ある日の部活終わりの部室にて・・


唯「ねぇムギちゃん・・・私ね、最近おかしいんだ。」

紬「え?おかしいって・・どんな風に?」

唯「あずにゃんを抱きしめてるとね、なんかお腹の辺りが
きゅうっとなってね、苦しいの。」

紬「あっ・・私にもあるわ。そういう風になること。」

唯「えっ?!ムギちゃんにもあるの?!病気じゃないよね・・?」

紬「病気じゃないわ。それはね、その人が好きってことなの。」

唯「へ??私があずにゃんを好きってこと?」

紬「ええ。だから大丈夫よ。」

唯「私あずにゃんが好きなんだぁ・・・。そっか・・。どうすればいいのかな?」

紬「女の子同士って辛いけど、決して悪いことじゃないわ。
だから唯ちゃんらしく梓ちゃんにゆっくり気持ちを伝えていけばいいんじゃないかしら。」

唯「・・うん、ありがとう!ムギちゃん!私ムギちゃんと出会えてよかったー!」

紬「そう言ってくれて嬉しいわ♪」

紬(これで私の片想い決定ね・・でも私は唯ちゃんが幸せならそれでいいわ)


梓(忘れ物を取りに来たら、唯先輩とムギ先輩の会話聞いちゃった・・。
どうしよう、唯先輩がまさか私のこと好きだなんて。とにかく今日は帰ろう・・)



家でたくさん考えた。
でも、女の子同士の恋愛はやっぱり難しいって思う。
先輩のことは好きだけど、でも恋愛の好きだってはっきり言うことはできない。
そんな状態で先輩と付き合ったりしたらそっちのほうが
先輩にとっても私にとっても良くないと思う。
きちんと断ろう。先輩にはもっといい人が居るはずだと思うから。

次の日の部活にて


梓「今日は部活行きたくない・・でもちゃんと向き合おう・・」

ガチャ

梓「おはようございます。。」

唯「あずにゃぁ~ん!!会いたかったよぅ」 ギュッ

梓「は・・離してください!!」

こんなに強い口調で言ったの初めてだ。でもちゃんと言ったほうがいい。

唯「え・・・?あずにゃんどうしたの・・?」

梓「離して!!」

先輩ごめんなさい。こうするのがお互いにとっても一番良いんです。

唯「ご・・ごめんね」

律「どうしたんだ二人とも?」

唯「ううん、私が悪いの、ごめんね」

律「唯も梓もこんな状態じゃできないよな・・今日は部活休みにしよう。」

私たちが何も言えず立っている間、先輩たちは私たちを気遣って先に出て行ってくれた。

そして先輩方が出て行ったあと、私はすぐに話を切り出した。

梓「さっきはあんな態度とってごめんなさい。」

唯「・・・あずにゃん、私のこと嫌いになっちゃった?」

梓「そんなことはないんです!・・・ひとつだけ聞いてもいいですか?」

唯「いいよ。」

梓「先輩って、私のことが好きなんですか?」

唯「えっ・・?」

梓「昨日ムギ先輩と話してるの聞いちゃったんです。」

唯「・・・・うん、私、あずにゃんが好きだよ。」

梓「そうですか。」

唯「気持ち、悪いかな?」

梓「いえ。でも、やっぱり女の子同士っていうのは考えられないんです。
だから今日冷たい態度をとってしまったんです。ごめんなさい。」

唯「そっ、か・・・。   そうだよね、いきなり言われても困っちゃうよね。」

梓「本当にすみません。でもこれからも変わらず先輩後輩として接してほしいです。」

唯「うん・・わかったよ。真剣に受け取ってくれてありがとう。」

梓「いえ・・じゃあ、帰りましょうか。」




これでよかったんだよね・・?
だって、変に期待抱かせるようなことしたらそっちのほうが酷いと思うから・・。
でも胸がすごく痛む。私、今すごく後悔してる。
本当は私も唯先輩のことが好きだった?
        • 今更考えたってもう遅いよね。
あったこと全部忘れて今までどおりの先輩後輩として接しよう。自分でもそういったんだから。

それから、唯先輩はまったく私に抱きついたりしなくなった。

唯「あずにゃんおはよう!」


律「唯、なんだか最近梓に抱きついたりしないなぁ?」

唯「私ももう子どもではないのです!」

律「何いってるんだか 笑」

澪「早く練習するぞー、みんな」

強がってるんだけどわかる。先輩の表情が強張ってて、無理して笑ってるんだってことが。
私がそうさせたんだ。


ある日の部活終わり。私はあの日と同じように忘れ物をしてもう一度部室に戻った。

唯「あずにゃぁぁん・・・うぇえん・・・寂しいよ・・寂しい。。」

そこには泣いてる唯先輩と慰めてるムギ先輩が居た。

紬「いっぱい泣いていいわよ、唯ちゃん。」

唯「ムギちゃぁぁぁん、ありがとぅ・・グスッ」

紬「辛くなったらいつでも私のところに来てね、紬のここ空いてますよ・・ってね♪」

唯「ははっ、ムギちゃん面白いー!なんか元気でたよっ、ありがとう!」ギュッ

紬「あらあら、唯ちゃんったら・・・」

先輩の心が自分からだんだん離れていくのがはっきりとわかる。胸が痛んでくる。
あきらめて欲しいって思ってたはずなのに、今は先輩に好かれていたいってすごく思ってる。
あー、今頃気づいちゃった・・・。私も先輩のことが好きだったんだ・・・。
でもムギ先輩は、唯先輩が好きみたい。
両思いになるのは時間の問題かな。もう遅すぎる。今度は私があきらめよう。

ガチャ

梓「おはようございま・・・」

唯「ムギちゃぁーん♪」ギュッ

紬「なぁに?唯ちゃん」

唯「大好きだよぅー」

紬「ありがとう、私もよ♪」

律「今度は唯と紬がすっかり仲良くなったなぁー」

唯「えへへー、あっ、おはようあずにゃん!」

梓「お・・はようございます・・」

先輩、今日は顔が強張ってない。心から笑ってる。
ムギ先輩のおかげだ。もう私の出る幕はない、か。
あっ、ムギ先輩が近づいてくる。

紬「ねぇ、梓ちゃん、今日の部活終わり話したいことがあるんだけどいい?」

梓「はい、いいですけど・・・」

紬「良かった。じゃああとで。」

澪「二人でこそこそなにやってるんだ??」

紬「ううん、なんでもないわ。練習始めましょうか。」

その部活後

梓「話したいことって何ですか?」

紬「梓ちゃん、唯ちゃんの事振ったのよね?」

梓「・・はい。」

紬「そして私は・・・唯ちゃんが好きなの。」

梓「知ってます。先輩を見てたらわかりました」

紬「そう・・・・。  でもね、私も梓ちゃんを見て気づいたの。
梓ちゃんが唯ちゃんに惹かれているって。」

梓「!!    ・・・そう、かもしれません。
でも、今更遅すぎるって諦めたんです・・」

紬「そんなことはないわ。」

梓「え?」

紬「今でも唯ちゃんは梓ちゃんを受け入れるかもしれない。
やってみなくちゃわからないじゃない。」

梓「どうして、そんなこと言うんですか?ムギ先輩は唯先輩が好きなのに?」

紬「私はね・・・・唯ちゃんが幸せなら、それだけでいい。相手が私じゃなくたって・・。
とにかく、その想いを唯ちゃんに伝えてみて。」

梓「でもそんな資格私には

紬「お願い!」

梓「先輩・・・本当にありがとうございます。」


”唯先輩、明日お話したいことがあります。昼休みに屋上に来てください”
っと・・・ちゃんとメール見てくれるかな・・。
決心がついたのも、全部ムギ先輩のおかげだ。
あんな素敵な先輩のことを唯先輩が好きにならないわけないと思う。
だけど玉砕してもいい!この想いを伝えよう。

そして次の昼休み

梓「先輩、来てくれてどうもありがとうございます。」

唯「ぜんぜんいいよ!   ・・・話って?」

梓「はい。正直に言います。私、唯先輩が好きです。」

唯「えっ・・・?だって女同士は考えられないって・・・」

梓「私、怖かったんです。女同士で付き合ったりしたら引かれちゃうんじゃないかって。
でも、今は自分の気持ちに素直に生きたいって思うんです。
先輩が隣に居れば周りなんて気にしません。好きです。」

唯「あずにゃん・・・・よかったよぅー!!うぇえぇぇん!大好きだよう!」

梓「先輩・・・まだ好きでいてくれてありがとう・・・もう離さないです!」

唯「あのね、辛いときにね、ムギちゃんが支えてくれたんだ。無理に忘れなくていいって。
そしたらまた自然に笑えるようになったの・・。」

梓「ムギ先輩に感謝しなくちゃいけませんね。」

唯「ムギちゃんにはすぐ報告しようね!」

梓「はい♪」


こうして私と唯先輩はお付き合いを始めました。
律先輩も澪先輩もちょっとビックリしてたけど、すぐ受け入れてくれて。
ムギ先輩はすごく喜んでいました。
もしかしたら裏で泣いているのかもしれません。でもそれを表に出さないで
祝福してくれる先輩を心から尊敬しています。

軽音部に入ってよかった。
素晴らしい先輩方と出会えてよかった。
私は世界一の幸せ者です。

END


  • 唯梓SSでは稀に見るカッコいいムギwww -- (名無しさん) 2012-09-03 16:53:28
  • ムギが変態じゃなくてめっちゃカッコイイ(笑) -- (名無しさん) 2012-12-31 01:40:03
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最終更新:2010年03月27日 13:48