ちょっとだけ未来
―――成人式、式典の後―――
ザワザワ、ガヤガヤ
梓「先輩方、成人おめでとうございます!晴れ着姿似合ってますよ」
律「おー、梓。来てくれたのか!」
紬「うふふ、ありがとう梓ちゃん」
澪「よく私たちを見つけられたな?こんなに人多いのに」
梓「そりゃ、ほとんど毎日顔合わせてますし。雰囲気で分かります!」
律「ほほう。嬉しいこと言ってくれるじゃんかー」グリグリ
梓「ちょ、羽交い絞めないでください!着崩れるでしょう!」ジタバタ
澪「律やめてやれ。せっかく梓が祝ってくれてるのに」コツン
紬「りっちゃんは二十歳になっても変わらないわね♪」
律「おーよ!元気印のドラマーとは私のことだ!」エヘン
梓「まったく……。そういえば、唯先輩はどこに?」
紬「式が終わってから姿を見てないわ。どこにいるのかしら?」キョロキョロ
律「唯ならなんか写真撮られまくってたぞ。引っ張りだこだった」
澪「大学入ってから『イメチェンする!』って髪型変えたからな。皆驚いてたし」
梓「びっくりしましたよ。髪だけで印象まで変わるんですもん」
紬「澪ちゃんと並んで放課後ティータイムの双璧ボーカルって触れ込みですもの」ウフフ
律「ま、中身はなーんにも変わってないけどな!」プププ
澪「お前が言うな」キッパリ
梓「律先輩が言わないでください」バッサリ
律「いくらなんでもそんなにはっきり言われるとへこむぞ?」ズーン
紬「りっちゃんはりっちゃんのままでいいのよ♪」ナデナデ
律「ムギだけが私の味方だー!……ところで」
澪紬梓「?」
律「澪しゃんや。愛しの唯が皆に取られててもいいのかしらん?」ニヤニヤ
澪「なんで?」
梓「なんでって……一応お付き合いしてるんですから」
紬「心配じゃないの?」
澪「心配も何も、唯の一番は私だからな。気にしてないよ」ドーン
律紬梓「Oh……」
律「お前の惚気は天井知らずかよ!」
梓「一番変わったのは間違いなく澪先輩ですね……」
紬「いい!それでいいのよ澪ちゃん!」キラキラ
唯「み、皆おまたへ~……いやー疲れたよぉ」ヨロヨロ
澪「おかえり唯。お疲れ」ギュッ
唯「ただいま澪ちゃん~。あれ、あずにゃん来てたの?」ギュッ
梓「そうやってすぐ手繋いで……はい、憂がほとんど準備しちゃって」
唯「あはは、憂すごく張り切ってたからね~」
律「待て待て、話が見えないぞ」
紬「何のことかしら?」
梓「えっとですね、皆さんが成人したお祝いにパーティしようってことになって」
唯「私の実家で憂や純ちゃんがお料理作って待ってるんだよ」
澪「この前から唯が電話で話し込んでたのはそういうことだったのか」
唯「そだよー。ごめんね澪ちゃん、秘密にしてて」
澪「いいよ唯。皆のためだったんだろ?」ナデナデ
唯「澪ちゃん……」
澪「唯……」
律「おらおらお前ら人前でいちゃつくなバカ!」ウガー
梓「ルームシェアしだしてから一層周りを気にしなくなりましたね」ウンザリ
紬「」パシャパシャ
律「おいムギその一眼レフはどこから出した」
梓「とにかく!憂が全部仕込んでしまったので私がお迎えに来たんです」
律「そういうことか。つっても、私は一旦家に帰って着替えたいんだけど……ムギは?」
紬「ええ、私も着替えたいな。後で唯ちゃんの家に行けばいいかしら?」
梓「はい!時間は追って連絡します」
律「よっし、そうと決まればちゃっちゃと帰りますか!宴会だー!」
紬「私、皆で宴会するの夢だったの!」
梓「ふふ、私も楽しみです!……で、こっちは」チラッ
唯澪「」イチャイチャ
律「梓、行くぞ。こいつらは放っておこう」スタスタ
梓「ですね。行きましょう」
紬「いいわぁ♪」キラキラ
―――唯の家―――
律「おらー!律様の登場だぜ!」バーン
紬「お邪魔しま~す♪」
澪「バカ律!インターホンも鳴らさずに入るやつがあるか!」
律「勝手知ったる何とやらだ!」
澪「威張るな!もっと遠慮ってのを考えろ!」ゴチン
律「遠慮!?人前でいちゃつくお前が言うか?お前が言うのか!!」ギャース
澪「私はいいんだよ!」ギャース
律「あぁ!?」
紬「まぁまぁ二人とも。せっかく唯ちゃんの家に来たんだから喧嘩はだめよ」ドウドウ
唯「わぁ~、賑やかだと思ったら。皆来てくれてありがとう!」
和「騒々しいわよ。いい年なんだから子供みたいにはしゃがないの」
律「お、和じゃんか。お呼ばれされたのか?」
和「ええ、仮にも唯の幼馴染よ。それに私たちも友達じゃない」
紬「うふふ、まるで高校生に戻ったみたいね」
和「ふふ、そうね。……で、ムギが両手に持ってる袋ってもしかして」チラ
律「おう、お酒だお酒!ついにおおっぴろげに飲めるんだぞ!飲まずにいられるか!」
紬「買うときドキドキしたわ~」
和「ハメ外しすぎないようにね。未成年もいるんだから」
律「わーかってるって!それくらい分別ついてるよ」
和「だといいけど。それはそれとして……」
澪「ゆいー」ベタベタ
唯「みおちゃーん」ベタベタ
和「高校のときよりひどくなってない?」
律「一緒に住みだしてから特にな。3時間以上離れてるところを見たことない」ヤレヤレ
紬「大学じゃとっても有名なの♪」
和「容易に想像できるわ……。とにかく、上がって。私が言うのもアレだけど」
律「おう。ほら澪、唯!」
唯澪「」ジーッ
律「だめだ埒あかない。先に行っててくれ」
和「……はぁ。ムギ、行きましょ」スタスタ
紬「頑張ってりっちゃん!」テクテク
律「おーい聞こえてるかー?」フリフリ
唯澪「」キャッキャウフフ
律「……縞パン」ボソッ
澪「」ドスッ!
律「うぐぉはぁっ!?」
澪「唯、行こ」スタスタ
唯「り、りっちゃん大丈夫?」
律「ぅぉおおお……理不尽すぎるぅ……」ピクピク
―――リビング―――
梓「それでは改めまして」コホン
梓憂純「ご成人おめでとうございます!」ペコリ
律「いやー、ありがとうありがとう!」
純「先輩方すっごく大人っぽいです!」
紬「でも来年は純ちゃんたちよ?そんなに変わらないわ」ウフフ
澪「それにしても、すごい量の料理だな」
梓「ほとんど憂です。私たちって必要だったかな純?」
純「私は梓が迎え行ってる間に結構頑張った」エヘン
唯「我が妹は本当に良くできた子だよ~」ナデナデ
憂「お姉ちゃん恥ずかしいよぉ!一生に一度ですから、盛大にお祝いしないとって思って!」エヘヘ
和「唯は料理、頑張ってる?」
唯「そ、それなりに……?」
律「疑問系かい」ビシッ
澪「朝は毎日私が作ってるよ。いつも匂いで起き出してくる」
紬「澪ちゃん奥さんみたいね」クスッ
唯澪「いやぁ……」デレッ
梓「何で唯先輩まで照れるんですか」
純「まぁまぁ。それよりも早く食べましょう!」ウズウズ
憂「冷めちゃいますよ~」
和「そうね。じゃ、律。乾杯の音頭お願いね」ポン
律「私っ?よっしゃ、皆の者!コップをとれいっ!」
唯「了解っ!」
律「ではでは、私たちの成人を祝って!!」バッ
「かんぱ~い!!」ガシャーン
―――数時間後、夜中―――
紬憂和「」スヤスヤ
律梓純「」グーグー
澪「……結局皆潰れてしまった」
澪「真っ先に和が沈んだのがまずかったな……後は無法地帯、と」ハァ
ガチャ、バタン
唯「ふい~、皆の分の毛布あって良かったー」ヨイショ
澪「お疲れ。寒いからな、ちゃんと暖めないと」パサッ パサッ
唯「さっき外見たら雪降ってたよ。積もっちゃうかも」パサ パサ
澪「ホントに?明日帰れるかな」
唯「明日は講義無いから大丈夫だよ。……よしっ、これで皆大丈夫!」
澪「まさか憂ちゃんや梓までお酒飲むとは思わなかった」
唯「りっちゃんと純ちゃんはノリノリだったねぇ」
澪「多分律の奴、最初から和を潰す気だったな。まったく」
唯「若気の至り、って感じだね。……うぅ、寒っ」ブルブル
澪「ほら、こっち来て。暖めてあげる」チョイチョイ
唯「わーい、抱っこ~」ガバチョ
澪「ふふ、って冷たっ!大丈夫か?」スリスリ
唯「おぉ澪ちゃんあったか~」
澪「暫くこうしてるか。……それにしても唯、結構飲んでたけど酔ってないのか」スリスリ
唯「うん、平気だよ。私強いみたい」エヘヘ
澪「これからはあんまり飲みすぎるなよ?ボーカルは喉が大事だ」スリスリ
唯「あ、そっか!それで澪ちゃんそんなに飲まなかったんだね」
澪「そう。あとタバコだ、絶対吸えないな」スリスリ
唯「煙たいの嫌いだからそれは大丈夫!」
澪「よしよし。……そろそろ暖まった?」
唯「うーん、暖かくなったら眠くなってきたぁ」ウトウト
澪「寝ちゃってもいいよ。思う存分抱きしめておく」
唯「澪ちゃんは~?」ウトウト
澪「唯の寝顔見てから寝る」キリッ
唯「いつもと変わんないね……おやすみぃ」ギュウ
澪「おやすみ唯」ギュッ
唯「……」スー
澪「……寝付きはいいんだよな」クスッ
澪「……」
澪「……独り言、言ってもいいよな」ボソ
澪「私たち、もう大人なんだよな」
澪「時間経つのはあっという間。唯たちに出会ってからは特にそうだ」
澪「……あっという間だったけど、出会えた皆は全員特別だ」
澪「律もムギも梓も。応援してくれてる和や憂ちゃん、純ちゃんも」
澪「かけがえのない私の親友だ」
澪「……でもな」
澪「唯はもっともっと特別なんだ」
唯「……」
澪「1年前、唯の所に転がり込んだろ?唯がいないと、私もうダメなんだ」
澪「ずっと傍にいたい。楽しいときも悲しいときも迷っているときも」
澪「……傍にいさせて。……唯は……」
澪「私の最高のパートナーだ」ギュ
唯「……」
澪「……唯」
唯「……」
澪「……起きてるだろ」
唯「……」ピク
澪「心臓の音、すごいぞ」
唯「……ずるいよ澪ちゃん。そういうことはちゃんと言って欲しいな」ムクリ
澪「普段はくっついてるだけだし。それに独り言だって言ったろ?もう言わない」プイッ
唯「だーめ。お願い……澪」ジー
澪「……じゃあ、もっと唯の隣に相応しくなってから言う。あといきなり呼び捨てやめて。もっと好きになるぞ」カァッ
唯「充分相応しいよぉ?澪澪みお~♪」スリスリ
澪「も、もう……私もう寝る!」クルッ
唯「え~お喋りしてようよー?」
澪「ベーシストの朝は早いの」
唯「意味分かんないよぉ。せめてこっち向いて~」グイグイ
澪「……ほら、これでいいだろ。おやすみ唯……」ギュッ
唯「うん!おやすみ澪……」ギュゥ
唯澪「……」スヤスヤ
―――朝―――
律「うぅん……」ムクリ
律「……朝かぁ……ぅぁあ、あったま痛ぇ……」ズキズキ
律「うえぇ……あんなに飲むのこれっきりにしよう……」ヨロヨロ
律「……ん?」チラリ
唯澪「……ムニャ」ガッシリ
律「よくあんな体勢で寝られるなおい」ハァ
律「……私もだけど、皆二人のこと応援してるんだからな。別れたりしたら承知しないぞ」
唯澪「……ぁりがと……」ムニャムニャ
律「ね、寝てるよな?」ビクッ
唯澪「」スースー
律「ふぅ。放課後ティータイムとしても頑張っていこーぜ!……お?」チラ
律「うおぉ!雪だ!皆起きろすげー積もってるぞー!!」ドタバタ
紬梓和憂純「うるさぁい!!!」ズキズキ
律「ご、ごめんなしゃい……」ビクッ
唯澪「……ぐぅ」ニコニコ
どっとはらい。
いつまでも皆仲良しでいてほしいね。同窓会あるだろ、とかはスルーの方向で。
初出:3->>643
- GJ!! -- (名無しさん) 2011-01-16 22:21:39
- 起ったから抜いた -- (名無しさん) 2011-01-23 06:30:44
- もっと好きになるぞ
なればいいじゃないッ!!どんとこいd(ry -- (名無しさん) 2012-08-30 16:12:38 - りっちゃん不憫だw 二人ともお幸せに -- (名無しさん) 2013-04-03 01:29:44
- いいぞもっとやれ -- (名無しさん) 2014-08-30 03:34:02