少女と魔剣と怪獣図鑑 ◆L3QzSEXyBI
「はぁ…はぁ…」
C-3…月明かりだけが照らすほの暗い深夜の森を、小学生程の背丈のとても可愛らしい少女がランタンだけを頼りに彷徨っていた。
「はぁ…はぁ…」
その少女は支給されたデイバッグの他に大剣を背負っていた。少女の背丈より頭一つ分大きな剣で、何時でも抜けるようになのか、鯉口が切られて、刀身が少し鞘から出ていた。
「はぁ…はぁ…」
少女はかなりの距離を歩いたらしく、息を切らして、額から大粒の汗を流していた。
「はぁ…はぁ…あっ!」
しかし、やはりランタンと月明かりだけでは視界を確保するのは難しかったのだろう。少女は小道に落ちていた小石に躓き、転んでしまった。
「うぅ…」
少女は泣きたいのをこらえながら立ち上がり、服についた泥を払った。
「おい嬢ちゃん、大丈夫か?」
突然、少女の物とは異なる低い男の声が聞こえてきた。もちろん周囲には人の気配は無い。それどころか、虫のさえずりすら聞こえてこない。しかし、少女は困惑する様子も無く、『背負っていた剣』に顔を向けた。
「うん…平気だよ。ありがとう」
と、少々ひきつった笑みを浮かべてその『剣』に話しかけた。すると…
「そうか…なら良いんだけどよぉ…」
なんと剣の鍔元がカチャカチャと動き、言葉を発したのだ。
「…とりあえず少し休もうぜ。もうかなり歩いたんだしよぉ」
「うん…そうだね」
少女は剣の勧めもあって、デイバッグと剣を下ろすと同時に腰を降ろした。
「ゴメンね、デルフ君…私がもっと体が強かったら…」
「そんな気にすんなよ、嬢ちゃん。それにもし嬢ちゃんの体が丈夫だったとしても、嬢ちゃんの身の丈じゃあ、俺の事振り回すなんて無理だしよぉ」
「うっ…それはそうかもしれないけど…」
剣からの指摘に少女は苦い顔をした。
少女―小早川ゆたかがこの殺し合いに巻き込まれて、すでに30分が経過していた。
普段の彼女なら、このような場所に送られたらパニックを起こしていたかもしれない。
それがこうして平静を保っていられたのは、偏に先程から彼女と会話している剣のおかげなのだろう。
ゆたかがデイバッグを開けて最初に出てきた支給品が、この喋る剣―デルフリンガーだったのだ。
「喋る剣」などというファンタジックな物を手にしたゆたかは、自分の今の状況も忘れて興奮してしまったのだ。
そして、お互いに知り合いが参加しているかもしれないと考え、知り合いを探す為に行動を開始した…と言っても、一人と一本では知り合いがどこに居るのか見当もつかず、とりあえず人のたくさん居そうな場所である街に向かっていたのである。
「こなたお姉ちゃん居るのかなぁ…デルフ君の相棒って人も…」
「さぁてな。俺は気がついたら鞄の中だったんでな。まぁ、この場にいたとしても、相棒も娘っ子もちょっとやそっとじゃ死ぬようなたまじゃねぇよ」
知り合いの安否を気にかけるゆたかとは対照的に、デルフは呑気な声で喋っていた。
しかし、その呑気さが一種の清涼剤となってゆたかの精神を癒していたのだ。
「…デルフ君は強いんだね」
「一応剣だからな」
そんな何気無い会話ができる程度にゆたかは落ち着きを取り戻していた。
「そうだ、何もしないでいるのも暇だから…」
ゆたかはおもむろにデイバッグの蓋を開け、そこから一冊の本を取り出した。
現実にはいなさそうな多種多様な怪物の写真が載っている本…いわゆる怪獣図鑑であった。
「なぁ嬢ちゃん、そんなにその本面白ぇのか?」
「うん、面白いよ。こなたお姉ちゃんによくこんな本見せてもらってたから……」
デルフに答えつつ、ゆたかは本…「円谷プロ全怪獣図鑑」の「快獣ブースカ」のページを開いた。
ナマケモノを思わせるユーモラスな顔とずんぐりした体が印象的な快獣の写真と解説が載っているページをゆたかはランタンをかざして眺めていた。
「ふふふ…本当にブースカに会えたら良いな。デルフ君はどの怪獣が良い?」
「どれって言われても…俺よくわかんねぇや」
一人と一本の会話は、殺し合いの最中とは思えない程穏やかだった。
【C-3 森 初日 深夜】
【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:健康
[装備]:デルフリンガー@ゼロの使い魔
[道具]:支給品一式 円谷プロ全怪獣図鑑@現実 ランダム支給品(0~1)[思考]基本:殺し合いには乗らない
1:知り合いを探す
2:デルフ君ってどうして喋れるんだろう?
3:ブースカ面白い
※高校一年生時よりの参戦です。
※知り合いがいると考えていますが、具体的に誰とは考えていません。
※デルフリンガー@ゼロの使い魔
[状態]:錆びている
[思考]基本:知り合いを探す
1:ゆたかを助けられる範囲で助ける
※原作10巻辺りからの参戦です。ゼロ魔キャラがいないことに気づいてません。
※支給品解説
【デルフリンガー@ゼロの使い魔】
ゼロの使い魔の主人公、平賀才人の相棒であるインテリジェンス・ソード。
魔法の吸収する事ができるが、制限により一定量以上
の魔力は吸収できない。
口癖は「おでれーた」。
【円谷プロ全怪獣図鑑@現実】
円谷プロの全怪獣をすべて収録した大図鑑!
2013年4月に創立50周年を迎える円谷プロダクション。
「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などのウルトラシリーズをはじめ、「ミラーマン」「快獣ブースカ」など数々の特撮作品を世に送り出してきました。
これらの作品に登場し、鮮烈な印象を与えた第2の主人公ともいえる存在が怪獣たちです。「バルタン星人」「エレキング」など、この50年間に生み出された怪獣は約2500体!
この大図鑑では、そのすべてを日本で初めて収録します。
「ウルトラシリーズ」はもちろん、今まであまり取り上げられることのなかった「ミラーマン」「ジャンボーグA」「アステカイザー」などの作品の怪獣・怪人も収録。さらに最新作の「ネオ・ウルトラQ」の怪獣も、どこよりも早く紹介しています。また怪獣の細かいバージョン違いや、宇宙人の円盤、人間に化けているときの姿など、ファンにはたまらない詳細な情報も掲載しています。
見ているだけで子どもの頃の興奮が甦る、大人のための大図鑑です。
(以上、Amazon.comの商品解説より抜粋)
税込価格5250円。2013年3月6日発売。
最終更新:2013年07月27日 18:44