冬木市の、とある裏路地。
ここで、一人の青年がいかにもな格好をした不良学生に絡まれていた。
「だから、謝ってるでねえべか」
「なめた口きいてんじゃねえぞ、田舎者が。俺の靴はてめえの地元じゃ手に入らねえような高級品なんだよ。
それを踏んでおいて、謝るだけで済むと思ってるのか? オラ、金出せよ。
5万で勘弁してやるからよ」
「はあ……」
「てめえ、何溜息ついてやがる! バカにしてんのか!」
精一杯すごむ不良であったが、青年はまったく意に介さない。
「こんな時に、ただのチンピラ相手にいざこざ起こしたくはなかったけども……。
これ以上は付き合ってらんねえべ」
青年は背中に手を伸ばし、背負っていた何かをつかむ。
それは、巨大な筆だった。
「ギャハハハハハ!! なんだそりゃ!
頭おかしいのか、てめえ!」
1メートルはある筆を刀のように構える青年の姿は、不良にはひどく滑稽に見えた。
浴びせられる嘲笑に、青年はわずかに眉をしかめる。だが、それだけだ。
次の瞬間、凄まじい速度で筆が振るわれる。
そして不良の胸に、「石」の文字が刻まれた。
「…………」
文字を刻まれた不良は、身じろぎ一つしない。
まるで、本当に石になってしまったかのように。
「雨が降るまでそうしてるべ、バカが。いや、この季節だと雪だべか?
まあ、どっちでもいいべ」
筆を背中に戻すと、青年はその場を去って行った。
◇ ◇ ◇
青年の名は、「東北ミヤギ」という。その名の通り、宮城県出身である。
職業は殺し屋。世界最強の殺し屋集団と言われる、「ガンマ団」の一員である。
彼がここにいるのは自分の意思ではなく、気が付けば巻き込まれていたクチである。
だが彼は、聖杯の獲得に前向きであった。
とはいっても具体的に叶えたい願いがあるわけではなく、そんなすごいお宝を持ち帰れば団の中で一目置かれるだろうという程度の考えである。
(聖杯の力があれば、オラが世界の支配者になったりすることもできるんだろうけど……。
オラにはそこまでの野心はねえからなあ。
人の上に立つのなら、やっぱりマジック総帥のように器の大きい人でねえと)
そんなことを考えながら、ミヤギは人気の無い道を歩く。
(しかし……オラのサーヴァントってやつはいつになったら現れるんだべか。
もうこの令呪が浮かんでから何時間も経つのに……。
まさかオラ、聖杯に忘れられてるんだべか!? こんなところまで連れて来られたのに!)
次第に焦りを募らせていくミヤギ。
だがその時、彼の不安を打ち消す声が響いた。
「ハーッハッハッハ! 待たせたな、我がマスターよ!」
「!!」
反射的に、ミヤギは声のした方向に視線を向ける。
そこには、甲冑を纏った男が仁王立ちしていた。
「セイバーのサーヴァント、伊達政宗推参! よろしく頼むぜ!」
「伊達政宗……様……?」
ミヤギは、驚きを隠すことができなかった。
伊達政宗と言えば、彼の故郷を代表する英雄である。
それが目の前に現れたとなれば、彼の受けた衝撃は計り知れない。
だがミヤギの表情には、純粋な驚きや憧れだけでなく、戸惑いの色も混じっていた。
「あのー……失礼だけんども、本当に政宗様だべか?」
「なんだよ、疑うのか? ほら、眼帯してるじゃん」
「いや、それはいいとして……。なんで金髪?」
「ああ、これか?」
見事に染まった髪をいじりながら、政宗は答える。
「やっぱり伊達男としては、おしゃれの定番は抑えておきたいだろ?
だから、現界してすぐに染めてきた」
「……ちょっと何言ってるかわからねえべ」
「なんで何言ってるかわからねえんだよ」
【クラス】セイバー
【真名】伊達政宗
【出典】史実(日本・戦国~江戸時代)
【性別】男
【属性】混沌・中庸
【パラメーター】筋力:C 耐久:C 敏捷:C 魔力:D 幸運:B 宝具:C
【クラススキル】
対魔力:D
魔術に対する抵抗力。
一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:B
乗り物を乗りこなす能力。
生き物は魔獣・聖獣ランク以下なら乗りこなせる。
【保有スキル】
心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
勇猛:C
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。
黄金律(食):A
あまり知られていないが、伊達政宗は料理においても数々の功績を残している。
このスキルを持つ限り、食料が向こうからやってくるため空腹に困ることはない。
【宝具】
『天下の伊達男』
ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:― 最大捕捉:1人(自身)
派手好きで知られた彼の生き様そのものが、宝具となったもの。
真名を解放すると、彼の鎧が黄金に輝く。
この時点ではわずかに能力が上昇する程度だが、その姿を見た人間が多ければ多いほど能力は上がっていく。
群衆の前で遣えばたちまち絶大な強さを手に入れられるが、秘密裏に動くことを求められる聖杯戦争とは相性が悪い困った宝具である。
【weapon】
無名の日本刀、鎧
【人物背景】
宮城県の象徴とも言える戦国武将であり、仙台藩の初代藩主。
幼い頃に病で右目の視力を失っており、後世にて「独眼竜」の異名が定着した。
東北地方でその名をとどろかすものの、彼が天下を狙うにはあまりに生まれるのが遅すぎた。
結局秀吉の前に屈し、その後は家康の下につく。
天下は取れなかったものの乱世を生き延び、晩年は悠々自適に生きたのだから戦国武将の中では勝ち組と言えるだろう。
なお個人の武勇はさほど優れてはいないのだが、数々の創作で強者として描かれてきた補正でそこそこ戦えるようになっている。
【サーヴァントとしての願い】
派手に暴れて目立つ。
【マスター】東北ミヤギ
【出典】南国少年パプワくん
【性別】男
【マスターとしての願い】
聖杯をマジック総帥に献上する。
【weapon】
ミヤギが用いる巨大な筆(「生き字引の筆」は技名で、筆の名前ではないという説もある)。
この筆で何かに文字を書くと、対象は文字が示すものに変化してしまう。
ただし、文字は漢字でなくてはならない(当て字でも可能)。
弱点は水で、雨に打たれたり川に落ちたりするとすぐに墨が落ちて効果が失われてしまう。
【能力・技能】
殺し屋として格闘術、射撃、サバイバル術などを習得している。
【人物背景】
宮城県出身のガンマ団メンバー。
金髪の美男子で、「オラ」「~だべ」といったステレオタイプの東北なまりでしゃべる。
ガンマ団を脱走したシンタローへの刺客としてパプワ島に送り込まれるが、あっさりと返り討ちに。
帰るに帰れずそのまま島で生活するうちになんだかんだでシンタローと腐れ縁になり、やがてたしかな絆で結ばれた仲間となる。
後に、シンタローが率いる新生ガンマ団にも参加した。
【方針】
聖杯狙い。
最終更新:2016年09月03日 00:20