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聞かない

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赤ずきんが完結するのとぬいぐるみとケーキが出来上がるの、どっちが早いかしら………





「うーん、やっぱり気持ちだけでいいわ」

あんまり遅くなると、お婆ちゃんやお母さんにも心配かけちゃうし。

「そうか?」
「うん!えっと、ありがとうございます!」
「いや……どういたしまして」

2号さんはちょっと残念そうだけど、それでも笑いかけてくれた。
うん、初めて会ったのにこんなに優しいんだもの。やっぱり良い人なんだわ。

「なぁ、もしかして何処かに行く途中だったのか?」

良い人狼のお兄ちゃんが、私の抱えていたバスケットを指さして言う。

「うん!お婆ちゃんのお家まで、お見舞いに行くのよ」

「…………婆さん?」

あれ?お兄ちゃんの顔、なんか引き攣ってる?

「そうよ、お薬にとっても詳しいの!ちょっと気難しいところもあるけれど、本当はとても優しい人なのよ!」

「………………」

急に何かを考えるような顔で、人狼のお兄ちゃんは黙り込んだ。
なんだか顔色もどんどん悪くなって………

「お兄ちゃん?どうしたの?具合悪いの??」

「いや……平気だ。何でもない」

人狼のお兄ちゃんはそう言って首を振る。
でも、やっぱり顔色悪いよ………本当に大丈夫かな?

「ほら!それより見舞いに行くんだろ?時間取らせちまったし、近道教えてやるよ」

「近道?」

「そ、近道」

人狼のお兄ちゃんは、背負っていた1号さんを顔をぶつけた木の側に下ろして、近くに落ちてた小さな小枝を拾ってきた。それから目の前にしゃがみ込んで、地面に絵を書きはじめる。

「あーっと、今居んのがこの辺だから……」


        ―― 数分後 ――


「お兄ちゃんありがとー!」

「おう!気ィつけてな!」

手を振りながら去ってゆくアイツに、俺もひらひらと適当に手を振る。
(扱いやすくて助かった……)
さて次は。

「……兄貴?」

「……………」

言葉こそ返してこないが、微妙に張り詰めた気配が後ろから伝わってくる。
俺はもう一度、声をかけた。

「兄貴」

「………ぐー」

「ンなイビキかく奴いねーよ」

まったく、ため息しか出てこない。
(なんでコレが『兄貴』なんだ……)
そう思いながら木の幹に寄りかかった格好の兄貴を見ると、何故か睨まれた。

「………スコールは……ずるい」

「は?何がだよ?」

言ってる意味が分からない。

「俺だって!赤頭巾と話したかった!!」

そうだ、こういう兄貴だった。

「………………あぁ、そう」

俺が目を逸らした事が気に入らないのか、兄貴が更に睨んでくる。
俺にどうしろと。

「あぁそう?何だよ!あぁそうって!!だいたいお前は昔か……ら………」

兄貴の声が途中から小さくなって、遂に途切れた。
なんだ?まさか泣き……!?

「……兄貴?」

兄貴は俺が地面に書いた地図を見ていた。
それはもう、穴が開くほどに。
………………頼むから見んな。どうせ俺は絵が下手だよ。
しかし兄貴の言葉は、俺が危惧しているようなものじゃなかった。

「スコール、この道……あの子に教えたの?」

「ん?あぁ」

だって婆さん家までの近道だし。
悪戯を仕掛けるために俺が通ってた道だ。間違えるはずは無い。

「この道ってさぁ、お婆さんが研究してた薬の材料の……アレが群生してなかったっけ?」

(アレ、ねぇ……チッ、気付いたか)
確かにいた。
臭くてでかくてウネウネしてて、気持ちの悪い………花が。
(確か食虫花だっけ?)
あんなでかい口で、一体どんな虫を食べるというのか。
まぁ目標が人では無いのだから、大丈夫だろう。
が。
それを兄貴に言っても意味はなさそうだし………

「んー……そうだったか?」

適当に誤魔化しておこう。

「そうだよ!少し前にお前が滅茶苦茶にして怒られたばかりじゃないか!!」

「いや、だってあれは……」

兄貴が虫と間違えられて食われそうになってるのかと……
だって薬の材料集めで、その対象(植物)に襲われるとか聞いたことねぇよ。

「とにかく!あんな危ない道教えるなよ!!」

「いや、アイツなら大丈夫じゃねぇ?婆さんの孫だし」

そう、アイツは兄貴を引き付けて走ってた時も中々の走りだった。
機転も利くようだし、何事も無ければ良いが……正直アイツの将来が恐ろしい。
しかし兄貴はそれに全く気付いてないらしく、親が子を心配するが如く焦っている。

「あんな小さいのに大丈夫なわけ無いだろ!?もういい!行くぞ!!」

ガシィッ

兄貴は俺の腕を掴むと、アイツが消えた道へ走り出す。

「…………俺も?」

「当たり前だ!」

「……………ハァ」

(面倒くさい……)
だいたい、何で兄貴を取られるかもしれない相手を、俺が助けに行かなきゃならないんだ。
(そんなモン兄貴がひとりでやれば………)
いや、でも……また兄貴が食われかけるなんて、俺は御免だ。
あの時は本当に心臓が止まるかと思った。
それに比べたら、猟師に撃たれたときの痛さなんて、比にもならない。
(仕方ない。面倒だし、アイツのお守りも嫌だけど、兄貴の為だしな……)
兄貴が心配だから、手伝うんだ。
兄貴と一緒に居たいからじゃない。
一緒に居たいからじゃないんだからな!





(弟視点は家族愛だと自分に言い聞かせて書いてます)
続きは本編で。←鬼























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