「唯さんの噂」
さっちゃんの噂を知っていますか?そうです、この噂を聞いた人に現れる幽霊ですね。
実は私達の学校にも似たような話があるんです。その話とは・・・・・。
<ケース1>
放課後、女子生徒二人は廊下を歩いていました。
「ところでさ~、けいおん部にいる、中野梓って子がいたよね~」
「うん、いたけど・・・・それが?」
「その子ってめちゃくちゃ可愛いよね~」
「まあ、そうだね。しっかりしてそうだしね」
「なんていうか~、妹とか恋人にしたいよね~」
「わかるよ。なんていうか、『お姉ちゃん、起きて下さい。もう私がいないと駄目なんですから』
とか言われて起こされたいよね」
「それもいいけど、恋人にすると尽くしてくれそうだよね~。『もっとしっかりしないと駄目
です』と言って口とか拭いてくれたりとかさ」
タンッ。
「ん?」
「どうしたの?」
「今、足音がしなかった?」
振り返ってみると誰も居ません。
「気のせいじゃない?」
「そうかな~」
また、歩き出します。すると、タンッと足音がします。
振り返ると、やっぱり誰も居ません。
「き、聞こえたよね」
「う、うん。に、逃げよう」
怖くなったので二人は全力で走りました。そして空いている教室に逃げ込みました。
「はあ・・・・はあ・・・・・ここまでくれば大丈夫だよね」
「た・・はあ・はあ・・・多分ね。それにしても、今のは・・・・・・」
「どうしたの?」
「ひっ・・・・・・・」
いつの間にか、セミショートの女の子がいました。
「なにか、あったの?」
その子は聞いてきます。
「じ、実は、怪しい人に追われてて・・・・・」
「ふーん、そうなんだ。それとは別に君達、さっき、
あずにゃんのこと話してたよね」
「あずにゃん?それって誰?」
「あずにゃんはあずにゃんだよ~。恋人にしたいとか言ってたよね」
「あずにゃんって、中野さんのこと?それより、今は逃げないと・・・・・」
「そんなことよりも、君達は分かってるね」
その女の子は私達の肩をバンバンと叩きます。
「いや~、嬉しいよ。あずにゃんのよさを分かってくれるなんてね」
その女の子はとても機嫌がよさそうでした。
「あ、でもね、残念だけど、あずにゃんの恋人にはなれないんだよ。それはね・・・・」
その女の子は得意げな顔になりました。
「私があずにゃんの恋人だからだよ~。よし、君達には特別に私とあずにゃんの馴れ初め
を話してあげよう」
「え、でも・・・・。ここから、離れたほうが。さっきの足音も気になりますし」
「あ、それは大丈夫だよ。だってさっきの足音は私だしね」
「遅いですね、唯先輩」
「うふふふ、寂しいのかしら、梓ちゃん」
「な。違いますよ。た、ただですね、部活にも出ないなんて良くないことだと」
「はいはい」
「なんですか、律先輩、その顔は。信用してないんですか」
「だって、寂しいそうだぞ」
「だから、私は・・・・」
「遅れてごめんね~」
「遅いですよ、唯先輩。何やってたんですか」
「いや~ごめんごめん。ちょっと、やることがあってね。寂しかった、あずにゃん?」
「べ、別に、そんなことないですよ」
「そう?私は寂しかったよ」
「・・・・・・・・うぅ、私も寂しかったです」
「あずにゃん」
「唯先輩」
「おーい、戻ってこーい」
「・・・・・・・・はっ。唯先輩練習しましょう」
「え~、もうちょっと、休んでからにしようよ~」
「なんか機嫌がいいな、唯」
「うん、ちょっと、いいことがあったからね」
<ケース2>
放課後、女子生徒二人は廊下を歩いていました。
「ところでさ~、けいおん部にいる、中野梓って子がいたよね~」
「うん、いたけど・・・・それが?」
「あの子って実際どうなの?」
「どうって、いきなりどうしたの?」
「だって、あの子って、秋山先輩と同じ部活なんでしょ。それをいいことに媚びを売ってるかも
知れないじゃない」
「そうかもね」
「そして、あわよくば、女子高にありがちな、お姉さま~な関係になってるかもしれないじゃない」
「それは嫌だよね」
「まったく、むかつくわね」
タンッ。
「ん?」
「どうしたの?」
「今、足音がしなかった?」
振り返ってみると誰も居ません。
「気のせいじゃない?」
「そうかな~」
また、歩き出します。すると、タンッと足音がします。
振り返ると、やっぱり誰も居ません。
「き、聞こえたよね」
「う、うん。に、逃げよう」
怖くなったので、二人は全力で逃げました。そして、空いている教室に逃げ込みました。
「はあ・・・・・・・はあ・・・・・・今のは、一体」
「そう言えば、聞いたことがある。何でも、中野さんの噂をすると唯さんっていう人が現れる
んだって」
「何よ、それ。つまり、あの足音は唯さんが来たってこと?」
「そうじゃないかな?噂によれば、唯さんを帰すに中野さんを呼ぶしかないとか」
「私、連絡先とか知らないよ」
「私も・・・・・・。でも、純のメールは知ってるから、頼んでみる」
「その子は知ってるのね、連絡先を」
「たしかね。仲良いみたいだし」
「何をしてるの?」
突然、知らない女の子の声がしました。周りを見ると、セミショートの女の子がいます。
「あなたは」
「ねえ、一つ、言いたいことがあるんだけど」
その子は私達の質問には答えずに言った。
「人の陰口を言うのは良くないんだよ」
「は、はあ」
「しかも、その対象があずにゃんだなんて・・・・・君たちはあずにゃんが嫌いなの?」
「え、いや、あずにゃんって誰ですか?」
「あずにゃんはあずにゃんだよ。君達が悪口を言ってたじゃない」
「え、えーと、その人のことは良く知らないんですけど」
「よく分からないのに陰口を言ってたの!駄目だよ、そんなことしちゃ!」
「す、すいません。ところで、あなたはたしか・・・・けいおん部の平沢先輩ですよね?」
「そうだよ~。そんなことより、君たちはあずにゃんが嫌いなの?」
「嫌いというか良く知らないというか、クラスも違うし。ねえ?」
「うん」
「それはいけないね。仕方がないな~、私があずにゃんのことを話してあげよう」
「き、気持ちは嬉しいんですけど。今、私達は唯さんに追われてて」
その女子生徒たちは平沢先輩に事情を説明した。
「そっか。でも、大丈夫だよ。だって・・・・・」
平沢先輩は満面の笑みで言った。
「だって、それ私だから。君達には
これから、あずにゃんのことをタップリと話してあげよう。
あずにゃんのよさを知らないなんて人生の八割を損しているからね」
唯さんは二人の腕をぐっと掴んだ。その時、
「待ってください」
と言う声とともにツインテールの女の子が現れました。
「おお、あずにゃん。どうしたの?」
「どうしたの、じゃありません。また、迷惑をかけて」
「え~。迷惑なんかかけてないよ。これから、あずにゃんのことをいっぱいお話しようとしてた
だけだよ」
「また、そんなことして。いいから、行きますよ」
「え~、この子たちは、あずにゃんのこと、悪く言ってたんだよ~」
「ご、ごめんなさい。私達・・・・」
「あ、いいんですよ。気にしないで下さい。ほら、行きますよ」
「やだよ。私はこの人たちにあずにゃんのよさを教えなきゃいけないんだよ」
「・・・・・・・・じゃあ、もういいですよ。ずっと、その人たちと話していてください」
「えっ?!」
「せっかくの放課後なのに・・・・・・。学年が違うから、一緒にいられる時間が放課後くらいなのに。
唯先輩はその人たちとお話しするほうがいいんですね。それに、他の誰に何かを言われても
唯先輩がいればいいのに。もういいです、澪先輩やムギ先輩に甘えてきます」
「?!」
「では、失礼します」
「待って、あずにゃん」
「何ですか?ゆっくりと、お話していてください」
「私が間違ってたよ。ごめんね、あずにゃん。私ね、あずにゃんのこと、いろんな人に知って
もらいたかったの。だって、私の恋人だから」
「もう。そのおかげで、前にも、知らない女子生徒が来て、「唯先輩とのことを聞かせてください」
って来て、大変だったんですからね。少しは、遠慮してください」
「えへへ~。
ねえ、あずにゃん」
「何ですか?」
「好きだよ。あずにゃんはどう?こんな私は嫌い?」
「・・・・・・・す、好きです」
「あずにゃん・・・・・」
「唯先輩・・・・・」
「あの~」
「・・・・・・・・・はっ。ほら、唯先輩ごめんなさいして帰りますよ」
「うん。怖がらせてごめんなさい」
「あ、いえ、私達も悪かったですし。・・・・・・あの、中野さん、ごめんなさい。よくも知りもしないで
悪口を言ってしまって」
「そんな気にしないで下さい。行きましょう、唯先輩」
「うん!!」
そう言って、唯さんと梓さんは去っていきました。
- 怖くない。なんか唯先輩が優しい天然お化けみたい。 -- (あずにゃんラブ) 2012-12-30 04:00:28
最終更新:2011年04月15日 22:23