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擬似サーヴァント・ライダー


  ♪奇跡はどこにある?
    奇跡はどこにある?
    奇跡はいったいどこにある?

  透き通った髪を揺らしながら、サンタルックの女性が歌う。
  今日は12月24日、世界で一番にぎやかな冬の日だ。
  町どおりの中には何人ものサンタが立ち並ぶ、女性もまた、その中の一人だった。

「はぁーい! 本日限りですよぉ~♪」

  看板を掲げ、周りの人に声をかける。
  ケーキがそろそろ半額だ。振り返れば、友人のブリッツェンがケーキをもそもそ食べている。
  その愛らしい姿に惹かれてか、一人、また一人と彼女のもとに集まって、ケーキを買って帰っていく。
  帰っていく人の波を見ながら、サンタは思う。
  どうか、彼らにとっての今日が夢のような一夜でありますように、と。

  そんなこんなで売りさばいていれば、日もとっぷり暮れてくる。
  そろそろケーキも無くなる頃合、本来の仕事の準備にとりかかろうかとサンタの女性が思案を始めたとき。
  不意に、彼女の足になにかがぶつかった。
  見下ろせば、かわいらしいつむじがあった。眺めていると、つむじはぐんと後ろに下がって、代わりに少女の顔が現れた。

「お姉ちゃん、サンタさん?」

  きらきらした目で少女が尋ねる。
  サンタ―――イヴ・サンタクロースはそのきらきらした目に負けないくらい、目を光らせてこう答えた。

「よく分かりましたね~! ……実は、お姉ちゃんは、本物のサンタクロースなんです。秘密にしててくださいね?」
「わぁっ……うん、絶対誰にも言わないよ!」

  少女は慌てたように口を抑え、小声でイヴにそう答えた。
  そして、どちらともなくおかしくなって、くすくすと笑ってしまう。
  すぐに少女の母親が駆けてきて、少女を連れて行ってしまった。

「またね、サンタさん!」
「はい、また会いましょうね~!」

  手を振りながら姿を見送り、また歌を口ずさみながら看板を振り回す。

  ♪奇跡はどこにある?
    奇跡はどこにある?
    奇跡はいったいどこにある?

  これは、奇跡の起こる夜の、数時間前の出来事。




  ♪奇跡はどこにある?
    奇跡はどこにある?
    奇跡はきっとここにある。

  昼間と同じ歌を口ずさみながら、イヴは身支度を整える。
  と言っても、特に変わったことはない。
  服装はそのままだし、トナカイたちは待っているし、プレゼントを無くす心配もない。
  ただ、ブリッツェンだけはおいていかなければならない。
  ちょっととぼけた顔の友人も、さすがに空は飛べないから。

「さあ皆さん、準備はいいですかぁ~?」

  ソリに乗り込み、手綱を打つ。
  先頭のトナカイの鼻がぴかぴか赤く光り、進むべき道を示してくれる。
  トナカイたちが駆け出せば、ソリもコンクリートを滑る。
  トナカイたちが宙に浮かべば、ソリも宙へと昇っていく。
  鈴の音を響かせてソリが飛ぶ。
  イヴは大きな声で、夢のような時間をすごす冬木の空にこう叫んだ。

「HO、HO、HO!!! Merry X'mas!!!」

  奇跡がやってくる。
  この冬一番の奇跡がやってくる。
  愉快な声にあわせて、空を飛んでやってくる。


  朝起きると、少女の枕元には小さなプレゼントが置いてあった。
  声が出そうになるのを必死でこらえて、ゆっくりゆっくり包装を開ける。
  中に入っていたのは『メルヘンチェンジ☆ウサミン変身セット』。彼女が欲しいと心のそこから願っていたもの。
  うれしくなって思い切り抱きしめると、変身セットの中から一枚のカードが零れ落ちる。

『あの時のサンタより、良いクリスマスを』

  そのとき少女は確信した。
  少女が見つけたのは、本物のサンタクロースだった。
  お父さんもお母さんも信じてくれなかったけど、彼女こそが本物だったんだ、と。

「お母さん、お母さん!!」

  ぱたぱたと走り出せば、クラッカーの音が響いた。
  クリスマスパーティが始まった。
  それからはもう、うれしくて、楽しくて、夢のような時間が続いた。

  主の居なくなった部屋で不意に、開けっぱなしの窓が風を飲み込み、カレンダーが揺れた。
  25日を示していたカレンダーは、ゆっくりと24日へとその浮かべていた文字を変えた。
  また今日も、クリスマスがやってくる。

  これは、この聖杯戦争が始まって、三度目のクリスマスの話だ。



  英霊の座において、聖杯戦争の開幕を知った。
  それはある冬の日だった。
  そろそろと近づいてくる年の瀬に、人々が知らず知らずに早足になる時期だった。

  早足で行き交う人々を見ながら考える。
  聖杯戦争が起これば、このうちのどれだけの人々に不幸が訪れるのだろうか。
  近づいた聖夜に、奇跡を望めない人が出てくる。
  彼の逸話を司る夜、逆に彼を信じない人間が急増してしまう。
  彼らの『信じる心』によって存在を支えられているライダーにとって、それはかなりの痛手だった。
  このままでは、彼の伝承が消えてしまう日が来てしまうかもしれない。
  彼と言う存在が消えてしまう日が来るかもしれない。
  それは、奇跡の消滅だ。夢の消滅だ。明るい未来の消滅だ。
  だから、ライダーは召喚に応じることとした。
  奇跡を失いかねない人々に、忘れられない奇跡をもたらすために。

  本来、彼を呼び出すことは出来ない。
  なぜなら彼は『奇跡』そのものであり、『願い』そのものであり、ともすれば『聖杯』と同等にも並びうる存在なのだから。
  だが、彼は聖杯と違い、人々が彼を『信じる心』を失えば消滅する。
  そもそも居なかったことになる。さきほどまで存在していたものがある瞬間になくなり、結果として聖杯に不備が発生する。
  その矛盾を防ぐために、聖杯戦争に条件付で参加することが可能となった。
  条件とは、一人の少女。
  プレゼントを盗まれ、服を盗まれ、路地裏でトナカイと身を寄せ合い、くしゅんとくしゃみを繰り返す少女。
  イヴ・サンタクロース。
  彼の名を継いだ、現代に残る奇跡の体現者。ちょうど聖杯戦争への有資格者だった彼女。
  ライダーを受け入れる器として、ライダーの変わりに夢と希望を与える者として、これ以上の人物は居ない。

  彼女と契約を交わし、自身の宝具が解放される。
  『サンタが町にやってきた』ことで、世界が今を『クリスマス』だと誤認する。
  傍に転がっていた新聞を拾い上げる。
  日付は12月24日。
  さっきまでが何月何日かは知らないが、今日は聖夜だ。
  クリスマスがやってくる。
  来るべき『いつか』のために、埋め合わせの聖夜がやってくる。

  マスター、イヴ・サンタクロースを寄り代として顕現した擬似サーヴァント、ライダー・サンタクロース。
  彼の力により、今宵もまた、愉快な声がこだまする奇跡の夜を繰り返す。



【クラス】ライダー
【真名】サンタクロース@史実、民間伝承
【マスター】イヴ・サンタクロース
【性別】女性(イヴ)
【身長・体重】165cm・44kg(イヴ)
【属性】秩序・善
【パラメーター】筋力:E 耐久:E 敏捷:A 魔力:EX 幸運:A 宝具:EX

【クラス別スキル】
騎乗:A---
トナカイを乗りこなす。
ただしこのトナカイもまた、サンタクロースとともに民間に伝承されてきた奇跡の象徴である。
そのため、幻獣と同等のクラスと認識され、ランクはA扱いとなる。
ただし、ライダーが乗りこなせるのはこのトナカイのみである。ほかのものには見向きもしない。

【保有スキル】
気配遮断(大人):EX
サンタクロースを夢見る子供も、時が経てば彼を居ないものだと思い込んでしまう。
そう、『思い込んでしまう』。実在するものの知覚を否定してしまう。
仮に彼を大人が見たところで、ライダーは『本物のサンタクロース(サーヴァント)』だとはばれない。
業者か、コスプレか、せいぜい家族思いな姉くらいにしか思われないだろう。
そのため、ライダーを一目見てサーヴァントであると断定できるのは、サンタクロースのことを信じている『子供』だけになる。
ただし、ライダーがソリに乗って空を飛んでいる所を見られた場合、例え大人であろうと一発でライダーを本物だと確信できる。

正体特定(子供):A
ライダーは常に向かうべき子供の居場所を知っている。
彼らに届けるべきプレゼントも知っている。

道具生成(夢):A--
ライダーが出会った子供たちの望んだものを作り出すスキル。
ただし妹や弟など実現不可能なもの、煙突・窓を超える大きさのもの、金や女のような薄汚いものは無理となる。

侵入技術:E-
鍵のかかっている場所に実体化したまま侵入することができる技術。
彼女が望めば、限られた種類の鍵を開錠できる。
開けられるのは「子供部屋の窓」だけである。扉や子供のいない家の窓は開けられない。

【宝具】
『奇跡の夜(クリスマス)』
ランク:EX 種別:固有結界 レンジ:999 最大捕捉:99
ライダーの最も有名な逸話に、『クリスマスになれば』『サンタクロースがやってくる』という逸話がある。
しかし、聖杯戦争に彼が呼ばれてしまった以上、その不文律は崩壊する。
英霊として常時『サンタクロースがやってきている』ことになり、それを知覚した子供たちが『サンタクロースが居るならば今日はクリスマスである』と誤認してしまうのだ。
この宝具はその誤認を利用して形成される『クリスマスの日』という強固で巨大な心象風景。

エリア内に逸話どおりの奇跡の夜を再現し、人々の時間の認識を『12月24日の午後~12月25日の午前』に固定し続ける。
彼の生存中は毎朝毎夜この固有結界が発動し、人々は奇跡の夜を繰り返す。
そして、その奇跡の夜の中でのみ、ライダーは姿を現して、奇跡を起こす。
この固有結界を崩壊させるには子供のサンタ信仰を根絶やしにするか、彼を倒すかしかない。


『奇跡の降る夜(ホワイト・クリスマス)』
ランク:EX 種別:固有結界 レンジ:999 最大捕捉:99
奇跡の夜に起こる奇跡。何者かが空を飛ぶライダーを発見した場合、固有結界内に魔力粒子の篭った雪が降り出す。
この雪は相手の精神に直接働きかける効果を持っており、雪とともにライダーの姿を見た場合、年月を経て積み重ねられた『精神の澱』が少しずつ雪がれていく。
幼少期、無垢なる頃に出会ったサンタクロース、彼の姿によって奇跡の存在を思い出して精神が浄化されていくのだ。

長時間見れば見るほど、彼らの精神は『無垢な子供』に戻っていく。
きっと最後には、争うことをやめてクリスマスを楽しむ素直ないい子になってしまうだろう。
精神耐性系スキルで効果軽減可能。
また、この宝具の効果で精神が綺麗になった場合、いつでもサンタクロース本体を発見可能となる。
なお、『幼少期が存在しない人間』にこの奇跡は通用しないが、『幼少期にサンタを信じていなかった人間』には精神の澱を雪ぐことで通用する。

効果は永続ではなく、彼が英霊の座に戻った場合、ゆっくりと精神はもとのとおりに復元していく。


『万里駆ける夢の馴鹿(トナカイ)』
ランク:A 種別:対人 レンジ:1 最大捕捉:1
サンタクロース伝説でおなじみの九頭のトナカイのうち八頭とソリを召喚する。
先頭からそれぞれ「ルドルフ」「ダッシャー」「ダンサー」「プランサー」「ヴィクゼン」「コメット」「キューピッド」「ドナー」。
最後尾を勤める「ブリッツェン」はイヴの認識によって「すでに存在している」ため召喚することはできない。
先頭のルドルフが有名な「赤鼻のトナカイ」であり、誘導役でもあるルドルフが真っ先に召喚される。
頭数によって速度が変わり、八頭を集めればAランク相当の速度で空を駆けることができる。
トナカイを倒せば一時的に行動不能に落とすことは可能であるが、呼び出せない最後の一頭であり実物のトナカイである「ブリッツェン」が無事である限り再生産は可能。


『万里駆け、夢に微笑み、聖なる夜に奇跡を運ぶ者(サンタクロース)』
ランク:EX 種別:対人 レンジ:1 最大捕捉:1
サンタクロース伝説自体が宝具として再現されたもの。
この宝具の失われない限り、ライダーはサンタクロースとしての活動に一切の魔力を使用しない。
そしてこの宝具の発動を助けるのは、『子供たちのサンタクロースへの夢』という説明不能の神秘である。


【weapon】
なし。

【人物背景】
『サンタクロース伝説』そのもの。



【マスター】
イヴ・サンタクロース@アイドルマスター・シンデレラガールズ

【マスターとしての願い】
クリスマスに奇跡を!

【能力・技能】
  • ブリッツェン
ぶり、ブリッツェン……ぶりっつぁん? ブリッチャン!
ただのトナカイなので空は飛べない。一緒に仕事は出来る。
彼が無事である限り、サンタクロースは空を飛び続ける。

  • 住所不定無職
つまりアイドルとしての才覚を見出される前の状態。
日中に町を歩けばスカウトが来るかもしれない。
なお、ライダーとの契約後はダンボールではなくサンタ服で固定となっている。

【人物背景】
モバマスのアイドル。アイドル時代以前から参戦。
12月24日に現れ、プレゼントを運びにきたがプレゼントと洋服を盗まれてしまい途方にくれていた過去がある。
本候補作では彼女は正統なサンタクロースの後継者(グリーンランド発行のサンタ免許とか持ってる)であるとし、
彼女の存在と聖夜を迎えられない可能性のある冬木市を察知してライダーが顕現したものとする。

現在はサーヴァント・ライダーの寄り代となっている。
彼女はマスターであり、同時に擬似サーヴァントということになる。
なお、思考は全面的にイヴ寄りである。

【方針】
特に方針はない。
ただ、冬木市に聖夜の奇跡を振りまくだけである。

ライダーは交戦の意思のまったくないサーヴァントである。ほうっておいて幸せになることはあれ、不幸になることはない。
ただ、厄介なのはそんな彼すら倒さねば聖杯戦争は終結しないということだ。
彼女がライダーとの契約を続けている限り、冬木市に12月26日は訪れない。
そのため、彼女が知らず知らずのうちに再現したクリスマスの夜には『サンタ狩り』が討伐令として掲げられる、かもしれない

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最終更新:2016年09月23日 10:58