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キャリエッタ・ホワイト&アーチャー

鐘が鳴った。闇に沈んだ墓所で男が対峙するのは狂気に堕ちた「神父」。
跳ね回る男は唸る神父の大斧の一撃を運悪く受けるが、致命傷は辛うじて避けた。

男は懐から取り出した薬品を太腿に打って体力を回復。短銃で神父を怯ませ、鉈を叩き付ける。
神父も負けてはいない。近くに寄らば大斧を見舞い、逃げるなら銃で狙う。
男と神父の体力には雲泥の差がある。周囲に並ぶ墓石は男にとって盾であり、目晦ましの障害物であった。
しかし、それも神父が苦悶に身を折るまで。


神父は大音響を伴い爆裂。その時あげた声は、己が身を嘆く悲鳴のようであった。
夜闇の中、一匹の獣と化した神父の前に、墓石は全ての役目を放棄する。
男は果敢に応戦するが、回復薬は雪が溶けるようにその数を減らしていく。神父が変化して間もなく、男は獣の前に崩れ落ちた。





「これで6回目なんだっけ」

アーチャーは少女――キャリーの声を浴びると、画面の前で溜息をついた。
がっしりした顎に鷲鼻、力強い眼差し。厳つい風貌のサーヴァントだが、中身まで強面ではない。
常に楽しい事を探す姿は些か子供っぽく、キャリーより年長ながら、どこか愛嬌を感じさせる男だった。

「まだ続ける?」

「とりあえずもう一回だけ……いや、その前にマスター、どうかな?ちょっと動かしてみるか」

「遠慮しておくわ」

「そうか…」

 コントローラーを差し出したアーチャーが腰を下ろした近くには、Blu-rayのパッケージが横たわっている。
パッケージには理知的な女性と温厚そうな少年が背中合わせで描かれ、二人の足元に当たる、パッケージの下半分には四枚の翼を広げた天使に似た――アーチャー曰く、ロボットなのだそうだ――ものが描かれていた。
ちょっと見せてもらったが、キャリーはいまいち話についていけなかった。彼女が眉を寄せるとアーチャーは1巻から見せようとしたが、それは遠慮しておいた。
聖杯に執着が無いとはいえ、この状態は弛緩しすぎではないか?キャリーが口に出すと。

「索敵はしているじゃないか。それに君…帰りたくないんだろう?」

 カウンターをもらって、キャリーは小さく呻いた。







 キャリーは一応、脱出を方針としている。
しかし、本音を言えば故郷――チェンバレンには帰りたくない。
向こうと変わらず連れ立って帰る友人はいないし、外国人というだけで日本の街ではちょっと浮いてしまう。
しかし、冬木ではクラスメイトからの嘲笑はなく、クローゼットに六時間もキャリーを閉じ込めるママもいない。
ここではただの外国人でいられる。いずれ殺し合いに巻き込まれることを除けば、今の暮らしに十分満足できていた。
ママに心配はかけたくない。だが伸び伸びと振る舞える現在はそれと同じくらいに重い。

 優勝を目指すか?考えはするが、殺人に手を染めるのは恐ろしい。
いざその時になれば気も変わるのかもしれないが、罪の意識がキャリーの手足を必死に押さえ込んでいる。

「帰りたくないなら、帰らなきゃいいのさ」

「…日常の殺人は罪だ。だが君は今、戦場に放り込まれている。自害する気が無いなら、割り切ってしまった方がいいよ」

 画面に顔を戻したアーチャーが事もなげに言うとキャリーは俯き、そのまま黙りこくってしまった。

 異能を持つとはいえ、軍人と同じ判断を民間人に求めるのは酷だとは思うが。背中を向けたアーチャーは黙考しながら、チョコレート菓子の箱を開封する。
キャリーのマスター適性は標準的な魔術師と同等、あるいはそれ以上だろう。しかし、相棒としては不安があった。

 湿っぽい性格で鬱憤を大量に溜め込んでいる為、雷管に火が灯るように、些細な切っ掛けで大爆発を起こしかねない。
そこに念動力だ。自分の目でも確認したが、キャリーは手を触れずに自動車を2~3メートル動かす程度、造作もなくできてしまう。
持てる限りの力を放とうものなら、瞬く間に他の主従に捕捉されるだろう。
アーチャーとしては現代の娯楽で少しでもストレスを解消しておいてほしいのだが、キャリーは自由な時間があると、家に閉じこもって欝っぽくしている。

「興味がちょっとでもあるのなら、躊躇わずに手を伸ばしたほうがいいと思うがね。今日が人生最後かも知れないのだから」

「……」

 アーチャーは菓子を頬張りながら、7度目の戦いに挑む。
キャリーは動かない。本人は動きたいのだが、抑圧され続けた人生が、彼女から青春の無鉄砲さを奪っていった。
遊び心と好奇心のままに動くアーチャーが羨ましかった。
少女に動く気配がないのを見て取ると、7度目の戦いに敗れたアーチャーはゲームの電源を消して立ち上がった。

「今日はやめだ。こいつの鑑賞会用に菓子を買いに行きたいから、ついてきてくれ」

 不敵な笑みを浮かべるアーチャーが取り上げたそれは、やはり何かのパッケージだった。
描かれているイラストの質から、キャリーには内容がアニメであることを察することができた。
パッケージに描かれているのは、黒いバックに学ランを着た劇画調の男性3人。そして3つの頭の背後から突き出る、学ランを着たドラム缶の様な何か。
もしキャリーにロックの知識があるなら、(某バンドみたいだ)と思っただろう。




【クラス】アーチャー

【真名】ジャック・チャーチル

【出典】20世紀、イギリス

【性別】男

【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運A 宝具EX

【属性】
混沌・善

【クラススキル】
対魔力:E
 魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。


単独行動:A
 マスター不在でも行動できる。ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。


【保有スキル】
頑健:C+
 対毒を含み、耐久力も向上させる。特に疲労の蓄積速度を遅くする。
 第二次大戦前に往復4000㎞を自転車で走破した逸話、大戦中に敵軍の収容所から脱走後に200㎞を一週間走破して味方と合流した逸話から獲得。


冒険心:A+
 威圧・恐怖・幻惑といった精神干渉を無効化する能力。


軍略:D
 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。


仕切り直し:B+
 戦闘から離脱する能力。
 完全に捕捉された状況であろうとも、ほぼ確実に離脱することができる。
 捕縛された後に効果が上昇。相手がAランク以上の追撃能力を有さない限り逃走は判定なしで成功するようになる。


【宝具】
『時の彼方から放たれた一矢(シュート・ヒム)』
ランク:C++ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1人
 第二次大戦中に記録上唯一、弓矢で戦果を挙げた男。
 戦闘突入時、初撃としてのみ使用可能。
 弓矢を取り出した時点で対象の敏捷値がワンランクダウン。さらに矢を番えた時点で対象の知覚・回避系スキルを全て停止させ、対象の戦力に応じたダメージボーナスを追加した一撃を放つ。
 放った矢が着弾した時点で、上記の効果は消失する。
 自分より圧倒的に強い相手には必殺の一矢となり、自分より弱い相手にはただの遠距離攻撃となる。


『この音色は勇者の為に(ファイティング・プレイ)』
ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:500人
 バグパイプによる演奏。
 勇壮な音色により、自軍の精神に由来するバッドステータスを治癒する。
 Cランク以下の状態変化は完全回復。Bランク以上の場合でもCランク分、効力を減衰させる。
 また、対象のメンタルが正常であった場合、一時的に「冒険心:C」を与えることができる。
 ただし、演奏が聞き取れなかった相手には効果が発生しない。


『それは一つの可能性(オペレーション・マッドパーティー)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:500人
 第二次大戦中、自軍で戦列歩兵陣を展開した男。
 各員Cランク相当の単独行動スキルを持つコマンド部隊をレンジ内で展開、全軍で突撃する。
 発動後3ターン目まで、この軍団と対峙した敵全員の思考を完全に停止させる事ができる。

 また、別陣営の三騎士サーヴァントと同盟を組んだ場合、この宝具は更なる力を発揮。
 敵軍が思考停止するターンが一騎につき、2ターンずつ延長される。
 魔術防御ではこの宝具の効果を逃れることはできない。ただし、対象の視覚や精神に障害があった場合は効果が発生しない。


【weapon】
「クレイモア」
近接用の武装。

「無銘:弓矢」
宝具の鍵となる弓矢。矢を魔力で補充できる。

「手榴弾」
普通の手投げ弾。魔力で補充できる。

「バグパイプ」
宝具の鍵となるリード式の民族楽器。


【人物背景】
イギリスの陸軍軍人。
並外れた肉体を持っていた彼は第二次大戦が始まると、持て余した力を発散するべく最前線に喜んで送られていった。
自動火器やミサイルが登場した当時の戦場で、彼は中世騎士の如くソードやロングボウを携えて敵陣に突撃していく。
彼の想像を超えた振舞いは敵軍に大打撃を与え、コマンド部隊の指揮を任せられるまでになった。


【聖杯にかける願い】
強いて言うなら受肉。ただし、神代か宇宙世紀で。




【マスター名】キャリエッタ・ホワイト

【出典】キャリー

【性別】女

【Weapon】
なし。


【能力・技能】
「TK能力」
念じるだけで物体を動かす力。
平時は家具を動かす程度だがストレスが強まるほど出力が上がり、保身を考えずに力を解放すれば、市内の一区画を再起不能にできるだろう。


【人物背景】
狂信的なキリスト教信者の母親に育てられた地味な少女。
学校でもクラスメイトから苛められていた彼女は更衣室で初潮を迎え、知識のない彼女はパニックに陥ってしまい、経血を見て怯える彼女に対して、クラスメイト達はタンポンを投げつけて囃し立てた。
実は思念によって物を動かす事が出来る超能力者なのだが、その事実は周囲から把握されていない。

プロム出席前から参戦。


【聖杯にかける願い】
帰った方がいいのだろうけど、帰りたくない。

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最終更新:2016年09月13日 21:08