杉下右京&アヴェンジャー

 ◇ ◇ ◇ アヴェンジャーの独白  英霊の座にて ◇ ◇ ◇

 私が最初に悪への嫌悪を抱いたのは、いつだっただろうか?
 私がこの心に復讐の炎を灯したのは、なぜだっただろうか?
 いや、そんな自問などしなくても、本当はとっくに分かっている――
 
 


 子供の頃、私は純粋に勉学が好きだった。
 先人たちの残した考えを読み解き、自分の糧にしていく。
 知識を詰め込み、それによってまた理解できなかった教えを理解していく。
 そんな単純な事がたまらなく幸福だった。

 しかし、好きなことだけを続けて生涯を終えることなど、かなりの地位を持った者でも難しい事である。
 その知識欲からぐんぐんと知能を伸ばしていた私は、気付けば周囲に教えを乞える者はいなくなっていた。
 古来より有能な者はその能力を世のために使うべきであるとされている。
 自分で言うのも何だが、その時点で他の誰より勉学に優れていた私が趙王の下へと徴集されるまで、そう時間は掛からなかった。
 
 皇帝の臣下たる諸侯王の1人に仕える事は、とても名誉なことである。
 勉学しか楽しみがなかった私にとっても、家臣として世に尽くす事は楽しく、充実した仕事だった。
 ――そう、あの時までは。
 
 趙王の太子丹は非常に軽薄な男だった。
 見かければ常に女を侍らせ、王の息子だというのに仕事もせずに遊び歩いている。
 遭遇する度感じる視線は、今思い出しても身の毛もよだつほど気持ち悪かった。

 自慢になるが、私の妹は家族という関係を抜きに客観的評価を下しても、非常に可愛かった。
 歌や踊りの才があり、綺羅びやかで、美しい皆の人気者。
 勉学しか脳のない私とは180°違う自慢の妹だった。
 そんな妹を好色な太子丹が放っておくはずもない。

 案の定、噂を耳にした太子丹から妹を連れて来いと命じられた。
 奴は仮にも王子である、私に断る権利など無い。
 当然ながら妹は一発で太子丹に気に入られ、気付けば妹は太子丹の正式な妻となっていた。
 気に入られるのはわかっていたが、妾の1人ではなく妻として迎えるとは完全に予想外であった。
 当時の私は妹が良い地位に就き、趙王にも気に入られたのを見て、これを期に太子丹が女遊びを止めれば万々歳だと純粋に喜んでいた。
 ――しかし、この後のことを考えれば、今から過去へ行って自分を殴ってやりたいほど、私は愚かだった。
 頭がいいなんて自惚れていたけど、肝心な善と悪という部分で、私は完全に無知な子供だったのだ。
 
 妹との婚姻後も、当然太子丹の女遊びは止まらなかった。
 妹を悲しませた怒りにかられて太子丹の素行を調べた私は、驚愕の事実に身震いさえした。
 太子丹はそこらの女達では飽きたらず、自らの姉との近親相姦や趙王の妻とも関係を持ち、豪族達とつるんで悪行三昧という目も当てられないクズだった。
 初めて目にする明確な悪に、自分の中の価値観が一新されていくのを感じたものだ。
 混乱に混乱を極めた私は、この事実を自分だけが知っている事に言い様がない気持ち悪さを感じ、あろうことか趙王に相談してしまったのだ。
 そんな事をすれば太子丹の耳にも入ることなど簡単にわかるはずなのに。

 私が王に悪事を告げ口したとわかった太子丹は、私を殺すために使いを出した。
 冷静になってから、いち早く危険を察知した私はなんとか逃げ果せることができた。
 だがそれは、決して幸福なことでは無く、むしろ不幸の始まりだったのだ。
 業を煮やした刺客達は、私の実家まで捜索の範囲を広げ、そこで見つかった父と兄が見せしめとして殺された。
 太子丹の妻である妹の末路など、言うまでもないことだろう。

 何度自分を責めたかわからない、それでも責任を感じての自害など以ての外である。
 復讐だ。あの悪鬼に復讐するのだ。あのクズは裁かれるべきなのだ。
 私の中にあった感情は、ただそれだけだった。
 ――もしかしたら、この時から復讐者としての私は出来上がっていたのかもしれない。

 私が目撃しただけの情報など、何の価値も持たないのは明白だった。
 故に、これまでの名を捨て江充と名乗り、時には間者の真似事までして確証に足る情報を集めた。
 私は十分な証拠を集め終え、趙王より上の存在である国の皇帝、「武帝」に直接報告を行った。
 その時の私は心身共にボロボロで、必死だったため服装もおかしな所ばかりだった。
 しかし、そんな状態での謁見でも、裏付けまで確かな報告書は武帝を動かすに至ったのだ。
 その時はやっと復讐が果たせると、小躍りしそうなほど喜んだ。
 しかし喜びも束の間、本来ならば死罪である太子丹の罪は、趙王の必死の便宜によって権威剥奪で終わってしまった。
 ――このこともまた、私が悪を裁くことへの執念を増加させた。

 その後、私は能力と気概を武帝に気に入られ、武帝の下で働いた。
 多くの仕事をこなし、そのたび武帝に喜ばれ、苦節の末に悪を裁くに足る権利を得た。
 賊をあぶり出し、法を犯したものは王族や貴人、たとえ皇太子であっても糾弾した。
 その姿勢に部下や友人は身を震わせていたが、武帝はむしろ私の正義を高く評価した。
 私は感動で胸が一杯になった。
 武帝を唯一の理解者だと信じ、より一層の忠誠を誓った。
 そして私は水衡都尉に就任し、親族や友人の権力も増し、私は手に入れた権力で以前に増して悪の根絶に励んだ。
 
 そんな充実した日々にも、終わりの時が訪れる事となった。
 ――武帝が病に倒れたのである。
 高名な医者を呼んでも、どんなに療養をしても、一向に回復の兆候が見られない。
 私はふと、以前より流行り始めていた巫蠱の呪いを思い出し、調べてみると武帝には確かに呪いの痕跡が見受けられた。
 私は激怒した。

 それからというもの、私は巫蠱の呪いを徹底的に調べた。
 儀式の痕跡がある者、巫蠱の呪いを行った疑いがある者、他者からの密告があった者、嘘をつく者。
 皆が皆疑わしい、疑わしきは罰するのみだ。 

 処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、処刑、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首、斬首―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ――気付けば死体の山ができていた。
 数えるのも面倒だったが、後から聞けば数万人程処刑したらしい。

 それでもなお、武帝は回復の兆しを見せなかった。
 何故なのか、まだ調べていない所などあるのか。
 私は考えに考え、そして――見つけた。
 何故今まで気づかなかったのだろうと、私は自分の愚かさを嘆いた。
 私が武帝に評価されたのは、皇族でも王族でも裁いていく所ではなかったのか?
 焦っていたことなど言い訳にならない、一刻も早く悪は裁かなければならない。
 悪は――宮中にあり。

 そこからは早かった、私の人生が終わるまでの間も。
 皇族関係者を調べると、武帝に巫蠱の呪いを掛けていたのは、以前私が悪事を糾弾した皇太子・劉拠だとわかった。
 やはり悪は何処まで行っても悪なのだろう。
 私は劉拠の宮殿から押収した呪いの木人形を皇太子に突き付け、問い詰めた。
 酷く錯乱した皇太子は私を捕らえ、「これは罠だ!江充が僕を陥れるために仕組んだ罠だ!」などと大声で叫び、その発言は広く認知された。
 劉拠はありもしない多くの罪を私にかぶせた後、処刑という名目で私の首を刎ねた。
 私が死ぬ直前に見た劉拠の黒い笑みは、今でも鮮明に思い出せる。
 まだ私には焦りがあったのだろうか、悪が蔓延る敵地へと無防備に1人で乗り込んでしまったのは愚かとしか言い様がないだろう。
 
 私の死後、今までの私の断罪はすべて自作自演だと捏造され、私の親族はみな処刑された。
 私の死を知った武帝が皇太子に敵を取ってくれたが、奴の策に嵌って後に私の親族を根絶やしにしたのもまた、武帝だった。
 裏切られたような気分だが、そこは恨んでいない、全て悪が悪いのだ。
 
 まだ裁いていない悪がいる、私や親族のように冤罪で処刑された者がいる。
 私は復讐鬼となる事を誓った、無実の罪を着せられた者達の為に。
 そして今、聖杯戦争という名の絶好の機会が訪れた。
 選択肢など必要ない、召喚に応じないはずがない。

 私は、聖杯戦争へと――冬木の地へと、飛び込んだ。


 現代冬木市 杉下右京


『次は~終点、冬木~冬木です。降り口は~左側です。この電車は回送電車と――』

 普遍的な車掌のアナウンスによって、杉下右京の意識は覚醒へと誘われた。
 どうやら電車のボックスシートに深く座り、眠っていたようだ。
 起床後数秒で通常の回転速度へと至った杉下の脳は、これが異常事態だと告げていた。

(ここは……どこなのでしょうか? 僕はイギリス行きの飛行機に乗っていたはずなのですが)

 脳が微かに記憶している音声を引き戻すと、冬木という駅だと理解できた。
 外は暗く、自分の記憶が確かならば半日以上は眠っていたと推測できる。
 しかし、眠ったとして場所は飛行機内、決して電車などではなかった。

 誰も接触してくる気配もなく、電車に放置されていることから誘拐では無さそうだ。
 杉下は荷物を調べてみたが、財布も警察手帳もそのまま残っていた。
 網棚に乗っていた自分の旅行かばんの中身も、一つたりとも無くなっていない。
 これで、物取りにあった可能性も消えた。
 その時、残っている乗客がいないか調べに来たのであろう車掌が、杉下のいる車両内に入ってくるのが見える。
 杉下は迷うこと無く車掌へと近づいて行った。

「すいません、一つお聞きしてもよろしいですか?」
「ええ、良いですけど、どうしました?」
「どうやら僕は、寝過ごしてしまったようでして……僕がどの位ここで眠っていたか、ご存知ありませんか?」
「いや~私もそこまでよく見ていませんでしたから……でも、1時間も寝てないんじゃないですか?」

 それはおかしい、時計を見ると22:53を示している。
 飛行機は12:20分の便だったと記憶している。
 約10時間半の差、これは睡眠薬で眠らされていたとしても途中で十分効果が切れる程の時間だ。
 1時間もしない内に電車に運びこむ程の振動を身体が受けていたならば、起きないはずがない。

「おや、どうして1時間位だと?」
「反対側の終点がそれくらいだからですよ。折り返しを考えても、2時間しないくらいじゃないですか? 流石に何回も折り返していたら、途中で気づいて起こしますしね」
「そうですか、どうもありがとうございました」

 車掌の言い分は何もおかしいところは無い。
 この電車は回送になるようなので、取り敢えず杉下は電車を下りることにした。
 しかし、その前に。

「ああ、申し訳ありません。最後にもう一つだけ、よろしいでしょうか?」
「もう電車出ますから、手短におねがいしますよ」
「ええ、では手短に。……奇妙な質問だと思われるかもしれませんが、この冬木という駅は何県に存在するのでしょ――――ッウゥ!!」

 ――激痛。
 現在地の所在を聞こうとした杉下の頭に、急に膨大な情報が流れてくる。
『聖杯戦争』『サーヴァント』『令呪』etc…
 思わず杉下はよろけてしまい、扉横の椅子にもたれ掛かった。
 なぜだか左手の甲にも刺すような痛みが走っている。
 杉下は一瞬痛みの原因を突き止めようとしたが、否応なくそれが令呪の痛みだと理解させられる。

「お客さん! 大丈夫ですか!?」
「ええ……寝起きで少しふらついてしまっただけですからっ……先程の質問は、忘れていただいて結構です」

 杉下は近づいてくる車掌を手で制する。
 顔を赤くし、身体を震わせよろけながらも杉下はホームへと降り、設置されていたベンチへと腰掛けた。



 数回深呼吸をして気分が落ち着いた頃には、頭にも左手にも一切痛みは残っていなかった。
 冷静に情報を分析すると、どうやらこの冬木という地で聖杯戦争なるものが行われ、自分がその参加者として召喚されたようだとわかる。

(僕はこのようなオカルトには出会えない運命なのだと思っていましたが、どうやら僕も出会ってしまったようですねぇ……)

 好奇心旺盛な杉下は、同僚達が超常体験や幽霊と出会った話をしている時にいつか自分も体験したいと思っていた。
 しかし、この聖杯戦争という超常体験は杉下の想像していた体験よりも随分と血なまぐさいものだった。
 聖杯から与えられた情報によれば、もはやこの冬木から出ることは叶わないだろう。
 それこそ――聖杯戦争を終えるまでは。

 駅の改札を降りると、冬木とはそこそこ開けた土地であるとわかる。
 大都会ではないが、中心街が広がっており夜でもかなり明るい。
 杉下は目ざとく電子パスの消費金額を見ていたが、表示は0円となっていた。
 まるで定期券で同じ駅から乗ったかのようである。
 杉下右京とて衣食住は大事なので、この時間からでも泊まれるホテルを探そうと街を歩き始めた。

「――あの、すみません。貴方が私のマスターですか?」
「はいぃ?」

 突然、どこからともなく声が聞こえ、杉下は背後に振り返った。
 そこには、奇抜な恰好でメガネを掛けた白髪の少女が、笑みを浮かべて立っている。
 少なくとも現代でよく見かける類ではなく、秋葉原やとある時期の東京ビックサイトならギリギリ見かけるような服装である。

 今まで、そこには誰もいなかったはずである。
 しかし、杉下が考えるよりも前に、流れてきた知識によって、彼女が自分のサーヴァントであると理解させられる。
 なんだか思考が先回りされているようで気持ち悪かったが、幸か不幸か、それによって杉下は全くの平常心で対応することができた。

「どうやら、そのようですねぇ……」
「……あまり、驚かないんですね?」
「おや、そうでしょうか。僕は先ほど目が覚めてから、驚いてばかりのような気がしますよ」

 

「……こういったことに慣れているのかと思いましたよ。そういう人、たまにいるみたいですから。――魔術師とか、呪術師とか……」
「おや、そうなのですか。生憎、僕は今までこういった事に縁がありませんでしたからねぇ……混乱に、脳がついて行けていないだけですよ」

 会話の途中、少女の顔に陰りが生まれたが、杉下は問い詰める事はしなかった。
 少女は杉下の言葉に一応の納得をしたのか、元々笑顔だった表情から更に満面の笑みを作り直した。

「まぁ、触媒の無い召喚は似た者同士が召喚はされるといいますし、私のマスターなら大丈夫ですよね」

 少女が何を持って大丈夫だと判断するのか杉下にはまだわからなかったが、それはまだ知らなくても良いことだと判断した。

「申し遅れましたが、私のクラスはアヴェンジャーです。そのままクラス名で呼んでいただいて結構ですよ」
(Avenger――復讐者、ですか。……それにしても、やはり真名はまだ教えて貰えないようですねぇ)

 “復讐者”というのはあまり良い意味で使われない言葉である。
 サーヴァントのクラスに少し怪訝なものを感じながらも、杉下は極めて冷静に名乗りを返した。

「おやおや、先に名乗られてしまいましたか。僕は警視庁特命係の杉下右京と申します」
「警視庁……ああ、現代の悪を裁く機関ですね? やっぱり思った通りです」
「厳密に言えば、僕達警察は犯罪者を裁く権限は持っていないのですが、一般的な認識では、似たようなものかもしれませんねぇ……」

 
 杉下の言葉に、一瞬アヴェンジャーは不思議そうな顔をしたが、即座に笑顔に戻ると杉下に右手を差し出す。
 
「どちらにせよ、正義は私の味方ですから。改めてよろしくお願いします、マスター」
「ええ、こちらこそ、よろしくお願い致します」

 アヴェンジャーの握手の要求に、杉下は快く応えた。
 まだ出会ってたった数分だが、杉下はこのサーヴァントには奇妙な点が多い事に気づいていた。
 いかに杉下が優れた洞察力を持っているにしても、数分の間には多すぎる違和感だった。
 恐らく後ろ暗いものでは無いだろうが、素人の犯罪者であってももう少し上手い隠し方をするだろう。
 それは、無意識の内に気づいてもらいたがっているかのようでもあった。
 例えそうだとしても、杉下にはまだ何を気づいて欲しがっているのかなどわからない。
 聖杯に書ける願いも行動理念も、真名さえ聞けていないのだ。
 まだ数分、これから気づく機会は多い、このアヴェンジャーの調子ならば尚更である。

 互いに握手から手を離すと、アヴェンジャーは杉下を先導して街を歩き始めた。
 恐らく先頭に立つのが好き、もしくは周囲を引っ張ることに慣れている人間の無意識の行動だと杉下は推測した。
 見える背中には大きく『正義』の文字が見える。

(正義……ですか)

 『復讐者』、『正義』、この2つの言葉からは、否応もなく杉下に「ダークナイト事件」を連想させる。
 法で裁けない悪を、正義感から次々と暴行した甲斐享。
 犯行の始まりは、友人の復讐を肩代わりしたことから始まった事件だった。

 杉下でなくとも、忘れるわけがない。
 体感ではまだ甲斐享との別れからは、1時間も立っていないのだから。
 
(あの時は僕としたことが、カイト君の暴走に気付くことができませんでしたが……もう二度と、過ちを繰り返さないようにしなくてはなりません)

 前を歩くアヴェンジャーの少女にも、甲斐享のような危うさが垣間見えているのだ。
「目には目を歯には歯を」の精神は現代では通用しない。
 犯罪者を傷めつけるだけでは、犯罪は減らない。
 杉下は甲斐享がこれから獄中でそれを気付くことが出来ると信じている。
 
 ――杉下右京の正義は暴走する。
 そう言われてきた杉下は、相棒の間違った正義の暴走を止めることができなかった。
 このタイミングで聖杯戦争に巻き込まれたのも、偶然では無いのかもしれない。
 
 自分の下に彼女が召喚された理由をなんとなく察しつつ、杉下はゆっくりと少女の背を追って歩き始めた。



【クラス】
アヴェンジャー

【真名】
 江充(こう じゅう)

【出典】
 紀元前1世紀、中国(前漢)

【性別】
 女

【属性】
 秩序・善

【ステータス】
 筋力E 耐久E+ 敏捷D 魔力B 幸運D 宝具B+

【クラススキル】
復讐者:A+
 ただ復讐のみを存在の意義とする者。
 自身へのダメージに対して復讐の炎を燃やし、その執念を存在の糧(魔力)へと変換する。
 また、対象が王族または王に意見できる存在であり、冤罪によって処刑を行った逸話がある(とアヴェンジャーが知った)場合にも効果を発揮する。

忘却補正:D
 歴史に真実を葬られた者の悲嘆。
 戦闘中であっても稀に対象が存在を忘れ、不意打ちを食らわせられる。

自己回復(魔力):C
 復讐心が消えないかぎり復讐鬼としての存在が保たれ続けるため、常時魔力が少しずつ回復していく。

【保有スキル】
呪術探査:A
 呪術・魔術の元の道具屋魔法陣、また使用者を特定する。
 結界・呪いなどの術を確認すると「誰が、どこで、何を使って、どのように」術を行使したか判断出来る。
 しかし、サーヴァントが対象ならば容姿・クラスは判明するが真名を知ることはできない。
 
曲がらぬ正義:B+
 皇族や格上であっても処する不屈の正義、悪への鋭い嗅覚。
 威圧、幻惑、魅了といった精神干渉、同ランクまでの認識阻害系スキルの効果を無効化する。

【宝具】
【如果有疑問被処罰(ふこのごく)】
ランク:E~A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:1人
 武帝に呪術を行使した犯人を確実に処刑するためにアヴェンジャーが疑わしきは全て罰した逸話、また正義を信じ逆賊を罰し続けたアヴェンジャーの生き様。
 罪を犯した者を糾弾し、罪の度合いによって罰を与える。
『巫蠱の獄、開廷!』の声とともに裁判所のような固有結界が開き、その中では両者共一切の攻撃・術の行使・宝具の使用などができなくなる。
 略奪、姦淫、呪い、証拠隠蔽、殺人、冤罪の捏造の順に罪が重くなっていき、また行った回数が増えるほどに重い罪とされる。
 大まかな例では、身体が重くなる、スキルによる耐性の低下、ステータス低下、一部拘束、全身拘束、死刑などがあり、大量殺人でも無い限り死刑にはならない。
 刑が重くなるごとに行使も難しくなっていき、低いものでは顔と罪、死刑ともなると真名や断定出来るだけの詳細な事件記録も必要となる。
 刑の執行はあらゆる防御手段や耐性を無視できる、完全なる平等の裁きである。
 
【死者誰被誣告(みんなのうらみ)】
ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大補足:50人
 神のみが知る、無実であるのに罰せられた者達の社会への怨念。
 怨念の集合体の様な霊の塊を召喚し、操る事ができる。
 多く魔力を消費すれば菅原道真や岳飛、それこそ巌窟王の様な者達も非常に弱体化するが召喚できる。
 ソクラテスや某聖杯の持ち主など無実の罪で処刑されても恨みのない者は召喚できない、後者はたとえ恨んでいたとしても召喚は不可能であるが…

 妄信的な正義から、自身が巫蠱の獄で処刑した者にも冤罪が多かったことには気づいていない。
 その者達はアヴェンジャーを恨み、復讐を狙って喜々として召喚されるだろう。
 一人一人はアヴェンジャーに対して全くと言っていいほどダメージを与えることはできないが、彼女が殺したのは数万人、この中で冤罪はどれだけいるだろうか。
 塵も積もれば、山となるかも知れない。
 彼らもまた、アヴェンジャーなのだ。

【人物背景】
 彼女の生涯は本編中で語り尽くされているので割愛。
 
 彼女は歴史において世紀の大悪“漢“として知られている。
 それは死後、事実を捻じ曲げられ、正義と信じて行った彼女の行為は全て、権力者を陥れるためのマッチポンプだったとされてしまったためである。
 歴史書では、権力に溺れ、邪魔な人間には言われもない罪を被せた悪魔だと書かれた。
 果ては一部の間で、初めから皇帝に取り入るために趙王を踏み台にする計画だった、巫蠱の呪いを広めた呪術師だった、皇帝を呪術で操っていて江充が死んだから正気に戻った、とまで言われる始末である。
 また、皇帝が性に良いように利用されていたという噂を恥と考えたのか、性別までもが事実を隠蔽されている 

 彼女は悪人や軽薄な遊び人に生理的嫌悪感を抱いている。
 普段は極めて冷静沈着で、皇帝に仕えるために常時営業スマイルで過ごしていたために普段はずっと笑みを浮かべている。
 善人とは言わずとも普通の人々に対しては基本的に愛想が良く、気に入られやすい。
 故に笑顔で静かに怒るタイプだが、度を越した悪を前にすると処刑や斬首の事しか頭に無くなり早口で捲し立てるように喋り方になる。
 焦ると短絡的な行動を取りがちで、後になって後悔することは少なくない。
 生涯を法と悪の根絶に生きたため、女子力など皆無であり圧倒的に処女である。

【特徴】
 身長は160cm程で77-55-78のややスレンダー型、腰まで伸びる真っ白な髪を細長く肩辺りまで垂らした形の垂挂髻に結っている。
 服は古代中国の基本色(五行・五方を表わす色)である「青(緑)赤黄白黒」から黄色を抜いた4つ(性格には青と緑は同色扱いなので5つ)の原色のみで構成されている。
 余談だが、古代中国において黄色は皇帝や帝王、赤は希望や幸福、青(緑)は新鮮さや清廉、白は純潔や高貴さ、黒は厳正さや神秘の色とされていた。
 神秘や魔を厳正に見ぬくフレームの細い黒縁メガネを掛けており、下着は純潔と清廉さを兼ね備えた青と白の縞柄。
 音楽家の使用するものとは違う軍用の真っ赤な指揮棒を常に持ち歩き、何かを示したり指示を出す際は指揮棒を振るのが癖。
  肩にかかっている黒地マントの背中部分には、デカデカと白で『正義』という刺繍が入っている。
 服装は名前がよくわからないのでぶっちゃけると恋姫†無双の賈駆のイメージ(メイドではない)。

【聖杯にかける願い】
 悪、冤罪の排除


【マスター】
 杉下右京

【出典】
 相棒シリーズ

【性別】
 男

【Weapon】
 手錠

【能力・技能】
 類稀なる観察力や洞察力、記憶力、分析能力、推理力を持つ。護身術や剣道の心得もある。
 
【人物背景】
 警視庁特命係係長の警部。
 東京大学法学部を卒業後は渡米し、帰国してからはキャリアとして警察庁に入庁、かつては警視庁刑事部捜査第二課にて活躍していた。
 過去に小野田官房長官(当時は参事官)と共に「北条邸人質籠城事件」を担当する緊急対策特命係を結成。
 作戦参謀として交渉に当たるが、解決を急いだ小野田の判断ミスで多数の死者を出してしまった責任を取らされ、特命係という名の所謂「窓際部署」に配属となってしまう。
 以降特命係は”クビにはしないが警察を自主的に退職してもらいたい人物”を左遷する恰好の部署として利用され、事実杉下の冷たい態度と異常な有能さを見せつけられた者は即座に辞めていく。
 故に特命係は「警視庁の陸の孤島」と呼ばれ、杉下右京は「人材の墓場」と呼ばれるようになった。
 しかし、杉下右京を変えた切っ掛けである「亀山薫」やその次の相棒「神戸尊」などを介して少しずつ性格が丸くなっていった。
 神戸が異動してからは「甲斐享」という青年に価値を見出し、彼と3年間特命係を続けていたが、実は享が凶悪暴行犯「ダークナイト」であると気づき自らの手で逮捕した。
 身内であっても悪を許さないその姿勢は警察内部でも恐れられ、甲斐享の上司としての監督責任で無期停職の処分を下された後、イギリスへと渡った。

 極めて冷静沈着な性格で、警察然とした姿勢を心がけている(違法捜査はする)。
 イギリスに留学していた経験があるからか紅茶に並々ならぬこだわりを持っており、ポットを高く掲げて滝のように紅茶を注ぐ奇妙な入れ方をする。
 雑学的なものから円周率まで幅広い知識を持ち、クラシックや落語などの趣味も多彩である。
 人は犯した罪を法で裁かれなければいけないという信念から犯人も含めて人の死を嫌い、警察官なのに拳銃を持ち歩かないどころか射撃訓練さえしない。
 警察の上層部や警察の権力が通用しない検察庁の様な場所でも関係ないとばかりに捜査を進め、犯人を暴く。
 それによって、彼を深く知っている者からは「杉下の正義は時に暴走する」と言われている。

【マスターとしての願い】
 人は罪を法によって裁かれるべきですから、僕には聖杯に望むものなど、ありはしませんよ

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最終更新:2016年09月06日 20:51