【名前】ジーク・ベックマン
【性別】男性
【年齢】38歳
【性格】外面は芝居がかった扇動屋で、虚勢と誇張を愛する小物。しかし身内や部下には徹底して義理堅く、裏切りは決してしない。臆病で保身的でありながら、自分を誤魔化しながらも、「誰かの恐怖の盾」になることだけは忘れなかった。
【容姿】背は低めでずんぐり体型。くたびれた高級スーツを着崩し、左頬には銃創の傷。常に葉巻をくわえ、革の手袋を欠かさない。見た目だけは「ギャングの顔」を演じきっているが、疲れきった目が常に泳いでいる。
【神禍】
『虚勢の軍勢(パレード・フォース)』
思想:「恐怖は力になる、見せかけでもな」
現実に干渉可能な幻影兵士(最大5体程度)を常時召喚できる。
兵士はそれぞれ銃火器を持ち、命令に忠実。
外見も質感も本物に見えるが、実体は“ジークが持つ虚勢・恐怖・承認欲求”そのもの。
心が弱るほど兵士の数や精度が乱れ、逆に自信に満ちるほど幻影の実効性は上がる。ただし、幻影が傷つけるたびにジーク本人の精神も摩耗し、“自分が本物か幻か”という自我の危うさが加速する。
【詳細設定】
ジーク・ベックマンはかつて、国家に仕える警官だった。
腐敗しながらも秩序の名を借りた暴力の世界で、彼は“市民の敵を取り締まる”という虚構に乗っかって生きていた。
だが全球凍結が始まり、国家も秩序も崩壊すると、彼が信じていた正義は何の支えにもならなかった。
仲間の裏切りと略奪。銃声の中で市民を守れず、上層部は逃げ、家族は寒さに死んだ。
虚無の中で彼が拾ったのは、かつて敵視していたギャングの残党だった。
彼は過去を捨て、警察官であった事実すら偽り、「ジーク・ベックマン」というギャングのボスとして再出発した。
最初はハッタリと声の大きさだけで人を従わせた。
自信などなかった。
だが、部下が死ねば弔いを欠かさず、食料があればまず配り、身代わりにも立った。
そうやって、「小物が義理を通す」姿を周囲は徐々に信じていった。
神禍で召喚した兵士へ、ジークは時に話しかける。
かつての同僚、死んだ部下、あるいは家族の声が、幻影の中に聞こえると錯覚している。
彼は気づいていないふりをしているが、もう自分が「善だった」のか「悪だった」のか、わからなくなっている。
そんな男が部下の前で、今も派手な身振りで演説をぶち上げる。
だがそれは、誰よりも孤独を恐れる男の悲鳴にも聞こえる。
ジークは今、ある凍結都市の地下に拠点を構え、十数人の部下を率いて生活している。
かつての軍施設跡を占拠し、武器と食料をかき集めながら、周囲の弱小グループに“組織”としての保護を提供することで影響圏を広げている。
名声を得ることに執着しており、ラジオや落書きで「ジーク・ベックマンここにあり!」と喧伝するなど、滑稽ともいえる広報活動をしている。
一方で、部下の死には過敏に反応し、敵に対しては激しい報復を誓う。
彼にとっての「名声」は、世界に自分が存在した証を残すための手段であり、それが失われることは“死”より恐ろしい。ギャングのボスを演じることでしか自我を保てないジークは、今日も笑い、吠え、虚勢の幻影たちとともに氷の街を生き延びている。
最終更新:2025年06月02日 15:09