4時限目の授業が終わり、私は勢い良く席を立った。
待ちに待った昼休み。
「あら?どこ行くの?唯。」
約束の場所へと気持ちが急ぐ私の背を、和ちゃんの声が追う。
「今日はあずにゃんと約束があるんだ!」
笑顔で元気にそう答えた。
否が応でもテンションが上がり、ニコニコと頬が緩んでしまう。

だって今日は、2人でランチ。
しかも、あずにゃん手作りのお弁当を食べられるのだ。
嬉しくないはずがない。

「へぇ~。ほんと仲いいな、お前ら。」
とはりっちゃん。
「でも、仲がいいのは良い事だわ。」
と、ムギちゃんが続く。
まぁ確かに、先輩後輩である私達が、2人でランチなんて珍しいのかもしれない。
「だから唯、今日はずっとソワソワしてたのか。唯は本当に梓が好きだな。」
澪ちゃんは溜息交じりだ。
そりゃあ勿論大好きですとも!
あの可愛い顔も、柔らかい黒髪も、小さな身体も、真面目でしっかり者な所も、ギターが
上手い所も、その抱き心地も、全部ぜーんぶ!
「えへへ~。じゃ、行ってきます!」
逸る気持ちを押えられない。
私は軽やかな足取りで、教室を後にした。

あずにゃんの手作りのお弁当。
昨日の帰り道で2人きりになった時、私がしつこく催促したのだ。
最後はあずにゃんが根負けして、今日作ってきてくれると約束した。

おかずは何だろう。
卵焼きは入ってるかな?
ううん、それよりも。2人でお昼できるのが嬉しい。
好きな子と2人で、好きな子が作ってくれたお弁当を食べる。
好きな人の手料理を食べるのって、やっぱり憧れだよね。
私の好きは、友達の好きとは違うと気付いていたけれど、まだ気持ちは伝えていなかった。
でも、いつかきっと伝えたい。
自信なんて全然無いけど、何もしなかった後悔だけはしたくないから。

おおっと、先におトイレ行っとこうかな。
通り掛かったついでだ。

私は手早くトイレを済ませ、手を洗いハンカチを取り出した。
すると、私の携帯電話が着信を知らせる。
手を拭き、ポケットから携帯電話を取り出すと、着信はあずにゃん。
なんだろう?
首を傾げつつ、通話ボタンを押した。
「もしもし、あずにゃん?」
『あっ唯先輩・・・』
「うん?どしたの?」
おや?声がどこか沈んでいる。
『今、どこにいますか?』
「おトイレだけど。」

『・・・じゃあ、あの、部室で食べる約束でしたけど。・・・来ないでいいです。』
え?
『急で申し訳ないんですけど、あの約束はなかった事に・・・』
「ええっ!!?」
何ですと!?

『あの、本当にすみません。』
「そんなぁ~。」
私は落胆を隠せない。
だって、あんなに楽しみにしていたのに。
『ごめんなさい・・・』
「・・・何か用事できちゃった?」
『・・・えっ?・・・あっ、そ、そうです。ちょっと用事が・・・』
慌てた様子のあずにゃんに少しの違和感。
まるで、用事なんか最初からなくて、私の言葉に便乗したみたいだ。
『別の日だったらいいので、とりあえず今日は、すいません・・・』

その声が、気になった。
電話越しでも分かる、その悲しそうな声。
というか、あれ?もしかして・・・
「あずにゃん泣いてる?」

『っ!な、何言ってるんですか!泣いてなんかないですよ!』
慌てた様子のあずにゃん。ますますあやしい。
「あずにゃん、今どこにいるの?」
『そ、それより、早くパンか何か買いに行かないと、お昼食べ損なっちゃいますよ?
 って、私のせいですけど・・・。
 と、とりあえず、今日は本当にすみませんでした!ではまた放課後!失礼します!』
私の問いには答えてもらえず、電話は一方的に切られてしまった。
あずにゃんの携帯に掛け直してみても、電源を切ったらしく、繋がらない。

どうしたのだろう。
何かあった?
本当に用事だろうか?
用事があるにしろ、お昼休みは長いのだし、少しくらい昼食が遅れても私は構わないのに。
あずにゃんもそれは分かっているはずだ。
それに、あの電話の切り方も、あずにゃんにしては不自然で。
こんな風に、急に約束を反故にする子でもない。
何よりもあの泣きそうな声が気になった。
「よしっ!」
私は顔を上げる。
とりあえずあずにゃんを探してみよう!

私がまず向かったのは、あずにゃんの教室。
「あれ?お姉ちゃん?」
「あ、憂~。やほー。」
ひらひらと手を振りながら、私は室内を見渡した。
けれど、あずにゃんの姿は見当たらない。
うむ。ここじゃない、か。
「ね、憂。あずにゃんいる?」
「ううん、いないよ?というか、どうしたの?
お姉ちゃん今日梓ちゃんとお昼食べる約束してるんだよね?あ、お迎え?」
「いや~ちょっとね・・・」
「梓ちゃん、お昼休みになったらすぐお弁当持って行っちゃったよ?
 今頃お姉ちゃんが来るの待ってるんじゃないかな。」
「・・・そっか~。・・・うん、分かった。ありがとね、憂。」
詳しく話す事はせず、私はその場を後にする。

なるほどなるほど。
お弁当を持って教室を出たという事は、一緒に食べようとはしてくれていたんだね。
まぁ、休み時間にちょこちょこメールしていたし、食べる場所を決めたのも4時限目前の
休み時間だから、それは分かっていたけれど。
つまり、教室を出てから何かあったって事かな?

次に私が向かったのは職員室。
用事と言えば、やっぱりここだよね。

「失礼しまーす。」
「あら?どうしたの?平沢さん。」
「あ、さわちゃ・・・じゃなくて、さわ子先生。」
「何か用事?」
「えっとー。うん、まぁ・・・」
とりあえず辺りをキョロキョロ。
う~む。ここにもいない。
「一体どうしたの?」
「・・・え~っとね。あずにゃんここに来ませんでした?」
「え?梓ちゃん?見てないけど・・・」
「そっかぁ。」
「何かあったの?」
「えっ?ううん何でもないよっ。では、ありがとうございました!失礼します!」
私はぺこりと頭を下げると、職員室の扉を閉めた。

ふむふむ。
急に職員室に呼び出されたという線も消えた。
やっぱり用事じゃないのかな。
いやいや、急な呼び出しという線はまだ消えていないかもしれない。
例えば、友達とか?先輩とか?後輩という線も・・・
でも、そんな急な呼び出しって・・・。
ま、まさか・・・。
私の中で激しく警報が鳴り出す。
告白・・・とか!?
待って待って!それ待って!!
ヤダ!ダメだよ!確かにあずにゃんは可愛いし、きっとモテモテだろうけど!
好きになっちゃうのも分かるけど!でもヤダよ!ちょっと待って!

私は駆け出した。
まずは告白の定番。屋上。
うん!いない!良かった!!
次は体育館裏。
よし!ここもオッケー!!
ついでに校舎裏も。
うん!もーまんたい!!
学校中を走り回る。

講堂を見てきた帰り、和ちゃんに会った。
「あら?唯?」
「あ、和ちゃん!あずにゃん見なかった?」
「え?見てないけど。お昼一緒なんじゃなかったの?」
「えと。うんまぁ、そうなんだけど。」
「何かあったの?」
「ううん、大丈夫!ありがと!和ちゃん!」

校舎内では、りっちゃん達にも遭遇。
「あれ?唯?どうしたんだ?てか何走ってんだよ。梓と一緒じゃなかったのか?」
「うーん。ちょっとね。それよりあずにゃん見なかった?」
「え?見てないわよ?りっちゃん見掛けた?」
「いーや。見てないな。澪は?」
「ううん。私も見てない。」
「そっか。ありがと!」
「おーい。何かあったのか?」
「うーん?大丈夫ぅ~!」
「・・・なんだよそれ。」

校内を駆け回り、思いつく限りの場所を探した。
靴箱も覗いてみたけれど、外に出た様子はない。それなのに・・・
「み、見つからない・・・」
私は、とうとう足を止めた。
とりあえず息を整え、気持ちを落ち着かせる。
てか、ダメじゃん。
いなくて良かったとか言ってる場合じゃないよ。探してるんだから。
そんな自分にちょっぴり落ち込む。
しかし、こんなに探しているのに見つからないなんて。
あずにゃんは一体どこにいるんだろう?
もう一度あずにゃんの教室を見に行こうか?
お昼休みも、いつの間にか半分を切ってしまっている。
そんな事を考えていると、前方から見知ったもこもこヘアーがやってきた。

「あれ?唯先輩?」
「・・・純ちゃん?」
「何やってるんですか?梓と一緒じゃないんですか?」
「・・・あ、そだ。あずにゃん教室にいたかな?」
「え?いませんでしたけど・・・」
「・・・そっか~。」
う~ん、いないかぁ~。
「だって、唯先輩とお昼食べるって楽しみにしてましたよ?」
「え?」
「本人は、しょうがなく作ってきた、みたい事言ってましたけど、
 休み時間に何回もお弁当の袋覗いたり、ずーっとそわそわしたりしてましたし。」
「・・・そっか。」
「4時間目が終わったらソッコーで教室飛び出して行きましたよ。
 先輩を待たせたら悪いから、なんて言って。」
「・・・・・・。」
「・・・えっと。・・・何かあったんですか?」
「え?ううん。何もないよ。大丈夫。」
私は純ちゃんと別れ、歩き出した。

そうだよね。考えれば分かるよね。
用事があって一緒に食べられなかったとしても、お弁当は私に渡せばいいだけの話だ。
パンを買いに行った方がいいなんて、言う必要はない。
それをしないって事は、何かあったのはあずにゃんじゃなくて。
たぶん、お弁当の方。
加えてあずにゃんのあの電話での様子。
予想できる選択肢はそれ程多くない。

楽しみに、してくれてたんだね。
凄く、嬉しいよ。
たとえ先輩としか思われてなくても。

しかし、あずにゃんは本当にどこにいるんだろう?
こうなったら、意地でも探さなきゃ。
でも、探す場所なんてもう・・・
「あっ・・・」
そこで私は思い当たる。
一つだけ、行っていない場所があった。
そうだ、約束の場所。部室。
だって、約束がダメになったのに、その場所にいるなんて思わないもん。
あれ?そういえば、あずにゃん言ってたよね?
“来ないでいいです”って。
行かないでいい、じゃなくて、来ないでいいって。
ってことはつまり。
あずにゃんは、そこにいるっていう事だ!

部室の扉の前まで来ると、私はドアノブに手を掛けた。
乱れた呼吸を落ち着かせながら、ゆっくりとその扉を開ける。
また少しだけ、走ってしまった。
だって、早く会いたかったから。
「あーずにゃ~ん?」
扉を開けながら小さく呼んでみるけれど、返事はない。
室内を覗いてみても。
あれ?いない・・・?
ゆっくりと中に足を踏み入れ、私は辺りを見回した。
う~ん。机の下も、ホワイトボードの裏にもいない。
もしや空振り!?
そんな不安が胸を過ぎり、焦りで声も大きくなる。
「あずにゃーん。どこー?」
すると。
ガタッ。
物置の方から、音がした。
なるほど、そこですか。

私は、物置の扉の前で立ち止まる。
「あずにゃん?」
呼び掛けてみるが、返事はない。
「あーずにゃん。」
まだダメ。
「あずにゃん。・・・開けていい?」

「ダ、ダメです!」

ふぅ、良かった。やっと見つけたよ。
やっと、声が聞けた。
ここがダメならどうしようかと思ったよ。
「ってか、なんで来るんですか!?約束はなしって言ったじゃないですか!」
扉越しのあずにゃんの声。
「え~だって~・・・」
「本当に悪かったと思ってますっ。でも、とりあえず今日はダメです!」
「う~ん・・・」
「ダメったらダメなんです!今度ちゃんと作ってきますから!」
「ね、あずにゃん。お弁当・・・」
「だから、今度こそは絶対絶対約束守ります!もう今日は諦めt・・・」

「落としちゃった?」

「・・・え?」

たぶん、正解。
「だってあずにゃんは、あんな風に約束すっぽかす子じゃないもん。」
楽しみにしてくれてたんだよね?
だから落ち込んで、あんな悲しそうな声をしてたんじゃないかな?
「何かあったんだなって、分かるよ。」
こうやってここに居た事も、私にその確信を与えてくれる。
「唯先輩・・・」
あずにゃんの顔が見れなくて、もどかしい。
私は扉に手を当てた。
「ずっとここに居たの?用事も、ほんとはないんだよね?
 それとも私、あずにゃんに嫌われちゃったのかな・・・」
「そ、それはないです!」
「ほんと?」
「ほんとです!当たり前じゃないですか!」
「良かった・・・。」

「・・・あの、私・・・」
「うん?」
「・・・今日は、朝から凄くいい感じだったんです。」
「うん。」
「早起きして、お母さんに教えてもらいながら、ちょっと頑張ってお弁当作ったんです。」
「唐揚げとかアスパラの肉巻きとか、レタスも切って、ブロッコリー茹でたり、
卵焼きも甘くして。・・・あと、昨日の残りだけど、美味しかったから、煮物も。」
「うん。」
「おにぎりも作ったんですよ?ゆかりのおにぎりと、わかめと鮭のおにぎり。
 なんか、盛り付けも結構上手に出来て、我ながらいい出来じゃんとか思って。
 これなら、美味しいそうって言ってくれるかな、とか。
美味しいって言わせてやる、とか。あずにゃん凄い!って言ってくれるかな、とか・・・」
「あずにゃん・・・」

「・・・今日は、凄くいい感じだったんです。早起きして頑張って、お弁当も上出来。
 宿題も完璧だったし、先生に指されても、抜き打ちテストがあっても、純にからかわれ
ても、今日の私は無敵だったんです。」
「うん。」
「・・・でも、ここに来る途中、私階段で転んじゃって・・・」
「えっ!?大丈夫!?怪我とかしてない!?」
「・・・それは、大丈夫です。ちょっと足を引っ掛けただけですから・・・。
 ただ、お弁当が・・・。転がって落ちちゃって、中を開けたら、ぐちゃぐちゃに・・・」
「・・・そっか。」
あずにゃんが無事で良かった。
「肝心なところで大失敗です・・・。
一生懸命作ったのに、唯先輩喜んでくれると思ったのに、落としちゃうなんて・・・。
なんでもっと注意しなかったんだろうとか、浮かれて走ったりして、馬鹿みたいとか。
こんなの、唯先輩にあげられないとか思って・・・」
「で、あの電話?」
「・・・はい。」
なるほど。
それで、こんな所で1人いじけていたわけだね?このお姫さまは。
「あずにゃん開けて?顔見せてよ。お願い。」
「・・・やです。」
「ぶー。なんでさ~。」
「だって、合わせる顔がないです。唯先輩、あんなに楽しみにしてくれてたのに・・・」
「もぉ~。私が大事に思ってるのは、お弁当じゃないよ?」

「あずにゃんだよ。」

少しの間をおいて、カチャリとドアが開いた。

やっぱり涙目のあずにゃんは、それでも可愛くて。
「あずにゃんぎゅ~っ!」
だから、思いきり抱きしめた。

「く、苦しいです、唯先輩・・・」
「だめ。離さないよー。心配掛けた罰です。」
「だって、その、私・・・。唯先輩をがっかりさせちゃうと思って・・・」
「もぉ~。急に約束はなしなんて言われた方ががっかりするよ~。
 はじめからちゃんと話してくれればよかったのに。」
「・・・だって、間抜けじゃないですか。お弁当落とすなんて。
ベタです。カッコ悪過ぎです。
 それに、私のせいで唯先輩をがっかりさせちゃうと思ったら、言えなくて・・・」
私はよしよしと、あずにゃんの柔らかい髪を撫でた。
「・・・うーん。ごめんね?あずにゃん。」
「?なんで唯先輩が謝るんですか?」
だって。
「私があずにゃんに、お弁当作ってきてなんて言わなければ、あずにゃんが悲しい思いす
ることもなかったでしょ?」

私があずにゃんに、こんな悲しい顔をさせてしまった。
「なっ!違います!私のせいです!
 唯先輩楽しみにしてくれてたのに、私がドジで間抜けだからがっかりさせちゃって・・・」
溢れる涙が、零れ落ちそうになる。
「あずにゃん・・・」

泣かないで。泣かないで。

キミが傍に居るだけで、私は笑顔になれるから。
キミが笑ってくれるだけで、私は無敵になれるんだから。

だから、笑ってよ。

私はあずにゃんの手からバッグを取り上げた。
「ゆ、唯先輩?」
椅子に座り、机に置いたバッグを開けると。
あら~、確かにごちゃごちゃになってる。
でも。
「あっ!た、食べちゃダメです!お腹壊しちゃいますよ!?」
「大丈夫大丈夫。チャック付きの保冷バッグだもん。丈夫だし、中身は落ちてないでしょ?」
「でもっ!」
「いただきま~す。」
唐揚げをつまみ上げ、ぱくっといった。
「う~ん。」
よく味わい、噛んで、飲み込む。

「うん!美味しいよ!あずにゃん!」

驚いたあずにゃんの顔が、ゆっくりと笑顔になっていって。
「・・・バカ。食べちゃダメって言ったのに・・・。」
けれど、ぶつくさと文句を言う。
でも、涙目で笑うその顔が、すごく、可愛かった。
やっぱり私は、笑ってるあずにゃんが一番好きだな。

いつか、言えたらいいな。
怖いけれど。
あずにゃんを困らせちゃうと思うと、胸が苦しいけれど。
少しの勇気が、まだ持てないでいる。
でも。いつかきっと。

大好きだよって。

「さて、では頂きますか!」
「えっ!?まだ食べるんですか!?」
「え~?だってお腹空いたよぉ。それに、ほんとに美味しいよぉ?ほら。」
「へ!?待ttむぐ!」
「ね?」
「・・・あ、美味しい・・・」
「でしょー?ほらほら、これも食べてみ?」
「ちょ、ちょっと待ってください!自分で食べれます!私もお箸を・・・
 ん?あれ?お箸が一膳しかない・・・。わ、忘れたーっ!?」
「いーよいーよ。こうやって食べた方が美味しいよ。はい、あーん。」
「んぐっ!」
「じゃあ今度はあずにゃん食べさせて~。」
「は、恥ずかしいですよ・・・。」
「あ~ん。」
「もう、しょうがないですね・・・」
「ん~。おいひ~。あずにゃんはいいお嫁さんになるね!」
出来れば私のお嫁さん!

「・・・唯先輩。」
「んん?」
「今度は、ぜったいぜ~ったい完璧に作ってきてみせます。」

「だからその時また、お弁当、食べてくれますか?」

心なしか、あずにゃんの顔が赤い。
というか、私の答えなんて決まってるよ。

「もっちろん!また一緒に食べようね!」



その頃、部室の外では。

律「丸く収まった?」
和「・・・みたいね。」
紬「いいわぁ、いいわぁ~。」
律「てか、いい加減くっつけよあの2人。なんだよあれ。甘い、甘過ぎる。」
さ「え!?あの2人まだ付き合ってなかったの!?」
澪「え?付き合うって・・・。え?ええ!?唯と梓が!?」
律「何言ってんだよ澪。さっき、唯は梓が好きだな~とか言ってたじゃん。」
澪「あれはそういう意味じゃなくて!だって女の子同士だし・・・!」
紬「女の子同士って、すごくいいと思うの!」
律「・・・ムギは鼻血拭こうな。」
純「まぁ、梓は唯先輩好きだよね。いっつも唯先輩唯先輩言ってるし。」
憂「お姉ちゃんもだよ。家で梓ちゃんの話ばっかりしてるもん。」
和「両想いよね。」
律「だな。」
純「というか、箸一膳しか持ってきてないって。・・・わざとだったりして。」
憂「・・・?どういうこと?」
純「つ・ま・り~。食べさせ合いっこしようっていう梓の計画的犯行!」
律「なるほど。」
さ「それはそれは。」
和「ラブラブね。」
紬「いいわぁいいわぁ~。」

唯「・・・・・・」
梓「・・・・・・」

え~と、皆さん・・・?
何というか、丸聞こえだったりします。
ああ、あずにゃんが耳まで真っ赤に。

「~~~っち、違います!わざとじゃないもんっ!!」

あずにゃんは勢い良く立ち上がると、扉の方へと駆けて行った。

う~ん。けどそっか。皆にはそんな風に見えていたんだ?
これは、期待しちゃっていいのかな?
自惚れちゃってもいいのかな?

「うわっ気付かれた!!」
「こら待て!純ーっ!!」
「なんで私だけ!?」

みんなが笑っていて。
私も笑っていて。
あずにゃんは、なんだか怒っている・・・けど。
でも、とっても楽しそうだ。

「というか、ああっもう!!覗き見禁止ーーーーーっ!!!」

真っ赤になって叫ぶあずにゃん。
私が気持ちを伝えられる日も、そう遠くはないのかもしれない。


おしまい


  • この唯はいつ読んでもいいねぇ〜 -- (名無しさん) 2011-03-26 17:22:56
  • カッコ唯いいね -- (名無しさん) 2013-09-28 01:52:05
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最終更新:2011年02月09日 22:51