羽詰ってるし呼んできなさい」

!百八式シナリオ一章 百八式との接触編!

 廃部の危機という事で、新聞部の人数合わせとしてかけ持ち入部していて、会議には来ていない幽霊部員も駆りだそうという事に。幽霊部員の名前は百八式 波動子(ひゃくはちしき はどうこ)

 百八式波動子が主に活動しているテニス部へ向かう主人公。廊下を歩いている処に久我が馬鹿にしに来るが一蹴する。

 活動場所のテニスコートについた主人公は百八式の居場所を聞く。どうやらコート外に飛んで行ったボールを拾いに行ったようだ。

 ボールが飛んで行った方向を聞いてそこへ向かっていく。
 その場所で主人公はボールを見つけた。
 女子のボールを持ったまま、百八式を探しているとそれらしき人物を見つけた。
 丁度良い、と百八式にボールを渡す。 
 百八式「ありがとう。ボールを拾うのは、今日で百八個目だ。ワシの名前は百八式波動子。これも何かの縁。今日からお前とワシは友達だ。ところで名前をなんと言う?」
 二人は友人関係になりましたとさ。
 そこで主人公は新聞部の窮地を伝え、廃部を阻止するために手を貸してほしい胸を伝える。
 しかし一ヶ月後にテニス部、恒例のレギュラー決定戦が行われるという。
 練習を欠かしていては勝ち抜けない、友人の頼みならなんとかしたいが、百八式の返事は快いものではなかった。
(百八式との接触編 終わり)

!百八式シナリオ二章 百八式 召集編!

 良くない返事をもらった主人公は家へ帰ると、次にする事を考えた。
 結果、テニス部から百八式波動子を奪還しようと決意するのだった。

 廃部までの一週間、一日目。百八式波動子奪還作戦。
 放課後にとんで――作戦は至って簡単だ。一ヶ月後にあるというレギュラー決定戦を、直ぐに始めてもらうか、引き延ばしてもらうか。
 どちらでも良い。テニス部の顧問にかけあってみてそれで済むのなら、という考え。
 あと一週間ある。まだ一日目なのだから失敗を恐れていては仕方がない、という考えだった。

 早速テニス部顧問へ掛け合うことに。
 『百八式波動子を新聞部の部員として活動させる為に、レギュラー決定戦の日時をズラす事はできないか』と。
 結果として顧問は交換条件を出し、承諾する。
 「一週間でしたか? 良いですよ。そのかわり、結果がどうなろうと宗次君、あなたも百八式さんと同じようにテニス部と新聞部のかけもちをしてもらえればですが」
 という条件だった。

 主人公は即答、もちろん承諾。
 すると事情を百八式に話して、手伝ってもらう事に。
 「そうか、それならば平気だ。そもそも友人の手伝いを断るというのも心苦しかったしな」
 ついに百八式が廃部阻止計画の仲間入りを果たしたのだった。

 その後主人公は部室へ戻り、百八式を呼び込んだ流れを伝える。
 部長「ん、わかったわ。それじゃネタ捜索お願いね」
 主人公と百八式、二人のネタ探しが始まる事になった。
 (百八式召集編 終わり)

!百八式シナリオ三章 新聞作成編!

 廃部までの一週間、二日目。ネタ探し開始。
 場面は翌日放課後へ飛ぶ。
 主人公「何か良い手は無いか?」百八式「新聞部、独自のスクープか・・」悩む二人。
 悩んだ末、二手に別れてそれっぽいものを探そう、という事になった。

 「スクープ・・スクープ・・」ぶつぶつと呟きながら周りを見回す主人公。
 わざとらしく主人公を指さしてひそひそと話す久我。主人公が追いかけようとすると即座に逃げ出してしまう。
 なんだったんだ・・と、ネタ探しを続ける。

 「スクープ・・スクープ・・」主人公と同じように傍から見れば不審に呟きながら歩く百八式。
 生徒A「あの、どうしたんですか?」百八式「スクープがあったのか!?」生徒A「ひいっ」
 何だ無いのか、とまた歩き始めるのだった。

 完全に日も暮れた校門で二人は合流。お互いにスクープを見つけることは出来なかったようだ。
 結局、何の収穫もなく帰宅することに。

 廃部までの一週間、三日目。今日もネタ探し。
 昨日は二手に分かれても見つからなかったので、今日は一緒に探すことに。

 主人公「そうだ百八式、運動部でスーパールーキーみたいな奴は知らないか?」
 百八式「残念ながらテニス部ではわからぬ。しかし運動部、期待の一年生ルーキー特集というのは面白いかもわからんな」
 二人はグラウンドへ向かう事にしたのだった。

 グラウンドに着いて最初に目に入ったのはサッカー部だった。早速取材へ向かう事に。
 取材の結果は芳しくなかった。目当てのスーパールーキーは居なかったのだ。
 そして次に野球部へ向かう二人。しかし野球部でもスーパールーキーは見つからず。

 途方に暮れながら二人でグラウンドを眺めていると、トラック内で次々と走者を抜き去る小柄な少女を発見。
 もしかして・・二人は次の取材の相手を陸上部に決めたのだった。

 陸上部へ向かった二人は、さきほどの少女を探す。
 さっきの少女「なんですか?」主人公「取材の前に聞きたいことがあるんだけど、一年生?」
 さっきの少女「…ていうか、陸上部の部長なんだけど?」主人公「あの・・すみません」
 小柄な少女はなんと陸上部の部長だった。結局この取材も断念する事に。
10
 結局、今日も収穫無し。
 しかし盛んな部活動に対して取材の目を当てて特集を組むというのは悪くないんじゃないか、とお互い慰めあう。
 百八式「明日こそ必ず見つけてみせる!」
11
 廃部までの一週間、四日目。中盤過ぎてるのにまだネタ探し。
 放課後二人は合流すると、今度は文化部に目をつけよう、という話に。
12
 さまざまな文化部を回ったが、結局ネタは見つからず、部室に戻る二人。
 部長「まだネタは見つけられてないみたいね。レイアウトのひな型を作るのも飽きたわ」
 主人公「す、すみません」謝りながら、閃く主人公「…そうだ、部長、歴代の新聞部が作ってきた新聞のストックってありますか?」
 部長「あると思うけど、図書室あたりに行ってみたら?」
 突然の思いつきに対して百八式「どういうことだ、四堂?」主人公「いいからいいから」
 早速、図書室へ向かう二人だった。
13
 歴代新聞部の作った記事を読めば、何か浮かぶかもしれない、そう思った主人公は早速、過去の新聞を読み始める。
 百八式「沢山あるのだな」主人公「昔は新聞部大きかったらしいからね」
 探しながら、百八式が目を付けたのは一つの新聞だった。
 それは現在と同じ状況に置かれていた、過去の新聞部の作ったものだったのだ。
14
 百八式「ワシらと同じ状況で作られた物を見つけたぞ。これは参考になるんじゃないか?」
 主人公「過去にも、新聞部は廃部へ追い込まれかけていたみたいだな。これを参考にすれば……」
 その新聞にでかでかと書かれた見出し記事、それは――『新聞部廃部のお知らせ』
15
 慌ただしく部室へ入ってくる主人公。その手には一つの新聞が握られていた。
 主人公「部長っ!」部長「どうしたの、そんなに慌てて」遅れて百八式が部室へ入ってきて。
 百八式「こういう事だ。四堂、さっさとそれを渡せ」主人公「部長、これを」
 手渡された過去の新聞部の作った、廃部のお知らせを記事にした捨て身の新聞。
 部長「…つまり、これを真似ようと? 苦肉の策ね。それに不真面目な新聞部がつぶれるという記事だけでは――」
 主人公「それだけじゃ、ありませんよ」部長「何を言っているの。他にある記事なんてごく普通の部活動を取材しているだけのネタしか、って」
 主人公「普段は読まれないような新聞も、いつもと違う見出しがあればとりあえず目には入るでしょう?」
 「そこを逆手にとって、見出しで誘い込んで堅実な記事で新聞の記事を埋めるんです。こうすれば読者も増えて、活動していない新聞部なんて言われませんよ」
 部長「過去のネタを真似ているだけね。四堂君にしては考えたほうだと思うから採用にしましょう」
 主人公「それと、この新聞には廃部阻止の為に呼び掛けの項目もありますよね。これを付ければ阻止できますよ」
 部長「――廃部阻止の為に、新聞部顧問に抗議をして頂けると嬉しいです、か」
 主人公「ええ、多くの部活動の取材をすれば、部員達は読んでくれる筈ですし――」
 部長「ん、わかったわ。編集は任せなさい。と、いう訳で四堂君たちは明日から二日間で出来るだけ多くの部活動に取材をして、ゴマをすってきなさい!」
 主人公「イエッサー!」
 明日からは部活動の取材が始まる事になった。取材といっても、むしろ新聞部が新聞を出しますよという宣伝の意味が大半なのだが。
16
 廃部までの一週間、五日目。
 二人は部活動へ取材を開始する。今日は運動部。
17
 陸上部、テニス部、野球部、サッカー部、バスケット部、ラグビー部、様々な部活を取材する二人。
18
 取材が終わり、部室で結果を報告。
 部長「御苦労さま。明日もこの調子で頑張ってね」
19
 廃部までの一週間、六日目。
 二人は今日も部活動へ取材を開始する。
 美術部、将棋部、囲碁部、手芸部、文芸部、様々な部活を取材する二人。
20
 取材が終わり、部室で結果を報告。
 部長「うん。これで良いと思う。あとは編集するだけね。明日にはできると思う」
21
 廃部までの一週間、七日目、最終日。
 翌朝、出来上がった新聞を部長が部員に配り、校内への張り付け作業が始まる。
 なんとか張り終えて、教室へ戻るのだった。
22
 放課後、顧問が部室へやってきて、廃部中止の旨を伝える。
 朝方貼り付けた新聞を見て、新聞部つぶしを取り止めろと、それを読んだ生徒達が顧問へ掛け合っていたのだ。
 「休み時間の旅に来られてな、大変だったよ」
 なんとか、廃部の危機を逃れたのだった。
23
 下校中。百八式「何とかなって、良かった。あまり役に立てなかったかもしれないが」主人公「いや、十分助かった」
 百八式「次はかけもちとはいえ、テニス部へ駆り出される四堂の手助けをしなければな。ワシが特訓をつけてやろう」
 それは助かる、と主人公が返した。想像以上の特訓が待っているとは知らずに。
 (新聞作成編 終わり)

!百八式シナリオ四章 テニス部編!

 家に着いた主人公は百八式についての印象を振り返る。そしてテニスもがんばろうと考える。

 翌日、テニス部への入部届けを出す主人公。
 テニス部の顧問「かけもち入部だが、特別扱いはしませんよ。よろしく」

 基本的に男子テニス部と女子テニス部の練習は別々らしく、練習中、百八式と顔を合わせることはなかった。
 練習はボール拾いが殆どで、退屈なものだった。

 一週間経ったがいまだボール拾いの毎日。せめて素振りだけと放課後本屋でテニス入門の本を買う主人公。
 本を買った帰りに公園で素振りをする主人公。そうしている内に百八式が公園を通りがかるのだった。

 「なんだその素振りは……」公園へ入ってきて主人公に話しかける百八式。
 レクチャーをつけてやると言い百八式は主人公に見本を見せ、指導を開始する。
 素振り以前の問題か、とりあえずラケットを持たずに左手を前に出しそこへ張り手を打ち
 右手を首に軽く巻きつけるという練習を薦めるのであった。

 特訓練習もある程度やり、休憩する二人。そういえばお互いの事あまり知らないな、と自己紹介を始める。
 主人公は今まで新聞部だったこと等を話し、百八式は何やら家庭の事情で頑張ろうと気合を入れている事を話した。
 あたりが真っ暗になったので二人とも家に帰る事に。残念ながら二人の家の方向は別だった。
 駆け足で帰っていく百八式。

 次の日の部活終了後、主人公が帰ろうとすると校門で百八式が待ち受けていた。
 「ワシの特訓は百八種類あるぞ、全て付き合ってもらうからな、四堂よ」
 結局その日の部活も玉拾いばかりだったので快く承諾する主人公。さぁ特訓へ行こうか。

 「実はワシの家の庭に自作のテニスコートがあるのだが、そこへ行くぞ」
 百八式につれていかれるままに、山奥の百八式の家に向かう主人公達。

 一体どんな特訓をするんだろう?「試合をするぞ。108ポイント先取したほうの勝ちだ」「ハァ!?」
 今まで一度もボールを打ったことのない主人公は徹底的にボコボコにされるのであった。
10
 「一点も取れなかった……」
 「ここが、四堂、お前の実力のスタート地点だ。これ以上下がることはない。残り百七の特訓を終えられたら、その時もう一度、ワシと勝負しようじゃないか」
 付き合いが良いんだなと主人公、勘違いするなお前が友だからだ、と百八式。今日の特訓は終わる。特訓はまだまだ続く。
11
 日々の特訓が続いていく中、主人公にひとつの転機が訪れる、休日の部活中の事だ。
 顧問「一週間後の日曜日、少し開始が延びてしまったがレギュラー決定戦をしたいと思う。まだ入部して数週間の上、かけもちの四堂も例外なく参加して貰う」
 月に一度のレギュラー決定戦、最初の目標が定まったのである。
 その後新聞部の部室へ行き、暫くはこれない事を伝える主人公。部長「がんばれー」気のない返事だった。
12
 部活が終わり、その日の特訓時もレギュラー決定戦の事を百八式に告げる主人公。
 百八式「急だな、時間が足りていないぞ。まだワシの特訓は百二も残っているというのに」
 いくらキツい特訓をしているとは言え、所詮テニス暦数週間。残り七日で何とかなるはずがない、悩む主人公。
 百八式「ならば、合宿しかあるまい。学園を七日間サボれ。ギリギリまで特訓出来るようにワシの家に泊まりで、合宿だ」
 な、なんだってー。覚悟がないのなら醜態を晒せば良い。友としてガッカリだがな。やってやろうじゃねえか!
13
 合宿初日、お泊りセットを持参し百八式宅に到着する。
 先生には日曜まで休むって言っておいたぜ! そうか、上々だ。とりあえずだが、ワシの部屋へ来い。ついていく主人公。
 女の子の部屋のはずなのに、ドキドキの質がまるで違う。まるでこれから戦場へ駆けるような……。
 当然じゃ、我ら二人は今日より七日、まさに百八地獄のような特訓をするのだからな。百八地獄って何?気にするな。
14
 特訓開始。まずは笑い方を叩き込まれる。
 百八式「笑ってみろ」四堂「あははは」なんだそのナヨナヨした笑い方は!戦いに挑むものならこう笑え、と。
 百八式「フハハハハ!」判ったか?やってみろ、仕方ない、ここまできたんだからな 主人公「フハハハハ!」
 笑い方を叩き込まれ、更なる特訓へと向かうのであった。
15
 その日の特訓終了。夕方、すでに日が暮れかけている。
 夕食、百八式が作ってくれるらしい。待っている間テレビを見るがくだらない番組しかやっていなかった。
 テレビの電源を切る百八式「さて、食べるぞ。お前の好みは知らないが注文してくれれば次からは合わせよう」
 味薄くないか? 百八の栄養素を調和させるのは大変なのだが、お前が言うなら善処してみよう。
 その後風呂に入って眠るのであった。
16
 合宿二日目、本当の地獄はこれからだ。
 今日からが合宿の本番だと思ってもらって良い。厳しくいくぞ。残り九十七の特訓を共に乗り越えよう!
 その日最初の特訓は単調なランニング、ではなかった。
 百八式「百八秒間走だ。もちろん百八セットだ。手を抜くなよ」そんなの一日には無理だ――!
 仕方ないな、今日を含めた残り六日で百八セットこなせれば良い。基礎体力も重要だ。
 結局その日は十セットしか出来なかった。
 百八式「仕方ない、少し休んだら次は百八素振りだ。もちろん百八セット、これも六日で良い」お前メニュー本当に考えてるのかよ――!
 その日の夜、主人公は百八式に対して積もっていた疑問を話す「なんでそんなに、百八って数字に拘るんだ?」
 百八式は事情を話す。百八式一族の事を、自分が特異体質だという事、その能力はどれだけ日常で百八に触れているかで強弱が決まるという事。
 そして、自分は百八式一族の長女だという事。それに相応しい百八式を身に着けたいのだと――。
 合宿二日目も滞りなく終了。学校はサボっているが。
17
 合宿三日目、最初は百八秒間走から始まる。
 昨日より体が軽い、むしろ調子が良い位だ。 百八の栄養素を保つ百八式の料理は伊達じゃないって事か!
 ワシの家の風呂に使っている温泉の素は効能が百八まであるぞ。と返す百八式。
 結果として二十セット走りぬいた。この調子なら案外簡単に百八セットできるかもしれない。
 その後素振りも合わせて二十セットし終わり、午前の特訓が終了し昼食。
 百八式「どうだ? 味の濃さは」丁度良い、お前はいい嫁になるかもな、と冗談で笑う主人公。何を言う……と黙ってしまう百八式。
 午後の特訓が始まる。「四堂、午後の特訓は今までと訳が違う物になる。昨日話したワシの特異体質、百八式を使った特訓になる」
 最初に使った百八式、それは一秒を百八に分割して認識する能力だった。その能力を使うと格段に動ける速度が上がるのだ。
 「今から打つボール、全てボレーしてみろ」鬼のような速度で打ち放たれ続ける百八のボール。「勿論百八個を百八セットだ!」
 夕方、ボッコボコボロボロになってしまった主人公は会話もままならない。手当てを受け早々に眠る主人公。
 眠っている主人公を見つめる百八式。「良い嫁――か」合宿三日目終了。
18
 合宿四日目。目覚めると昨日ついた腫れが全て引いている。「そろそろ判るだろうが、百八の薬草が入っている薬で手当てをしたからな」
 午前は基礎メニュー、百八秒間走に百八素振り百八ステップ。
 それぞれ二十八セットをやり抜いた。あれだけのハードメニューをこなしているのに体が疲れるどころか、どんどん鍛えられているような気がする。
 基礎メニューは残り六十回ずつになった。もしかしたらあと二日で終わるかもしれない。
 その日の特訓は、簡単に飛んできた玉を打ち返す特訓だったが、手ごたえがあった。練習だが確実に相手のコートへ返せる確率が上がっていたのだ。
 残りの特訓数は九十六、まだまだあるが確実に消化していくのだった。
 そんな中、様子を見に久我が現れる。「なんかたくましくなってない?」気のせいだろ。
 潰れてしまった新聞部の元部員達の近況を久我に教えられる。どうやら自分以外の部員は新聞部再結成を狙っているらしい。
 もう、違う道を歩き始めたんだなぁと実感する主人公。あいつらに負けないようにがんばるぞ! と主人公。
 合宿四日目終了。
19
 合宿五日目。今日も今日とて必死の特訓の始まりだ。
 当然のように午前は基礎メニュー。明日と今日で終わらせるために三十回ずつこなして昼休憩。
 百八式「午後は百八式を使った特訓になるだろう」そうか、気合入れていくぜ! しかし百八式は上の空で昼食中はずっと何かを考えているような様子だった。
 特訓内容は百八式ラリーだ。なんだそれ? 百八式「普通のラリーではない一度に百八のボールを打ち返しあうラリーだ」そんなの無理だ――!
 全て返せなくとも良い。ボールの速度は極力遅くする。勿論百八セットだ。終えるまで今日の特訓は終わらぬぞ――!
 凄まじい数のボールが飛んでくる。一秒に十個以上――! 百八式の特異体質はこれほどまでに凄いものだったのか――!
 すっかり日が暮れてしまう頃、やっと百八セットが終わったのだった。大の字になって倒れる主人公。
 百八式「大丈夫か、顔中が腫れ上がっているぞ……」 主人公「へいひ、へいひ、喋れうし」顔が腫れてまともに発声できない主人公。
 百八式「そうか……」 とりあえず部屋に運ぶぞ、と百八式はお姫様抱っこで主人公を抱き上げる。普通逆じゃないのか――?
 部屋に戻ると手当てをしてもらう、そんな最中 百八式「四堂、ワシは思う」何を?
 百八式「ここまで一日中顔をつき合わせている友だというのに苗字で呼ぶなんて、水臭くないか?」名前で、呼び合わないか、と。
 「な、まえ……?」そうだ。「おう……は、はぉうこ。これでいいあ?」馬鹿、うまく言えてないぞ、もう一回だ。幾度か名前を呼ばせる百八式であった。
 このまま布団に運ぶ、今日は眠れ。眠る主人公に百八式「おやすみ、宗次」
 合宿五日目終了
20
 合宿六日目。今日で基礎メニュー百八セット終えられそうだ。
 当然のように治っている傷。主人公「おはよう、百八式。面白いくらい傷が治るな。お前の薬は」
 百八式「違うぞ宗次。波動子だ。昨日誓い合っただろう?」 ああ、そんなこともあったな。「おはよう、波動子」なんか照れるぞ。
 照れ照れしている間もなく午前の基礎メニューが始まった。
 各メニューをこなし終え、残りの特訓数が九十二になったのであった。百八式「よくやった。友として誇りに思う」
 おだてすぎじゃないか? そんな事は無いぞ。大変さを説明する百八式。そして午後の特訓。
 百八式「宗次、午後は部屋でルールを覚えるぞ」特訓しなくていいのか? ルールを覚えなければ試合も何もないだろう!
 そうして雑談気味にルールを教えられる主人公だった。 主人公「明日はいよいよ本番だ、頑張るぜ」「ワシもレギュラー戦がある。共に学園へ向かおう」
 六日目の特訓も終わりスヤスヤと眠る主人公。明日待ち構えているのは試合だけではない事を知らずに。
21
 合宿七日目、いわゆる最終日。
 朝四時、たたき起こされる主人公 百八式「起きろ! 時間が無いのだからな!」 「わかった、おきるからおきるから」
 百八式「ギリギリまで特訓するぞ。残りの特訓は九十一ある。出来る限り消化するぞ」 ああ、かかってこい!とやる気の主人公へ
 百八式「うん。良い気合だ。今日の特訓メニューは至って簡単だ。百八秒間走、百八素振り、百八ステップ、これだけだ」
 は? と主人公 「もちろん、百八セットずつだ!」 ちょっとまった――――!
 場面は変わってテニス部コート。 男子テニス部長「来ませんね、四堂は」テニス部員A「ボロ負けするのが怖くて逃げたか?」
 テニス部員B「まぁボール拾いしかやらせてなかったからな!」 テニス部員達「ワハハハハ!」 
 男子テニス部長「あまり馬鹿にしてやるな……」(本当にこないのか?)
 場面は戻って合宿場。「はぁっ、はぁっ」必死に走る主人公。無理だ、一日に百八秒走を百八回なんて、大体合計で一万秒超えるじゃないか!
 一万秒って何分だよ――! 百八式「今日、休憩は無いと思え。ワシもつきやってやるから。ほらバナナ。走りながら食べるがいい」
 場面は切り替わってテニス部コート。 女子テニス部長百花乱(もうそれぞれ試合は始まっているのに、百八式さん……ボイコットするおつもりなの……)
 女子テニス部員A「このままー、百八式が来なかったらー! あたしらにもー! レギュラーチャンス!」 B「マジデー」C「ダヨネー」ABC「キャハハハハ」
 場面は戻って、合宿場。 「二十一! 二十二!」 足がガクガクだ……常識的に考えて一万素振りはキツすぎる……。
 百八式「いそげ宗次! ワシもレギュラー決定戦に出ないとならんのだ!」 急いでるって――!
 場面は男子テニス部コート
 男子テニス部顧問「全選手を実力が平均的になるようにいくつかのリーグに分け、リーグ戦をして勝ち残った者がレギュラーになれる」
 男子テニス部顧問「これが、わが学園テニス部の伝統的なレギュラー決定戦だ。男子も女子も同じルールなのさ。フッ」
 男子テニス部員「なにわかりきった事いってるんスカ……」 「気分だ」
 女子テニスコートでは
 女子テニス部員「さすが部長! 一番にレギュラーを決めましたね!」百花乱(…波動子はまだですの?!)
 合宿場 主人公「ステップステップステップステップステップステップ……」 百八式「ステップステップステップステップ……」
 場面は男子テニスコート
 男子テニス部員「部長、もうそろそろ始めましょうよー。四堂の奴は棄権でいいじゃないすかーもう残ってるのこのリーグだけっすよー!」
 男子テニス部長「仕方ないかぁ。特訓していると噂で聞いて期待していたんだけどね。そんじゃ、はじめよう――」
 主人公&百八式「――ちょっと待ったッ!」 ざわざわ
 主人公「俺―――――参上!」
 百八式「ワシ――――参上!」
22
 ギリギリセーフでリーグ戦。
 女子コートに走り去っていく百八式。男子部員(なんで男子コートに来たんだろう……)
 なんとかリーグ戦に間に合い迎えられる主人公。リーグ戦のメンバーを確認する。
 四人が総当りし、最も成績が良かった者がレギュラーになれる。主人公が参加するリーグの四人は
 ・五年、四堂 宗次 ・六年、内藤 地平(ないとう ちへい 部長) ・五年、佐藤 聡男(さとう さとお 平部員) ・六年、鎌瀬 一(かませ はじめ平部員) 
 っちょ、なんで部長と一緒なんだ! 一番強い人がいるじゃないか。
 監督「聞いていなかったのかい? リーグはいくつもある。実力を平均化させるためには一番強い者と弱いものを同じリーグにするのが楽だったのさ!」
23
 内藤はなんかすごいかけごえで攻撃し鎌瀬はなんか弱そうなやられ声をだす。内藤は鎌瀬相手にストレート勝ちを収める。次は主人公と佐藤の試合なのだが、
 内藤「監督、次の試合も僕にやらせてくれませんか? と、いうより――」「三連戦、次は佐藤、その次は四堂と。それでレギュラーは決まります」
 「時間もありませんしね。どうですか?」自信マンマンの内藤。 監督「他の奴が良いなら構わないが、どうだ佐藤、四堂?」
 佐藤「少し待ってください。四堂と話を付けてきます」佐藤は四堂を校舎裏に呼び出す。
 四堂「こんな所まで呼んで、何なんだ?」佐藤「三連戦の事だよ。俺は受けようと思っている」
 四堂「それには同意。あの強さを見れば自信はわかるが、一矢くらいは報いたいなぁ」
 佐藤「そこで相談だ。俺も今年に入ってからテニス部に入ったから実力には自信がない。このままいけば二人ともストレート負け確定だ」
 お前、百八式と特訓をしていたんだろう? 女子テニス部で異質のオーラを放っている、アイツと。だからお前に――――。
24
 相談を終えてコートに戻ってきた佐藤と四堂。佐藤「受ける事に決めました。胸を借りますよ、部長!」
 四堂は部長内藤と佐藤の試合を見守りながら、作戦を頭の中で反復する。
 四堂、俺は普通にやったら一ポイントも取れる自信が無い。だから部長の意識を少しでも一箇所に集中させる事に徹する。
 お前の試合が始まったらその箇所と反対の所に一番得意な玉を打ち込んでやれ――と。
 佐藤の試合はワンサイドゲームだったが、周りの評価はそう悪いものではなかった。
 部員A「部長相手にあそこまでラリーが出来るとは」部員B「佐藤は反復練習が好きだったからなぁ」
 単純なラリーの繰り返し、佐藤が最も得意とするスタイル。そしてプライドの高い内藤は敢えて相手のスタイルに付き合う。
 よって他部員の想像以上にラリーを繰り返すことが出来るのだった、が。佐藤の体力の消耗と内藤部長の体力の消耗の差は歴然だった。
 そして――、佐藤は結局一ポイントも取れずにストレート負けを喫した。
25
 四堂はとても緊張していた。初めてのまともな試合だ。緊張しないはずがない。試合開始直前、立ち位置についた時百八式に教わった事を一つ、思い出す。
 四堂「フハハハハハハ!」なんだあいついきなり笑い出したぞ。四堂は笑いに笑い、リラックスを果たすと同時に異様なオーラを回りに印象付けたのであった。
 内藤「フフッ。面白いなあ君は! 入って三週間でこれだなんて、将来が楽しみだよ」先行サーブは四堂に決まった。
 四堂はサーブをする、だが上にボールを投げて打つサーブではなく、とにかくフォルトしないための下手打ちサーブだった。こうしないと入らないんだよ!
 内藤は容赦せずにとてつもないレシーブを繰り返す、四度リターンエース。ストレートでワンセット取られてしまう。
 四堂は動じない。「フハハハハハ!」ていうか、百八ポイント連続で取られた事あるしなぁ。
 内藤サーブ、内藤はなんと四堂が放ったのとまったく同じ、何の回転もつけていない下手打ちサーブを打って来たのだ。
 なんという――――好機! 最も得意な玉、最も威力のある玉、それは――。
26
 場面は回想、合宿場。
 四堂「はぁ……はぁ……」百八式「良くぞ基礎メニューを百八セットずつこなしてくれた。今の宗次ならきっと打てるワシの必殺技を教えよう」「必殺技…?」
27
 ゆるいサーブが飛んでくる。だからこそ、初心者の四堂でも気にせず打ち込める――!
 四堂「一式ッッ波動弾ッッ!!」全力を込めて、ラケットを振る。ボールをインパクトした瞬間、とてつもない痺れが全身を襲うが、気にせず振りぬく!
 轟音が相手コートに響く。一瞬あって、ラケットが落ちる音が二つ、内藤部長と四堂の物だ。
 内藤「…ラケットが、吹き飛ばされた。一式、波動弾……」四堂「フハハハハハ!」(うわ、右手の感覚が無いんだけど……って、アレ)
 立ちくらみを起こして膝を地についてしまう四堂。ああ、やっぱり限界だよなぁ。一ポイント取れたし、構わないか――。
28
 満足しかけてしまう四堂だったが、そこに新聞部メンバーが現れる。
 久我「やってるやってる」真実「応援したげようよ」久我「立てっ! 立つんだジョー!」
 はぁ……コイツらは……大体、立ち上がれないんだよ。つかれ切っていてさ。
 雪那「四堂君。新聞部をサボってやってるんだから、気合を入れなさい。見に来た途端、膝をついて居られたら心配で馬鹿にしたくなってしまうわ」
 雪那「そうね。立ち上らないのなら馬鹿コールをしましょう。新聞部の皆さん」何を言ってやがる…あいつら。成海まで乗り気だぞ…!?
 雪那「良い? 私が言ったらそれに続いて皆で言うのよ」真実「オッケー!」真実や久我はともかく、成海まで乗り気だ、しかも楽しそうだ!
 ふざけやがって――。 雪那「それじゃ、せーの――」四堂「――ふっざけんな!」久我「あ、立った…………チッ」立ち上がる四堂。
 内藤「そろそろ、良いかな?」四堂「構わないぜ」
29
 内藤は普通のサーブに切り替える、四連続サービスエース。付け入る隙がない。二セット目を取られる。
 次のセットも連続で二度のリターンエース。このままじゃずるずるやられるだけだ。どうしたら、そうだ!ボレーをしようと思い立つ四堂
 そして下手打ちサーブを放つと同時にネット際へ走り出す四堂、内藤「なっ」突如の直進に対応できず鋭いレシーブを四堂の正面へ打ってしまう。
 四堂の顔へ鋭いレシーブが飛んでくる、しかし四堂は怖がらなかった。
 (こんなたった一つのボール、百八式波動子との百八ボールボレーに比べたら――――大したことはない!)
 ボゴッ。鈍い音が木霊する。(…百八のボールに立ち向かったからといって、打ち返せた訳じゃなかったからなぁ――――)
 四堂、ノックダウンで内藤の勝利とレギュラーが決定。 内藤「あー……わざとじゃないんだけどね」
30
 保健室で目を覚ます四堂。横へ首を向けると隣のベッドには波動子が眠っていた。俺気絶しちゃったのか。
 百八式もか? 百八式は俺以上にハードワークをこなしていたからな。特訓に加えて、俺の分の家事も……。
 百八式との特訓のおかげでテニス部最強の男に一矢報いられたことを感謝する四堂だった。「ありがとな」
 起き上がろうとすると、体が動かない。保健室の先生が入って来る「動かそうとしても無駄。相当無理してたみたいね。特に右腕は疲労骨折寸前」
 学校を休んで練習していたみたいだけど。こんどは本当に体を休ませないと駄目、せめて三日はね。百八式さんも。そう言うと去っていく保険教師。
31
 百八式が目覚める。大丈夫か? これくらいは平気だ。百八式療養術を使えば一日で治る。宗次はそうはいかないようだがな。その間ワシが看病してやろう。
 保健室で? 動けるようになるまではな。今日は眠れ。ワシも眠るぞ。宗次の活躍は佐藤とかいう名の奴に聞いた。良くやったな。お休み。ああ、お休み。
32
 翌日、目覚めると右腕に感触がある。って何してるんだ波動子――!? 百八式マッサージだ。気にするな。今日の午後には動けるようになるだろう。
 ところで、波動弾の威力はすごかったぜ。ワシの波動弾は百八式まであるぞ? マジすか。
33
 後日談、体が治った後にテニス部へ行くと熱烈な歓迎を受けた。今までボール拾いばっかやらせて悪かったやら波動弾教えてくれなど。
 テニス部の一員として認められたようだ。テニス部でもボールを打てるようになった。
 百八式との特訓は未だ続いている。まだ八十八も特訓が残っているのだ。終える頃には百八式と渡り合えるようになるのだろうか。
 ああ、ついでに。俺に付き合って疲れきってしまったせいか、波動子はレギュラー落ちしたそうだ。本人は気にしていない様子だったが。
 (テニス部、飛翔編終わり)

!百八式シナリオ三章 百八人、お家騒動!

 最近うわさが流れている。俺と百八式が付き合っているとかそんな話だ。恋愛話は格好の噂だ。面白ければ真偽など関係ないのだろう。
 異性としての意識。そんなものを百八式に抱いたことはなかった。どちらかと言えば頼れる友人。親友だとか言うつもりはないが相当仲が良い友人だとは思う。
 しかしその後、噂のせいか、百八式との特訓の時に結果として異性としての意識を抱いてしまうことになるのだった。
 百八式「今日は百八階段のぼりだ。一回でいいぞ」一回でいいのか? そんなの楽勝だぜ。 百八式「ワシを背負ってだけどな」えー。

 ぎゅーとしがみつく百八式、ちょっと強く密着しすぎなんじゃ、変なうわさのせいで意識してしまう「別に気にするな」耳元でささやく百八式
 やたら高揚してしまう四堂。百八段、のぼれたら噂のことを話そうかな、そう考えている四堂だったが、登りきった後、話す前に先手をとられてしまう。
 百八式「ええい! 隠しているのは性に合わん! 言うぞ! いいな、一度しか言わんぞ!」え、何? こっちも話が――
 百八式「宗次、お前の事が好きだ。勿論一人の女として」 ちょっとぅえ!?

 告白される四堂。「な、え、と、その」へたり込む。されたほうがへたり込んでどうする……。
 「ワシと付き合うのは、嫌か?」「ま、待って、こういうの慣れてないから、待ってくれ、波動子のことは、嫌いじゃないから」
 そんなに情けない声を出すな。答えが出るまで待っている。できれば早くしてくれ。今日の特訓はこれまでにしよう。と百八式。
 二人は帰宅した。

 次の日、教室で久我に相談する四堂だったが。
 久我「わちゃーまさか噂が本当になっちゃうとは。僕が流したとはいえ驚きだなー」お前かよ!
 だってー。ともかく、どうするの? オッケーするの? 「お前が変な噂を流すから、変に意識する羽目に・・」へー意識してるんだ。うるせー!

 放課後、男子テニス部。佐藤「なぁ四堂、どうなんだ百八式とは――」四堂「近いうちに落ち着いたら教えるさ…」

 いつもは百八式との、特訓なのだが、今回は違う目的で集まった二人。
 四堂「言うぞー!」百八式「ああ――!」四堂「俺も、好きだ。異性としてかどうかは判らないけど、一緒にいたい」「だから」「俺と、付き合ってくれ」
 波動子「よ、よかったぁ――」今度は波動子がへたり込むのだった。告白されるほうがへたり込むのが常識なのか?波動子「宗次、立てないぞ。手を貸せ」
 こうして二人は付き合うことになりましたとさ。

 翌日。男子テニス部。四堂「というわけで付き合うことになった」佐藤「そうか! 良かったな!」お前は彼女いんの? いねーよ!馬鹿!

 その日の特訓。百八式「恋仲になったわけだが、早速家族に紹介したいと思う」いきなり!? 
 百八式「もうすぐ月に一度の会合があるのだ。その時に紹介するぞ。もしかしたら百八式一族に入ることになるかもしれないからな」
 その家族って、百八人いるんだよな? 勿論だ。 会合場所は明後日の日曜日、ワシの家の隣の寺だ。あそこ百八式一族の寺だったのか! うむ。

 会合当日、寺へ行くのを渋る四堂。
 百八式「いーくぞー。いつまでウジウジしておる」四堂「部長と試合したときより緊張する」
 笑え! 今は無理だ! いいから行くぞ! わかったって。
10
 寺につくと、中へ入る。既に半数以上が集まっているようだった。
 気のせいか聞こえてくる会話の節々に百八という数字がまぎれこみまくっているが気のせいではないのだろう。
 軽く会釈をしながら波動子について行く。皆穏やかそうで、会合という名前から想像していたよりは全く違う和んだ雰囲気だった。これなら安心。
11
 そうして定例会合が始まる。次々に報告がされていくが、どれも近況報告のようなもので
 百八式一族A「最近うちの猫が子猫をうみました。かわいいです」とても和やかだ。
 そうこうする内に波動子の番がやって来る。波動子「ほら、立て」一緒に立ち上がる二人。
 「一ヶ月ぶりの報告だ。心して聞いてほしい。中には聞いている者いるかもしれないが、私に特別な友人が出来た。一族の特性の事もある程度話している」
 ほら、名乗れ、と波動子。四堂「四堂 宗次です。波動子さんには本当にお世話になっています。宜しくお願いします」
 友人が出来たの、波動子とこれからも仲良くね、そういった温かい言葉が次々に投げかかる。ああ、無事に終わりそうで良かった。
 波動子「それだけではなくてな、恋仲にもなった」場は更に少し盛り上がった。
 しかし波動子の次の一言で場は凍りつく。波動子「もしかしたら、宗次は一族に入る事になるかもしれない」
 何を言っているんだ?という空気。一族が一人増えたら百八人ではなくなってしまう。という危惧を示すつぶやくが一斉に聞こえ始める。
 波動子「やはりこうなってしまったか。ええい静まれ! 私は帰るぞ」そういって四堂の手を引き、寺の隣にある家へ帰る二人だった。
12
 波動子宅にて。
 四堂「なーんか不味いことになってないか……?」波動子「仕方ないだろう。説明をしよう」説明をはじめる波動子。
 百八式一族の総数は常に百八人。誰かが入るのなら誰かが抜けなくてはならない。という事。
 そして百八式一族から抜ければ生まれてずっと鍛え続けてきた一族の特性が使えなくなってしまう、という事。
 更に言えば、ここ五十年以上、一度として百八式一族外の人間が一族に入って来たことはなく、一族内で交配を繰り返していたという事。
 四堂「抜けると使えなくなるって言う事は、一族に入れば俺でも使えるようになるのか?」
 波動子「知らん。そもそも入ってきた人間が居ないのだからな」それもそうか、と。今日はこうなってしまったが気にするな。
 どうしたらいいんだ? と四堂。だから気にするな。明日からも、またいつも通り特訓を続けよう。
 そういう波動子に納得できないまま頷いて帰宅する四堂だった。
13
 次の日、登校中。お爺さんがしゃがんでいる。何やってんだこの爺、と怪しげに様子を観察する四堂。
 すると爺さんはそのまま倒れてしまう。「――!? 大丈夫ですかっ」あせる四堂。学校まで直ぐだったので背負い、急いで保健室に連れて行く四堂だった。
14
 保険教師に様子を見てもらう。「大丈夫なんですか?」「寝てるだけ。もしかしたらアンタより健康かもねー」まじかよ!心配して損した。
 教室へ向かう四堂だった。
15
 昼休み。爺さんの様子を見に保健室に向かうが、保険教師「あー、その爺さんいつのまにか消えてた」仕方なく購買でパンを買って屋上へ向かう。
 「あーおーぞーらー!」珍しく昼の屋上に人がいないので叫んでみた。「フハハハハハ!」今日は運が良いなぁ。
 パンを食べようとして袋を開けて口に運ぼうとした瞬間パンが消えた。あれっと思ってあたりを見回すと、朝の爺さんがパンを食っている。
 返せよ! 爺「いやや!」可愛く言いやがってむかつくわ畜生!パンを取り返そうとするがフラフラとかわされる。
 食べ終わった爺さんは一言。爺「ワシは大事な孫をお前のようなどこの馬の骨とも知れぬ奴にくれてやる気はないのでの」
 えっ、と思う瞬間に拳が目の前に。四堂は吹っ飛ばされて気を失った。
16
 四堂は目を覚ます。そこは保健室だった。波動子「やっと起きたか。部活には欠席を伝えておいた。一体何があったのだ?」
 事情を話す。爺を助けて、爺に襲われた事。孫だとかなんだとか。波動子「長老か……」はぁ、とあきれつつ落ち込む波動子。
 波動子は酷く落ち込んだ様子で、波動子「すまない、宗次。ワシのせいでこんな目に合わせてしまった。本当に――」
 見る見る内に波動子の顔色が悪くなっていき、倒れた。四堂は急いでベッドから降り逆に波動子を横にさせた。
 ちょっと尋常じゃない倒れ方じゃないか。心配だ。と四堂はベッドに腰掛けながら思うのだった。
17
 暫くして、波動子が目を覚ます。しきりに謝り、いつも波動子に溢れていた自信が陰っていた。
 心配なので家まで送ろうとする四堂だが、波動子は断って走り去っていってしまう。今日の特訓も無しのようだ。
 一体どうしたって言うんだ。何とかできないものか。心配を重ねる四堂だった。
18
 家に帰り思案に暮れる四堂。どうにかして元気付けたい。理由がわからない。理由を考えよう。
 結局考え付いた理由は、あの爺さんが苦手だからだとか生理だったのか?とかそんな理由だった。
19
 次の日、休み時間に波動子の様子を伺おうとするがチャンスが無く結局放課後を待つしかなかった。
 部活が始まる前に波動子の元へ駆け出す。波動子「すまない。今日の特訓は無しだ」
 昨日思いついた理由を次々並べるがどれも違うと言うだけだった。
20
 部活が終わり特訓もなくぷらぷらと家へ帰る。そういえば特訓が出来る日に、やらないなんて事、特訓を始めてから無かったな。
 微妙な気持ちのまま下校していると、そこへ久我が現れた。久我「お困りのようですねー。相談にのるぜ相棒!」誰が相棒だ!キミトボク。……。
21
 なし崩しに相談してしまう四堂だった。
 相談の結果引け目を感じているだろうと言う事。何かやっちゃったんじゃないの? 二、三日、様子を見てみろという結論を得られた。
22
 三日様子を見ようと決めた四堂は様子見に入る。その姿は半ばストーカーの様だった。
 波動子と触れない日々は密度が薄く。四堂は寂しさを感じていた。
23
 様子見二日目。早速、様子見に我慢の限界が来るが、必死に押さえ込んだ。
 放課後もストーキングをしていると、俺がいなくとも個別で特訓自体は続けているようだった。
 何か得体の知れない感情が四堂を襲うのだった。
24
 様子見三日目。二日目と大して変わらずに終了。
 そして四堂はこの日を様子見最終日と決めるのだった。
 家に帰ると四堂は明日、波動子に接触することを決意したのだった。
25
 昼休み、波動子へ放課後に話があると伝える四堂。返事は曖昧だったが、信じて待つ事を決めている四堂だった。
 待ち合わせ場所は出会い始めの頃、一人で練習をしようと訪れた公園だった。
26
 部活終了後、公園へ直行する四堂。三十分待ったが波動子は来ない。もしかしたら部活が長引いているのかもしれない。
 そうだ、特訓じゃないが一人で練習して待つことにしよう。そうして最初に教わった平手打ちをし始めるのだった。
 更に一時間が経った。ちょっとこの練習は手が痛くなるなぁ。何故か百八回数える毎にカウントリセットをしていた四堂だった。
 「来ないな……次は百八式……ステップでもやろう……ラケットは持ってきてないし」信じているが、どんどん暮れて行く夕日と共に暗くなるのだった。
27
 三時間が経過して、既に日は暮れきり、月が顔を出している。あたりは真っ暗だ。
 半ば諦め掛けながら、特訓の日々を思い出し百八という数字を使った特訓を続ける四堂だった。
28
 午前0時。日が変わってしまった。駄目だったのか。さすがに日が変わってしまっては、そう思い公園を後にしようとする四堂。
 その時、公園の隅にある木の裏で何かが倒れる音を耳にする。何も考えず、面倒そうに確認へ行く四堂。するとそこに波動子が倒れているのだった。
 四堂「波動子ッ!?」急いで駆け寄ると抱き起こす。視線は虚ろで、体調は著しく悪い。
 「コイツ――俺が来る前からそこに居たって言うのか――? なんでだよ――クソッ」四堂は急いで家へ波動子を運ぶ。幸い公園と家は近所だ。
29
 家へ付き、自分のベッドへ波動子を寝かせる。波動子は起き上がって帰ろうとするが、駄目だといって四堂が抑えると、抵抗できないようだった。
 こんなになるまで、なんで――。とりあえず何か食べ物を、と立ち上がろうとすると、波動子が呼び止める。待ってくれ。
 「何か食べ物を作ってくるよ。待っててくれ」「大丈夫だ、食べながら木の裏で様子を伺っていたからな」軽く笑みを浮かべる波動子。
 一週間もたっていないはずなのに、酷く長い間、波動子の笑顔を見ていなかった気がする。
 「ほら、これをやろう」ふるふると震えながら四堂に小さな飴のようなものを渡す波動子。「なにこれ」「百八式保存食だ。小さいが一食分の栄養素がある」
 とりあえず食べてみる四堂。「あれ、お腹一杯になったんだが」「そういう風に出来ている」話しているうちに少しずつ様子が良くなっていく波動子。
 そこで話を切り出す四堂「なんで、そんなになるまで隠れてたんだよ――」
30
 「何でって、宗次が帰らないから」「お前が出てこないから」「――――」沈黙。
 四堂「気付かずに何か嫌な事をしてしまったのかもしれない。俺が悪かった。ごめん」波動子「違う! お前は悪くない。私が――」
 どうして避け始めたのか、その理由を話し始める波動子だった。
 理由、それは自分の一族に対するこだわりで四堂を巻き込んでしまった事。これ以上巻き込みたくなかったから、避けていた、と。
 四堂は水臭い、別にそんな事は気にしていない!と反論したが、
 波動子「長老は、絶対なのだ。ワシは百八式一族として生まれた。百八式一族として生を受けたものは百八式一族として教育される」
 ワシの場合は長老が幼少期の担当だった。だから知っている。長老は一度決めたことを曲げない事を。屋上で四堂が殴られたのは忠告に過ぎない。
 長老が本気になったら、最悪命すら危うくなってしまうかもしれない。ワシは長老に対して絶対の信頼おいていた。
 それがこんな所でしっぺ返しを食らうとはな――。わかったらもうワシと付き合うのは――。
 四堂「ちょっと待った! 勝手に話を進められたら困る。つまり、俺が無事に百八式一族に成れればいいんだろう!? 何か方法はある筈だ!」
 何を言っている、そんなの不可能だ。五十年以上あり得なかったことなのだぞ! 「うるさい! それでもだ!」
 四堂「ついでだけどな、そんな事を理由に俺を振るんだったら、それこそ長老とやらに消されるくらい付回してやるからな!」
 波動子「この馬鹿……! 無理だといっているのがわからんのか!」四堂「どっちにしろ。無理を実感しなきゃ諦められない」
 波動子「そうなってからでは、遅いと言っているのが――――んぅっ!?」四堂は波動子に覆いかぶさりキスをする。
 波動子「な、なにをする!」四堂「…嫌だったか?」波動子「そんな訳が……無いだろう」四堂「そうか。良かった」
 四堂「波動子、好きだ。今度は確実に言える。男としてお前のことが好きだってな」波動子「な、なにをぅ……」
 四堂「二、三日離れただけでやたら寂しかった。一人で特訓してるのを覗いた時は、後だから落ち着いて言えるのかも知れないけど見放されたと思ったよ」
 波動子「そ、そんなわけがないだろう!」四堂「わかってるって。キスされて真っ赤になってるお前を見ればわかるっての!」波動子「宗次も赤いだろ!」
 四堂「つまりは。お前と一緒にいる為なら命を賭けても良いなんて本気で思う位にベタ惚れしてる事に気付いたよ。避けられて、ね」
 波動子「悪かった……だがそれには今言ったように」四堂「聞いてくれ」波動子「…何をだ」
 四堂「俺は、お前のせいなら、それを全部許せる。考えが足りてないのかもしれないが、それでもそう思ってる」
 四堂「ついでに、俺のせいだったら、それこそ自業自得だろ。構わない!」
 四堂「波動子も、許してくれ。俺の事が大切って言うのなら、俺がお前の大切な人を危険に晒す事を」波動子「…………」
 四堂「だから、ええと。俺は特攻したって良いと思ってるって事だ! 波動子も一緒に特攻してくれないか?!」
 四堂「お前が本当に俺のことが大切だって言うなら、長老って奴に二人で特攻だ! 当たって砕けるつもりはないけどな! 駄目か!?」
 相当やけっぱちになりながら、四堂は必死に叫んだ。……駄目なのか?
 波動子「――――――――――。」波動子「――――――――――――フ」波動子「――――――――――――――フハハハハハハハ!」
 波動子「特攻か、面白い! 悩んでいたのが馬鹿みたいだぞ! ワシは嬉しい。お前がそこまで想っていてくれたとは……」
 波動子「…特攻覚悟、結構だ! 二人で長老の鼻を明かしてやろうぞ!」波動子「その前に……」何だ?もっとキスをするぞ。ワシのキスは百八回まであるぞ。
 そうして二人は、長老に対して直談判する決意を固めたのであった。
31
 四堂「と、言う訳で、俺を百八式一族に入れてくれ!」長老「だが断る」波動子「あの、駄目でしょうか」長老「お前の為にも言っているのじゃ」
 どこの馬の骨ともわからないような奴を黙って大事な孫の夫にするほど落ちぶれてはいないでの。いいえ!宗次はそのような奴ではありません!
 波動子の敬語口調を初めて見る四堂。必死に説得をしようとしているが、是非もない。
 長老「かかって来い。小僧」四堂「え?」長老「百八式は使わんでおいてやる。ほうれほうれ」馬鹿にしたように顔を差し出す長老。
 ここで躊躇していては先が見えない。こいつは唯の爺さんではないのだ。四堂は気合を入れると波動弾と同じ要領で拳を繰り出すが、
 拳がインパクトする寸前、絶妙なタイミングで手首を突付かれ跳ね上げられてしまう。そしてそのまま顎を軽く指で突付かれる。
 四堂「あ……れ?」くらくらっと意識を失ってしまうのであった。長老「他愛もないわ。伝えておけ。次は一人で来いとな」
 波動子「はい……」宗次が立ち向かっているのに、何も出来なかった。その無力さを痛感してしまう波動子だった。
32
 目覚める四堂。波動子「宗次が気絶して起き上がるのを見るのは、何度目だろうな」何がおきたのかわからなかったんだが……?
 何をどうされて気絶したのかを説明した後、更に続く。次からは一人で来いという事。「一人か……完全に殺る気か?」違う。
 ワシには何も出来ないと思ったのだろう。もしくは長老なりに何か考える所が出来たのかもしれない。お前の波動弾を見て、と。
 一応、眼中には入れたって事だな。しっかしあの爺さんとんでもない早業だな。あの一瞬であれだけの事をやるだなんて、普通にやっては勝ち目が見えない。
 どうしたらいいだろう。とりあえず、久々に特訓でもするか? そう言うと二人は特訓へ向かった。
33
 百八秒間走、百八回をしながら会話をする二人。「あのさー、テニスの波動弾を流用して殴ろうとしたのには気付いたか?」
 「当たり前だ。緊急だったから仕方ないがテニスの技をそんなことに使うな! と言いたい所だが」
 「あれは元々、ワシが開発したものではない」「どういう事だ?」「百八式家に伝わる、秘拳だったらしい」「なんでテニスに使っているんだ?」
 「さぁ。そもそもワシが教えられたころにはテニスの技になっていたからな」「…もしかしてあの爺さんから教わったのか?」「そうだ」
 「へぇ……」これは、もしかしたら。「爺さんにテニスを教わったのか?」「幼少期の時のみだが、ワシのプレイスタイルはそこから来ているのだろう」
 「ワハハハハハ!」「なんだ! いきなり?」「こりゃ、いけるかもしれねえ!」「何なんだ、一体」「秘密秘密。すぐにわかるさ」
 そういいながらランニングは続く。
34
 波動子「長老から電話が来た。待ち合わせ時間は放課後、場所は学園の屋上だ。ワシも行きたいが、行ったら問答無用で叩き割るらしい」何を!?
 「だから、ワシはいけん。せめて無事で帰ってきてくれ」四堂「オッケーオッケー」なんでそんなに陽気なのだ……。
 そして、屋上。四堂「来たぜ。爺さん」長老「何じゃ来たのか。尻尾を巻いて逃げると思っておったのにのぅ」
 四堂「減らず口をたたけるのも、そこまでだぜ爺さん!」長老「何じゃ? 何か策でも――」四堂「ある!」
 四堂「俺達と勝負だ! ただし、テニスでな! 爺さん、波動子にテニスを教えたんだろう? なら出来る筈だ!」
 長老「…フッ……フハッ……フハハハハハハハハハハ! 面白い! よもやこの期に及んでそんな事を言おうとはな! 受けてやろうじゃないかね!」
 長老「じゃがな、小細工をさせる暇などやらぬ。勝負は今からじゃ。ワシは一足先に波動子の家のコートに行っておるでの! 直ぐに追いかけて来い!」
 長老「分かったな!? 小僧!! それと隠れているつもりか知らぬが波動子!!」波動子「!?」四堂「いたのか!?」長老は屋上から直接飛び降りていった。
35
 屋上と屋内を繋ぐドアが開く。そこには波動子が居た。
 四堂「波動子、聞いてたか」波動子「ああ、聞いていた。宗次には何度も驚かされる。長老をまっとうな勝負の場へと引きずり下ろすとはな」
 四堂「俺一人じゃ無理でも、波動子が居れば可能性はあがるだろ?」波動子「当たって砕けろ。砕けるつもりは無いけどな!」
 部活をボイコットし波動子宅コートへ向かう二人だった。
36
 コートへつくと爺さんがやけにラフな格好で待ち受ける。そして勝負が始まる。シングルvsダブルス。
 長老「ワシは百八式を使わんでおいてやる。ルールは百八ポイント先制マッチじゃ」
 最初はいけるかと思うがすぐに長老の底力に押される。普通に放つ波動弾ですらバックネットをへこませる。
 ボロボロになっていく二人。波動子がオーバークロックする。押し返す。しかしそのあとすぐに反動で百八式が使えなくなる。
 波動子あわてる。必死にラリーをつなごうとする二人。長老は体力が厳しいのか息切れをはじめる。このままならいけるか!?
 しかし長老最初の公約を無視し百八式を使う。一気にやられ始める。この時点で51-34。
 これ以上やると波動子が危ない、それでも続けようと言う波動子。主人公も気力が尽きかける。
 @@@@@あきらめない、あきらめるの選択肢が延々と続く。最後まであきらめなかった場合とあきらめた場合でエンディングが分岐する@@@@@

!諦めるを選んだ場合のルート!
37A
 主人公は心身ともに限界だった為倒れてしまう。ひざをつく波動子。
 しかし長老は容赦せずに倒れている主人公に百八式波動弾サーブを打ち込もうとする。
 波動子(このままでは、本当に、死んでしまう。ワシが、強情を張ったから。ワシが、一族に残る事に拘ったから)
 (ここまで、ワシの事に対して本気になってくれる奴がいるのに、まだ一族である事に拘るのか? それならワシは、宗次を選ぶ――)
 波動子は試合の棄権を叫ぶ。長老は無視して動作を続ける。波動子は全神経を振り絞って百八式を出し、主人公に体当たりをする。間一髪サーブを避ける。
 百八式は長老に告げる。今までありがとうございました。ワシはもう、百八式一族を辞めて、四堂宗次と共に生きていきます、と。
 長老は、そうか、と納得をする。そこで波動子も倒れる。
38A
 波動子は目覚めると布団の中にいる事に気づく。え? 同じ布団の中に宗次も居たのだ。
 宗次を起こすと、事情を説明する。しかし宗次は一族を辞めてしまったことに対してあやまろうとする
 波動子「いや、一族である事より、ワシは宗次と一緒にいたいのだ。宗次、責任は重いぞ――?」
 あわてる宗次。しかしすぐに取り直し「ああ、これから一生かけてその責任の重さって奴を、実感させてもらうよ」と言うのだった。
 その後の説明で、何故、波動子が長女だったのか、他にももっと年をとった娘がいるだろう、と言う話になったが
 実は百八式一族は案外、一族を辞めて嫁ぐことも多いそうだった。「これからは、四堂 波動子だぞ?」
 波動子の場合は百八式を磨くことが生きがいになっていたせいで拘っていたが、その事より大切なものを見つけたから良い、とのこと。
 お互い、軽く告白しあうと、又眠るのだった。(百八人、お家騒動終わり。エピローグ1へ続く)

!諦めなかった場合のルート!
37B
 あきらめない、あきらめない、あきらめない、あきらめない、あきらめない、あきらめない――!
 あきらめない宗次に対して、ついに長老が百八式を出す宣言。
 長老
「諦めない心
 揺るぎない精神力の
 持ち主である事は重々承知した
 ならば先に言うておこう…
 次のワシのサーブは
 百八式波動弾サーブじゃ」
 百八式サーブ、その威力は認識不可能。すさまじいことだけは理解できる。という物。
 波動子はサーブをよけろ、と言うが四堂「いやだ!」と叫ぶ。そうして百八式波動弾サーブが放たれたのだった。
 ボールが打ち放たれた瞬間、四堂はラケットを振る――しかし。
 轟音が鳴り、ラケットは砕け散った。そして四堂の右腕は完全に折れてしまった。
 ラケット一本でどうする、と。しかしそれでもあきらめない。二人「当たって砕けた! フハハハハハ!」
 二人の心が通じ合った瞬間だった。ラケットが一本なら二人で持てばいい。一人で打ち返せないのなら、二人で打ち返せば良い。
 長老はその勢いに圧倒されそうになるが、再度百八式波動弾サーブを放つ、しかし!
 波動子&宗次「いくぞ! ああ!」「百八式の百八式乗!!――――ラブラブ!!――――波動弾!!!!」
 どっかーんと跳ね返して長老をノックアウト! 二人「テンカウントの内に目覚めないのなら、我らの勝利だ!」
 長老は一度起き上がりそうになるが、結局倒れてしまう。二人の勝利が決定した。
38B
 喜び合う二人。数分後長老が起き上がる。長老「完治――――! とまではいかぬが起き上がれはするかのう」
 長老「おいちょっと宗次、話があるからきやがりなさい。一人で」長老が、四堂の名前を呼ぶ。認めた証だ。
 四堂は長老について行く。波動子は少し心配したが、長老が一度言い出した約束を覆すとは思えないのですぐに安心した。
 長老「んで、どうやって一族に入るかは考えておるのか?」
 長老がなんとかできるんじゃないか? さすがに長老でも誰かをやめさせて要れることは不可能らしい。
 長老「安心せい。約束は守るぞ宗次。その前に少し長話を聞いてくれ」
 長老は話し出す。五十年前、自分は百八式一族に生まれた者でなかった事、
 そして宗次と同じように百八式一族に恋をして、テニスをけしかけて、百八式一族の長老になったことを。
 長老「つうわけで、ワシは長老をやめるから今度は宗次がやるんじゃぞ。フハハハハ!」まじでかよ!
39B
 波動子「やはり長老になることになったか、まぎらわしいな。今までどおり呼び捨てにさせてもらうぞ宗次」頼むからそうしてくれ。
 次の会合までに挨拶を考えておけとのこと。あー大変だ。なんかとんでもない責任を背負ってしまった、と宗次。
40B
 次の会合がやってきた。長老交代式がはじまり、宗次の挨拶。そこへ波動子が乱入。
 波動子は「何はともあれ! わしの夫! 百八式荘子じゃ! 皆好きに飲み食い祝ってくれ!」ワーと盛り上がる会場。
 にゃーと白い子猫がよってくる。百八式一族A「あ、その子猫、この前の会合のとき報告した子ですよ、長老」
 子猫は、何かを悟ったような目で宗次をみると、もう一度にゃーと鳴き、去っていく。
 百八式一族A「あ、すみません長老。ほらまちなさいシロッビョウ!」
 波動子「主役がこないでどうする! ほら来い!」わかったよ、待ってくれ――。波動子との苦難は続きそうだ。それが楽しみでもあるのだけど。
 (百八人、お家騒動終わり。エピローグBへ続く)




エンディング後、エピローグA 波動子が百八式一族から抜けた場合。(諦めるを選んだ場合)
 新入学生テニス部員「面白いことって何があるんですか?」テニス部員「いいから待ってろって」
 新入学生テニス部員「えーおしえてくれてもいいじゃないすか」テニス部員「わかったよ。あのな――」
 男子テニス部長と、女子テニス部長が百八ポイント先制マッチをやるんだとよ。え、百八――?
 波動子「これが最後の――特訓だ」主人公「ああ、長かったな」本当に長かった。ワハハこやつめひとしきり叫びあう二人。
 それじゃそろそろ―― 二人「「始めようか――!」」

エンディング後、エピローグB 四堂が百八式一族になり、波動子は百八式一族のままだった場合。(諦めなかった場合)
 ――それから十年後。長老の代わりとして百八式一族になった四堂は長老として威厳をつけるための台詞を考えていた。
 百八式宗次「俺の子供は、百八人まで居るぞ。と言いたい訳だが」波動子「無茶を言うな!」
 百八式宗次「じゃあ、俺の家族は百八万人居るぞ。これはどうだ?」波動子「……多分無理だ」
 百八式宗次「お前少し考えただろ!」波動子「冗談は良い。そろそろ出るぞ。今日は定例会合だ」
 わかっている。そういって家を出る。会合は隣の寺なのですぐにつくのだが。
 百八式一族現長女「もしかしたら、私に出来た恋人は、百八式一族に入る事になるかもしれません。あっ言っちゃった。てへ――」
 ―――――――――――――――――――――――― 
 百八式宗次「こう来たか――――!」 
 そう、これが百八式一族、百八万人計画の狼煙だったのだ――――!!

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2007年10月16日 18:00