「暑いの苦手…。」 「情けねぇな。ルカは、って言いたいところだけど流石に…。」 気温は高く、忌々しい太陽はいまだ沈まず。 高さはちょうど真上に来たころ。 「…砂漠の夜と朝。どっちが好きですか?」 「夜のほうが涼しくていい。」 「涼しいんじゃなくって涼しすぎるんだよ。かえって凍えるよ…。」 額の汗をぬぐいながら言うイル。 無事に村に着き、水を飲みながら休憩。 「行くよ。」 「何処に?」 「それは連中が教えてくれる。死ななきゃの話しだけどね…。」 ポツリと呟いてから、立ち上がり村を出る。 「どういうこと?」 「こういうこった、今の俺達は連中に従うしかないって事。」 村の出口には、数人の支援者が立っている。 「無駄な殺しはしたくは無い、ランプと竜を渡せばお前らの命の補償はしよう。」 「全ての武器をおけ、手は後ろに組むんだ。」 (…違う、違う、クソ、何処にいるんだよ。あのバカ) 「さて、案内は。お前とお前だ、場所はわかるだろうな。我々は準備にとりかかる。」 「お任せを。」 二人だけ男を残し、あとの支援者達は馬に乗って走り去っていく。 それを見届けた後に一人が男の後頭部を強打した。 「やれやれ。まったく世話のかかる人たちだなぁ。」 「…!どうして、あなたが…。」 顔を隠していた布の下に現れたのは、ミナルで別れたはずのクレド 「頼まれたの。セオにね。にしても暑いな…。」 汗をぬぐう彼を見ながら、早く外せとフェイが怒る。 「えーっと残念ながら君達はそのまま。結び方わからないから外していくと逆にこっちの命が危ないの。わかるね?わかったなら、案内しようか。さぁいくよ。」 殴り倒した男をずるずると引きずりながら進む。 「サラバンドの書はね…なんと。はい、ここにありますね。 隠し扉かどッかに。」 着いた場所は砂上墓所。 「さて、ほら、あんたおきてくださいよ。寝てると殺されるよ?」 「ん…ぐぅ。あぁ、すまない。」 殴られたって事に気付いていないこの男。それほど間抜け。 「ほら…あなたは前を、私は後ろを。」 男を戦闘にし、墓所の中へ入っていく。 「(あんまり動かないで、縄を緩めるのは大変なんですから)」 「(んなことわかってるよ!)」 先頭の男は次々と魔物を倒していく。 間抜けだが腕は確かなようだ。 「ちぃ、おい!お前っ援護しろ!くそ…こんなにいたなんて。」 「なんだ…おい、縄をとけ!その数じゃあんた死ぬぞ!」 道という道にいるのは、グロリムと呼ばれる人型の魔物 「解いたら、俺が殺される!」 「グロリムにぶっ殺されてもいいのか!このままじゃ竜も殺されるぞ!」 クレドが男に怒鳴る。 「…ちぃ。どけ、この愚王の民共!」 ベルセルクの男が特攻していくが、グロリムの数のほうが多く圧倒的に押されている 「バカが…。このっ!」 縄を無理やり引きちぎったフェイがグロリムへ斬りかかる 「おいっ隠し扉かなんかあるんだろ!さっさと開けろよ!バカッ」 フェイが男へ怒鳴り、攻撃を避けながらグロリムの相手をする 「お…おぅ!」 男は地面を三回踏み、それから脇の柱を強く叩いた。 ガゴン…。と音を立てて扉が開く。 「さっさとはいれ!」 男はフェイをつかみ、ほか四名も駆け込んだ。 「やっとついたか。ほぅ、外にはグロリムか…ご苦労。」 「さて、招かれし客よ…ランプと竜をこちらに…なぁに心配はイラン。すぐに返すさ。本当だ。さぁ。」 ランプを地面に落とし、ルカとフェイが前に出た。 「さて、全て揃った。さぁて、サラバンドの書は…。」 奇妙な像に何かが書かれている 「なんだこれは?わが友人の名を、記せだと?」 「…簡単すぎる。バカな俺でもわかる。笑っちゃうね。」 支援者をどかし、ペンでその名を書いた。 日記の持ち主の依頼を受けた二人の支援者の名前。 「あ、読もうとしても読めませんよ。それ、復刻版ジャック特製見えないインク。」 クレドが必死に見ようとしている支援者を見て笑いながら言った。