今までの寒さが嘘みたいに、暖かく降り注ぐお日様の光を浴びて、私はぼんやりと空を眺めていた。
時刻はお昼を少し回ったくらい。お昼を済ませたばかりの、満腹少し前くらいのおなか模様とあわさって、本当に気持ちいい。
先週までは少し寒さに震えながらの公園だったけど、これからはこんな感じでぬくぬくとなれるのかな。
と、日向ぼっこする猫みたいな気分にゆっくりと浸る。
いつもの日曜日。
そういえば少し前の私なら、この時間は部屋でごろごろしていた。おふとん最高!とか言っちゃって、憂が起こしに来るまでまどろんでるの。
それが、いつからだろう。こうして公園で日向ぼっこするのが、いつもの私の日曜日になったのは。
とん、と柔らかな音と感触が肩に当る。
目を向けると、お日様よりもずっと暖かな笑顔と目が合った。
私の隣に座るのは、私のかわいい後輩ことあずにゃん
まるで甘える子猫のように、軸を傾けて私の肩にその肩をあわせて、それでも足りないよとすり合わせるようにもじもじと動いている。
仕方ないなあ、と私は体をねじってぎゅうっとあずにゃんを抱きしめると、そのまま抱え込むようにしてその頭を自分の膝の上に乗せる。
するとあずにゃんは、本当に嬉しそうに、本当に猫みたいににゃあんと小さく鳴くと、きゅうっと私の腰にしがみついて、私の太ももの間に顔をうずめた。
「にゃあ……ゆいせんぱい
「もう、あずにゃんはあまえんぼさんなんだから」
くすりと笑って、その頭をなでる。あずにゃんはごろごろのどを鳴らして、それに応える。
本当に猫みたい。ううん、違うよね。猫みたいじゃなくて、あずにゃんは猫さんなんだから。
私のかわいい子猫。
私の大好きな、私を大好きでいてくれる、私だけのかわいい子猫。
「だいすきです……ぅ」
その柔らかな頬で私の太ももをなでながら、あずにゃんはそう呻く様に囁く。すりすりとした感触が、ふわりとしたと息が気持ちいい。
その言葉が心地いい。
ああ、そうだね。その日からかな。
ごろごろしていた私を、訪ねてきたあずにゃんがベッドから引きずり出して、この公園までつれてきて。
後で聞いたところ、自分のお気に入りの場所だったそこを私に教えてくれて。
そして、その言葉を告げてくれた日。
あずにゃんが私にとってただのかわいい後輩じゃなくなった日。
その日から、これが私たちのいつもの日曜日になったんだ。
「ゆいせんぱい……ぃ?」
ふと気付くと、不安そうな顔であずにゃんが膝の上から私を見上げている。
大好きって返してくれないの?なんて、そんな少し潤んだ眼差しで。
くすりと笑って、それに応えた。
昔は私のほうがべたべたしてて、いい加減にしてください!なんて怒られていたのに。
みんなの前では以前のとおりだけど、こうして二人きりになるとあずにゃんの方からべったりと甘えてくる。
本当はずっと甘えたかったんです、なんて言ってくれたっけ。ぎゅうっと私に抱きついて。
そうしてもいいですか、と不安そうに聞いてきたのを覚えている。
だから私は答えたんだった。遠慮しなくていいんだよって。好きなだけ甘えていいんだよって。
だって、私も。言われて初めて、自分もそうだったことに気が付いたけど。
胸にすっぽりと収まる子猫みたいにかわいい後輩のことを、ずっとずっと好きだったってことに。
だからあの日のようにしてあげよう。
笑いかけても、それだけ?とまだ不安そうな顔をしているこの子に。
きゅっと優しく手をとって、そっと優しく抱え上げて、優しいキスを落としてあげる。
「私も大好きだよ」
なんて囁きながら。
頬を赤く染めたあずにゃんは、そこでようやくまた嬉しそうに笑ってくれたから。
私もきっと同じように赤く染まった頬で、とびきり最高の笑顔を浮かべて見せた。


  • ほのぼのいいなぁ・・・ -- (名無しさん) 2010-08-28 23:00:12
  • でれにゃんかわええ -- (名無しさん) 2012-11-04 09:14:28
  • ヤバいよ…顔がにやけて戻らない! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 13:57:25
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最終更新:2010年02月28日 06:30