――封建制とは、土地を媒介にした、領主と家臣の間の主従関係に基づく社会形態を指す。
領主は土地の支配を認める代償に家臣に忠誠を誓わせ、家臣は軍務や奉仕によって領主に報いた。
――領主は保有する農奴に様々な税などを要求し、それによって生活していた。
時代が下るにつれて農奴の生産力は向上、さらに貨幣経済が浸透すると商業が活発化し、都市は発展した。
領主たちも次第に貨幣を要求するようになるが、この頃には農奴の発言力もかなり増していた。もはや貴族たちも彼らの意見を無視できない。
この後、幾度かの農民反乱を経て、封建制は崩壊へと進んでいった。
図書館でそこまで読み進めたウィーグラフは、深い溜息とともに読んでいた本を閉じた。
如何なる文献を調べようと、記述は概ね同じだった。
――貴族制は崩壊する。
軍事革命によって騎士は存在意義を失う。各地の諸侯が経済力・軍事力を失う事で中央集権が進み、力をつけた市民に王政は打倒される。
その先にあるのが今、彼がいる世界…地球。ここで見聞きしたもの全てが、ウィーグラフに金槌で殴られたような衝撃となって襲い掛かった。
彼の夢は身分に左右されない平等な世界の建設。その未来図がこの街なのだ。
(だが、人の間にある差が解消されたわけではない……。)
ウィーグラフの胸中を、暗澹たるものが満たしていく。貴族、という身分の意味は薄れたのだろう。
しかし経済力や経歴によって、暮らしぶりや人生の質は大きく異なってくる。
真っ当に働いても子孫に財産を残せない者もいれば、重犯罪を犯しても罰せられることのない者もいる。
教育が行き届き、文明が発展したここにも、貧困や腐敗、支配は厳として存在していた。
ウィーグラフは館内をぐるっと見渡してみる。利用客は老若男女さまざまだったが、一人として飢餓の気配は見えなかった。
これでもマシなのだ。彼が生まれ育ったイヴァリースには"これ"すらない。
≪■■■■■……!≫
≪ああ、そろそろ出ようか……バーサーカー≫
本棚に書籍を戻している時、サーヴァントが音ならぬ声をあげた。
ウィーグラフに宛がわれたのは、異相の狂戦士だった。
ほくろだらけの顔の上、目と眉は吊り上り、エラと顎が突き出した醜男。
ステータスに難はないが、意思疎通のとれない燃費の悪いクラス。
聖杯への道は遠いが、挫けてはいられない。
ウィーグラフは聖杯を欲する。彼が生きる世界には功績や能力では覆せないものがあるから。
それをひっくり返すために、ウィーグラフは聖杯を求める。
必要ではないのだろう。この街で見聞きしたような事を向こうで再現できるなら、願望器の助けを借りなくてもいい。
だが、それを成すには時間も物資も人手も足りない。率いた組織は既に潰れた。
ウィーグラフが率いていたのは平民から募った集団であり、野盗なみに落ちぶれた彼らを支援しようなどという物好きは遂に現れなかった。
自分が失踪した後も、敵は相変わらず、思うが儘に世界を整え続けているのだろう。
この戦力差をひっくり返せるなら、未来を生きる子供達だって殺す。
(まずは同盟か……)
館内から外に出ると、凍えそうな空気がウィーグラフに覆いかぶさってきた。
"持たざる者"を取り巻く状況にも似た、厳しい寒さだ。
サーヴァントなる高位の使い魔の維持がどれほど負担になるのか知らない以上、焦りは禁物。
地形を把握し、他の主従を捕捉。真っ向勝負は極力避け、相手の消耗を狙う。
奇襲、誘拐、脅迫、大いに結構。理想を垂れる気など、全てを失った今のウィーグラフにはない。
≪■■■■■≫
≪敵が現れるまで、大人しくしていろ≫
会話できないのが残念だった。バーサーカーの真名は外見の特徴から推測できた。
よく似た肖像画が残っていたのだ。もし考えている通りなら、自分のもとに召喚されたのも頷ける。
貧農に生まれた男。一時は乞食同然になりながら、政治混乱に乗じて皇帝にまで上り詰めた男。
300年近く続く大国の基礎を築いた大英雄。その振る舞いからは農民に対しての慈悲と、上流階級への不信感がありありと読み取れた。
その経歴には自分に通じる点が多々あり、辿る道が違えば、自分も彼のようになれたのではないかと思う。
戦略の問題もあるが、もし正気を保っていたなら、お互いの事をじっくり語り合ってみたかった。
【クラス】バーサーカー
【真名】朱元璋
【出典】14世紀、中国
【性別】男
【ステータス】筋力C 耐久A 敏捷B 魔力B 幸運A 宝具B
【属性】
混沌・狂
【クラススキル】
狂化:B
全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。
馬皇后や朱標など家族が接触を図ってきた場合は幸運判定を行う。成功すれば暴走停止。
【保有スキル】
皇帝特権:A
本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。
ランクA以上ならば、肉体面での負荷(神性など)すら獲得できる。
軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。
貧者の見識:C
相手の性格・属性を見抜く眼力。言葉による弁明、欺瞞に騙され難い。
農民に生まれ、紅巾軍に加わるまでの間を乞食同然で過ごした事で得たスキル。
【宝具】
『凌遅・六文字獄(我を謗る者、天に仇なすに同じ)』
ランク:B+ 種別:対国宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
生前に行った大弾圧・大粛清を再現する宝具。
レンジ内に「知識人」、「商人」、「政治家」、「軍人」を発見した場合、30もの不可視の刃で全身の肉を削ぎ落とす。
上記条件に該当しなくても、光、禿、僧、生、則、道の文字を書いたり話したりしていた場合、同様の攻撃を加えることが出来る。
両方の条件に該当した場合、ヒット数とダメージ値が2倍になる。
この攻撃は物理的なものだが、皇帝としての権力に由来するものの為、Bランク宝具以下の防具は素通りする。
宝具以外でこの攻撃を凌ぐ方法は、対粛清ACか耐久値のみ。
ただし、Aランク以上のカリスマか皇帝特権の持ち主、政敵たりえない貧者や農民は無条件でこの宝具の攻撃対象から外れる。
六文字を使っていても攻撃する事は出来ない。
さらに現在は狂化の影響でターゲットの探知能力が制限されている為、バーサーカーの視界から外れればレンジ内であっても、攻撃を一時的に中断させ、やり過ごす事が出来る。
【weapon】
無銘:柳葉刀
【人物背景】
明の建国者。
貧農に生まれた彼は家族を喪うと托鉢僧となり、紅巾の乱を起こした白蓮教徒の軍に加わるまでの間は乞食同然の生活を続けたという。
上司に当たる郭士興の死後、勢力を急速に拡大。北伐によって元を撃退し、やがて中国全土を統一。
明を建国すると初代皇帝に側位、権力を皇帝に集中させる独裁体制を敷く。
内治においては重農政策を打ち出し、治水事業や農地回復を全国的に行う傍ら、大商人や大地主の財産を没収、彼らを開拓地送りなどにした。
托鉢僧だった過去にコンプレックスを持っており、即位後はそこに家臣が国を奪うのではないかという疑念が加わり、コンプレックスは肥大化。
猜疑心や劣等感に憑りつかれた彼は、知識人や官吏への大弾圧を行うようになる。
死ぬ間際まで家臣を殺し続けたが、家族には強い愛情を持っていたとされる。
しかし彼の死後、有能な将軍のいなくなった朝廷軍は大した実力を発揮できず、死後に起きた政変において、孫の建文帝の敗北を招くこととなった。
【聖杯にかける願い】
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【マスター名】ウィーグラフ・フォルズ
【出典】FFT
【性別】男
【Weapon】
なし。
【能力・技能】
「ホワイトナイト」
清らかな鎧に身を包む聖騎士。汚れなき精神が編みだした『聖剣技』で邪なるものを退ける。
基本的な体術に加え、神の加護を宿した奥義によってサーヴァントにすら傷をつける可能性を持つ。
【人物背景】
五十年戦争末期、平民の義勇軍「骸騎士団」を結成、正規の騎士団に匹敵する活躍をしたが、母国の敗戦により一切の恩賞なく解散させられる。
王家や貴族に切り捨てられた彼らは骸旅団として、貴族の圧政からの解放を大義名分にテロ活動を行うようになった。
ウィーグラフ自身は革命を目指して戦っているが、団員の中には略奪や誘拐を繰り返す者もいる。
組織が壊滅した後、彼の中から高潔さは消え、理想の為なら汚い事に手を染めるのも厭わなくなった。
Chapter1終了後から参戦。
【聖杯にかける願い】
イヴァリース貴族社会の打倒。
最終更新:2016年09月11日 21:44