テキストを読めば理解できるが、とにかくメリットに乏しい…否、メリットが皆無なカードである。
基本的にディスアドにしかならない効果の割に発動条件までついており、深く考えずとも「やりくりや打ち出の小槌でいい」という結論に至るだろう。
そもそもOCGにおいて「手札をデッキに戻す」という行為自体が有益に働くケースなどほとんどなく、そんな後ろ向きなギミックをわざわざ取り入れるくらいなら、いっそ手札事故覚悟でデュエルに臨む方が建設的であろう。
では効果を度外視してモンスターのとして活用を、と行きたいところだが、攻守も
見事に中途半端で、レベルや属性・種族で考えても上位互換は山のようにいる。
まさに八方塞がりである。
このようにDDB(誰が・どう見ても・ベンチ温め係)状態のヤドカリューであるが、それは「純粋な単体性能のみを評価した場合」という前提がある。
OCGは対人ゲームだ。人がプレイするものである以上、そこには心理的な駆け引きというものが必ず生まれる。
そして、ヤドカリューを活かすポイントというのも、まさにそこに存在するのである。
私が着目したのは、効果の発動条件である。
「攻撃表示から守備表示にならなければならない」というこの条件。
これを言い換えれば「守備表示に変えるサポートなしでは活用ができない」ということにならないだろうか?
(無論ターンをまたいで守備にすれば効果は使えるが、さすがにこんな悠長なことをする決闘者はいないのでここでは「できない」と表現する)
つまり、ヤドカリューをフィールドに出すことにより相手は必然的に「これから相手は表示変更のカードを使うはずだ」と思い込むのである。
こうなれば、あとはこちらは適当なセットカードを数枚伏せればよい。
たとえそれが偽物のわなであっても、相手の脳内では重力解除や進入禁止!No Entry!!になっているはずだ。
何ということであろう…これは実質的なリ・コントラクト・ユニバースを発生させているに等しいではないか!
そしてこの状態に移ってからのメリットはもう一つある。
表示変更カードを警戒した相手は、低守備力のモンスターを迂闊には出せなくなる。
では高い守備のモンスターを…と言いたいところだが、OCGは守備力軽視のカードゲームだ。
そうそう都合よくそんなカードを握っているケースは稀である。
しかし、高守備力のモンスターを用いずに表示変更カードに対抗できる手段が一つある。
そう…リンクモンスターである。
リンクは守備力がなく守備表示にならない。
表示変更カードを警戒した相手は、それを回避しようとしたり顔でアローヘッドを確認してくるはずである。
リンクを出させてどうするのか?
聞くまでもない。ミラーフォースの餌食にするのだ。
守備表示にできないリンクは成すすべなくミラーフォースにかかってしまう…。
おわかりいただけただろうか?
そう、ヤドカリューの正体とは「ミラーフォースサポート」だったのである。
え?表示変更カードを警戒した時点で普通に伏せ除去を撃ってくる?
問題はない。ミラーフォースランチャーを併用すればいいのだから…。
ミラーフォースもランチャーも状況を選ばない万能カード。
ヤドカリューとコンボせずとも機能するので事故の危険もない。
そしてヤドカリューが表示変更カード警戒のブラフだとバレたあと、新たなヤドカリューを引いてしまってもランチャーのコストにしてしまえばよい。
完璧なシナジーを形成しているのだ。
なお、嬉しいことにヤドカリューの効果は任意効果だ。
万が一攻撃表示から守備表示になる事態が起こっても、ディスアドを被る心配はない。
臆することなくフィールドに出していこう。
リンクモンスターの登場と、ミラーフォースランチャーの存在。
この2つの要素が、ヤドカリューの眠れる真価を引き出したわけである。
ヤドカリなのに「殻を破ってしまった」ヤドカリュー。
これからのカード名はただの「リュー」になるのだろうか…?
14スレ目 749名も無き決闘者 (FAX! 2736-2QVD)2018/07/26(木) 00:23:45.60ID:vqBeKh/60FOX