「ども!
野口直也(のぐち みちや)といいます。よろしく」


「知っているかも知れないけど、この部隊を含めた第108警護師団に石油を使う車両はほとんどないんだ。
学兵が活躍したという熊本戦でも学兵の損耗率は50%を超えたからね。
二人に一人は死ぬか、戦傷で戦闘力喪失だ。
損耗率の高い学兵を前線に回さないと軍部が判断したのはまあ、常識だろうね。
あるいは今更自分達の罪深さに気付いたのかもしれないけど。
そして前線に回さないと決めた部隊に血よりも貴重な石油を使う必要はどこにもない。
だから、車両はないんだよ。
あるのはウォードレスと同じ燃料で動く、人型戦車くらいのものさ。
問題は、こちらが戦う気がなくても、幻獣はそうでなかったという事だね。
…まあ、相手の弱点を突くのは常識的な軍隊として当然過ぎるところがあるけれども」


「なんでこの青森が戦場になったか、
わかるかい?
日本の策源地である北海道、その守りを固める
第7師団が強いからさ。
幻獣は馬鹿からはほど遠い。
北海道を直接攻撃するより本土との連絡線を
邪魔して食糧や人造石油の輸送コストを高くした
ほうが嫌がらせになると考えたのさ。」


「常識から言えばこの戦争は負けるよ。
敵の兵力数の方が多くて、こっちは分断されて
宿営している学校単位で戦っているのが現状だ。
楽観する材料はどこにもない、今のところは。
…問題は上が常識を外れて物を考えられるか
どうかだね。
あるいは楽観する材料が出来た事を
どれだけ重視するかだ。
え、
俺ならそうだね、冬季攻勢するね。
向こうよりもこっちの方が
冬季装備は充実している。
策源地が近い分、補給の心配も少ない。
第7師団の重装備は使えないだろうけど、
どうせ、北海道の守りは必要だ。
最初からないと思えばいいからね…。」


「人間には二種類がある。
知らない間に集団犯罪に加担する人間と確信的な犯罪者だ。
どっちも救いがないね。
俺はもちろん、確信犯だね。
下っ端だけど、それに加担している事を知っているから」


「俺の話は戦争の事ばっかりで面白くないよね」
(そんなことはないよ)
「ありがとう。
そういってくれると助かる。
俺は俺が思っているよりもずいぶん面白くない性格みたいなんだ。
いけないと思っているんだけど…。
戦争は、俺たちにとっては他人事じゃないからね。
どうしても考えてしまうんだよ」
(たしかに…)
「すまない。
他に話題がないかいつも考えてはいるんだけど。
なかなか思いつかない…。俺はきっと、臆病なんだろう。
皆のように眼前の死を無視して笑ったり、話したりする事は出来そうもない…」


「今のところ、日本は健闘している。
健闘出来ている間に和平交渉をするべきだと思うね。
幻獣には口が無いというけれど、でも、意思疎通の手段は口だけじゃないはずだ。
ま、そんなことを考えている軍閥はないだろうけどね。
…ああ、いやごめん。
退屈させたね」


「何で軍人になったかって?
ならずに済んだらそうしていたよ。
でも、俺の地元は保守的でね。
俺だけ学兵にならないというのは、ひどく評判が悪くなりそうだった。
そりゃそうだ。
自分の息子は戦死しているのに隣の息子はぴんぴんしているんじゃ、ね。
まあ、円満な近所づきあいのために職業殺害者になったわけさ。
ひどいと言えば、これほどひどい話もないだろうね」


「長距離陸上競技は戦争に似ている。
身体能力だけで押し切る短距離とは、違う。
駆け引きや作戦がよりものを言う。
実際のところ、今の軍隊は超人も英雄も必要としていないと思うよ。
それがいいかどうかは、わからないけれど。」


「もし軍隊で偉くなったら靴を直したいね。
旧軍の靴よりはましだけど、今の靴も、やっぱりひどい。
銃の改良よりも靴の改良をした方がよっぽど役に立つよ。
特に我が108警護師団は車両輸送を考えてないんだから……。
いや、ただの靴なんていうけどね…。
靴次第で疲労や不整地での事故、移動速度はずいぶん変えられると思うよ。
この国は靴を脱ぐ習慣があるせいで、靴へのこだわりが薄い。
それに、銃を撃つのは最後の最後だ。
でも靴は戦闘の最初から最後まで使うんだよ」


「熊本要塞で奮戦した善行(ぜんぎょう)という指揮官がいるんだけど、彼は大陸で歩兵部隊の指揮官をしていた時、乗り物を使わなかった。
何でだと思う?
移動性が高いからさ。
ガレキがつんであっても山道でも、二本の足ならどうにか越えられる。
戦車じゃこうはいかない。
同じ事なら輸送ヘリを使ったヘリポーン作戦でも言えるだろうけど、二本の足で歩く歩兵は、同時に面を制圧出来る事を意味しているからね。
ヘリポーンでも航空機でも制圧出来るのは点だ。
それ以外の全部は歩兵の領土だよ。
歩兵は歩兵で、陸軍の主力となるだけの意味があるのさ。
それは人の居るところならどこにでも行けると言う事だ」


「…余計な事かも知れないが、君に合う靴を選んでみた。
受け取ってくれるとありがたい」
(ありがとう)
軍用靴を手に入れた。
新しい靴は素晴らしい履き心地だ。
歩くのが楽しくなりそうだ。
「たぶん、似合っていると思うよ。
…じゃあ」
(いや、いらない)
「そ、そうか…」
野口はそのまま、何も言えなくなって離れていった…。


「…君は、靴下が好きか?
いや、なんでもない。
…忘れてくれ。
君には残酷すぎる話だ」


「このマークは、白い靴下旅団…。
友よ…奴らか。
奴らがこんなところまで来ていると言うのか」


「白い靴下旅団。
武力闘争すらも辞さない原理主義的靴下趣味団体。
奴らのせいで大勢の仲間が自由を捨てた。
どんな靴下にも美しさはあるというのに…。
それは自然への許しがたい冒涜だ。
…いや、だが俺達は例え二人になっても戦うぞ。
ソックスバビロン!」
(だれそれ?/自分を指さす)
「決まっているだろう!
Y・O・U!!
キミはソックスバビロン。
そして俺はソックスアトランティス。
なんということだ、俺の事すらも忘れてしまったということか。
ああ、何という運命の皮肉、なんという残酷な戦い。
おのれ!
許さんぞ白い靴下旅団!!」


「…気ヲ付ケェ!
なんだお前の態度は!
この件に関しては私が指揮官だ!
ビバクツシタ、ビバクツシタ!
お前もやれ。
やるんだ!」
(は、はい/わかったやるから迫らないで)
「ビバクツシタ、ビバクツシタ!
そう、それでいい。
これで君も立派な我々の仲間だ。
靴下一杯の愛情を込めて心の底から歓迎する。
これからの戦い、厳しくなるぞ」


「キミが探しているものは、俺達が探しているものだ。
その名は伝説の1年靴下。
今までだまっていてすまない…。
だがそれでも私は…お前のことを。
いや、今は言うまい。
かわりに誇らしく言おう!!
ビバクツシタ、ビバクツシタ!
さあお前もやれ。
やるんだ!」
(は、はい/わかったやるから迫らないで)
「ビバクツシタ、ビバクツシタ!
ビバビバビバ、ビバクツシタ、ノンノン。
そう、それでいい。
ますます敵の攻撃は激しくなるだろうが、俺は負けん。
その相棒であるキミも頑張れ」


ノエルがやってきた。
ホウキをもっている。
菅原「こら、男子!
  サボるな!
  野口、お前も掃除しろー!」
野口「ダマレ!
  魂までも白い靴下旅団に奪われたな!」
菅原「はぁ?
  アンタ何言ってんのよ」
野口対訳(その通り、私が白い靴下旅団の大幹部、ワンポイントのノエル!)
野口「なんということだ…。
  なんという呪われた運命、なんとおぞましき使命!
  クラスメイトが我々の敵とは」
菅原「バカなこと言ってないで掃除すりゃいいのよ、さっさと。
  もー、手をかけさせないでよね」
野口対訳(さっさと死んでしまえばいいのよ早く死になさい。
  そして白い靴下に愛を捧げなさい)
野口「なんという残酷な発言、なんという冷酷無慈悲な宣言!
  その手で何人の仲間の命を奪った!」
菅原「…あのなぁ!
  しまいにゃぶったたくからね!」
野口対訳(今まで食べた米粒の数を覚えているかぁ?
  アアン!?)
野口「醜悪なる瘴気…。
  魂まで白い靴下に奪われたな!
  ノエル!!」
菅原「お前なんかに呼び捨てされたくないわぁ!」
ホームラン。
野口とあなたは、ホウキで叩かれて星になった。
菅原「バカタレ…」

野口「おい…生きてるか」
(ああ、なんとかな)
野口「良くわかっているじゃないか…。
がくっ」
しょうもない事で一日が終わりました。
(なんで私が…)
野口「運命だ。
運命なんだよ、ソックスバビロン…。
がくっ…」
しょうもない事で一日が終わりました。


「ソックスバビロン…。
いや、キミだよ、キミ。
という事で、最初の仕事だ」
野口は、テープレコーダーを回した。
野口っぽい声「おはよう野口君。
  今回の目的は小島兄弟の靴下を手に入れる事だ。
  なお、君、もしくは君の仲間が囚われ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないのでそのつもりで。
  健闘を祈る」
(お前の声じゃねえか!/……(視線を外す))
「そのリアクションは俺との友情を終わらせる事になるぞ…。
君は靴下を集めればいいんだ。
そう…今回の目的は小島兄弟だ。
頼んだよ」


野口は、あなたを校舎裏へ連れ出しました。
「良くやってくれたバビロン君。
これでまた我々は、辛くも白い靴下旅団の魔の手から
靴下を守る事が出来た。
ありがとう、本当にありがとう。
で……。
これ、どんな臭いだったの?
効いた?
…効いた?」
(殴る)
ボカッ。
「なんで…、がくっ…」
野口は救急車で運ばれました。
あなたは取調べを受け、しょうもない事で一日が終わりました。
(……まあ)
「そうか。
効いたのか…、いい話だ…」


「臭い靴下をかいでいると、うんこしたくなるよね。
いや、この事はかなり重要な事だよ。
我々の活動は医療行為として認められる日が来るかもしれない。
輝かしい未来だ。
戦争なんかやってる場合じゃない」


ノエルがやってきた。
ホウキをもっている。
菅原「今日こそは掃除してもらうからね。
  アンタがやらない代わりに私がやってんだから!
  こら。わかってるのか!」
(NPCに山口がいる場合)
菅原「今日こそは掃除してもらうからね。
  アンタがやらない代わりに葉月がやってんだから!
  こら。わかってるのか!」

野口「ふむ。
  ではこれに名前をつけねばなるまい。
  そう…北欧で言う暁の星という名で、ノエルというのはどうかな」
菅原「それはぁ、私の本名だ!」
バシィ!
菅原「…だから男の子は嫌いなのよ。
  みんなみんな、だいっ嫌い!」
ノエルは走っていった…。
野口「…何なんだ一体」
(自分の名前、嫌いみたい…/泣かせるなよ)
野口「…しまった。
  そんな事気にしてたなんて…。
  いや、いや…いい名前だと思ってたんだが。
  ……。
  謝りに行こう。
  付いてきてくれ。
  …付いてくるよな?」
そして…。
野口「すまん。
  名前を呼んだ事を謝るつもりはないが、ふざけすぎた」
菅原「…なによ。
  その謝ってない謝り方はぁ。
  こっち見るな。
  バカ、泣いてるんだから!」
野口「僕はノエルと言う名前をいい名前だと思っている。
  実際のところ、かなり気に入ってもいる」
菅原「……」
野口「キミの名前を悪く言う意味で使っているわけじゃない。
  気に入ってるから使ってる。
  だから、ごめん」
ノエルは、走っていった。
野口「…許してくれるといいんだが」
(潔い謝り方だね)
野口「…それは嫌味、なんだろうね。
いや、実際俺が悪いんだが…」
野口は、肩を落として歩いていった。
(許してくれるよ)
野口「…許してくれなくてもいいが、自分の名前を嫌って欲しくはないなぁ。
自分を否定する必要なんて、どこにもないだろう」
野口は、肩を落として歩いていった。


野口「ノエ…菅原…探したよ」
菅原「…でもいいよ」
野口「え?」
菅原「乃恵留でもいいって言ってるんだ!
  バカぁ!
  そこで聞こえないフリするのが大嫌い!」
ノエルは、走っていった。
野口「……。
  …聞こえなかったよなあ…」


「色々あって懲りたよ。
これからは、黒い考えは想像だけにとどめる事にする。
……黒い考えを現実なんかにしてしまっちゃ駄目だよなあ。
本当に駄目だな。
思う事と実行する事は違う。
そんな常識的な事を僕とした事が忘れてた。
それで人を傷つけてしまった……。
…だから、常識人は常識人として生きていくよ。
それが多分、一番の幸せだと悟ったんだ」




野口ED
もし銃を置く事があったのなら、どうしても
やりたい事があってね。
もちろん話を聞いた瞬間にそれをやりました。
(108警護師団に
   配属されていた学生兵の手記より)

その日…。
「……以上が連絡です。
 これで、僕たちの戦争は、ひとまずは終わる事
 になりますね。
 それと、個人的な用件ですが、少し時間、
 ありますか。
 ありがとう。はい。これ。
 ……見て分かりませんか。
 ストップウォッチですよ。ええ。
 これで測ってもらいたくてね。
 僕が陸上の選手だったって、
 言ってませんでしたっけ。
 今日から練習再開ですよ。
 いつ試合があるのか分からないけれど。
 それで測って欲しいんです。
 ……いや、……あなたに見てもらいたいんですよ。
 僕が走るところを。
 遅いか速いかわからないけれど。
 たぶん本当の、僕を見てほしくて。
 ……よし。じゃあ、着替えてくるんで、
 少し待っていてください。」




野口直也 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

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最終更新:2014年02月16日 17:52