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偶然と言う名の必然 ◆3aTFo8qFWg







少女達は激怒した。

けれど、それはとても無意味で。

悲しい、事だった。



 ――――最後の一人になるまで、殺し合いをしてもらいます――――

人を殺さなくては、いけないらしい。
首には玩具のような枷が嵌められている、これが自分の命を奪うらしい。
生き残るには、最後の一人になるしか無い。
少なくともあの狸のような存在は、そう言っていた。
反旗を掲げる? 一介の女子高生である自分に何ができると言うのか。
殺人に興じる? 一介の女子高生である自分に大量殺人が可能だとでも?
ただ絶望する? それも良いかもしれないが、自分は生きたい。
「とにかく……か」
この場所でどう振舞うのか? まだはっきりとは決めていないが、とにかくにも道具の確認は必要である。
自分が何を持っていて、どう使えるのかぐらいは把握しておく必要がある。
配られたカバンから、一つずつ道具を取り出しては確認して行く。
この場所の地図、方位磁針、電池式のランタン、簡易の筆記具、ペットボトルの水とパン、懐中時計、そして黒い謎の紙。
殺し合いを過ごすに当たって、最低限の道具は支給されているという事を確認する。
残るは、あの青狸が言っていた殺しあうための道具が入っている。
一つ取り出す、何の変哲も無い布の服が出てくる。
一つ取り出す、少し変哲なデザインのロボットの模型が出てくる。
一つ取り出す――――
「ッ――――!」
思わず、息を呑む。
手のひらに収まってしまいそうな銀の小さいそれ。
人の命を奪うことが出来る、漫画やドラマでしか見たことの無いそれ。
「拳銃……」
女性や子供でも扱える小さい物もあるのだと、どこかで聞いたことがある。
嫌に手になじむそれを握りしめ、実感する。
本当に、殺し合いをさせる気なのだと。
「……」
引き金を引けば、人の命を奪うことだってできる。
殺し合うための"武器"が、今自分の手元にある。
できれば使いたくない、こんな物を知らずに過ごしていたい。
そうは思うものの、この場所は殺し合い。
自分の意志はお構いなしのところで事態が進んでいく。
いずれ、自分も闘争に巻き込まれてしまうかもしれない。
そんなとき、ただぼうっと立っているだけでいいのか。
ひょっとしたら、妹や友人を助けなければいけないかもしれないのに。
それよりもまず、自分自身を救わねばいけないかもしれないのに。
「……一発だけなら、良いわよね」
戦う力を手にしておくに越したことはない。
いざという時に戦えるのに越したことはない。
自分を、友を守らなければいけないかもしれないのだから。
そして、彼女は付属の説明書に目を通し。
まるで体の一部の様に吸いついてなじんでくるそれから、二発の鉛の玉を吐き出させた。
その時、あの嫌みったらしい声と、軽い二発の破裂音が頭に響いた。

 ――――最後の一人になるまで、殺し合いをしてもらいます――――

先端と頭の付近で束ねられている長い黒髪は、今にも夜に溶け込みそうで。
夜では少し目だちにくい装束と、首から提げた特徴的な勾玉といういかにもな格好の少女。
名を、綾里真宵と言う彼女は、霊媒師である。
一部には嘘やハッタリだとも言われるが、彼女は"倉院流霊媒道"の家元の娘であり、その筋では確かな力を持つ一族の血を引いている。
半人前であった時期もあったが、今ではどんな霊でも霊媒できるようになった。
そして成歩堂法律事務所で助手として、数々の難事件にも立ち向かった。
時には被告人として、時には誘拐もされ、時には命も狙われたりもした。
でも、彼女はどんな時でも明るく振舞い、周りを支えてきたのだ。
「うぅ……流石にちょっと怖い、かな」
だが、今回は流石に出くわしたことの無いケースだ。
命を握った状況で、人間同士を殺し合わせる。
そんな事件は知らないし、状況にも出くわしたことが無い。
流石にはじめての状況に、少し戸惑ってしまう。
「そんな事言ってる場合じゃない、よね!」
頬をぱしぱし、と叩いて前を向きなおす。
クヨクヨしていても始まらない、どんな逆境も何時だって吹き飛ばしてきたのだから。
きっと、今回だってどうにかできる、そう思って前へと足を進める。
「なるほどくんは、何してるのかなあ」
何も知らないまま、彼女は足を進めて行く。
一緒に幾つもの事件を解決してきた、正義感に溢れるちょっとドジな弁護士の名を呟きながら。
勿論、彼がこの殺し合いに招かれていることなど知る由もなく。
また、始めは敵対しながらも、少しずつ友とも言える存在になった検事と。
鋭い空気を持った、ムチが特徴的な同い年ぐらいの検事が。
こんな場所に居ることなど、知る由も無い。
そして、それを知ることも無い。
なぜなら、その時が来ないからだ。

足を勧めた先、彼女は一人の少女を見かける。
紫のツインテールが特徴的な、同年代くらいの女の子だ。
ちょっと警戒をしながら、真宵は少しずつ足を進める。
瞬間、胸の辺りに鋭い痛みが走る。
口から血が零れ、身体の重心が前へとずれて倒れこんでしまう。
何が起こったのか、と首だけを前に向けてみる。
遠くに見えるのは煙を噴く銃と、怯えた表情の少女が一人。
少女は、自分と目が合った瞬間にどこかへと走り去ってしまった。
追いかけようにも、身体に上手く力が入らない。
息も上手く吸い込めないし、起き上がろうにも激痛が邪魔をする。
だくだくと流れて行く血の感覚だけが、嫌というほど分かる。
死ぬかもしれないと思ったとき、一つの感情に心が支配された。
恐らく、あの少女も同じ感情を持っていたのだろう。
だから引いてしまった、それだけのこと。
こんな場所じゃなければ、話し合うことも出来たかもしれない。
ひょっとすれば、良い友達になれたかもしれない。
そう、こんな場所じゃなければ。
「ごめ、なるほ、どくん……」
最期に、良き相棒の名を呟きながら。
彼女は眠るように、霊になっていった。

 ――――最後の一人になるまで、殺し合いをしてもらいます――――

逃げる、逃げる、逃げる。
何から? 死体から。
何から? 現実から。
何から? 殺人から。
人を撃ってしまったと言う覆せない出来事から、逃げるように走る。
動作確認とはいえ、撃ってしまった。
回りも確認せずに、軽い気持ちで撃ってしまった。
その銃弾が、一人の人間に当たった。
銃から放たれた銃弾が二発も当たれば、人間はどうなる?

考えなくったって、分かる。

だから、走る、走る、走る。

振り返らずに、柊かがみは走る。

【綾里真宵@逆転裁判 死亡】
【残り65人】

【F-7/T字路付近/深夜】
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:錯乱
[装備]:NAA ガーディアン(4/6 予備30発)
[道具]:支給品一式、ぬののふく@ドラゴンクエストシリーズ、スーパーピンチクラッシャーのおもちゃ@スクライド
[思考・状況]
基本:逃げる

※真宵の支給品は遺体傍に放置。

【NAA ガーディアン@現実】
小型の拳銃、約300gと軽くて扱いやすい

【ぬののふく@ドラクエシリーズ】
ただの布の服

【スーパーピンチクラッシャーのおもちゃ@スクライド】
ぼくらのピンチを救ってくれるピンチクラッシャーのおもちゃ


31:黒猫をバトロワに招待したので虐待することにした 時系列順に読む 33:見た目はあしゃくら頭脳は朝倉その名は――
31:黒猫をバトロワに招待したので虐待することにした 投下順に読む 33:見た目はあしゃくら頭脳は朝倉その名は――

GAME START 柊かがみ 43:罪と償いの少女
GAME START 綾里真宵 死亡


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最終更新:2013年07月28日 22:53