【名前】アーノルド・トロイメライ
【性別】男
【年齢】56
【性格】温厚で思慮深く、人との距離を詰めることに慎重。対話を重視し、他人の感情や記憶に無遠慮に踏み込むことを避ける。表面上は穏やかだが、誰よりも人間の「深淵」を知っている。決して激情に走らないが、その内には静かな怒りと悲しみが宿る。
【容姿】白髪混じりのウェーブがかった髪を後ろで束ねている。細身の長身で、くたびれたコートを常に羽織っている。どこか古い西洋の探偵小説に出てくるような佇まい。片目は昔の負傷で見えず、黒い眼帯で覆っている。声は低く、物静か。

【神禍】
『無言の傍観者(ノート・ウィットネス)』
思想:真実は、他人の意志をもって語られるべきで、自分が暴くものではない。

相手の深層記憶に潜む最も強烈なトラウマを、幻覚として強制的に再体験させる能力。
使用時、対象は意識の支配を一時的に失い、記憶に飲まれる。
肉体的ダメージは伴わないが、精神の崩壊や錯乱を引き起こす危険性が高い。
トラウマの映像は、他者にもぼんやりと投影されることがある。
アーノルド自身はこの力を「暴力」と見なしており、極力使用を拒む。

【詳細設定】
アーノルド・トロイメライは、かつて戦火の絶えない地域で臨床心理士として活動していた。
人々の心の痛みに向き合い、治癒を導くことこそ自らの使命だと信じていた。
だが、全球凍結が起こったあの日、彼はカウンセラーとして守っていた患者たちを救えなかった――少女の首に縄をかけた母親、雪の中で死を待つ兵士、泣きながら銃を握る少年。何人もの「壊れていく心」を目の前で看取った。

世界が崩壊した後、彼は瓦礫と死体の中を彷徨い、やがて「真実」を求める人々に頼られ、探偵としての生を始める。
「カウンセリングでは救えなかった命を、せめて事実の解明で報いるために」。
神禍の力を使えば「真実」にたどり着くことは容易い。
だが彼はそれを拒み続ける。自分の力は、真実を語る“口”ではなく、黙らせる“刃”だからだと。
アーノルドの眼帯は、誤って神禍を使ってしまい、ある女性にトラウマを想起させ、錯乱させた末に傷を負わされたものである。
彼は今もその出来事を忘れていない。人の記憶に土足で踏み込む者は、どれほど正義を語ろうと、「人の尊厳を奪う加害者」だ――彼は、誰よりもその事実を知っている。

終末の世界で、アーノルドは「口を閉ざした探偵」として知られている。
孤独を好み、小さな仮設居住地を拠点に、時折依頼を受けては真実を探しに旅に出る。
だが、依頼人に事実を突きつけることはなく、語らせるだけで立ち去るのが常。
彼が真相を握っていると誰もが知っていても、彼の口から語られることはない。
世界が終わった後も、人の尊厳を守り続けることを意識している。

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最終更新:2025年06月02日 15:12