私の名前は吉良吉影、年齢は33歳。
自宅は杜王町北東部の別荘地帯にあり結婚はしていない。
仕事はカメユーチェーン店の会社員で遅くとも夜8時までには帰宅する。
タバコは吸わない、酒はたしなむ程度。
夜11時には床につき、必ず8時間は睡眠をとるようにしている。
寝る前に温かいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体をほぐしてから床につくとほとんど朝まで熟睡する。
赤ん坊のように疲労やストレスを残さずに朝目を覚ませ、健康診断でも異常なしと言われた。
そんな風に『心の平穏』を願い、『植物の心のような生活』を目標とするこの私が―――
「どうして殺し合いなどに巻き込まれなければならないッ!」
吉良は現状に怒りを覚えずにはいられなかった。
どんな願いも叶える聖杯、それを奪い合う聖杯戦争。
その為に呼ばれるサーヴァントと呼ばれる過去の英霊。
全部が吉良には必要の無い物だ。
どんな願いが叶うという謳い文句は確かに魅力的かもしれないが、その為に『闘争』に巻き込まれるのはごめんだ。
そんな目に合うくらいなら願望器など他の誰かにくれてやる。
そして何が英霊だ。過去に名を遺した人間と会えるのは、歴史マニアからすれば涎を垂らすほどの喜びかもしれないが私にそんな趣味は無い。
「マスターも大変ね、同情するわ」
そんな吉良の様子を見ながら、同じ場に居た金髪碧眼の女性が呟く。
この女が吉良の元に現れたサーヴァント、クラスはアサシンだ。
そのアサシンを吉良は睨む。
「……何よ? 言っておくけど私に当たらないでよ。私が貴方を連れてきたわけじゃないし」
「分かっているさそれくらい」
それだけ言って吉良はアサシンから目をそらす。
本当は色々言いたいことがあったが、吉良は堪えた。
ここでアサシンに当たり散らしてもしょうがない事は明確、ならば聖杯戦争に向けた話し合いをする方が余程建設的だ。
腹立たしくはあったが。
「それでアサシン。まず聞きたいんだが、君は誰だ?」
「真名という意味ならキングズベリー・ランの屠殺者よ。ご存じかしら?」
「キングズベリー・ランの屠殺者ね……」
その名前を吉良は知っていた。
とは言っても詳しい事は知らない、精々アメリカに昔居た連続殺人鬼だという事くらいしか知らない。
だが吉良はそれとは別の部分に疑問を抱いた。
「それは通称のようなものであって君の本名ではないだろう」
「そう言われても名乗れる名前はこれしかないわよ」
「……からかっているのか?」
「違うわよ」
そう言ったアサシンはさっきまで無表情を貫いていた物の、次の瞬間心底忌々しそうな顔をする。
その顔を見た吉良は、この女はこんな表情もするのかと驚いた。
「私には記憶がないの」
「記憶がない?」
「そう。私には自分が『キングズベリー・ランの屠殺者』だったという事しか記憶がないの。
私が何処の誰だったかとか、どんな生まれでどんな風に育ったとか、そもそも何を思って連続殺人なんてしたのかさえね」
「……」
吉良はアサシンの独白を黙って聞いている。
「そしてその記憶を取り戻すのが私の願い。聖杯戦争に乗り気じゃないマスターには悪いけどこれだけは捨てられない」
「しかし、こう言うのはなんだが取り戻したいのか? 楽しい思い出など一つもないかもしれないぞ」
淡々と、しかし強く言い切ったアサシンに対して吉良は疑問を投げかける。
アサシンが生きていた1930年代は世界恐慌が収まらず、クリーブランド・フラッツというスラムが発生するほどの情勢だった。
もしもアサシンがそのスラムの住人だとするならば、はっきり言っていい思い出があるとはとても思えない。
だがアサシンはそんな吉良の疑問を一蹴する。
「じゃああなたは耐えられるの?
例え自分の生涯が誰も目にもとまらない平凡なものだったとしても、誰もが目を背けたくなるような地獄だとしても、それすら分からない現状が貴方にとっては平気なことなの!?」
「…………」
その問いに吉良吉影は答える事が出来ない。
例え過去の全てを失ったとしても、それを取り戻すために嫌いな『闘争』に自分が飛び込む姿がイメージ出来ないから。
そんな吉良を見てアサシンは一言。
「返事しないのは、自分がそんな状況に陥る事が想像できないからって事にしておくわ」
「……そうしてくれ、アサシン」
◆
「話が逸れたわね」
「そうだな。ではアサシン、君の戦闘能力を聞かせてもらおうか」
「はっきり言って弱いわ」
アサシンの迷いない即答に思わず唖然とする吉良。だがアサシンはそんな主の事を気にせず話を続ける。
「私に出来るのは気配を消して不意打ちでマスター殺すことくらいよ」
「……そうか、ならマスター狙いを主軸に考えるとしよう」
「え?」
吉良の迷いない即答に思わず疑問の声が出るアサシン。それを聞いた吉良が何事かと問いかける。
「どうかしたか?」
「私が言うのもアレだけど、人殺しとかためらわないの? いや別にいいけど」
「質問に質問で返すな。
……今の場合はやむを得ないだろう。刑法でも緊急避難が適用されるはずだ」
「法律が許すなら人殺しOKなのねマスターって。……楽でいいわ」
「私としては何事もなく元の世界に帰れるのならそれで構わないからね」
「……マスターって何者なの?」
それはアサシンの心からの疑問。
連続殺人鬼に嫌悪感も見せることもなければ殺人を否定しない目の前の人間が、どういう人生を過ごして来たかをアサシンは気にせずにはいられなかった。
「私は何処にでもいる一般的な会社員さ」
「マスターみたいな人間がどこにでも居るとか日本って凄いのね」
「どういう意味かな?」
「そのままよ、正直私と同じ殺人鬼とか言われた方が納得するわよ今までのマスターを見てると」
その言葉に一瞬だけ動揺する吉良。
勿論そんな動揺はおくびにも出さずアサシンに返事するが、吉良の中でアサシンに対する警戒度が少し上がる。
「仮に私が殺人鬼だったとしても、それを自己紹介する道理はないな」
「まあ確かに、そんな自己紹介する奴とか足手まといにしかならなさそうね」
吉良の言い分に思わず納得するアサシン。
それと同時に思いっきり自己紹介した自分に疑問を思うが、それはそれよねとアサシンは棚上げした。
「ねえマスター」
「何だ?」
「―――勝ちましょうね」
それはアサシンの心からの言葉。
友情も愛情も忠誠心もない己の主に対してだが、悪名轟く自分を拒絶しないマスターにアサシンは少しだけ好感を覚えていた。
「当然だ、私はこんな所で死ぬわけにはいかない。必ず『幸福』に生きてみせるッ!」
そして吉良はそれに気付かないし、気付いたとしても気にも留めない。
【クラス】
アサシン
【真名】
キングズベリー・ランの屠殺者
【出展】
史実、20世紀アメリカ
【性別】
女
【属性】
混沌・悪
【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷C 魔力D 幸運A 宝具E
【クラススキル】
気配遮断:A
自身の気配を消す能力。
完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。
【保有スキル】
精神汚染:C
精神が錯乱しているため、他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。
ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。
人体切断:A
生きている相手の肉体を切断する技術。
Aランクとなると、肉屋か外科医のように鮮やかな切れ味。
情報抹消;B
対戦が終了した瞬間に目撃者と対戦相手の記憶から、能力、真名、外見特徴などの情報が消失する。
例え戦闘が白昼堂々でも効果は変わらない。これに対抗するには、現場に残った証拠から論理と分析により正体を導きださねばならない。
【宝具】
『キングズベリー・ランの屠殺者』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1
アサシンそのものが宝具。
アサシンの正体は誰も知らないが、アサシンだと疑われた人物は数多いる。
その為か、アサシンは呼び出したマスターがイメージする『キングズベリー・ランの屠殺者』の姿で召喚される。
ただし、マスターがキングズベリー・ランの屠殺者に関する知識がない、もしくは知っているだけで人物像をイメージしていない場合、姿は完全ランダムとなる。
今回は完全ランダムで現れた。
【weapon】
ナイフ
【人物背景】
1930年代に犯行を重ねた正体不明の連続殺人鬼。
公式では12人と言われているが実際の被害者の数は不明。
アル・カポネの摘発で有名なエリオット・ネスが捜査に当たったが、犯人を捕まえる事は出来なかった。
アサシンの正体は誰も知らない。アサシン自身でさえも。
アサシンは自身の正体に関する記憶を消失しており、覚えていることは自身がキングズベリー・ランの屠殺者、またはクリーブランド胴体殺人者と呼ばれる存在だったという事のみ。
【特徴】
基本的に無表情な金髪碧眼の白人女性。
それ以外に目立った特徴は無い。
最も、エリオット・ネスから逃げおおせた殺人鬼に目立つ特徴があるというのも不自然な話ではあるが。
【サーヴァントとしての願い】
自分が正体を取り戻す
【マスター】
吉良吉影
【出展】
ジョジョの奇妙な冒険
【能力・技能】
スタンド『キラークイーン』
「第一の爆弾」
手で触れた物を「爆弾」にする能力を持つ。
爆弾は
- 爆弾自身が爆発する
- 爆弾に変えた物体に、触った者を爆発させる。
- キラークイーン右手のスイッチを押すことによってのみ爆発する。
- 他の物体に接触すると即座に爆発する。
と言った性質を使い分ける事が出来る。
ただし対象を爆弾に変える時にしか決められず、一度爆弾に変えたら後から性質を変える事は出来ない。
また、一度何かを爆弾に変えると、それが爆発し終わるまでは新たに爆弾を作る事は出来ない
「第二の爆弾 シアーハートアタック」
キラークイーンの左手に装着されている、戦車のようなスタンド。
「熱」に反応して対象を自動的に追尾し、爆発攻撃する。
凄まじく頑丈に出来ている。
【人物背景】
M県S市杜王町在住、33歳のサラリーマン。
周囲からの評判は悪くないが、どことなく影の薄い男。
その実態は女性の手に欲情し、手の美しい女性ばかりを殺している殺人鬼。
平穏で幸せな「植物の心のような生活」を目標とし、目立たないように生きる事を心がけている。
【マスターとしての願い】
生きて杜王町に帰る。
【備考】
参戦時期は本編登場前です。
最終更新:2016年09月13日 17:36