「…ってことで、唯は受験が終わるまでは梓に会うの禁止!」
「えー、そんなぁ…」
「そんなぁじゃないだろ!張り合ってギター弾いてたら勉強に差し控えるんだから当然の措置なの!」
「ぶー…
あずにゃんも私と会えないの嫌だよね?」
「私は別に平気ですけど。受験のためなら仕方ないんじゃないですか?」
「うぅ…わかったよぅ…」
というやり取りがあったのが1週間前。その間、私と唯先輩はまったく顔を合わせなかった。
正直言って、私は寂しかった。いつも抱きついてくる唯先輩のぬくもりが感じられないのは、予想以上に堪えるのだ。
「…あの、ムギ先輩。唯先輩…たちはいつもどこで勉強してるんですか?」
「あら、唯ちゃんのことが気になるの?」
「そ、そんなことないです!…ただ、澪先輩たちに迷惑掛けてないかと思っただけで」
「うふふ♪今日は図書館で勉強するって言ってたわよ?」
「そうですか…あ、きょ、今日はもう時間なのでお先に失礼します!」
「うふふ…うふふふふふ…♪」
「な、なんですかその目は!」
「なんでもないわよ~?」
どうせ唯先輩のことだ、『あずにゃんに会いたいよ~』なんて言いながらだらだらしてるにちがいない。
しょうがない、ここは私はガツンと言ってあげなきゃ!もしかしたら抱きつかれたりするかもしれないけど、それは仕方ないことだよね…!
「えっと…あ、いた!」
図書室の隅から見渡すと、唯先輩たち3人が机に向かっているのが見えた。でも…
「唯、そろそろ下校時間だし終わりにしようぜ?」
「うん、もう少し…澪ちゃん、ここってこの公式でいいのかな?」
「いいけど…今の唯には難しいぞ?」
「うん、でも頑張る!」
…なんか拍子抜けだ。普通に勉強してるじゃない…
「…帰ろ」
―――――
帰ってから、私はずっとぼんやりしていた。なんでこんな気分になるんだろ…
「メールでもしてみようかな…」
思い付いて携帯を開いたものの、ふと指先の動きが止まる。
メールなんか送って平気かな。普段メールしてくるのははたいてい唯先輩で私からは用がなければ送ることはないし、
勉強中だったら迷惑になるし、そもそも私はなんで唯先輩にメールなんて…
「あぁもう…」
ムギ先輩に言われたのでメールしてみました(^O^)
勉強頑張ってくださいo(^-^)o
結局悩んだ末、ムギ先輩の名前を借りることにした。
ま、まぁ、あながち嘘にはならないよね…とにかくもうこれでいいや!
「送信、っと…5分くらいで返事くるかな」
しかし結局、30分経っても返事はなかった。もういいや、寝ちゃおう…
―――――
ふと目を覚ますと、辺りはまだ暗い。変な時間に起きちゃったかなと時間を確認しようと携帯を開くと、そこには新着メールの文字が…!
あずにゃんありがとうー♪最近会えなくて寂しいよぅ
「さ、寂しい…か…」
うぅ、なんかむずむずする…うああ…
結局その日の私は、それから一睡もできなかった。
―――――
翌日、私は一日中落ち着かない気分だった。
唯先輩のことを考えると、なんだか思考回路がショートしそうになるのだ。
「はぁ、今日はもうムギ先輩来てるかな」
ガチャ
「あ、あずにゃん♪」
「なっ…なんで…!」
「うん、ムギちゃんがね、今日は部室で勉強したらどうって」
「あ、あの人はぁ…」
なんてことをしてくれるのだろう。よりによって今日じゃなくたっていいだろう…
「あずにゃーん♪」ギュ
「ひゃ」
「こんな風に抱きつくの久しぶりだねー」
「そ、そうですね…あ、あの!」
「なあに?」
「き、昨日のメールの…さ、寂しいって言ってたことなんですけど」
「あぁ、そうだよー。私あずにゃんと会えないの寂しいんだよ」
「わ、私も…」
「え?なに?」
「私も、唯先輩に会えないの寂しいです!」
「あずにゃん…そっかー♪じゃあ
これからは
ずっと一緒にいようね!」
「ず、ずっとって…」
「あずにゃんー♪」
「うぅ////」
終わり
最終更新:2010年03月16日 04:14