ガレスは料理人として兵站、鼓舞を担当するため、円卓の騎士が万全なルートでは姿を見せなくなってしまう。
彼女が前線で活躍するルートとは即ち……円卓の騎士が半壊し、彼女自身が最前線に出ざるを得ない状況ということを意味する。
ディナタンルートにおいては主君であったアーサー王がある事情により絶望し、ログレス王国を裏切り円卓の騎士を殺していく悲劇が展開される。
更に尊敬する兄であるガウェインもまた円卓の騎士の中で唯一アーサー王への忠誠を貫き、相棒のラグネルとともにログレス王国を裏切る側についてしまい、
親友であったはずのヴォールスを背後からの奇襲という卑劣な手段で殺してしまう。
結果的に、ヴォールス、パーシヴァルは殺され、ランスロットもまた裏切りを強要させられ死ぬこととなり、
戦える円卓の生き残りはノワール、モルドレッド、トリスタン、ガレスを残すのみとなり、ついにガレスは覚悟を固めることとなる。
裏切りの果てに仲間を殺したガウェインを、尊敬するヒーローであった兄を、自らの手で討ち取る。
家族を切り捨て盲目の忠誠に奔った兄の間違いを正し、家族として責任を取る。
嫌いになどなれるはずがない、大切な兄だからこそ、ガレスはその引き金を引き、兄の心臓を穿った。
彼女の優しさの根幹を支える心の強さを知る機会が全ルートの中で最もあってはならない悲劇の中にしか存在しないという事実は、
とてつもない皮肉であり、ルート分岐システムを基幹とするシナリオの妙でもある。