推進運転とは、一般的には客車を先頭に、最後尾の機関車が客車を推す形で走行する形態を言う。
推進運転の場合は、先頭となる客車に運転資格所持者を配置し信号確認、前方の監視を行い、無線などで機関車へ指示を出し走行する。
日本だと、上野駅行きの寝台特急が上野駅に到着後、尾久基地へ回送するときに見られたものがよく知られている。
また、各社の定める運転取扱実施基準や運転取扱心得などでは、推進運転を"最前部以外の運転台で運転すること"と定義している。この場合、車掌などの係員に前面の監視を行わせ、ブザー合図や連絡装置、無線装置などを用いて進路の状況を確認しながら最前部以外の運転台で運転を行う。多くの会社では毎時25キロメートル以下で運転すると定められている。前述の上野~尾久間の運転では最前部にも運転士を配置するなどの対策を行い、毎時45キロメートル以下での運行としている。
機関車がけん引する列車の場合、その特性上貨車や客車の入換え、方向転換などを行うために推進運転は必ず行わなければならない。貨物ヤードやターミナル駅では世界各国どこでも推進運転を見ることができる。
アメリカでは、貨車や客車の入換え作業はもちろんのこと、長距離旅客列車は編成丸ごと方向転換するため、ロサンゼルスユニオンステーションなどでは長大編成の推進運転を行っている。また、
アムトラックのシルバースターは、盲腸線の終点駅であるフロリダ州タンパに途中停車するため、営業列車で
Yを使った推進運転を行っており、乗車しながら推進運転を体験することもできる。
なお、機関車が最後部に位置する列車の編成で
ペンデルツーク方式や
プッシュプル方式等があるが、これらは最前部にある
制御客車もしくは最前部の機関車で最後部の機関車を操作しているものであるため、推進運転とは違うものである。
最終更新:2017年02月16日 21:47