紬「梓ちゃんはどういうタイプの人が好きなの?」
いきなりなんですかムギ先輩。私がどんな人を好こうとあなたには関係ありません。
…なんて無粋なことはもちろん言いませんよ。
ムギ先輩の場合は少しベクトルがずれているのかもしれませんが、私たちもお年頃。色恋沙汰に興味を持ってもなんら不思議なことじゃないですよね。
それは少し離れたところからちらちらとこちらの様子を窺うマイペース先輩もまた、例外ではないはずです。
…ふふふ、いいことを思い付きました。
日頃からかわれている仕返しです。唯先輩には少し痛い目に合っていただくとするです。
梓「そうですねぇ。どちらかというと真面目で大人っぽい人が好きですね」
唯「……!」
紬「あら、具体的には?」
梓「背が高くて髪が長くて、上品な物言いをする人…ですかね」
紬「それってもしかして、澪ちゃんみたいな人かしら?」
梓「はい!澪先輩はまさに私の理想の人です!」
唯「……」
唯先輩の不安に満ちた視線を感じながら、私はさらに追い討ちをかけます。
まだまだ、こんなものじゃありませんよ…?
梓「逆に苦手なタイプなんですが」
梓「基本的にマイペースな人は苦手です。自分のことばっかり考えてる人って、あまり尊敬できませんし」
唯「……」
梓「あと髪がはねてる人もだめですね。身だしなみがなってない人には好きになるような要素はありませんよ」
唯「……」
梓「もう一つ言うと、食いしん坊な人も嫌です。例えば出されたお菓子をものの5分で平らげちゃう人…とか」
唯「……」
唯先輩は傍目にも分かるほどに落ち込んでいるようでした。
ほぼ90度に首を曲げて下を向き、顔を赤らめ目には涙も滲んでいます。
…正直たまりません。普段元気な唯先輩のこういう表情、大好物です。
ですが私は信じていますよ。唯先輩はそう簡単に心を折ってしまうようなやわな人ではありません。
必ずなにかしらのアクションを起こしてくれるはずです。ていうか、私はそれが楽しみなんですからね。
梓「…それでどうしたんですか唯先輩。その顔は」
唯「え…えっと…」
部室で私と二人きりになった唯先輩の顔は、輝いていました。
もちろんその表現は比喩的な意味合いが強いんですけど、その顔は確かに輝いて見えるほどにまばゆいものだったのです。
唯「お化粧、したんだ。…
あずにゃん、大人っぽい人が好きって言ってたから」
梓「へぇ…それはそれは」
唯「どう…かな。大人っぽく、なったかな?」
一言で言えば、最高でした。
その化粧自体は決して100点満点とは呼べない出来だったものの、その不完全さがほのかな幼さを醸し出し、逆に魅力的な色香を匂わせているのです。
さすが唯先輩、私が惚れ込んだだけのことはあります。
が、だからといって私が攻めの姿勢を崩すのは時期尚早。美味しい果実が取れるのは、まだまだ
これからなのですから。
梓「全然だめですね。外見だけ大人に近づけたって何の意味もないですよ」
唯「えぇ…?」
梓「私が好きなのは、澪先輩みたいな上品な人なんです。それじゃどこにでもいるただのケバい女子高生です」
唯「そんなぁ…」
梓「まぁ、例えば今から私が言うムチャな要求を笑って受け入れるような、器の大きい人なら好きになるかもしれませんが…唯先輩じゃ無理でしょうね」
唯「そ、そんなことないよ!私、何でも受け入れる!」
梓「本当ですか?何でも?」
唯「うん!あずにゃんに好きになってもらえるなら、何でも!」
梓「じゃあ…そこに四つんばいになってください」
唯「!?」
唯先輩は訳がわからないといった表情で私を見ました。
まぁ無理はありませんが、これくらいできないようじゃ困りますよ。
梓「どうしたんですか?早くしてくださいよ。何でも受け入れるんじゃなかったんですか?」
唯「う…うん…わかってるよ。やるよ…」
唯先輩は床に両膝をつき、ゆっくりと私の前で四つんばいになりました。
私はそのまま椅子に座り、唯先輩を見下ろします。
ふふ、このなんともいえない支配感。快感を感じずにはいられません。
梓「じゃあ次…靴下を脱がせてください」
唯「え…?」
梓「何も驚くようなことじゃないですよ。ただこの靴下を脱がせるだけ。簡単じゃないですか」
唯「…うん」
唯先輩は困惑した様子で私の靴下を脱がせます。
これで下準備は完了…いよいよ本番です。
私はスッと足を前に持ち上げ、唯先輩の顔に触れるか触れないかというところまで近づけました。
唯「あ…あずにゃん?」
梓「唯先輩、私の足を舐めてください」
唯「なっ…?」
梓「何がなっ、ですか。私の言ったことが分かりましたか?足を舐めてくださいって言ったんです」
唯「ちょ、ちょっと待ってよ。いくらなんでもそれは…」
梓「…唯先輩?」
私はできるだけ目を細め、心の底から見下しているといった顔を作って唯先輩を見つめました。
梓「私言いましたよね。大人っぽい人が好きだって」
唯「言った…けど」
梓「なら分かりますよね。こんな要求でぶつくさ文句を垂れるような子供は、私は好きじゃないんですよ」
唯「で、でも!」
梓「別に無理にとは言いません。嫌ならやらなくて結構ですよ。ただその場合は…ふふふ」
唯「あずにゃん…」
梓「さぁ、やるのかやらないのかはっきりしてください。5秒以内ですよ。いーち、にーい…」
唯「わ、わかったよ!舐めればいいんでしょ…」
唯先輩はおそるおそると舌を突きだし、私のつま先へと顔を近づけました。
ホントにこんなことしなきゃいけないの?と言わんばかりに視線を私に向けるけれど、私はそれをニヤニヤと受け流すだけです。
もう逃げ場なんてありませんよ。だって唯先輩は私のことが好きなんですよね。
それをしなければ私があなたを嫌うと思わせてしまえば、必然的にそうするしかなくなるのです。
もちろん、そんなことしなくても唯先輩のことは好きですが。
唯「…い、いくよあずにゃん」
梓「はい。いつでもどうぞ?」
唯「……」ペロ
梓「…っ!」ビクッ
唯先輩の舌のざらざらした感触が、私の足の指先をゆっくりと這います。
その瞬間、私は不覚にも体をビクンと震わせてしまいました。
いくら私でも、こんなところを舐められて平静を保てるほどに訓練されているわけではないんです。
…むしろそっちの方がいいんですけどね。
唯「…これでいいんでしょ?これで私、大人だよね」
梓「…まぁ、最低限は」
唯「それじゃあずにゃん、私のこと…」
梓「あくまで最低限、です。唯先輩はまだスタートラインに立っただけですよ」
唯「えぇっ?」
梓「ふふ…こういう要求を受け入れて初めて、私は唯先輩を好きになるんです」
私はポケットからメープルシロップの入った袋を取り出しました。お昼に食べたパンに入っていたものです。
その封を切り、とろとろと両足にかければ唯先輩もやりやすくなるでしょう。
梓「はい、私の足を舐めて綺麗にしてください。つま先からかかとまでまんべんなく」
唯「うえぇ…?」
梓「大丈夫ですよ、甘いですから」
唯「そういうことじゃなくて…」
梓「あぁ、あずにゃんの足が汚いからそんなことできないよ~なんて言うならお好きにどうぞ?しょせん唯先輩はそこまでの人だってことですね」
唯「……」
さすがに唯先輩も躊躇しているようでした。そうそう、それでいいんです。その顔が私は見たいんです。
恥辱、屈辱、敗北感…日頃唯先輩が見せない感情が垣間見えるその顔が見たいんです。
逆にうん、わかった!なんてべろべろされたら興ざめですからね。
唯「……」ペロ
梓「ふふっ…まずは足の裏ですか。先輩もなかなか…にゃっ…」
唯「……」ペロペロ
小さく音を立てて私の足のメープルシロップを舐めとる唯先輩の表情は、化粧の効果もあってかなんとも官能的でした。
私に好いてもらいたい一心でこんなことまでしてくれるなんて…まぁ私が要求したんですけど。
梓「ほーら唯先輩、まだこっちの足が残ってますよ?」
唯「あ、あずにゃん、もうこれって大人とか子供とか関係なくない…?」
梓「やっと気付きました?そうです、私が気持ちよくなりたいからやってもらってるだけです」
唯「んなっ!」
梓「安心してください。私は唯先輩のこと大好きですから。さ、わかったらとっとと続きをしてくださいよ」
唯「…この仕返しはいつか絶対するからね」
梓「ずいぶん威勢がいいですね?結局やってる癖に」
唯「うぅ…!」
兎にも角にも、私はそんな唯先輩が大好きです。
END
- このあずにゃんには全面的に同意する -- (名無しさん) 2010-08-06 17:22:25
- でもちょっと唯がかわいそうだと思った俺はMなのか? -- (名無しさん) 2010-10-07 01:07:30
- 唯「あたし〜ネコっぽい後輩が好きなのね〜」 梓「……〃〃(ネコ耳付けるです)カチャ 唯「あと首輪もあったらいいかな?」 梓「〃〃〃(首輪?ヤッテやるです!」カチャ 唯「あと肉球にしっぽだね♪」 梓「〃〃(猫じゃないですか!?ヤッテやるです!!」カチャ(しっぽに肉球装着完了) 唯「あずにゃん……なにやってるの?まるで猫だよ?」 梓「騙したですか!ニャアアア〜!!」 唯「〃〃ナデナデ」 梓「〃〃〃〃〃(あ♪猫でいいですニャア〜♪)」 唯「〃〃(憂にあずにゃん飼っていいか聞こう)」 -- (名無し) 2011-11-07 08:28:01
- Sにゃんは可愛いな。次は聖なるMにゃんを!! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 15:37:03
最終更新:2010年03月27日 13:47