No reason
「…唯ちゃん」
二人きりの放課後の部室で、ぴたっと私の背中にくっつくムギちゃん。
抱きつく、というほどではないんだけど、そのぬくもりは互いの制服を通して確かに伝わってくる。
もしこの隔たりがなかったら、ムギちゃんの体温を直に感じることができるのに。
ムギちゃんと身を寄せ合うたびにこんなことを考えてしまう私は、エッチな子なのかな…なんて悶々としていると、不意にぬくもりが背中から消えた。
抱きつく、というほどではないんだけど、そのぬくもりは互いの制服を通して確かに伝わってくる。
もしこの隔たりがなかったら、ムギちゃんの体温を直に感じることができるのに。
ムギちゃんと身を寄せ合うたびにこんなことを考えてしまう私は、エッチな子なのかな…なんて悶々としていると、不意にぬくもりが背中から消えた。
「ムギちゃん…?」
見ると、一歩距離を置いて、頬をぷーっと膨らませたムギちゃんが私を睨んでいた。
ど、どうしたのかな。もしかして変なこと考えてるのがバレた…?
ど、どうしたのかな。もしかして変なこと考えてるのがバレた…?
「ムギちゃん、どうかした?」
「…唯ちゃんは、ホントに私のこと好きなの?」
「え?も、もちろん好きだよ。何言ってるの?」
「そのわりには、私に何にもしてこないじゃない」
「な、何にもなんてことは…」
「じゃあ、具体的にはどんなことしてるのかしら。言ってみて?」
「えぇと…だ、抱きついたり…」
「それだけ?」
「手を繋いだり…」
「あとは?」
「……お、おしゃべり」
「それって、恋人同士でする特別なこと?違わない?」
「…はい」
「…唯ちゃんは、ホントに私のこと好きなの?」
「え?も、もちろん好きだよ。何言ってるの?」
「そのわりには、私に何にもしてこないじゃない」
「な、何にもなんてことは…」
「じゃあ、具体的にはどんなことしてるのかしら。言ってみて?」
「えぇと…だ、抱きついたり…」
「それだけ?」
「手を繋いだり…」
「あとは?」
「……お、おしゃべり」
「それって、恋人同士でする特別なこと?違わない?」
「…はい」
ムギちゃんの言うことはごもっともだ。
私はムギちゃんとお付き合いするようになってから、前みたいに積極的になれなくなってしまった。
いつも抱きつくのはムギちゃんからだし、手を繋ぐのだってムギちゃんから。最近は話しかけるのにも躊躇してしまうようになってしまった。
私はムギちゃんとお付き合いするようになってから、前みたいに積極的になれなくなってしまった。
いつも抱きつくのはムギちゃんからだし、手を繋ぐのだってムギちゃんから。最近は話しかけるのにも躊躇してしまうようになってしまった。
まぁ、ここ最近の私は一言で言えば…ヘタレなのだ。
「最近はほとんど好きとも言ってくれないし、唯ちゃんから愛情を感じられない…私、このままじゃ浮気しちゃうかも」
「ま、待ってよ、私ホントにムギちゃんのこと好きだよ?」
「じゃあ、その証拠を見せて?私のことを好きだっていう証拠」
「しょ、証拠…よーし、ムギちゃ」
「抱きつくのは無しよ?もう私がしたんだから」
「う…」
「あと、好き好きって言うのも。言えばいいってものでもないのよ」
「うぅ…」
「ま、待ってよ、私ホントにムギちゃんのこと好きだよ?」
「じゃあ、その証拠を見せて?私のことを好きだっていう証拠」
「しょ、証拠…よーし、ムギちゃ」
「抱きつくのは無しよ?もう私がしたんだから」
「う…」
「あと、好き好きって言うのも。言えばいいってものでもないのよ」
「うぅ…」
なんてことだ。私に出来ることをすべて封じられてしまった。
じゃあ何をすれば…恋人同士でする特別なこと、ムギちゃんのことを好きだからすること……
じゃあ何をすれば…恋人同士でする特別なこと、ムギちゃんのことを好きだからすること……
「む、ムギちゃん」
「は、はい?」
「は、はい?」
私はムギちゃんの肩をグッと掴んだ。こうなれば覚悟を決めよう。
私はムギちゃんのことが大好きなんだ。だったらこれくらいしなきゃダメだ!
私はムギちゃんのことが大好きなんだ。だったらこれくらいしなきゃダメだ!
チュッ…
私はムギちゃんにキスをした。…けど、味なんてまったくわからない。ただ漠然と柔らかいと感じただけだ。
なぜなら私の心臓はバクバク音を立て、身体中から汗が吹き出て、頭はキーンと耳鳴りがしていたから。
…情けない。いくらファーストキスだからって、ここまで余裕がないなんて…
なぜなら私の心臓はバクバク音を立て、身体中から汗が吹き出て、頭はキーンと耳鳴りがしていたから。
…情けない。いくらファーストキスだからって、ここまで余裕がないなんて…
「……」
「…む、ムギちゃん…ど、どう…?これでわかってくれた?」
「…うん」
「よ、よかった…」
「…待って」
「え?」
「まだ…あるじゃない」
「あるって…うぉ」
「…む、ムギちゃん…ど、どう…?これでわかってくれた?」
「…うん」
「よ、よかった…」
「…待って」
「え?」
「まだ…あるじゃない」
「あるって…うぉ」
ムギちゃんは私に体を寄せた。さっきとは違って、密着するように足を私のと交差させている。
制服越しでも分かる豊かな感触が、私の理性をくすぐった。
制服越しでも分かる豊かな感触が、私の理性をくすぐった。
「ム…ギちゃ…」
「ホントは唯ちゃん…我慢してるんじゃない?」
「え…?」
「唯ちゃんは照れ屋さんなところもあるけど、優しいから…したいようにしたら私に悪いんじゃないかって考えてるんじゃない?」
「ホントは唯ちゃん…我慢してるんじゃない?」
「え…?」
「唯ちゃんは照れ屋さんなところもあるけど、優しいから…したいようにしたら私に悪いんじゃないかって考えてるんじゃない?」
正直、図星だった。とはいっても、ヘタレを正当化させるための言い訳に過ぎないんだけど。
でもやっぱり、怖い。私が我慢をやめて自分の気持ちを全部向けたら、きっと私はあなたを傷つける…私は、それが怖いんだ。
でもやっぱり、怖い。私が我慢をやめて自分の気持ちを全部向けたら、きっと私はあなたを傷つける…私は、それが怖いんだ。
「…大丈夫よ」
「え…?」
「え…?」
「私、唯ちゃんのこと好きだから…どんなことされても嫌じゃないの」
「ど…どんなことされても?」
「うん。どっちかといえば、私がしたいくらいなのよ?でも私がしたら、一方的になっちゃうから…だから唯ちゃんから、して?」
「だ、だけど…」
「さっきキスしてくれたんだから…できるでしょ?」
「……」
「ど…どんなことされても?」
「うん。どっちかといえば、私がしたいくらいなのよ?でも私がしたら、一方的になっちゃうから…だから唯ちゃんから、して?」
「だ、だけど…」
「さっきキスしてくれたんだから…できるでしょ?」
「……」
私は、変な気持ちになっていた。夜、布団の中でムギちゃんを思う時たまになる、そんな気持ち。
大好きな人をそんな目で見たらいけない。そう必死で抑え込んできた、そんな気持ちだ。
大好きな人をそんな目で見たらいけない。そう必死で抑え込んできた、そんな気持ちだ。
でも…そのムギちゃんがいいって言ってくれてる。だったら…
「ムギ…ちゃん」
私はそっとムギちゃんの制服のタイをほどくと、ブラウスのボタンを上から外していった。
そして、豊かな胸を包む淡いピンクの下着があらわになった瞬間、私はハッと息を飲んだ。
そして、豊かな胸を包む淡いピンクの下着があらわになった瞬間、私はハッと息を飲んだ。
「…かわいい、かな?唯ちゃん、ピンクが好きだって言ってたから」
「ム、ムギちゃん…私…ホントに、我慢できないよ…?」
「うん…」
「ム、ムギちゃん…私…ホントに、我慢できないよ…?」
「うん…」
ムギちゃんはゆっくりと、私の太ももに指を這わせた。
「いいよ…唯ちゃん」
「ふ…っ……うぅ…」
「ふ…っ……うぅ…」
私は、理性を捨てた。
――好きだよ、ムギちゃん。
END