アムトラック

アムトラック(Amtrak,AMT)はアメリカ合衆国の旅客鉄道を運行する会社。
全土をネットワークとしており、近距離列車から高速列車、長距離の夜行列車などを運行している。
政府や連邦、またほかの鉄道会社より資金提供を受けてできた公共企業で、正式名称はNational Railroad Passenger Corporation(全米旅客鉄道公社)。

設立のなりたち


E8Aユニットと側面に描かれたロゴ、
ポントレスアロー
1960年代になると航空機の登場とハイウェイの発達により鉄道の利用者が急激に減る事態となった。国鉄が存在せずすべて私鉄によって運行されているアメリカ合衆国の鉄道は採算の取れない旅客列車たちを次々と廃止していこうとしたが、このままでは旅客列車が消滅してしまうと危惧した連邦政府が出資を行い、旅客列車のみを運行する会社を立ち上げたのがアムトラックの始まりである。
1971年に設立され、一部を除きほとんどの鉄道会社が旅客列車をアムトラックに移管した。それに伴い、旅客列車で使用する車両も大半をアムトラックへ譲渡している。


路線

アムトラックは、自社でほとんど路線を持っておらず、貨物鉄道会社または地域輸送を行う通勤鉄道の線路を使用料を支払い運行している。これらはトラックオーナーとよばれアムトラックの時刻表にも細かく記載されている。
自社保有路線は以下の通り。
ノースイーストコリドー
キーストンコリドー
エンパイアコリドー
ニューヘイブン~スプリングフィールド
貨物列車のダイヤは基本的に決まっておらず、単線区間や複線区間でも貨物列車とのすれ違いや追い越しなどが頻繁に行われる列車もある。貨物鉄道会社によりアムトラック列車の扱われ方に差があり、優先して運行させている会社もあれば、自社の貨物列車を優先させるためにアムトラックの列車を退避させる会社もある。このため長距離列車となると遅れが頻発しておりひどい時期では貨物列車待ち合わせのため1時間以上の停車、定時運行率5%などの状態が続いたが、2008年に旅客列車を優先させる法律が厳しくなり、アムトラックの定時運行率が飛躍的に向上し現在では定時運行率が軒並み70%を越える結果となっている。

車両

アムトラックでは設立当初はすべて各鉄道会社からの寄せ集めであったが、徐々に新車を導入し現在ではほとんどがアムトラック設立後に導入された車両となっている。
設立時に譲り受けた車両はヘリテージフリートと呼ばれる。
自社所有車両のほかにも州連邦が所有する車両を運行している地域も主にカリフォルニア州とノースカロライナ州で存在する。

機関車

現行機関車

アムトラックを代表する
機関車であるP42DC
メーカー 車種名 動力 活躍場所
ゼネラルエレクトリック GE P42DC ディーゼル 北米全土
ゼネラルエレクトリック GE P40DC ディーゼル 北米全土
ゼネラルエレクトリック GE P32AC-DM ディーゼル、電気(第三軌条) ニューヨーク近郊エンパイアコリドー
ゼネラルエレクトリック GE Dash8 32PHW ディーゼル サウスカロライナ、カリフォルニア地区ほか入替用
エレクトロモーティブディーゼル EMD F59PHI ディーゼル ワシントン、カリフォルニア、サウスカロライナ
エレクトロモーティブディーゼル EMD F59PH ディーゼル サウスカロライナ
シーメンスUSA SIEMENS ACS64 電気(架線) ノースイーストコリドー、キーストンコリドー
ボンバルディア アルストム Acela Powercar 電気(架線) ノースイーストコリドー

過去の機関車
EMD Fシリーズ
EMD Eシリーズ
EMD F40PH
GE C30PH
GE GG1
EMD AEM-7
ALSTOM HHP-8
など

ローリングストック

現行の車両
アムフリート
スーパーライナー
ビューライナー
サーフライナー
カリフォルニアカー
ホライズン
コメット

車両の塗装パターン

アムトラックは設立からいくつか塗装を変更しており、それぞれ順番にPhaseI(フェイズI)~PhaseV(フェイズV)と名付けられている。
基本的には順次新しい塗装へと塗り替えられるが、一部で前の塗装が残っているものもまだ見ることができる。

PhaseI(フェーズワン)

アムトラック設立後におこなわれている塗装で、客車は赤青白の三色のラインとポイントレスアローとよばれる矢を模したロゴマークがあしらわれているのが特徴。機関車はヘッドが赤、上部が黒、下部が白という塗装パターンになっている。

PhaseII

スーパーライナー客車のデビュー時に施されていた塗装で、PhaseIに似ているものの側面のロゴが消えた。PhaseIでは機関車と客車の塗装が違ったが、PhaseIIからは同じものとなった。

PhaseIII

ターボトレインよりおこなわれた塗装パターンで、帯の幅が赤、白、青とすべて同じ幅になり、側面のロゴが文字だけのものとなった。銀色の部分はプラチナミストシルバーでステンレス風のものとなっている。広く知りわたられた塗装で、アメリカではいまだ人気が高い。最新のビューライナーIIバゲッジカーがこの塗装で営業運転を行っており、ロゴが新しいものとなっているためしばしPhaseIIIbと呼ばれる。

PhaseIV

スーパーライナーIIの導入とともに行われた塗装パターンで、これまでとは一新され、細い赤ストライプと太い青帯が車体中央にかかれたものとなった。より現代的でシャープな塗装パターンである。

PhaseIVb

PhaseIVのロゴが新しいものになった塗装で、主に現行の客車に対して呼ばれる、

PhaseV

まったく新しい現行の塗装パターンで、アセラエクスプレスをモチーフにした波上の青と銀色の塗装パターン。現在機関車はほとんどがこの塗装である。

これらのPhase塗装のほかに、路線特有の塗装が存在する。(アセラエクスプレス、パシフィックサーフライナー、アムトラックカリフォルニア、アムトラックカスケードなど)
最終更新:2017年02月06日 12:42