唯澪@ ウィキ

願いと理由

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願いと理由


高校生になって軽音部に入ってから、唯はいつも私の横にいた。
もちろん律やムギ、梓だって例外ではないけど、少なくともライブの時の距離は唯が一番近かったと思う。

1年の学祭のライブ。私が緊張してどうにもならなくなりそうになった時、唯は私に微笑んでくれた。大丈夫だよって、優しい笑顔を向けてくれた。
2年の新歓。本意ではなかったけど私もボーカルをすることになって、唯と一緒に歌うことができた。
そうそう、歌ってるうちに楽しくなって、体を揺らしたりしたんだっけ。
2年の学祭のライブの時、1曲目は初めて一人で歌った。今にして思えば、よく歌いきれたって思う。
それはきっと、唯を待っていたから。戻ってきた唯と、楽しく歌いたかったから。
ふわふわ時間を歌う唯、すごく気持ちよさそうだったな…あんなに楽しそうに歌うやつ、見たことないよ。
普段はマイペースで練習もあまりしないけど、人一倍ギターを、音楽を好きでいる。
そして私の書いた歌詞を、皆の演奏にのせて楽しそうに歌ってくれる。そんな唯を見ていると、なんだか嬉しくなる。頑張ろうって気になれるんだ。

そしていつしか、私は思うようになっていた。
そんな唯のそばに、ずっといたいなって…

澪「はぁ…」
唯「どうしたの澪ちゃん?」
澪「あ…唯!」

ある日の放課後部室で一人頭を抱えていると、不思議そうな顔をした唯がやってきた。
当然のように私の隣に座って肩を寄せてくるものだから思わずドキッとしてしまったけど、なんとか平静を保つ。

澪「うん、新曲の歌詞を考えてたんだけどな、なかなかいいのが浮かばなくて」
唯「へー、澪ちゃんもそういう時があるんだねぇ」
澪「そうだぞー。私だって悩みながら歌詞書いてるんだ。なのに律やさわ子先生はいっつも微妙な反応なんだよな…」
唯「おかしいよね、澪ちゃんの歌詞すっごくかわいいのに!」
澪「え…そう、かな」
唯「うん、私澪ちゃんの書く歌詞大好きだよ!歌ってるとすっごく気持ちいいもん!」
澪「あ…ありがと…」
唯「そうだ、私も歌詞書くの手伝うよ!いい?」
澪「う、うん…いい、よ」
唯「わーい♪じゃあまずねぇ…」

すごく、嬉しかった。さっきみたいに歌詞を褒められたこともだけど、なによりそれを唯に言ってもらえたことが嬉しかった。
そっか…唯、私の歌詞そんな風に思ってくれてるんだ…えへへ、よかった…♪

唯「澪ちゃん?なににこにこしてるの?」
澪「なっ、何でも!」

唯「で、クリームホイップポップでロック、と…おぉ、なんかいい感じ!」
澪「ら、らぶらぶハーブは恋の味…とかどうかな」
唯「いいね!なんか私と澪ちゃんのソウルがユニゾンしてるよ!」
澪「テーマも何もあったもんじゃないけどな…」
唯「ええー、いい感じだよー」
澪「ふふ♪そうだな」

不思議なもので、唯と好きなように詞を書いているうちに私の調子も上がってきて、すっかり頭の中がすっきりしていた。
今なら、すごくいい歌詞が書けそうだ。やっぱりいいな。唯といるのって…

澪「…なぁ、唯」
唯「んー?」
澪「お前は…私といるの、どんな風に思ってる?」
唯「え?」
澪「私はすごく楽しいぞ。お前と一緒にのんびり過ごすの、すごく楽しいって思う」
唯「澪ちゃん…うん、私も楽しいよ♪」
澪「だったら…その…」
唯「?」
澪「わっ…私と…その、なんだ。もっと一緒にいる時間を増やしてほしいっていうか…」
唯「澪ちゃん…?」
澪「つ…付き合ってほしいなって…」
唯「!」
澪「あ、付き合うって言ってもな、別にそういう意味じゃないんだ!その、ホントに一緒にいるだけでよくて、だから、あの、え、えっと…あれ?私…」
唯「…澪ちゃん」

唯は私の両手を握った。そうして初めて、自分の手が細かく震えていることに気付いた。
え、嘘…こんなに私は緊張してたのか?ライブの時と同じくらい…いや、それ以上かも…って待て、私は今、唯になんて―――

唯「もう一回、聞かせて?」
澪「えっ?」
唯「私、よくわからなかったから…だからお願い。澪ちゃんの気持ち、もう一回聞きたいの」

…そうだ。今の私は何も伝えてない。付き合ってほしいとか、ただ一緒にいるだけでいいなんて言葉はただの願望じゃないか。
私が本当に唯に伝えなきゃいけないのは、そう願う理由なんだ。付き合いたいって思う理由、一緒にいたいって思う理由、それだけなんだ。

澪「…唯」
唯「……」
澪「私…お前のことが好きだ。だから付き合って、一緒にいたいって思う」
唯「…そっか」
澪「ゆ、唯は…私のこと、どう思う?」
唯「……」

私の問いかけに、唯は黙り込んだ。少し顔を赤らめて、何かを考え込むように。
しばらくそんな時間が続いたかと思うと、不意に私の両手を握る手にキュッと力がこもった。

唯「…好きだよ。澪ちゃんのこと、好き」
澪「そ…そう、か」
唯「でも…」
澪「な、なんだ?」

唯「こんなこと言うのは何なんだけど…私なんかでいいの?」
澪「え…」
唯「好きって言ってもらったのは嬉しいよ?でもちょっと不安なの。
 私は要領よくないしドジだし、澪ちゃんにはもっとしっかりした子の方がいいんじゃないかなって…」
澪「そっ…そんなことない!私はお前じゃなきゃだめなんだ!」
唯「み、澪ちゃん」
澪「お前が笑ってると頑張ろうって気になれるし、一緒にいるのもすごく楽しい!
 だから…だから私は、お前のことが大好きだ!お前はすごくかわいいし、ちょっと変わってるけど、とにかくその…あ、愛してる!」
唯「あ…ありがと…」
澪「え…あ!?」

気付くと、私は唯の両手を握り返していた。
勢いのままにまくし立てていたから気付かなかったけど、私たちの距離はものすごく近づいていた。
それだけじゃない。冷静に考えると、とんでもないことを言ってしまったような…

唯「えへへ…♪」
澪「唯?」
唯「…ホントにありがとね。こんなに好きになってもらえて、すごく幸せだよ」
澪「う、うん…」
唯「大好きだよ、澪ちゃんっ♪」
澪「わ…ゆ、唯!」

――ありがとう、唯。これからもずっとお前のこと、幸せにするからな。

fin

以上です
澪が唯へ想いを募らせるのを妄想してみました

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  • いいねいいねらぶらぶだねぇ♪ -- (名無しさん) 2011-08-03 22:36:26
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