「俺の名前は武田 裕和(たけだ ひろかず)。
どこにでもいる、ただの人間。
始まりでもなければ、終わりでもない、
そんな流れ、歴史と言う名の大河の一滴。
…ただのお手伝いだ。
よろしく頼む。
…いや、頼みます、隊長。」

武田は、音も立てない歩き方で緩やかに
呼吸をしながら料理を運んでいる。
変な奴だ。

「俺は時代遅れの武人だ。
軍人でもないし、何が出来るわけでもなか。
俺と仲良くしても、何の得もなかぞ。」

武田は、音も立てない歩き方で緩やかに
呼吸しながら料理を運んでいる。
ひどく苦労しているようだ。
何だありゃ。

武田は、音も立てない歩き方で緩やかに
呼吸しながら料理を運んでいる。
よく見ると上体は揺れておらず、天地の間に
柱が立つように安定している。
目があうと、武田はにこりと笑って見せた。

「生きる事、目を開ける事、夢を見る事、
歩く事、食べる事、みんな訓練だ。
あるいは訓練になりうる。
全ての物事は大道にて一つに繋がる。
大業を、それを本当になそうとするのなら、
それは全然関係ないように見える事でも
意味がある。
世界を平和にしたい、人を幸せにしたい。
料理を作る事でそれをやる事は、
出来ない訳じゃなか。
歩く事だけで人は人を感動させる事も
喜ばせる事も出来る。
全ては努力と工夫。
それだけぞ。」

「工夫だけして、努力しなければ、アイデア倒れだ。
努力だけして、工夫しなければ、猪突猛進だ。
隊長、あなたは努力しているか。
しているのなら、工夫はしているか?
両方しようと心がけていれば、
きっと役に立つはずだ。」

「まずは落ち着く事だ。
自分が何を出来るのか、何をしなければ
ならないのか。
考えた後で行動しても遅くはない。
やらなければならない事だけをした方が、
何をしていいのかわからないけれど急ぐよりも早い。
体調がなんばしようとしとるかわからんが、
きっと役に立つと思う。」

「俺をプロと言う人間もいる。
戦のプロ、武人とも戦(いくさ)人とも。
だが、それは錯覚だ。
俺はただの人。
ただ訓練を他人より積んでいる。
ただそれだけの存在だ。
誰でもなれるが、誰も本気でなろうとはせん。
そんな存在だな。
隊長も恐らくは、そぎゃん存在だろう。
そげな気がする。」

「田島は天才ぞ。
何の訓練も、努力も必要ない。
人間と言う範疇も、
第6世代というくくりでも、ない。
あれは人の形をした何か別のものだ。
目から光線を出し、
水中でも3時間以上活動できる。
100mの高さから落ちても傷一つつかない。
力は強く、ジャンプ力は30mを超えている。
あれには本当は、ウォードレスも必要ない。
勝てるかと言われれば、応と答えるが、
こちらも無事じゃすまないだろう。
大昔から、田島の男には、ああいうのが
生まれて来る。
あいつらは遺伝子改良も複製も受けとらん。
昔ながらの方法で増えている。
なんであんな存在が生まれてきたのだろうか。
俺はよく、そう思うよ。」(NPC田島がエントリーしている)

「お前は天才だ。
なんの訓練も、努力も必要なか。
人間と言う範疇も、
第6世代というくくりでも、ない。
お前は人の形をした何か別のものぞ。
目から光線を出し、
水中でも3時間以上活動できる。
100mの高さから落ちても傷一つつかん。
力は強く、ジャンプ力は30mを超えている。
お前に本当は、ウォードレスも必要なか。
勝てるかと言われれば、応と答えるが、
こちらも無事じゃすまないだろう。
大昔から、お前の家には、お前のような男が
生まれて来る。
遺伝子改良も複製も受けず。
昔ながらの方法で増えているのに、
なんでお前が生まれてきたのだろうなあ。
俺はよく、そう思うよ。
俺は、そこにいる事に何か意味があると思う。
お前が生まれて来て、ここにいる意味が、
人並外れた力を持って生まれてきた意味が、
きっとあると思う。
それが何かまではわからないが。」(PC田島)

「強くなりたい。
何の目的があるわけではないが、
武装しか芸がない、それゆえに。
俺には才能がなか。
だげん思うとたい。
ただ努力だけで、何かば本当になせるか
どうかを。」

「人からすごいと言われるようになったからと
言って訓練をやめていいわけではなか。
道も、流れも、止まればそれで終わる。
どんなものも通過点ぞ。
多分、俺が死ぬ事も何かの通過点なのだろう。」
(悲しい事だな)
「いや、自分が死んでもみんなが生きていると
思うのは、そんなに悪か事じゃないと思うが。」
(哲学だな)
「いや、単なる戦いの事だよ。
勝つのは簡単だが勝ち続ける事は難しい。
それだけの話だ。」

「この頃は、どう腕を振れば速くなるか、
だけを考えている。
筋力を鍛えるには限界がある。
それでも速くするには、どうしたらいいかと。
そしてわかった。
機先を制する。
予測して先に動けば速い。
スタートが速ければその分有利だ。
その上で正確な方が、無駄が無い。
正確に動くためには、冷静でなければな。
冷静に未来を予測しながら用心深い、
そんな人間が腕を速く振るう。
ただそれだけの話だ…。
そんな人間になったら、世界はどんな風に
見えるだろうなあ。」

「昔、世界は醜かった。
俺は不満で一杯だった。
一人で生きて、己が修行して、そしてやっと
世界が醜いのではなく俺が醜いのだとわかった。
見てみたいものだ。
誰よりも腕を速く振るう人から見て、
世界がどう映るかを。
その時にも世界は美しく見えるのだろうか。
それとも世界は愛せるほど美しく見えるのか。」

「偉そうと偉いは違う。
強いと強そうが違うように。
本当に偉いと言う事は、偉そうに振舞う事と
関係なか。
偉い奴は何をしても偉い。
頭を下げているだけでも、にこにこ笑ってる
だけでもな。
偉い奴になれ、隊長。
俺は強い奴になる。
そしてお互いに、どんな風に世界が見えたかを
教えあおう。
俺は知りたい。
世界がどう見えるかを。
きっとそれは、愉快な事だ。」

何か、音が聞こえる。
風が鳴る音が。
(風の音を確かめる)
武田が一人、木刀を振るっている。
それは雷が落ちるようなすごい速度で、
まるで舞うように見える。
それは何故だか森閑にあふれ、武田が神々とも
天地とも対話しているように見えた。
ただの人間が、どれだけ剣を振れば、こんな風に
見えるのだろう。
あなたはそう思った。
そっと、その場を離れました。
(そうか、武田だな)
あなたはふと笑うと、家に帰る事にした。

「…俺がどれくらい強いか?
さてなあ、そんな事は気にした事もないな。
どうでもいいもんだよ、そんな事は。
どうせ俺は、どれだけ強くても
それを使う事はない。
俺が磨いてきたものは、誰かを傷つけるための
ものでも、何かを奪うものでもない。」

武田が微笑むと、今、殺されたと思った。
「…いい勘だ。さすが、さすが。
なかなかその域、その間合いまで到達する
ものはおらん。
…人はすごいなあ。
ある方面で行く所まで行けば、
何の訓練もしていなくても、
歴戦の勇者のような動きが出来るのだなあ。
なあ、思わんか。
俺たちが道を究めたら、ひょっとしたら、
世界を良くする事が出来るかも知れんぞ。
誰かを幸せにする事が出来るかも知れん。」

「武人と云えど、訓練に訓練を重ねても、
この時代では趣味と同じだ。
火力の高い砲や銃に、俺が勝つわけでんなか。
いや、それが恨めしいわけでも何でんなか。
ただそうだというだけぞ。
この世に無駄な事など、本当は何もないのだ。
全ては大道にて、一つに繋がる兄弟だ。
俺や、お前も…たぶん繋がっている。」

「世界は果てなく閉ざされた闇だ。
俺もそう思っていた事がある。
だがそれは、嘘だよ。
たかが暗いだけで諦めるのは間違っている。
……。」

「今が夜ならば、耳を澄ませ。
単に目が見えないだけだ。
大した事ではない。
悪い事が続いた程度と変わらない。
お前はお前。
どんな事があってもそうだ。
だからと言って、お前はお前。
それ以上でも、それ以外でもない。
だったら……、出来る事をやれ。
出来ない事をやる必要はなか。
まずは息を整えるとか、そんな事から
始めても構わん。
本当に強いって言うのは状況によらない。
どんな時でも出来る事をやった奴が強いのだ。」

「いくつもの夜を越えてきた顔を
しているじゃなかや。
……たくさんの闇を越えたような瞳をしている。
天の星を集めて瞳にしたようだ。
俺にはわかるよ。
お前は悲しみを終わらせるためにやって来た。」

「…兄弟よ、覚えているか。
この世に無駄な事など、本当は何もなかぞ。
たとえ俺が言った事でも。
全ては大道にて一つに繋がる兄弟。
お前の行き方もまた、大きな道に繋がるはずだ。
思い出せ、打ち込んだ事を…。」

「そうだ、…それでいい。
ただ一心不乱に振りぬけば、
あるいは神速となるやもしれん。
お前は天を取れるよ。
俺はそう思っている。」

「…この島も、放棄まで近いな。
…いや、悲しくはない。
なぜだろうな。
ずっとここで育ったのに。
悲しくはない……。」

「なあ、俺達が島を離れる日の事だけど、
少しだけ、時間をくれんか。
少しでいい。
たのむ……。」

あの日か。
若かったなあ。 

       父島守備隊、生き残りの証言

…島を離れるその日。
「…待っててくれたか。」
(約束だからな/うん)
「…かたじけない。」
手には木刀を持っている。
「修行に終わりはないけれど、
今日は一つの節目だ。
だから…、
だから、見て欲しくてな。
俺の、これまでって奴を。」
武田は微笑むと、
次の瞬間に木刀で、宙を切り裂いた。
「どうだった?」
(すごいよ)
「…そうか。
その一言を言わせるために、
今まで生きていた気もするよ。
…この技を、島に見せてやれてよかった。」
そうして武田は笑い、走り出した。
「…行こう、明日に。」
(まだまだだ)
「…そうか。
なかなか、会心の出来だったんだがなあ。」
そうして武田は笑い、走り出した。
「…まあ、次の機会に期待するか。
…行こう、明日に。」


武田裕和 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2010年02月21日 09:04