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クトゥルフ神話とは:TRPGとは:プレイヤー間の協力:ゲームの背景世界:"クトゥルフ神話TRPG"を楽しむためのヒント:プレイ用具:用語集

■クトゥルフ神話とは
"クトゥルフ神話TRPG"はハワード・フィリップス・ラヴクラフトをはじめとする作家たちの作品をベースにしたホラーRPGである。
 ラヴクラフトは1920年代から30年代に活躍した作家で、1937年に亡くなっていたときには、すでにかなり偶像的な存在になっていた。
死後、その評価はさらに高まり、今日では20世紀アメリカの偉大な恐怖小説作家として評価されている。
ラヴクラフトの創作は、純粋なサイエンス・フィクションからゴシック・ホラーまで広い範囲にわたっている。
またノンフィクション『ケベック州史』、評論『文学と超自然的恐怖』、膨大な書簡などからもある(5巻からなる彼の書簡集が、アーカムハウスから出版されている)
 ラヴクラフトが活躍した1920年代のアメリカは、繁栄の時代だった。
第一次世界大戦後、アメリカはそれまでのヨーロッパに代わって世界の中心に躍り出たのである。
この繁栄の時代は、中流階級の層の時代でもあった。
大量生産は、文化の担い手をそれまでの特権階級から、一般の人々へと変えたのである。
それはまた都市文化の誕生でもあった。文学、映画、ファッション、娯楽、電気製品・・・・・・そこには現代とそう変わらない。
しかし何か懐かしい古き良き時代が始まっていた。
そんな中、今でいうSF、ファンタジー、ホラーといったジャンルの雑誌が登場するようになった。
 そんな雑誌の1つに恐怖小説の専門誌『ウィアード・テイルズ』があり、そこを主な活動の場としていた作家の1人がラヴクラフトだった。
彼の代表作でもある『クトゥルフの呼び声』や『ダンウィッチの怪』もそこで生まれた。
 ラヴクラフトは、ダンセイニ、ボオ、マッケンといった作家の、太古の神々や精霊のような超存在を感じさせる作品の影響を受けた。
そして自分自身も恐ろしいモンスターや神格(特にグレート・オールド・ワン)、恐ろしい力を持つ『ネクロノミコン』などの秘儀書、
「アブドゥル・アルハザード」のような人物、「インスマス」、「アーカム」のような架空の町といった要素を創作して一連の作品に取り入れていった。
それらの作品は読者の想像力を刺激し、その背後にとてつもなく大きな恐ろしい存在を感じさせるのである。
 「クトゥルフ神話」という言葉を造りだしたのは、作家で出版社でもあるオーガスト・ダーレスで、神に似た存在「クトゥルフ」からとられた。
グレート・オールド・ワンたち(クトゥルフもその中の1つ)は、「星辰の位置が正しいとき」が来れば目を覚まし、世界を荒廃に導くことになるだろうと予言されている。
このような物語はほかの作家たち、特にラヴクラフトの弟子や友人である作家たちの想像力をかきたて、彼らはラヴクラフトの神話を膨らませ始めた。
そしてクトゥルフ神話は今日もラヴクラフトの後継者たちの手によって書き継がれている。
 このゲームもその一つである。世界中の若い作家が寄稿したり、独自に特筆したりした新しいシナリオやサプリメントは、すでに100個以上に及んでいる。
英語だけでなく、翻訳あるいはオリジナルの新しいサプリメント*)が、フランス語、ドイツ語、日本語、至りが五、ポーランド語、スペイン語で次々と発表されている。
 また、"クトゥルフ神話TRPG"のシナリオはラヴクラフトのスタイルを踏襲したものでさえあれば、必ずしもクトゥルフ神話の話でなくてもかまわない。
クトゥルフ神話以外でも、恐怖のタネや恐ろしい出来事はたくさん存在している。ラヴクラフトはクトゥルフ神話とは関係のない恐怖小説においても、素晴らしいものを書いている。

 *)サプリメント:別売りされたシナリオや、追加のルール/データ集。


■TRPGとは
 "クトゥルフ神話TRPG"には、2つのタイプのプレイヤーが必要である。
ほとんどのプレイヤーは謎を解き明かし事件を解決しようと努めるキャラクター、"探索者"の役を引き受ける
("探索者"という呼び名は彼らの行うことが主として探索することだからつけられたものであり、彼らがプロの調査員とか捜査官だという意味ではない――プレイヤーキャラクターの職業はどなんものでもありえる)。
1人のプレイヤーは"キーパー"になる(隠された知識をキープしている者というところから、キーパーと呼ばれる)。
キーパーは、シナリオを選択し、プロットを作り、舞台を設定する。
そして場面を説明し、探索者が出会う人々(NPC)の役を演じ、探索者がとるべき行動を決めるための助けをする。
キーパーになる者は特別な準備をしなければならないので、冒険ごとにプレイヤーが順にキーパーの役を交代することも多い。
 "クトゥルフ神話TRPG"は探索者の役をするプレイヤーと、冒険が起こる世界を提示するキーパーとの間のやりとりを膨らませてゆくゲームである。
実際のプレイはほとんどが会話で進んでゆく。
まず、キーパーからある状況あるいはイベントの概略が説明される。それを踏まえてプレイヤーが探索者としてどういう行動をとるかをキーパーに告げる。
キーパーは、一貫性と公平性を期するためにルールを用いながら、探索者が述べた行動が不可能な場合には、
代わりに何が起こるかを話してやる。イベントを解決させるためにはダイスをロールする。
ロールの結果で物事を決めることにより、誰をも公平に扱い、ドラマを生み、また意外な出来事、惨たんたる敗退、間一髪の脱出などが起こりうるのだ。
 ゲームのルールはゲームの世界をより理解しやすいものにし、できることとできないことをはっきりさせ、
成功と失敗を客観的に決めるものだ。


■プレイの目的
 "クトゥルフ神話TPRG"の目的は、楽しい時を過ごすということである。
心臓ドキドキも冷や汗タラタラも、楽しみの1つだ。
恐怖が現実のものでないかぎり、恐怖に楽しみを見いだせるのが人間の性質というものだろう。
なかには、恐怖のあとでリラックスできるということがいちばんのポイントだという人もいれば、
また恐怖そのものが楽しいという人もいるだろう。
"クトゥルフ神話TRPG"は恐怖とリラックスを交互に味わえるゲームなのである。
 またこのゲームは、ラヴクラフトの暗い人間観を描き出す。
ゲームはラヴクラフトの作品の中に込められた暗い哲学を乗り越えることはできないが、取り込むことはできる。
ゲームすることによって、ラヴクラフトの古風で幽深な文体の雰囲気を感じ取り、
彼が描写した古代の魔導書のページを実際にめくるような気分を味わうことができる。
それに加えてわれわれには、彼のアイディアやモチーフを真に受けて、それらを風刺する楽しみもある。
と言うのは、ラヴクラフトはよく自分自身を冷笑したり、友人を皮肉るようなストーリーを書いているからである。
しかしながら、彼は常によりいっそう強い信念をもって書き続け、文学は深みを増していった。
同様に"クトゥルフ神話TRPG"をプレイしつづければ、楽しみも深みをましていくことだろう。

■キーパー
 キーパーとなるプレイヤーは、ゲームの調停者となる。
市販のシナリオを使う場合でも、自分が作成したシナリオを使う場合でも、
キーパーは物語のプロットのすべてを理解して、演出しなければならない。
そして探索者の人々の役を、必要に応じて演じなければならないのだ。
また、公平なシナリオを用意する責任がある。そして用意する敵は悪賢く卑劣なものでなければならない。
そうでなければ、プレイヤーはチャレンジする気をなくして退屈してしまうことだろう。
 キーパーはプレイヤーの質問に答え、また考える材料を公平に提示しなkればならないので、
ゲームをよく理解していることが必要である。
キーパーになるためには、"探索者について"、"ルールと技能"、"正気と狂気"の章を読み、
それに続いて"魔術"と"クトゥルフ神話"の章も読んでおかねばならない。
"参考セクション"に各モンスターとおよび呪文に関する記述があるが、これらの記述はそのつど参照すればよいのであって、
前もって全部覚え込んでおく必要はない(前もって全部覚えるのは大仕事だろう!)。
"キーパーの知識"の章はざっと読んでおくようにする。
 初めてキーパーをするならば、本書の短いシナリオの中の1つを選ぶのがよいだろう。
シナリオを読み、ルールや物語の流れを確認しよう。自分でシナリオを作り上げるのであれば、
本書にあるシナリオを使ったり、様々なサプリメントのシナリオを参考にするといい。
それらに何かの情報を取り入れるだけで新しいシナリオが完成する。
準備が整ったらゲーム仲間を呼ぶことになる。
 プレイヤーにルールの概略を説明し、本書の最後にあるゲームの表一式をコピーして渡す。
ゲームを始める際に、何か間違えてしまうのではないかと最初から心配する必要はない。
間違えても一向にかまわないのである。
みんな一緒に、ダイスロールをしてそれぞれの探索者を想像する(その前にまず、十分な枚数の探索者シートをコピーしておくことを忘れないように)。
自分で創らずに本書の最後の方にある"既製の探索者"を使う場合には、その部分をコピーして、プレイヤーに1人ずつ選ばせる。
"既製の探索"は技能に60ポイントを割り振るだけで完成する。
 必要に応じて、"参考セクション"や"資料セクション"を活用したり、"キーパーの知識"の章の適切な個所を参照するといい。

■プレイヤー
 キーパーの役をしている場合以外は、それぞれのプレイヤーは1人以上の探索者の役を引き受ける。
ゲーム中、プレイヤーは自分が引き受けている人物としてしゃべり、その人物を演じる。
演じる探索者を創造するにあたっては、実際の自分自身とまったく違う人物の方がずっと面白いかもしれない。
タフな私立探偵、粗野なタクシードライバー、あるいはタキシードを着こなした百万長者などになってみるのも面白いだろう。
 1人のプレイヤーが同時に2人ないし3人の探索者の役を引き受けてプレイする場合もあるが、
何人の探索者を同時にプレイしてよいかを決めるのはキーパーである。
慣例としては、1人のプレイヤーが1人の探索者をプレイするのが普通である。
 プレイヤーが探索者となる場合には、その探索者のパーソナリティや能力の範囲内で行動しなければならない。
それがTRPGのポイントなのである。
プレイヤーは自分の探索者が知っているべきことは知っているように、知らないはずのことは知らないようにプレイしなければならない。
そのためには、キーパーに指示されて行う技能ロールが役立つことだろう。
そして、その探索者のパーソナリティを発展させ、ある状況において彼(または彼女)がどのような行動に出るかを、
ほかのプレイヤーが十分に想像できるくらいにまで練り上げて、仲間から「アイツのことだもん、きっとそうするに決まっているよ」と言われることを目標にしよう。
 "クトゥルフ神話TRPG"はロールプレイすることによってさらに面白くなる。
冒険の中でプレイヤーは難しい選択に直面することだろう。
例えば、カルト集団が集まっている農家に火をつけて焼き払おうとする行為は、法の目から見れば殺人行為になるが、
やるべきことなのかどうか。
このような選択を迫られたとき、プレイヤーは探索者のパーソナリティに沿った行動をとらなければならないが、
これには普通以上の想像力を働かせなければならないが、このゲームを遊ぶ上で重要な点なのである。


プレイヤー間の協力
 TRPGは社交そのものである。ロールプレイをすることは、複数の人間が集まって共同の世界を築くことだ。
1人で想像するよりもずっとフレッシュで豊かな世界が開けるはずである。
 探索者が協力して事に当たれば、生き残るチャンスも増す。
 例えば、食屍鬼の棲む廃墟を探検する場合に、
探索者がお互いに<応急手当>をほどこし合ったりお互いに注意し合ったりすることを嫌がるようであれば、深刻な問題が起こることだろう。
プレイヤーは他のプレイヤーに自分が受け持つ探索者の性格(うそつきであるにしろ、天使のような善人であるにしろ)をはっきりとわからせておかなければならない。
相手の人柄がわかっていればこそ、適切な反応ができるのだ。探索者がプレイ中に協力し合うかどうかは別としても、
少なくともプレイヤーは協力し合わなければならない。
探索者は善い人間であったり、ひどい乱暴者であったりと、プレイヤーが望むさまざまな人物としてプレイされる。
しかしロールプレイの本当の面白さは、プレイヤーによるロールプレイの工夫を感じ合うところにあるのだ。
 さらにプレイヤーとキーパー間の協力も必要である。
キーパーは世界を動かし、細部を設定してプレイを進めていく役目ではあるのだが、
キーパーにとってもゲームはゲームであり、キーパーも楽しみたいことに変わりはない。
 探索者が格好良く劇的なプレイをしたら、それはキーパーも成功を収めたということである。
本当の失敗とは、悪いロールプレイングだったということだけなのだ、
そのプレイで使命が達せられなかったとしても、またあとでチャンスがあるだろう。
あるいはもっと面白い別の使命が出てくるかもしれない。
ゲームのポイントは使命を達成することではなく、あくまでもロールプレイにあるのである。

■ゲームの背景世界
 このへーむはラヴクラフトが作り出したクトゥルフ神話の一部から形作られている。
また、ラヴクラフトの友人たちが考え出したコンセプトや、彼らによって創造されたものもゲームに取り入れられている。
最初の出版以来、クトゥルフ神話に含まれる内容は少しずつ広がっていった。
ラヴクラフトの直接の友人の輪が広がり、
それをまねする後継者の輪も広がっていったのと同じである。
クトゥルフ神話はすべての時とすべての空間を超越しているものだが、まだ書かれていない秘儀の本や出版されていない魔導書が、今後出てくるかもしれない。
 "クトゥルフ神話TRPG"のシナリオのほとんどは1920年代あるいは現代のアメリカに設定されている。
ラヴクラフトがもっとも盛んに執筆活動をしていたのは、1920年代の後半から1930年代の前半だった。
中にはもうちょっと気取った時代から好きなプレイヤーもいる。
そのようなプレイヤーのための1890年代シナリオは、たいてい舞台がイギリスに設定されている。
また1920年代は、親しみがなく、店舗は遅く、火器を使うことも少ないと感じ、イマイチ物足りないというプレイヤーは、
ゲームを現代でプレイしても良い。銃弾による穴が風通しをよくしてくれることもあるようなはぎれのよい時代である。
上記の3つの年代に属するサプリメントがそれぞれ発売されている。
ルールブックが歴史的な情報について述べる場合には、これらの時代を区別している。
しかし、あなたがゲームをプレイする場合、どの時代の方がよいということはない。
好きな時代にプレイを設定すればいい。
上記の3つ以外に新しい時代に設定してもかまわない。
 歴史的な設定はできるかぎりリアルなものになっている。
1890年代や1920年代の世界やアメリカは、現在とは非常に違ったものだった。
教ではよくないこととされている思想や態度が、当時では普通のこととして受け入れられていた。
例えば、現在われわれが人種差別、排他主義、宗教による差別、男女差別とみなしているようなことが、
当時は普通のこととして生活の中に溶け込んでいたし、公然と支持されていた。
地方自治体の法令も、州や連邦の法律も、そのようなさまざまな差別を支持していたし、社会的にも認められていた。
 シナリオを作る人は、そういった社会的背景はゲームにはそれほど関係ないこととして無視してもかまわない。
または、ある特定の要素をプロットの中に取り込むことにしてもかまわない。
市販のシナリオには、そのどちらのやり方のものもある。
ただし前の時代(あるいは今の時代)の情報を除外するということは、
自由や平等やさまざまな機会を苦労して勝ち取った人々の記憶を踏みにじることになるかもしれない。


"クトゥルフ神話TRPG"を楽しむためのヒント
 "クトゥルフ神話TRPG"は府に気と動機の点ではほかのロールプレイングゲームとは違っている。
ほかのゲームでは、たいていプレイヤーキャラクターが直接、邪魔者や敵と対決し、相手を撃破しようとする。
しかし"クトゥルフ神話TRPG"では、こういうやり方をしたのではただの破局へと導かれていくことだけだろう。
相手は不死身で恐ろしい異界のモンスターなので、
まともな戦闘を試みたのでは、探索者を待っているのは陰惨な最後しかないに違いない。
何しろチラリと見ただけで、探索者が悲鳴を上げながら狂気に陥ってしまうような怪物もいるのだ。
そんな場合プレイヤーに何ができるだろうか?

■情報収集
 まず探索者が見定めなければならないことは、自分が対決しようとしているものが何者なのかということである。
それを見極めるためには、図書館へ行ったり、地元の人間たちから話を聞いたり、関係者の日記やメモを手に入れたり、
手に入れた情報を検討してみたりしなければならない。
情報の検討には、秘儀書のたぐいを参考にしなければならないこともあるだろう。
時間を節約するために、グループに分かれて別々の場所(安全そうな場所であればの話だが)をさがすようにしたらいいだろう。
 新聞や日記にはよく重要な情報が含まれている。図書館、新聞社のファイル、地方自治体や州の出生記録や死亡記録、
歴史協会、病院、学校、かかりつけの医師や弁護士、牧師や司祭、商工会議所そのほかの組織などから得た情報が、
あとになって命を救うための役に立つということもある。
探す場所として正しい場所を遊んだかどうかということはあまり気にしないでい。
キーパーの言うことをよく聞いていれば、ヒントを漏らしてくれることだろう。
 市販のシナリオには、プレイヤーに手渡され、プレイヤーが研究して推理するための引用、抜粋、手紙などの資料が記されている場合が多い。
これらの資料は、手渡されるからには、手がかりあるいは役立つ情報が必ず含まれているものだ。
 地元の人間には注意深く質問しよう。よほどの都会でもない限り、
人々はよそ者に排他的である。あなたの探索者が出会うNPCにどういうふうに話を持ちかけたらよいかを考え、親しくもなるように努力しよう。
相手が今は何も知らなくとも、いつか役になってくれるかもしれない。
超自然を相手にする探索者は、常に細心の注意をもって前進しなければならないし、いつも味方を作る努力をしなければならない。
異界には何があるかわかったものではないのだ。

■現場で
 探索者の現場や事件の現場では、探索者はくまなく手掛かりを探す必要がある。
机の中で鏡台の引き出しの中まで探し、犠牲者の衣装や持ち物を調べ、何が起こったかを正確に知る努力をしなければならない。
重要な情報が見つかった場合、キーパーはプレイヤーからの相次ぐ質問や、ダイスをロールすることに辛抱強く付き合わなければならない。
もし何も発見されなかった場合には、キーパーはプレイヤーに何も発見されなかったと告げる。
しかし、そのような質問や答えがどんな言い方でなされたかに意味がある場合もあるので気をつけなければならない。
 危険があった場所では、注意と怠らずに一緒に固まっているようにした方がいいだろう、
何か恐ろしいモノが戻ってくる可能性もある。
もし、「何か」が戻ってきて、それに対処できそうもなかった場合、迷うことなく急いで逃げ出すべきである。
足こそが頼りである。逃げるのだ。探索者が生きていればまた戻ってくることもできる。

■計画を立てる
 状況を理解したら、問題に対処するための計画を立てる。
初心者のプレイヤーは、危険が自分には大きすぎると決め付けるべきではない。
優れたキーパーなら、危険の大きさをプレイヤーの能力にあったものにしてくれるだろうし、
ひどく手強い敵の場合はちゃんと前もって警告してくれるはずだ。
 破局に至ってしまい、不気味な恐怖の存在が探索者一行を圧倒した場合には、
逃げることが可能なものはシナリオのことは放り出して、逃げ出してしまうのがいいだろう。
シナリオがどうなったかには触れないままにしておく。
キーパーが許せば、プレイヤーは探索者が最も自信がついてうまく行動できるようになってから、また同じシナリオに挑戦してもいいのだ。
もちろんキーパーの方にも、モンスター側の力を強化したり、シナリオの危険の度合いを高めたりする権利がある。
探索者と同じようにモンスターも成長することができるのである。

■頭を使う
 勝利を手にするためにもっとも安上がりでしかも安全な方法は、頭脳を使うことである。
市販のシナリオの中にも、探索者が肉体的な戦闘を行わなくても問題を解決できる方法のあるものがたくさんある。
ただしその場合でも、正気度(探索者の精神)は危険にさらされるだろう。
 クリーチャーに対して肉体的な戦闘を試みるのは、相手が肉体的な攻撃を仕掛けてくる奴だとわかってからにする方がいいだろう、
それ以外の場合は本の中の言葉を唱えるとか、道が通じている鏡を壊すとか、
恐ろしい中に恐ろしい魔物が棲みついていることがわかったとしても、
探索者は坑道を降りていく必要はない。降りていけば喰われるか永久的な狂気に陥るかだろう。
坑道の支柱に火をつけたり、坑道をダイナマイトで破壊したり、
入口にコンクリートを流してぞっとする魔物を(おそらく永久的に)閉じ込めたりすればいいのである。

■さまざまな探索者たち
 探索者の中に、ナイン化のスペシャリストはいるだろうか?
例えば頭の良い老教授などがいると結構役に立つ。
外国語には通じているし、古代の書類なども読めるし、正気度を失いかけない呪文の断片を組み立てて、
古代の怪物を追い返すのに使うことができるかもしれない。
こんなスペシャリストも、肉体的な戦いの場になると何の役にも立ってくれない。
また、こういうキャラクターはクトゥルフ神話技能をしっかり学んだせいで、低い正気度ポイントしか持っていないのが普通である。
 また、反対のタイプのスペシャリストがいるのもいい。
こぶしや拳銃で戦うのが得意なタフな男である。
こういうキャラクターはクトゥルフ神話の恐ろしい面はほかの者にまかせて、ボディガードとか斥候の役をするといいだろう。
また彼らは警察やギャングとしても役に立つ。
 もっと別のタイプの探索者として、さまざまなことが上手にできるというキャラクターもいるだろう。
自転車の運転がうまいとか、航空機の操縦ができるだとか、機械修理や電気修理の腕がいいとか、
鍵のことになると天才的だとかいう人物である。
さらに別のタイプの探索者としては、町が落ちこぼれ者や浮浪者のことをよく知っていて
そういった連中とうまくつき合えるような口の上手い人物がいるのかもしれない。
 さまざまなタイプの探索者がいるのがいい。
1人の探索者が全部できるようにはなれないし、一人ですべての出来事に対処できなくてもかまわないのだ。
グループとしてバランスのとれた行動とすれば、一人一人に足りないところがあっても、補い合うことができるのだから。

■多数の探索者
 すべてのことが全部できる人間などいないのだから、、
なるべくたくさん探索者がいた方がいいことは確かである。
しかしキーパーは大勢の探索者が走り回ったり、いろんな所を探し回ったり、また大勢から一度にたくさん質問をされるのを好まないかもしれない。
 一度に1人以上の探索者をロールプレイするのを好まないプレイヤーもいるが、
二人ないし3人の探索者を平気でプレイするプレイヤーもいる。
キーパーが承知し、あなたもそうしたいのであれば、プレイヤー1人が2人ずつ探索者を受け持ってみてもいい。
 そうすれば技能と経験の幅がぐっと広がるし、探索者の中の一人が狂気に陥ったり、ひどい傷を負って動けなくなった場合でも、
プレイヤーは手持ちぶさにならずに済む。
それに、もし探索者のチームが2つに分かれて行動するような場合(危険が迫っている場合には、決して分かれて行動すべきではないが)、
例えば「君たちは飛行機を警備してくれよ。僕らは洞窟を調べてくるから」というようなことになった場合、
1人のプレイヤーが受け持つ探索者が別々の場所に分かれることもできる。
わざわざ集まってゲームに参加しているのだから、プレイヤーが常にゲームの流れの中にいることが、都合がいい。
ただし2人以上のロールプレイすることは1人のロールプレイよりも格段に難しくなる。

■銃撃戦を避ける
 どのプレイヤーのグループにもそれぞれ違った感覚や習慣がある。
キャンペーンの中でギャングや外国のスパイが普通に出てくるような場所には、
探索者たちは護身のために武器を隠し持っていることだろう。
現代はあまり凶悪な武器が氾濫していて、護身のためには拳銃などの携帯用の武器が必要な時代かもしれない。
しかしキャンペーンの中の探索者は、もっと恐ろしいクトゥルフ神話の謎を探求しているのだから、
拳銃が必要になるときは、永久的狂気から逃れるために自分自身を撃つ時くらいなものかもしれない。
 もちろん、いくらでも武器は持っていっていい。
しかし武器に頼ってはならない。パワフルなモンスターの多くは火器や爆発では傷つけることができない。
われわれの世界とはまったく異なる、時空のかなたから来たものたちなのだ。
「アイツらが死ぬまで撃ちまくる」というのがあなたの計画だったら、それは無謀だ。別の計画を立てるべきである。
 銃撃戦などが起これば、警察、軍、FBIなど、法と秩序の番人たちの目を引いてしまう。
例えば探索者が地元のヨグ=ソトース司祭を殺した場合、前もって管轄の警察に事情を理解してもらっていたのでなければ、
きっと尋問され、逮捕され、たぶん有罪になり、死刑になる可能性もある。
 観察力の優れたキーパーなら気がついているだろうが、
困難に対して探索者たちが示しがちな反応は、銃を撃ちながら逃げ道を探るということである。
多くの探索者はそのように反応するだろう。
銃を持ったイグの崇拝者が3人4人もいて、探索者が銃に頼れば、たいへんなことになってしまう。
銃は死をもたらすものだ。実際の世界でも"クトゥルフ神話TRPG"の世界でも同じである。
銃による物事の解決は避けるようにしよう。

★プレイ道具
 "クトゥルフ神話TRPG"のプレイを始めるために必要な用具は次の通りである。
最低3種のダイスと筆記用具は、プレイヤー1人1人に必要である。
また、キャラクターシートなどのシート、チャート類もコピーして人数分そろえよう。
これらのほかに、キーパーが、用具(プレイヤーに渡す資料など)を準備してもかまわない。
それらは、楽しみを増すため、ゲームに特徴を与えるため、アクションに焦点を合わせる助けとするため、
あるいは状況の説明のために使う。

■ダイスとロール
 TRPGが初めての人は、6面体以外のダイスを見るのは初めてかもしれない。
ホビーショップやインターネットのサイトなどでは、さまざまなダイスを見ることができる。
 "クトゥルフ神話TRPG"ではほとんどの場合、3種類のダイスを使う。
略号でそれぞれD100、D8、D6と表される3種類のダイスをロールして(ダイスを振ることを「ロールする」と言う)、
その結果で技能の使用が失敗したか成功したか、攻撃や事故でどのくらいの耐久力を失ったかなどを決める。
探索者を創造するときもこれらのダイスを使う。これらのダイスからは、D20、D10、D4、D3、D2という結果も得ることができる。
 「D+数字」というときの「D」は、ダイスの頭文字である。
Dのあとに来る数字は結果として得られる数字の範囲を表している。
例えば、D8ではロールの結果として1から8までのどれかの数字が得られるし、
D100をロールすれば1から100までのどれかの数字が結果として得られる。
探索者は普通は自分専用のダイスを使う。その方がやりやすいからである。

■D100(パーセント・ダイス)
 D100の略号で示されるダイスは"パーセント・ダイス"と呼ばれているもので、
普通は色の違った2つの10面ダイスを使い、その2つを同時に振る。
ダイスの10面にはそれぞれ1,2,3,4,5,6,7,8,9,0の数字がついている。
ダイスが振られたら、いちばん上になった面の数字を読む。
 本書でダイスの指定がなく、「ロール」と述べたときは、このD100ロールののことを指す。
 片方の色のダイスの数字は10の位を表している。
もう1つの色のダイスの数字は1の位である。
2つの色のダイスの結果がそれぞれ「2」と「3」であれば、得られた数字は「23」ということになる。
「0」と「1」だったら「1」ということだし、「1」と「0」なら「10」ということである。
「0」と「0」だったら場合は「100」ということである。

■D8(8面ダイス)
D8は1つだけのダイスで、8面になっている。
それぞれの面に1,2,3,4,5,6,7,8のいずれかの数字が1つついている。
ダイスを振って上になった面の数字を読む。

■D6(6面ダイス)
 普通にダイスと言ったら、人はこの形のダイスのことを考えるだろう。
D6は6面ダイスで、面にはそれぞれ1,2,3,4,5,6のいずれかの数字が1つついている。
ダイスを振って上になった面の数字を読む。

■そのほかのロール
 そのほかにも、プレイヤーはD20、D10、D5、D3などのロール結果が欲しい場合があるかもしれない。
これらのロールは、下に述べるようにD100、D8、D6のダイスを使って結果を出すことができる。
D20とD4のダイスは市販されているので、それを使えばもっと便利だろう。

□D20のロールは10面ダイスの中の1つと6面ダイス1つを使う。D6の結果が1,2,3であった場合には、
10面ダイスで得た結果がそのままD20の結果とみなされる(0は10と数える)。
D6の結果が4,5,6、であった場合には、10面ダイスの結果に10を加えたものがD20の結果と見なされる。

□D10のロールは、10面ダイス(パーセント・ダイス)のうちの1つを使ってロールする。
{
□D5のロール}は、10面ダイスをロールしてその結果を2で割る。「1」と「2」の目は1になり、
「9」と「0」の目は5ということになる。

□D4のロールは、D8のダイスをロールしてその結果を2で割る。「1」と「2」の目は1になり、「7」と「8」の目は4になる。
あるいはD6のダイスをロールして、「5」と「6」の目ならロールし直すという方法でもかまわない。

□D3のロールは、D6のダイスをロールしてその結果を2で割る。
「1」、「2」、「3」の目は1になり、「5」と「6」の目は3になる。

□D2のロールはD6のダイスをロールしてその結果を3で割る。「1」、「2」、「3」の目は1になり、「4」、「5」、「6」の目は2になる。

■ロールバリエーション
 ルールブックやシナリオの中でロールの種類を指定する際、
ダイスの種類の前に数字がついている場合がある(「2D6」や「3D8」など)。
これはそのダイス1個だけでロールするのではなく、その数字だけのダイスをロールして、結果を合計することを示している。
例えば、「2D6」なら、2個の6面ダイスをロールして、結果を合計するという意味である。
一度にロールできない場合(ダイスを2個持っていなかった場合)には、1個ずつ2度のロールをして結果を足してもかまわない。
 ときにはダイスのロールにプラスいくつという数字がついている場合がある。
これはD6のロール結果にプラス記号の後にくる数字を足せという意味である。
したがって「1D6+1」の結果は2,3,4,5,6,7のうちのどれかになるはずである。
 ロールの指定には、異なる種類のダイスや数字が組み合わされている場合がある。
例えばモンスターのかぎ爪が「1D6+1+2D4」のダメージを与えるという場合には、モンスターの攻撃パワーは、
3つのロールをして(D6を1つ、D4を2つ)結果を合計し、さらにそれに1を足したものであるということである。
また攻撃に「+db」というおまけがついている場合があるが、
これはキーパーにその生き物のダメージ・ボーナスを加えることを忘れないように注意するためのものである。
示されている攻撃ポイントはその種類のクリーチャーの平均値でしかないからである。

■探索者シート
 プレイヤーは自分の探索者に関することを探索者シートに記録しなければならない。
探索者シートは本書の終わり方と裏表紙とカバー裏に印刷されていて、コピーできるようになっている。
探索者シートには1890年代用、1920年代用、現代用と3種類あるので間違わないようにしなければならない。
探索者シートは探索者が謎に取り組むために必要なすべてのデータを示すものである。
探索者シートへデータを書き込む方法は次の章で説明する。

■その他の小物
 "クトゥルフ神話TRPG"は会話でプレイするゲームである。
ダイスと探索者シートと筆記用具さえあれば、ほかの物、例えばフィギュアや小道具は必要ない。
しかし、フィギュアやコマなどを使った方がアクションの焦点がはっきりするし、
プレイヤー同士が共通の場面を思い浮かべるのに便利だという人もいる。
探索者が実際に行進している順番に並んでいれば、誰と誰が耳もとでささやける位置にいるか、
誰が大声で叫ばなければならないかが一目でわかる。
また誰が最後尾にいて、追跡者の気配を聞き取れる立場にいるかもわかる。
最初にワナに足を取られる可能性があるのは誰になるかもわかる。
どういうゲームのやり方がいちばん楽しめるかは、あなた自身が決めることである。
 フィギュアを使うことによって、「舵になっている場所は開けた場所なのかどうか」、
あるいは「仲間に<応急手当>をほどこすのはこのラウンドか、あるいは次のラウンドまで待たなければならないか」というような問題が強調される。
これらの小道具は「あの光は何なんだ?」とか「象はどこにいるんだ?」というような質問も引き出す。
ゲームに位置関係や物理的な性格をもたらすのである。
人によっては、そういうものをゲームに持ち込むのは面倒なことだと感じる人がいるかもしれない。
キーパーとプレイヤーが使いたいと思うなら、ボール紙の切れ端、コイン、ほかのゲームのコマ、金属やプラスチックのフィギュアなどを使うことができる。
フィギュアというのは、金属やプラスチックでで作った高さ3cmくらいの像で、安定感をよくするために台がついている。
大きなホビーショップなら大抵売っているが、通信販売で手に入れることもできる。
プラスチックのものはゲーム用に作られたものではないが、ゲームにも使うことができる。
冒険に必要なフィギュアを全部持っている人などいないだろう。
代用品を使うことも、ごく一般的なことである。
 立体的なモデルを使うか否かは別として、キーパーはよく活動の地域の図を紙の上にスケッチして縮尺を示す。
アクションが戦闘ラウンドに移るとフィギュアを取り出し、戦闘の場所のスケッチを小さい縮尺でもう一度描く。
廃墟や古いビルディングの見取り図や戦闘ラウンドの状況説明には、方眼紙を使うと便利だろう。
最終更新:2016年07月02日 13:08