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伊東鴨太郎&アサシン

本当にほしかったものに気づいたのは、命が尽きる間際のことだった。
それは目の前にあった。ただ、見ていなかっただけだった。
あの形で人生を終えたことに、悔いは無い。
だがもし、もう一度やり直せるというのなら……。


◆ ◆ ◆


「……これが僕という、愚かな男の人生だ。暇潰しくらいにはなったかね、アサシン」

町外れの廃ビルの中で、一組のマスターとサーヴァントが顔をつきあわせていた。
マスターの名は、伊東鴨太郎。
ここではないどこかの世界の日本で自分の所属していた組織を乗っ取ろうと企み、そして死んでいった男だ。
たしかに死んだはずの彼は、いかなる奇跡か気が付けばこの冬木の地にいた。
ちぎれ飛んだ腕を始めとして、傷は完全に癒えていた。
そして混乱する伊東に与えられたのは聖杯戦争の知識と、アサシンのサーヴァントだった。

「世界が一つじゃないってのは、英霊になってから得た知識で知っていたが……」

これまで伊東の身の上話を黙って聞いていたアサシンが、ゆっくりとしゃべり出す。

「世界が違っても、似たようなものは出てくるんだな。
 『しんせんぐみ』の近藤、土方、沖田か……」
「まったくだ。僕もあなたの真名を聞いて、心底驚いたよ。
 世界の壁を越えてまで、また土方という名前の男と出会うとはね」

そう、アサシンの真名は土方歳三。
新撰組の副長として幕末にその名をとどろかせた男である。
そして、伊東の好敵手と非常によく似た名前を持つ男でもあった。

「まあ、これも何かの縁だ。仲良くやろうぜ、マスター。
 俺はあんたの名前にいい思いは抱けねえけどなあ」
「まあ、名前はともかく……。仲良くはやっていきたいと思う。
 生前……と言っていいのかはわからないが、かつての僕は他人との絆をものにできなかった。
 それを手に入れれば……違った生き方ができる気がする」
「甘っちょろいこと言ってやがるなあ。これから殺し合いやるんだぜ、俺たちは。
 そんなんで本当に大丈夫かよ」

辛らつな言葉を吐く土方。しかし、その顔には笑みが浮かんでいた。

「まあ、あんまりきついこと言うのも可哀想か。話を振ったのはこっちだしな。
 仲間同士で信頼を深めるのは、何も悪いことじゃねえ。
 とっさの連係が必要になることもあるだろうしな。
 勝つために、やれることはやっておくべきだ」
「勝つために、か……。そうだな、僕は勝ちたい。
 本来死人であるはずの僕が願いを叶えようとするなんて、おこがましいのかもしれないが……。
 それでも僕は、やり直せるものならやり直したいんだ」
「やり直す……」

土方は、ふいに天井を仰ぐ。

(もし、もう一度やり直したとしたら……俺たちは勝てるのか? 新撰組は壊滅せずに済むか?
 いや、おそらくは無理だ……。しょせん俺たちは、時代についていけなかった連中だ。
 仮に無理やり勝たせたとしても、それは日本の未来を歪めることになる。
 高確率で、悪い方にな……)

土方の口元が、自嘲に歪む。

「何か……?」
「いや、たいしたことじゃねえ。ちょっと考えの整理をな」

不安げな伊東に対し応える土方の顔は、すでに平静を取り戻していた。

「とにかく、俺は戦って勝つことが目的だ。聖杯はおまえさんが好きに使えばいい」
「ああ、遠慮無くそうさせてもらおう」
「それじゃまあ……改めてよろしく頼むぜ、マスター」

土方が、無造作に手を差し出す。
伊東は少し考えたあと、その腕を取った。

(もう少し早く、こうして他人の手を取っていれば……。
 いや、それは今思うべきことじゃない。
 それをやるために、僕は戦うんだから)

伊東鴨太郎の新たな戦いが、ここに始まる。


【クラス】アサシン
【真名】土方歳三
【出典】史実(日本・幕末)
【性別】男
【属性】秩序・悪

【パラメーター】筋力:B 耐久:C 敏捷:C 魔力:E 幸運:D 宝具:B

【クラススキル】
気配遮断:C
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】
軍略:C
多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。

仕切り直し:B
戦闘から離脱、あるいは状況をリセットする能力。また、不利になった戦闘を初期状態へと戻し、技の条件を初期値に戻す。
同時にバッドステータスの幾つかを強制的に解除する。

拷問技術:A
卓越した拷問技術。拷問器具を使ったダメージにプラス補正がかかる。

心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。


【宝具】
『誠の旗』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1-50 最大捕捉:200人
新撰組隊士の生きた証であり、彼らが心に刻み込んだ『誠』の字を表す一振りの旗。
一度発動すると、かつてこの旗の元に集い共に時代を駆け抜けた近藤勇を始めとする新撰組隊士達が一定範囲内の空間に召喚される。
各隊士は全員が独立したサーヴァントで、宝具は持たないが全員がE-相当の「単独行動」スキルを有しており、短時間であればマスター不在でも活動が可能。
また、隊士によっては魔剣の域に達した剣術を使用可能なため、総合的な攻撃力は高い。
ちなみにこの宝具は新撰組の隊長格は全員保有しており、
効果は変わらないが発動者の心象によって召喚される隊士の面子や性格が多少変化するという非常に特殊な性質を持つ。
土方が使用した場合は、拷問などの汚れ仕事を行ってきた悪い新撰組として召喚される。

【weapon】
「和泉守兼定」
生前からの愛刀。特殊な力はない。

【人物背景】
幕末の京都を守護した「新撰組」の副長。
厳しい規律で隊士を統率し、「鬼の副長」と恐れられた。
戊辰戦争においては各地を転々としながら終盤まで新政府軍に抵抗を続け、最後は函館・五稜郭にて戦死することとなる。

なお今回はアサシンでの召喚ということもあり、おなじみの浅葱色の羽織ではなく黒い着物を着用している。

【サーヴァントとしての願い】
勝利を味わう


【マスター】伊東鴨太郎
【出典】銀魂
【性別】男

【マスターとしての願い】
真撰組入隊時から、人生をやり直す

【weapon】
無銘の日本刀

【能力・技能】
頭脳は優秀。剣術の腕もかなりのものである。

【人物背景】
真撰組入隊からわずか1年で、参謀という地位を手に入れた人物。
他の隊士たちが苦手な外部との交渉を一手に引き受け、局長の近藤からも篤く信頼されていた。

幼少期は文武両道の神童であったが周囲からは嫉妬しか向けられず、次男であるがゆえに両親からも冷遇されて育つ。
それ故に歪んだ自己顕示欲が膨らみ、自分の力を他人に認めさせることに固執するようになった。
敵であるはずの攘夷志士・鬼兵隊と手を組んで真撰組の乗っ取りを企てるが、元より鬼兵隊からは捨て駒としか見られておらず、まとめて始末されそうになる。
その中で裏切り者の自分を守ろうとする近藤の姿に自分が真に欲していたのは「他者との絆」であること、
そしてそれはすでに真撰組の中にあったことを知る。
しかしその時にはすでに致命傷を負っており、最後は土方によって裏切り者ではなく仲間として葬られた。

【方針】
聖杯狙い。

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最終更新:2016年09月17日 20:57