『どんなに寒くても…』
冬。真っ白な季節。
私はあまり冬が好きじゃなかった。
私はあまり冬が好きじゃなかった。
寒いのが嫌いだから。
体温は高いほうだけど、だからといって。
寒さに強いかといえば、そういうわけじゃない。
体温は高いほうだけど、だからといって。
寒さに強いかといえば、そういうわけじゃない。
冷える体。悴む手。
それにつられて、心まで冷たくなってしまいそう。
それにつられて、心まで冷たくなってしまいそう。
もちろんそんなのは私の気のせいなんだけど。
でも、小さい頃から漠然とそんな意識があって。
だから、冬は好きじゃない。
でも、小さい頃から漠然とそんな意識があって。
だから、冬は好きじゃない。
そんなことを考えながら、いつものように
駅から出て、学校へ向かおうとしていた時だった。
駅から出て、学校へ向かおうとしていた時だった。
「へへ。だーれだ?」
ふと、視界が真っ暗になる。
それと同時に顔を包み込む暖かな感触。
それと同時に顔を包み込む暖かな感触。
だれか?だなんて。
私が間違えるはずなんて無い。
私が間違えるはずなんて無い。
あなたは、私の大好きな人だから。
「おはよう。唯ちゃん」
「ばれたか~!」
「おはようムギちゃん!」
この寒空の下でも、満面の笑みはまるで春みたいだ。
「待っててくれたの?」
「ムギちゃんと一緒に行きたくなってさ~」
その言葉だけで、さっきまでの沈んだような気持ちはどこへやら。
私は自分で思うよりも現金な人間なのかもしれない。
私は自分で思うよりも現金な人間なのかもしれない。
「ありがとう。じゃあ、いっしょに行こっか?」
「うん!」
「ねえムギちゃん、手繋いでこうよ!」
断る理由なんてなくて。私は返事の代わりに、彼女の手を握る。
「えへへ。ムギちゃんの手はあったかいね~」
「唯ちゃんの手もとっても暖かいよ」
「ありがと~。ならこれで二人ともあったかだね~」
「ふふ。そうね。あったかだね~」
「寒いし、もっとくっつこうよ。ぎゅ~」
「あらあら…」///
うれしいけど、朝のこの時間だと、人も多くて
ちょっと恥ずかしい、かな。
ちょっと恥ずかしい、かな。
「唯ちゃん、もしかして寒いの?」
待っててくれたみたいだし、心配だった。
「う~ん、今日は寒いよね~。でも私は大丈夫!」
「それよりもさ」
「ムギちゃん寒いの苦手でしょ?」
「…どうして?」
「だって、冬になるとたまに悲しそうな顔してるもん」
「さっきもちょっと悲しそうな顔してたよ」
こういう所は本当に鋭いんだから。すごいなって素直に思う。
「だから、これからは私があっためてあげる!」
いつも春みたいに暖かくて、自分も、周りの人も
自然にあったかい気持ちにさせてくれる。
自然にあったかい気持ちにさせてくれる。
こんな風に、人の心を温めてくれる。
そんなところが大好きだ。
そんなところが大好きだ。
「…ありがとう、唯ちゃん」
「じゃあ、これからも、お願いしちゃおうかな」
「どんとこいです!」
そう言ってもっとくっついてくる。本当に暖かい。
だからね。こんなに寒い冬でも。あなたがいれば。
『…僕は、幸せ』
おしまい