キンブリー&キャスター

冬木市内の、とある空き倉庫。
今夜、ここで二つの暴力団が交渉を行うことになっていた。
とはいえ、それは名目だけ。
よほど上手くいかない限り交渉が抗争に変わるであろうことは、どちらの組もわかっていた。

「向こうはまだこねえのか……」
「まるで来る気配がありません」

約束の時間の、5分前。
倉庫には、片方の組の人間しかいなかった。
相手が来ないことにしびれを切らしたこの場の責任者が部下に確認するが、やはりもう片方の組はまだ来ていないようだ。

「怖じ気づいて逃げ出したんでしょうか……?」
「それにしたって、一人もよこさねえってことは有り得んだろ。
 そんな無様晒せば、明日から組員全員この世界で生きていけなくなる。
 ここに来られねえほどの事件でもあったか?」

そんな会話をしていると、一人の組員が血相を変えて走ってくる。

「兄貴!」
「おう、来たか」
「いえ、来たことは来たんですが……。その、一人なんです」
「はあ?」

困惑する組員の前に、一人の男が姿を見せる。

「どうもどうも、時間ギリギリになってしまって申し訳ありません。
 なにぶんこの街に来て日が浅いもので、迷ってしまいまして」

穏やかな口調で、男は語る。
高級なコートに身を包み、長い髪をしっかりと整えたその男の姿は、高い教養を持つ紳士にも見えた。
だが曲がりなりにも裏社会に身を置く暴力団員たちには、すぐにわかってしまった。
この男は、人殺しの目をしていると。

「あんた……あっちの組の人間じゃないだろ? いったい何者だ?」
「では、名乗らせていただきましょう。
 あなた方の殲滅を依頼された、用心棒です」

男はそう言うと、奇妙な刺青が刻まれた両手をかざした。


◇ ◇ ◇


「やれやれ、他愛のないものですね。まあ、平和な国のチンピラではこの程度ですか」

倉庫の中に転がる無数の焼死体を眺めながら、男……ゾルフ・J・キンブリーは呟いた。

「あなたもそう思いませんか、キャスター」

続いて、キンブリーは相棒に声をかける。
彼は、この世界の人間ではない。聖杯戦争の参加者として、異世界から招かれた存在だ。
そして彼にあてがわれたのが、キャスターのサーヴァントだった。

「知るか、殺人鬼め。まったく、とんでもない男がマスターになってしまったものだ……」

キンブリーの問いかけに悪態で返すのは、豊かなヒゲを蓄えた壮年の男。
彼がキンブリーに召喚された、キャスターであった。

「私もあなたも、爆発に魅せられた男です。引かれあってもおかしくないでしょう」
「貴様と一緒にするな! 私は人殺しの道具とするために、ダイナマイトを作ったわけじゃない!」
「ええ、あなたは人殺しの汚名をすすぐために、社会に貢献した人物を称える賞まで作ったそうですねえ。
 お優しいノーベルさん」

必死の形相のキャスターとは対照的に、キンブリーは楽しそうに笑う。

「そんなあなたが、なぜ今さら聖杯を欲するのです?
 名誉なら充分に回復したのでは?」
「まだだ、まだ足りぬのだ。私が家族の命を犠牲にしてまで生み出したダイナマイトを、悪しき者として扱う人間がいてはならぬ!
 聖杯にでもすがろう! 貴様のような外道に仕える屈辱も飲み込もう!
 私は、一点の曇りもない名誉を望む!」
「その信念の強さ、実に素晴らしい……!」

キンブリーは、さらに喜色を強める。
彼にとって、人間の価値とは信念の強さだ。
そこに、善悪は問わない。

「ならば私と共に戦いましょう、ノーベル。
 厳しい戦いの中でもその信念が折れぬこと、期待していますよ……」


【クラス】キャスター
【真名】アルフレッド・ノーベル
【出典】史実(19世紀)
【性別】男
【属性】秩序・中庸

【パラメーター】筋力:D 耐久:C 敏捷:D 魔力:D 幸運:C- 宝具:B

【クラススキル】
陣地作成:B
自らに有利な陣地な陣地「工房」を作成可能。

道具作成:B
魔力を帯びた器具を作成可能。
ノーベルは爆薬の作成に特化している。

【保有スキル】
黄金律:B
人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命を指す。
Bランクなら一生金には困らない。

爆発避け:A
誰よりも爆薬に精通した彼は、爆発に巻き込まれることはない。
むろん、自爆することもない。
爆発によるダメージを無効化する。


【宝具】
『我が人生は爆発だ(ボンバー・ボンバー)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-30 最大捕捉:50人
爆発物の専門家としての彼の生き様が、戦闘用に昇華された宝具。
瞬時にして自分の周囲にダイナマイトをばらまき、全て同時に爆発させる。
レンジ外に逃げる以外に、回避する方法はない。
なお無差別攻撃であるため、使用の際は味方を巻き込まないよう注意が必要である。

『讃えよ、その叡智(ノーベル・プライス)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:視界内 最大捕捉:1人
ノーベル賞の設立者であるという逸話から生まれた宝具。
一定時間自分以外の誰かの知性を、「ノーベル賞を与えるにふさわしい」レベルまで引き上げる。

【weapon】
道具作成スキルで作った爆薬

【人物背景】
スウェーデンの化学者。
若い頃から爆薬の研究に没頭し、これまでに無く扱いやすい爆薬「ダイナマイト」を発明する。
その発明により巨万の富を得るが、ダイナマイトが軍事利用されたことにより「死の商人」との悪評も立つようになった。
それを気に病んだノーベルは、名誉のために死後遺産を使って世界に貢献した人物を称える賞を作るよう遺言を残す。
それが現在のノーベル賞である。

【サーヴァントとしての願い】
自分とダイナマイトの、完全なる名誉の回復。


【マスター】ゾルフ・J・キンブリー
【出典】鋼の錬金術師
【性別】男

【マスターとしての願い】
ノーベルの信念を見届ける。聖杯にかける願いはない。

【weapon】
現在は特にないが、いつでも爆発物を作れる。

【能力・技能】
「錬金術」
物質を分解・再構築し、別のものに作り替える技術。
キンブリーは特に、爆発物を作ることを得意とする。
発動には錬成陣と呼ばれる特殊な陣を描く必要があるが、キンブリーはそれを刺青として直接手の平に刻んでいる。

【人物背景】
アメストリス国の国家錬金術師。二つ名は「紅蓮の錬金術師」。
イシュバール戦線にて虐殺の限りを尽くした後、賢者の石の返還を拒み上官を殺害したため投獄。
しかしホムンクルスに戦力として目をつけられ、彼らの裏工作により釈放。
以降は軍人として行動しつつ、裏でホムンクルスの計画に協力する。
紛れもない外道だが独自の美学を持ち、強い信念を持つ人間に対しては敵対していても力を貸すこともある。

今回は死亡後より参戦。冬木市では裏社会の用心棒として活動している。

【方針】
聖杯狙い。

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最終更新:2016年09月09日 21:28