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殺し合うと言う事とは ◆3aTFo8qFWg




「う、う~……」
一つ目と舌を持った、取っ手が下駄の趣味の悪い紫色の傘を持つ一匹の妖怪が、カランコロンと下駄の音をさせながら夜中の廃墟をさまよう。
その姿は水色を基調としており、ショートボブの髪、お気に入りのベスト、ミニスカートは全て水色で彩られている。
赤と水色の特徴的な目を持つ彼女は、名を多々良小傘と言う。
そして彼女は今、切実な問題を抱えている。
「お、お腹空いた……」
そう、彼女は今まさに空腹と闘っているのだ。
この殺し合いの参加者には、漏れなく食料が配られている。
だが、それは一般人にとっての食料。
妖怪である小傘の、減りに減った腹を満たすことは出来なかったのだ。
小傘にとっての主食といえば、アレしかない。
人々が驚きの表情を見せるときに生まれる、心の隙間だ。
小傘はこれが大好物で、逆に言えばコレを食べなければ生きていけないと言ってもいいほどだ。
だが、あの青ダヌキはご丁寧にそんなものを小傘のカバンに詰めてくれているわけではない。
そもそも、心の隙間はすぐに埋まってしまう不定形のものだから、食糧として詰め込むことなどできやしない。
人間もいないし、このままひもじい思いを抱えて死んでしまうのだろうか?
そう思っていた時だった。
「おや?」
感じる、確かに人の気配を感じる。
人間がいると言う事は、驚かすことが出来る。
つまり、食事にありつくことが出来る。
待ちに待ったごちそうに我慢など出来るはずもなく、高鳴る気持ちで空腹を押さえ込み。
感じ取った気配の元へ現れると同時に。
「う~ら~めしぃ~やぁ~!!」
全身を使って精一杯、驚かした。

空気が、凍る。

「ふム……」
腕を組み、思考の網を張り巡らせながら足を動かす一人の男。
その格好は少し派手めで、夜でも少し目立つワインレッドのスーツに、首には特徴的なクラバットをつけている。
そんな風貌の男、御剣怜侍の職業は法を司り罪を裁く検事である。
勿論、殺しあえと言われてハイそうですかと人殺しに手を染める訳ではない。
今後の方針は決まりきっている、この殺し合いを解決し、あのドザエモンとやらを法の下で裁くことだ。
では、検事・御剣怜侍は何を考えているのか――――

ドザエモンは、自分たちでは想像のつかない技術の持ち主、あるいはその技術が発展した"どこか"からやってきた存在だ。
メルヘンやファンタジーを証明に持ち出すのは言語道断だが、大人数の瞬間転移などはそうでも言わないと説明が付かない。
少なくとも、自分はそんな技術を知らないからだ。
ともかく、ドザエモンには常軌を逸した技術がある。
その気になれば……我々全員を殺すことが出来るほどの。
だが、彼の目的は人を殺して悦に入る"殺人"ではない。
もしそうだとしたら、それは矛盾しているからだ。
人の命を奪うことが目的の快楽犯だとすれば、わざわざ誘拐などせずにその場で殺してしまえば良いだけのこと。
それをせずにわざわざ誘拐し、さらに装置をつけてまで殺し合いを強要させる、ということは何らかの"目的"があると言うことだ。
その目的に関しては、考えられる可能性が多すぎる。
最初に考えついたのは、"命を握られた人間が苦しみもがく姿を見て悦に入る"という目的だったが、常識が崩れさった今、常識では考えられない事も考慮しなければいけない。
例えば"殺し合うことで作用する何かがある"ということ。
例えば"殺し合いを生き抜くような人間を必要としている"ということ。
例えば――――

毛玉から何本目かのアカイイトを解いたとき、二人ほどの人影に出くわす。
一人は、完全におびえきった表情でもう一人を見ている。
一人は、もう一人の胸ぐらを掴みながらも虚空を見つめている。
明らかに異様な光景は、異様な方向へと進む。
「ぐえっ」
青髪の少女の胸ぐらを掴んでいた女性が、少女の腹部をめがけて大振りの拳を叩き込んだ。
「おい、やめたまえ!」
御剣はとっさに声をかける。
二人ともこちらに気がついたようで、少女は助けを求めるようなまなざしで自分を見つめてきた。
だが暴行を加えている女の方は、焦点の合っていない目でちらりと御剣を見て、視線を戻した。
同時に少女へともう一発拳を叩き込む。
襲いかかる苦痛に、少女はもはや声すら出せない様子だった。
「おい、キミ!」
「アタシに指図すんな」
再び叫んだ御剣の声にかぶせるように、女性は静かに言い放つ。
その身から放たれる威圧感は、近寄ろうとする御剣の影を縫うには十分すぎた。
女性は少女の胸ぐらを掴んだまま、背中で御剣へと語りかけていく。
「こいつが先にフッかけてきたんだ、物陰からアタシをぶっ殺そうと飛び出してきた」
「ち、ちが」
「あ"?」
何かを言おうとした少女を、全てが凍り付く眼差しで見つめていく。
少女はその眼に飲み込まれるように、言葉を失っていく。
そこで女性は、懐から拳銃を取り出し、銃口を少女の顎へと押し当てていく。
完全に恐怖しきっている少女をよそに、女性は御剣の方へと向いて言葉を続ける。
「それに……ここは誰をぶっ殺しても構わねえんだろ?
 だったら、アタシがコイツに何しようが自由だ。テメぇにとやかく言われる筋合い何ざ無え。
 アタシは誰にも命令されないし、誰にも従わねえし、誰の指図もうけねえ」
光の灯っていない眼のまま、女性は淡々と御剣へと語りかける。
御剣はその場を動かない、いや動けないと言うべきか。
「それともなンだ? テメーもぶっ殺されてェか?」
そして彼女はその一言とともに、少女へと突きつけていた銃口を御剣へと向けた。
引き金を引けば、終わりだ。
距離にして数メートル離れているとはいえ、致命傷は免れないだろう。
だが、そんな状況を目の前にしてなお。
「フッ……」
御剣は、笑った。
「何笑ってやがる」
当然、女性は怒りのこもった声で返答する。
引き金が引かれる一歩前まで来た状態で、御剣は女性の目を見据えてきっぱりと言い放った。

「キミが"ムジュン"しているからだよ」

「……あ?」
理解できない、といった類の表情を浮かべ、女性は御剣の顔を見る。
「は、ははは、ははははは!!」
そして少しの間をおいてから、糸が切れたかのように笑いだした。
「面白ぇ!! アタシのな~にが矛盾してるって!?」
掴んでいた少女の胸ぐらを放り出し、全身を御剣へと向ける。
そんな彼女の姿は、まるで狂っているようだ。
「簡単な話だ」
顔の横で人指し指を突きたて、御剣はいたって冷静に言葉を続ける。
「キミがここで人殺しをすれば、"言われたから人殺しをします"という人間と大差ない」
続いた言葉に、女は明らかに眉を顰める。
だが御剣は止まらず、女性に人指し指を指し、言葉を叫んで行く。
「ここで私と彼女に向けて引き金を引くというなら、好きにすれば良い。
 だが、それは同時にキミ自身を"ムジュン"に導く!!」

「はっ――――」
御剣が叫び終わった後、しばらくしてから女性は口を開く。
「テメーをぶっ殺す事なんざクソを捻り出す様なもんだが……そのクソにナメられんのはムカつくな」
銃口を下げ、やれやれと言ったポーズを取って語りかける。
「ご忠告、痛み入るぜ。だったらアタシはアタシなりに、ヤツにもテメーらにもナメられない道を探してやる」
そしてその一言と同時に、彼女はその場から歩き出した。
傍で蹲っている少女には目もくれず、御剣の横を通り過ぎるように歩き出す。
「良い結果が生まれることを願っておこう」
「チッ、ホントにどっかの誰かさんとそっくりだぜ……」
すれ違いざまに、そんな会話を交わしながら。
御剣は振向くことなく、見送った。
女性、レヴィも御剣に振り返ることなく、立ち去った。

「さて……」
一仕事を終え、優雅に紅茶でも一杯楽しみたいところだが、そうも言ってはいられない。
先ほどから蚊帳の外感を全力で放出しながらこちらを見ている少女が居るのだから。
「……大丈夫かね?」
「あんまり……」
先ほどとは違い、会話の始まりは重く、短いものだった。

【C-3/南部の家付近/深夜】
【御剣怜侍@逆転裁判シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:ドザエモン……何を考えている?
1:少女(小傘)と会話

【多々良小傘@東方Project】
[状態]:腹部にダメージ(中)
[装備]:小傘の傘@東方Project
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本:ハラヘッタ……
1:御剣と会話
[備考]
※装備の傘は一心同体(傘も本体である)モノなので、手放せません(支給品とは別カウント)
※誰かを驚かさないと、空腹でヤバいと思います

【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:苛立ち
[装備]:パルディーニ PC9S(18/17 予備85発)、Z-Mウェポンズ ストライクガン(13/12 予備120発)
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本:誰にもナメられない道を探す。


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19:逆転ロワイアル 投下順に読む 21:幸物語

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GAME START 多々良小傘
GAME START レヴィ

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最終更新:2013年07月27日 18:28