「ぷは~…生き返る~。」 酒場で水を飲んだイルが言う。 「確かに…。水をもっと持っていくべきでしたよね。」 「…おい。俺にも飲ませろ。」 カバンの中からもぞもぞと出てきたのはフェイ。 「あ。ごめん忘れてた。」 干からびかけていた彼に水を大量に与える。 「くは~干からびるかと思ったぜ。で、次の目的地はどこだ?なぁ?」 「…あ、そういえば。必要なものは揃ったんだよね。何処行けばいいのかな?」 「……僕にもわかりません。何処にあるのかも…。」 うつむいて答えるライ。 ふと、そんな彼に声が掛けられた。 「何処にあるかわからなくっても必ず見つかります。諦めてはいけませんよ。」 となりに座っていた男性がそうライにいった。 「あ、あなたは?」 「私は、アルケミストのカネモリと申します。よろしく。」 「僕はライといいます。あちらの二人がイルとセオ。で彼がフェイです。」 自己紹介をしたあと、お茶を飲む。 「…カネモリさん。あなたはどうしてそう言いきれるのですか?」 「それは…。」 「それは僕達も何処にあるかわからないものを探してるからだよ!」 急に話に割り込んできたのは栗色の髪の若い女性。 「ジュリア、私の台詞をとらないでください。」 「えへへ。」 少年のような屈託のない笑み。 「ねぇ。君、頭の上に乗ってるのって竜か何か?」 「ん?あぁ、ルカの事?。」 「触ってもいいでしょうか?」 興味津々のジュリアとカネモリ。 「ピギャ?」 初めて見る人を見てからセオを見る。 「大丈夫、悪い人じゃない。」 そういうと、ジュリアとカネモリの顔をじっと見ている。 「…珍しいですね。」 「竜の子触るの初めてだ。かわいいなぁ~」 ジュリアの隣で、セオがショートケーキのイチゴにフォークを刺した瞬間 「ハグッ」 ものすごい速さでそのイチゴを食べる。 「んな…ルカ、お前…。」 「ピィ♪」 満足そうな顔でセオを見る。 「はぁ…欲しいなら欲しいって言えよな…。」 そう呟いてまたケーキを食べはじめる。 その光景を見たイルは口を押さえてお茶を噴出さないようにこらえている。 「…笑うなよ。それにこっち向くな。こっち向いて吐き出すなよ?」 イルの顔は真っ赤。 「早く飲めよ…。」 やっと飲み込んだのか、でもまだ笑っている。 「なんだよ。何がおかしいの?」 「あははっ。ケ、ケーキ全部食べられてるっあはははは!」 視線を戻すと、フェイが丸呑みして食べている。 「…はぁ。」 チラと隣に視線を移せば、カネモリは苦笑い。ジュリアはこらえている。 「…俺の、ケーキ…。」 フォークを握り締めたまま項垂れるセオ 「ケーキくらいでけちけちするなよ。まだ若いんだから。」 とフェイ 若いのとケーキは何の結びつきもありません。 「セオ?君達が探してるものって何なのかな?」 ジュリアが言う 「探してるものはサラバンドの書とかって言うの。そっちは?」 「私達は風の元素です。」 「元素?」 イルが首を傾げる。 「えぇ。見かけたことはありませんか?」 他の元素を見てから説明を受ける 「…見たことは無いなぁ。光るものといえばヒカリゴケとかそんなもんだな…。」 「そうですか。私達もその書は見たこともありませんし聞いたことも。」 お互いの情報交換をして、あとは雑談に入る ライはカネモリと調合について、隣で聞いているイルは頭を抱えている。 ジュリアの方はケーキをもそもそと食べているセオに話をしている。 時間を忘れてそれぞれの話に没頭する。 「カネモリ~。そろそろ行くよ~。」 「わかりました。それでは、見つかるといいですね。」 「ありがとさん。じゃあ、二人も気をつけて。」 それぞれの目的のために、彼らはまた旅立つ