【名前】町中 桃香(まちなか ももか)
【性別】女性
【年齢】41
【性格】陽気で好奇心旺盛。危険の中にも楽しさを見出す冒険者気質。だがその内側には、過去を喪った痛みと、「もう一度人間らしさを取り戻したい」という強烈な執着がある。
【容姿】肩までの髪を後ろで一つに束ね、廃材を再利用した防寒コートと登山ゴーグルを常に着用。背負うリュックには様々なガジェットや道具が詰め込まれており、腰には電源が入らない古いスマホをタリスマンのように提げている。
【神禍】
『追想の零度(アーカイブ・グレイス)』
思想:過去には、今も価値がある。
触れた物体に宿る「過去の断片」を凍結された映像・音声のように再現する能力。建物や遺物、死体などから、その場所や対象に最後に刻まれた“記憶”を抽出できる。ただし再現された映像は断片的で真偽が曖昧であり、主観によって変質する危険を孕む。
桃香は、失われた文明や人々の“痕跡”に価値を見出していた。彼女の神禍は、そうした過去への強い執着が歪んだ形で実現したものである。だが再現される記録は曖昧で、本人の心象や願望によって書き換えられる。そのため、過去を知るための力が、いつしか“見たい過去しか見ない”呪いへと変わっていく。
【詳細設定】
町中桃香は、文明が崩壊する以前から、廃墟や工場跡、ゴーストタウンを巡る“都市探訪者”だった。元々は地理学者の助手をしていたが、探検的な活動を通して過去の遺構を「人類の宝箱」と捉えるようになり、各地の廃墟を旅しては記録を残していた。全球凍結が始まり、世界が崩壊していく中、彼女のその技能は皮肉にも最適化されていく。凍土に埋もれた旧施設から発電機を発掘し、倉庫の天井から凍結肉を見つけ、再利用可能な知識や装置をサルベージして生活圏を広げる集団“アラキエル”を結成。そのリーダーとして数十人規模の共同体を率いた。
だが神禍が発現してから、桃香は「廃墟の声」を聴くようになる。それは録音でも幻聴でもない、視覚・音声・感触を伴う“記憶の再現”。彼女はこの力を通じて、過去の笑い声や、死に際の叫びを追体験する。それらの記録はあまりにも断片的で、一見真実に見えても、実は彼女の願望をトレースしているだけかもしれない。にも関わらず彼女は「ここにあったもの」を見たい一心で神禍を使い続ける。過去への執着は、文明の復興という建前を装いつつ、徐々に“壊れた過去に浸る快楽”へと変質しつつある。本人はまだそれに気付いていない。
全球凍結の初期、桃香は避難先の地下鉄で家族を凍死で失った。死体の隣で、一枚の家族写真を見つめながら「この時に戻れたら」と思い続けた。現実は破壊されていくのに、写真はそこに在り続けた。「過去こそ真実だ」という考えが、いつしか彼女の中に根を下ろした。
最終更新:2025年06月03日 15:33