グッドフェティシスト球磨川◆7eXksgQP86
鹿目まどかは魔法少女だった。
幾多の因果の中で魔法で戦い、そして果ててゆく。
その繰り返しの悲劇を止める為に彼女の友は永遠の時を過ごしてきた。
そして時は来る。願いに目覚めた少女は誰も知らない魔法少女となり、宇宙の端末の予想すら凌駕する願いを篭めた。
すべての悲劇を零に変え、因果すらも超え、死した仲間を呼び戻し――戻りきれなかった友と共に、概念となった少女は消えた。
――そのはず、であった。
「私、どうなっちゃったの……?」
かつて人であった少女は、その時と何ら変わらぬ見滝原の制服を纏って窓を眺めていた。
知らない教室に知らない風景。オフィスビルのようだが、深夜だけあって異様な空気が立ち込めている。
いつの間にかついていた照明のおかげで不自由こそしなかったが、あまり気持ちは楽にならなかった。
窓の外に見える摩天楼の光をじっと見つめながら、一時前の出来事を反芻する。
人が死んで、ぬいぐるみのようなダルマに殺戮ショーを命じられる。魔法少女と魔女の事件とどちらがより残酷な話かと考え、比べるだけ無駄だという結論に至った。
あのインキュベーターならどう思うだろう。理解できないと首を振るのか、むしろ興味を示すのか。
この悪夢は意図も理由も分からないけど、分かることはひとつ。
自分という存在を解き放ってまで一つの悪夢を振り払った少女。
鹿目まどかは、こうして別の悪夢へと招待されてしまったということだ。
「ほむらちゃんも……ずっと繰り返してた時はこんな気持ちだったのかな」
消え去る前に別れたきりの友人の名を呼び、まどかは憂鬱げな顔を窓ガラスに写す。
ここが街でなければもっと気が滅入ったことだろう。
友人がいるかどうかすらも分からない。探したとしても、また自分は守られるだけの存在になるのだろう。
いつの間にかソウルジェムもなくなっていたし、魔法少女になることも出来なくなっていた。
どうすればいんだろう、という小さな呟きは時を渡る友人か、それとも人魚姫となって消えた友人に向けたものか。
しかしその言葉は――どうやら予想だにしない人物に捉えられていたようであった。
『試しに僕でも殺してみたらどうだい?』
不意にかけられた言葉に、思わず振り返る。表紙でデスクが揺れ、ペン立てが派手な音を立ててフロアにペンを散らばらせた。
いつの間にか、オフィスの一室に佇む影。
その少年は、まるで状況も空気も、何もかもを踏みにじる様に現れた。
『やあ、こんにちは誰かさん!』『僕は球磨川禊』『浪速の高校生探偵さ!』
「あ……あのっ、はいっ……?」
突然の邂逅に追いつく暇も与えず、不気味にさえ思える程の笑顔を貼りつかせている。
そしてまどかの狼狽など意にも介せず、その双眸で見つめ続けることで彼女の返答を促した。
『だから球磨川禊だよ。僕の名前。気軽にクマーとか、愛しの先輩とか呼んで欲しいね』
「……そ、その、私、鹿目まどかです」
『まどかちゃんか、比較的よくある名前だね』
「えっ? えっと……あの、貴方は……」
『まあ僕のことなんでどうでもいいんだけど。僕としてはそんなことは全く重要じゃないからね』
なんとか不可思議なトークについていこうと頭を振り絞るまどかだったが、球磨川には全く追いつけもしなかった。
それどころか何か喋ろうとするたびにズレたことを口走る球磨川のせいでペースを握られっぱなしである。
『君が――あのダルマちゃんに万歳三唱を捧げながら。皆殺しの覇道を歩むかどうかだよ』
「――え?」
『僕にとって、重要なことはね』
だからこそ――サイレンサーから放たれた銃弾のような彼の言葉に、彼女は叫んだ。
「そんなことしない!!」
思わず状況も、何もかも忘れて声を荒げる。それでも球磨川は不思議な笑みを崩さなかった。
「私は……誰かを殺してまで生き残りたくなんかない。他の人にもそんなことして欲しくない」
『だから?』
「だから、あなたを殺したりしません。もう誰かが不幸になったりする必要なんてないって――あの時言ったから」
誰かとは暁美ほむらであり、美樹さやかであり、佐倉杏子であり、巴マミであり――
数多の魔法少女であり、無限の魔女であり――
「ドラえもん」なる青狸に父を殺された声でもあり。
「あなたも。……です、球磨川、さん」
――球磨川禊でもあった。
『……そっか』
「はい」
だが。
『それはどうでもいいんだけどね』
「――へっ?」
『ポーズを決めてみただけさ。あ、いや括弧つけたって言った方が僕らしいか』
「………」
『つまり――僕は女の子と二人きりでシリアスなムードを構築したかっただけと言える。
折角それっぽい状況なんだし、一度やってみたかったんだよね。付き合ってくれてありがとう!』
球磨川禊は、誰かとして見据えるには――あまりに過負荷(アブノーマル)だったのだ。
「……何それぇぇ!?」
『あ、そうだまどかちゃん。君には是非改めて貰いたいことがある』
「こ、今度は何ですか!?」
そう、球磨川禊とはアブノーマルである。
『さっきのやりとり、旧式スクール水着でもっかいやって! お願い、何でもはしないから!』
「変態だーーー!!!」
――色んな意味で、アブノーマルなのである!
【G-5オフィスビル 初日 深夜】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、動転
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1:変態だーーーーー!!!
2:人殺しはしない。これ以上誰も不幸にしたくない
3:ほむら達が気がかり。
※本編終了後からの参戦です。魔法少女から戻っています。
【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]『健康どころか、むしろ興奮してるぐらいだぜ!』
[装備]『おいおい、女の子とムードを演出するのに武器を持ってちゃ作画が困るだろう?』
[道具]『支給品一式をそのまま持ってるよ。実はまだ中身を確認してないんだけどね!』
[思考]
『まず1つ、まどかちゃんに旧スクを着て欲しい!』
『2つ、だけどちょっと裸エプロンにも未練があるかな』
『3つ、殺し合いについては正直、大して考えてはないね!』
※能力の規制度合いは後の書き手さんにお任せします。
※オリエンテーション終了後、善吉とめだかが対立した時期からの参戦です
最終更新:2013年03月10日 15:03