Aerial World内検索 / 「その4.胎動」で検索した結果

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  • その4.胎動
    -4- ティールが『代理人』と言葉を交わしている間も、エミリアとリスティの二人は互いに逆の立場を演じ続け、それぞれ入れ替わった先のパートナーと共にリエステールを歩いていた。 今は、若干ではあるが時間が経った事で、二人の”演技”にも多少慣れのようなものが見え隠れしてくる。 ……だがそれとは別に、もう一つの精神的な重圧がのしかかる事になるのは、最初は、二人とも夢にも思う事はなかった。 「わぁ・・・きれい」 「そうだな」 露天や一般的な店も含めて様々な商人が集う通りで、ヴァイとリスティ――の外見をしたエミリアはゆっくりと歩きまわっていた。 喋り方や細かい仕草に関しては、時々素が出てしまう事はあるものの、概ねはいつもの自分を抑え、『リスティ』の立ち振舞いを行う事にも慣れてきていた。 まだ、致命的と言えるようなミスは侵していない…… ヴァイの様子を見てそう確...
  • その4.カーディアルト
    その4 「おはようございます、ヴァイおにいちゃん、リスティおねえちゃん」 発声訓練二日目の朝。 未だユキの身体のままのリスティがヴァイと朝食の準備をしていると、それぞれの寝室へと続く廊下へのドアの方から、二人には聞きなれた声が聞こえてきた。 ……そう、それはユキの精神が宿る、リスティの声。 「……ああ、ユキか……」 リスティの姿と声で”ヴァイおにいちゃん”などと呼ばれるとは考えたこともなかったのか、一瞬動揺したように顔をしかめるヴァイ。 リスティはリスティで、まだ多少の硬さは見えるものの、たった一日でそこそこ流暢に話せるようになったユキの成長を喜んでいるようで、微笑んだまま、手話で挨拶を返している。 「お手伝いしていいですか?」 ……元々聞く耳はあったので、それぞれの単語の発音のアクセントや意味、そして主語・述語・修飾語などの文法的な知識は、ユキは最初からし...
  • その4.そんな日常
    ―4― ――エルナの部屋。 先日に引き続きエルナとシアは、テーブルを挟んでその場所で話し合いを進めていた。 ……ただ、それは以前のような気楽なものではなく、今後の事を話す少し重大な会話。 「昨日ユキが使っていたカードです。 一枚貰ってきました」 最初に話を切り出したのは、シアからだった。 透明な薄いケースの中に封入された、淡く白い輝きを発する無地のフルーカード……と、思われる物体。 しかしフルーカードは一般的に、込められた意味に応じてタロットカードのような模様が描かれているものであり、それゆえに無地ということは何の”意味”も”力”も持たないものなのである。 それが、昨日のあの時は――― 「ユキはリラを使えるといっても、本当に小さな切り傷かかすり傷を治せる程度です。 確かにアレン君の怪我は肌の表面をすりむいたのと軽い打撲だけでしたが、それでもユキの力ではその場...
  • カラオケに行こう!:その4
    エルナ「っとまあ、それは置いといて、今度は誰が歌う?」 ジュリア「はーい! カネモリせんせが歌いまーす☆」 兼守「なっ!?    …ジュリアさん、勝手に指名しないで下さいよ★」 エルナ&シア『!!!〈ピクッ〉』 ケルト「でも、僕たち縦川先生の歌うところなんて見たことありませんから…」 兼守「………。」 セオ「そうそう。    それにカラオケ屋は歌うための場所だしねー?」 兼守「……………。」 シルエラ「わたしも、せんせいのお歌聴きたいですっ♪」 生徒一同『……………………』 兼守「……………………仕方ありませんね。ここはわたくしが一曲。〈にっこり〉」 エルナ&シア『…………。』 (イントロ開始) エミリア「これは…、あの『未完成協奏曲(みかんせいコンチェルト)』!?」 兼守「♪深いまなざしから ほとばしるメロディー     俺の記憶の底 まさぐりかき...
  • リレー小説:エリワー学園・カラオケに行こう編
    劇場版第二弾 カラオケに行こう! ルール できれば自分のオリジナルのキャラでお願いします(デュエットに他人のキャラを突き合わせるのは可) 終わりも特にありませんので、このキャラにこの曲が合いそう! と思ったらかきこんでください カラオケに行こう!:その1 カラオケに行こう!:その2 カラオケに行こう!:その3 カラオケに行こう!:その4 カラオケに行こう!:その5 カラオケに行こう!:その6 カラオケに行こう!:その7 カラオケに行こう!:その8 カラオケに行こう!:その9 学園編キャラ設定まとめ・最新設定 (以下個別設定:一部最新設定と違うキャラがいます) ToVより:学園Verキャラ紹介 白石より:学園Verキャラ紹介 風もとより:学園Verキャラ紹介 SGより:学園Verキャラ紹介 辿りつく詩より:学園Verキャラ紹介 ...
  • チャプター4.開戦
    ―4― 場所はリエステール東街道……では馬車などの通行の邪魔になるので、街道からややはずれた地点を選んでいた。 地形的アドバンテージはどちらにも傾いておらず、兵力差は4:2. 単純な数字の上では、こちらが有利な状況である。 人員に関しても、ティールが斬り込み、ディンが盾に、そしてエミリアとイリスが後方から魔法で攻撃する、とバランスはとれている。 ……ただ、イリスに関してはせいぜい火と風の中級魔法がかろうじて使えるといった具合で、多属性合成魔法も下級魔法同士を組み合わせて中の下程度の威力を出すのが関の山で、中級同士を組み合わせるほどの能力はまだ持ち合わせていない。 尤も、中央都市近辺のフィールドをうろついている魔物程度ならそれでも十分対応できるのだが、今回は”対人戦闘”であり、その相手をする二人組は間違いなく自分達と同格以上なので……イリス単体で魔法を使わせたところ...
  • チャプター4.酒場で
    ―4― 鉱山の町モレク。 元は鉱山の採掘を生業とする山男達で賑わう町だったが、鉱山が魔物の巣窟につながってしまい、ダンジョン化してからは、支援士の姿も多くなっていた。 ……それから、随分と長い時が過ぎた今もそれはかわらずに、町の酒場は支援士と、鍛冶専門のクリエイターを中心に、多くの人で賑わっていた。 「はっはっは、そりゃー災難だったな」 「他人事だと思ってわらうでない!」 そんな中で、酒場のマスターと話しこむ二人。 ディンは、エミリアがいち早く鉱山へと向かいたい様子だったのを考慮して、平原で出会った少女とも別れ、最終準備を手早く済ませて出発するつもりだったが、エミリアの口から出たのは『情報収集じゃ』の一言。 その言葉に拍子抜けしつつも感心し、とりあえずは少女と一緒に、もっとも情報が集まっているだろう酒場に来たわけだが…… 「いやいや、すまんすまん」 モレクにく...
  • チャプター4.七色の鳥
    ―4― その後、足早にモレクまで帰還したティールは自警団の駐屯騎士に事のあらましを告げた。 ……ただ、今の自分は事の大きさを理解しきれていないと考え、”ダンジョンから出たところを、荷物を狙われた”とだけ伝え、小鳥の存在についてはまだ隠しておく。 珍しい存在というものは、あらゆる方向から狙われる要因となり、加えて今自分がおかれている状況から考えると、騒ぎを大きくせずに、相手の出方を見る方が得策……そう考えての行動でもあった。 「……とはいえ、どうしたものかな」 自警団が岩礁洞窟方面に調査に出たのを見送ると、ティールは再びモレクの町を歩き出す。 とりあえず酒場に依頼されていた岩塩を届けるのは確定として…… 「ピィ~……」 「……あ、お腹すいた?」 コートのポケットからちょこんと顔を出し、なにやら切なげに鳴く小鳥。 思い返せば、たまごから孵ってからここまで何も...
  • チャプター4.仲間の定義
    ―4― 互いに持っていた弁当を少しづつ交換したりしながらという和やかな昼食タイムを過ごし、魔法が使えないという状態のエミリアの穴をうめるように、シアとユキの二人と、銀牙の一匹を加えて、ミナルまでの道中を共にした。 シアはバードの特性上、本人の攻撃能力はゼロだったが、それを補うように『英雄の謳』『戦いの謳』といった”自らが味方と認識している者”を強化する謳と『癒しの謳』『奇跡の謳』という声の届く範囲にいる味方を回復し続ける、レ・ラリラルのような謳で、ディンと銀牙の戦いを補助していた。 ―欠点があるとすれば、”謳い続けなければ”効果を得られないと言うことと、その特性上”強化系の術の効果を残したまま回復する”ことが出来ないことだろうか。 ただ、効果範囲が”声の届く範囲”なので、発声しだいでかなりの広範囲の味方に効果を及ぼすことができるという利点もあるようだった。 ―また、...
  • チャプター4.疾風の白刃
    ―4― 自分のものさしだけで全てを測ろうとすると、いつか必ず壁にぶち当たる。 個人の常識など、世界の真理からすればほんとうに小さなものである。 ……これは、彼女がとある読書家から聞いた哲学的な一言だった。 その時はその言葉の意味がいまいち理解できなかったが、今、なんとなくその意味が分かりかけてきたような気がしていた。 「にゃにゃー」 道端につみかさなっていた桶にかるく身体を当て、転倒させるアーリー。 それらはバラバラに転がり始め、彼を追いかけるティールの視界から彼の姿を隠し、行く先を阻む。 しかし、ティールはひるまずその桶の波を跳び越え、ふたたび目標の姿を視界に捉えた。 「…あれ、本当にただのネコ…?」 ―とりあえず、ティールは白猫アーリーの捕獲に奮闘中である。 すでにモレクの町をほぼ網羅するほどあちこち走り回ったのは確実で、もう少しで捕まえられ...
  • チャプター4.天乃の重み
    ―4― 「ふむ……なるほど」 特に断る理由も無い、という事で、ホタルは二人を連れて工房へと戻り、ここ数か月の間に自分が作った、試作品も含めた数本を持ち出し……そして基本的に珍しいもの好きという性格から、一般人よりは目の利くらしいエミリアは、その一本一本を感慨深げに眺めていた。 「……悪いな、名品とか呼ばれてるのに目がないやつで」 「いえ。 『片刃剣』というだけでありがたがる人とは違うようですし」 その光景を呆れつつもどこか慣れた調子で眺めるディンと、少し調子を崩されつつも、少し微笑むような表情を浮かべ、そう答えるホタル。 「……やっぱり多いのか? 名前だけでありがたがるやつって」 「形だけ見て質を見ない。 そういった方は、ナマクラでも『片刃剣』と言うだけで満足して帰っていきます」 後に”ナマクラでも早々折れる事は無いですけど”と付け加え、あまり笑っているとは思え...
  • チャプター24.マアトの裁定
    ―24― 月明かりの落ちるモレク近辺の林の中。 一人のネクロマンサの男が、全体がボロボロとなった衣装を身につけ、半ば這うような姿でその中を進んでいる。 「くっ……おの…れ……!」 彼は、アイリスのレインボウドロップの直撃をかろうじて回避したものの、着弾後に広がった強烈な魔力の余波をその身に受け、全身に大きなダメージを負うに至り…… 余波だけでこの威力と言うのなら、それは直撃を受ければそのまま死に至らせる可能性もあった一撃であり……彼は、精霊王の強大な力の片鱗に、これまでに無いほどの畏怖と恐怖を感じていた。 「あの……妖精(ムシ)めが……出てこなければ……」 ……そう、あのままヒミンと名乗っていた妖精が乱入してこなければ、アイリス本来の力を発揮することなく全てが終わっていたはずだった。 天に輝く12星座――『黄道十二宮(ゾディアックベルト)』の力。 それは、...
  • チャプター4.笑顔が創る道
    ―4― お金を払い、食堂を出た後は、表通りにでてほてほてと二人で歩く。 そうして辿りついたお昼過ぎの広場は、親子連れや露天商、暇そうにしている支援士などでいつも通りの賑わいを見せ、その光景はこのリエステールが活気ある街である事を誇示するかのようだった。 「画家さんかー。 ソールは絵なんて描けないからうらやましいな」 そんな中で、アウロラはソールに自分の身の上を訥々と語っていた。 何かを言うたびに、素直に、率直に思った事を口にする彼女は、先程アロちゃんなどというあだ名をつけられたときと同じように、久しく忘れていた『友達』に対する感情を思い出させてくれる。 「あ、思い出した。 『春の息吹』っていう絵、ソールすごく大好きだよ」 「……ありがと」 『春の息吹』はタイトル通り、去年の春に出した作品だった。 あの頃も、多少のスランプに悩まされながらも、元気に筆を動かして...
  • チャプター14.解き放つ想い
    ―14― 『どうじゃ、この衣装』 『いいんじゃないか? いかにも魔法少女(ウィッチ)って感じだし』 『うむ。 ディンも、意外と鎧姿が似合っているではないか』 『…一応、重戦士(ブレイブソード)だからな』 『しかし、あの泣き虫がパーティーの『盾』となるブレイブソードとは、世も末じゃな』 『……俺だって、いつまでもお前に守られていたくはない……今度は、俺がお前を守ってやる番だ』 『……そうじゃな。 私も、ディンのその言葉を信じて、ウィッチ―いや、マージナルになる道を選んだ。 これなら私の前を守ってくれるお主を、後ろから助けられる』 『……お前にいきなり素直にいわれると、なんか変な感じだな』 『ふふ、そんな素直じゃない私がこう言っているのじゃ。 ……ディン、お主も、まずはブレイブソードにとどまらず、パラディンナイトを...
  • チャプター14.業の集う場所
    「―あ、出るタイミング逃しちゃった?」 「……起死回生。 出る必要がなくなっただけ」 「いや……状況はまだ悪そうだよ。 もう少し、様子を見ようか」 ―14― 「――ヴァイ!?」 ティールの心臓に剣を突き立てようとした兵士が一撃の下に吹き飛ばされ、予想だにしない援軍の到来に、一瞬怖気づく他の兵士達。 「グオオオオ!!」 そして、その一瞬の隙を突くかのように、純白の体毛をなびかせ、一体のフロストファング――銀牙が戦場に飛び込み、群がっていた兵士達を蹴散らしていった。 攻撃を受けなかった他の兵士達も、完全に虚を突かれ動揺し、なす術もなく後退していく。 「くっ……貴様等!?」 その兵士達の向こう側で、驚愕の声を上げる男。 そうしている間にも、ヴァイ、銀牙に続いてリスティ、シア……そして、ユキとイリスもこの場へと集い、地面に倒れこんでいるティールを守るか...
  • その2.そのままで
    ―2― 「……リスティ、調子悪いのか?」 ――その後、大慌てで色々と考えようとするものの、状況が状況なだけに二人揃って頭も上手く回らず、かといって誰かに頼れるような状況でもない。 結果的に、丸一日エミリアがリスティのフリをし続けるなどという、単純でありながら最も労力を振り絞る必要がある結論に達してしまったのだが。 「……あ、いゃ……いえ。 大丈夫です」 ……どうにかいつもの口調が出てしまわないように抑えるエミリア。 とりあえず朝食の間は二人でフォローしあって切り抜ける事が出来たが、こんなふうに相手の恋人の前で、バレないように振舞おうと思うと、予想以上に精神力を消耗していくのが自分でもよく分かる。 「……大丈夫かな……」 そして、そんな二人の様子を、一歩離れたような位置からじっと眺めている、エミリアの姿をしたリスティ。 見た目自体はリスティそのもの...
  • その2
    一方・・・ 『拝啓。父上、母上。智香は元気です。この手紙が無事届いておりますでしょうか? なぜなら、智香は・・・』 智香「迷ってどこに居るのか判らなくなってしまいましたーー!!」 たー! たー! たー・・・ たー・・・・・ 智香「リエステール側に居たはずなのに・・・どこぞやの神社とは(がくっ)」 智香「『博麗神社』ですか。十六夜にそんな神社あった記憶が無い・・・」 智香「うぅぅ。困った・・・」 霊夢「あら? 貴方、この辺では見ない顔ね?」 状況整理 霊夢「十六夜ねぇ・・・この幻想境でそんなトコロ聞いたこともないんだけど」 智香「まさか! 白銀の雪が降り積もり、銘工と武士の集う街です!」 霊夢「ごめんなさい。恐らく何かしらの因子で他の世界から来た。とかくらいしか思いつかないわ」 智香「そう・・・ですか」 霊夢「まあ、そういうのに詳しそうな...
  • その1
    アリ魔理が好き。でも(自主規制)限定なら早苗さんに勝てるのは居ない はじめに 魔理沙「なんでも東方キャラでエリアルワールドしてみようって話らしいぜ」 霊夢「『東方なら売れる』の心情なのかしら・・・?」 アリス「! でもちょっと待って。それってかなりキビシくない?」 魔理沙「なんでだ?」 アリス「向こう(AW)行ったら、ほとんどのキャラがマージナルじゃない!」 魔理沙・霊夢「あー・・・」 はじまりはじまり 魔理沙「聞いてくれアリス!」 アリス「いつもの事だけど何? あとナチュラルに窓を壊して来るの止めなさい」 魔理沙「いや、そんな事より、凄い事になったぜ!」 アリス「私にとってそんな事では済まないんだけど・・・」 魔理沙「爆発したら他の世界に繋がっちゃった」 アリス(ええぇ・・・) アリス「・・・まあ、あんたが冒頭に関わると良くある話よね・・・...
  • AW通信 - その1
    ブログの方を見られた方は多少ご存知かと思いますが、AWの第一大陸(今AWで描かれている世界の仮称)は、黒艦の襲来を受けて撃破。 その黒艦の技術を使うことで、ルナータ&フローナ発の船は高速度。高距離移動を可能とし、第二大陸(新大陸仮称)に行けるようになった!! というモノを考えております。 まー・・まずは黒艦落とさないと行けないんですけどね(汗 しかしまあ、新大陸って言うからにはそれなりの規模が欲しいもんですね!第一大陸も島大陸ですし!(涙目 一応幾らか考えている街とかダンジョンご紹介! 特集その1 - 新MAP?新ダンジョン? おめーそんなの作ってる余裕あるのかよ とか言われてもキニシナイ☆ちょぴ 1.港町クレスト 新大陸の入り口港。当初は第一大陸の人間を歓迎する様子は無かったが、新大陸には無い『聖術』や、十六夜の肩刃剣・倭刀。第一大陸にし...
  • その6.結論
    ―6― ――その夜、エミリアとリスティの二人はメンバー全員での夕食も手早く済ませて、一足先に全員の前を後にし、エミリアはリスティの、リスティはエミリアの部屋へと”戻って”行った。 外出中にはヴァイとディンになんとか最後まで気がつかれずにいたが、その間に受けた精神的負担は二人とも大きく……今は、二人とはできるだけ顔を合わせたくない気分だったのかもしれない。 「……ふぅ……」 ぼふっ、と音を鳴らすような勢いでベッドに背中から倒れこむエミリア――の姿をしたリスティ。 エミリアの部屋はシンプルで片付いていて、壁の一角が本棚で埋められている以外は、特に大きな装飾は施されていない。 ……かといって何もない殺風景な部屋というわけでもなく、所々に細かいアクセントが施されているのは、結構センスはいいかもしれない。 いろんな珍しいものや綺麗なものを集めていると聞いていたので...
  • その5.窮地
    -5- エルナと別れた後、二人は支援士としてもお馴染みの酒場へと足を運ぶ。 一般的に、酒場と言えば酒を飲むためのもの、という認識かもしれないが、もちろんそれだけではなく、軽食を取ることも十分に出来る場所だ。 いつもヴァイやディン達が依頼を受ける酒場……いつものマスターの店では、店の裏でマスターの奥さんが料理を作り、それを店に出しているという方式となっている。 いつものように依頼を受けるなら、カウンター席に座るのだが、今回は仕事抜きの為に、普通の客としてテーブル席に二人はついていた。 「おう、ヴァイ。 今日は仕事じゃ無ぇんだな」 「…だったら悪いのか?」 半ば睨みつけたような印象を持たれそうな瞳をマスターに向けるヴァイ。 だが、それは生来の顔つきや性格が影響しているもので、実際は全く怒ってなどいない。 そんな事を思い、エミリアは心の中でクスリと笑ってい...
  • その1.異変
    ―1― ――朝。 南部の中央都市であるリエステールは、この日も晴天に恵まれていた。 それはいつもと変わらない平穏な光景で、町の人々はこの日もいつも通りの生活を始めるだろう。 「――んー…………」 ベッドから身体を起こして、いつものように両手をぐっと突き出すようにして身体を伸ばす。 壁にかかった時計を見れば時間もほぼいつも通りで、この日もそれなりに気分よく目を覚ます事が出来た。 ……が、異変というものはいつどこでふりかかるか分からないもので……目を覚まして頭がはっきりとしてくるにつれて、今自分を包みこんでいる異変への認識もはっきりと意識の中に映りはじめていた。 ―リスティの部屋……?― ぱっと見回しただけでも、家具の配置も種類も自分の部屋のものと違う。 しかし、その一方で確実に身近なところで見た事のある光景。 ……それらから考えても、この場所は同じ屋...
  • AW通信 - その2
    皆様こんにちわ! エリアルワールドは日々更新され続けております!(主にあたくし以外の方のおかげですが[待 前回は新大陸の意見を出しました。ご意見をばありがとうございまする! 幾らか参考・改定の末、実装時にはなるべくご期待に沿えれば良いな!と思う次第ですが あたくしのテキトウ加減に変な方向に傾く危険もあるんだZE☆ そんなワケで(←どんなワケで?)、第二回エリワー通信はちょいと先が見えないよ。出すタイミングをうかがっている状態な新大陸とは別に 意見通れば、即実装でもイインジャネ?という辺りから公開。 でもアレヨ。新マップ出しても空気な場所多いよね。 四島ダンジョンとか試練の町カナスとか水源鏡和泉宮とか 特集その1 - ニブルヴァーナ 「ニブルヴァーナへようこそ☆」 「ってテンション軽いなオイ」 「お兄さんコッチの人間じゃないのよね。お腹...
  • 一方その頃…
     大陸北部の港町・ルナータに侵攻中の、異国から来た黒船艦隊。 その砲撃をギリギリ避けられそうな海域に停泊した、一隻の客船。  「俺らが案内できるのはここまでだ。…さぁ、あとはよろしく頼んだぜ!」 ヨイチ船長からの指示のもと、客船から三・四人乗りの小舟が次々降ろされてゆく。 『………………』 それら小舟に続いて乗り込むは、「黒船に潜入して『征魔の珠』を粉砕」という 困難なる依頼を請けた、勇敢な支援士たち。 …彼らの心の内には、それぞれ違ったものが去来していることだろう。 しかし、目指す目標、願うものはただひとつ。 『征魔の珠を砕き、侵略者を退ける!』  〈ザパッ…ザパッ……〉 「…いや。『鉱山(ヤマ)の男』が海に出て舟漕ぎとは、笑い話にもならんなぁ?」 「エンリケには感謝しています。 …ジュリアもわたくしも、腕力には自信がありませんからね。」 「ホント...
  • 氷結の天空城
    スペード・ハート・クローバー・ダイヤの模様が刻まれたトランプ兵。 ブレイブマスター相当の『A』4体を先頭に、レンジャーナイト相当の各マークの『2』から『10』の36体。 その後方に控えるのは、パラディンナイト相当の『J』4体とベルセルク相当の『K』が4体。 最後尾には、火、水、風、地のマージナル相当の『Q』が1体づつ。 そしてそのはるか後方には、それら全てを指揮するアリスと、彼女に付き従うアルの姿。 そんな目の前の光景を表現するならば、圧巻の一言しかないだろう。 「ブレイブソード!!」 ブレイブハートの炎を纏い、最前線で縦横無尽に駆け回りながら、手当たり次第に斬りつけるティール。 その後に続くように、他の前衛にあたる仲間達も奮戦しているが、相手のレベルがワンランク下とはいえ、こちらの4倍以上の数で向かってくる兵士達にはさすがに苦戦を強いられていた。 「——!? ま...
  • 氷結の天空上
    スペード・ハート・クローバー・ダイヤの模様が刻まれたトランプ兵。 ブレイブマスター相当の『A』4体を先頭に、レンジャーナイト相当の各マークの『2』から『10』の36体。 その後方に控えるのは、パラディンナイト相当の『J』4体とベルセルク相当の『K』が4体。 最後尾には、火、水、風、地のマージナル相当の『Q』が1体づつ。 そしてそのはるか後方には、それら全てを指揮するアリスと、彼女に付き従うアルの姿。 そんな目の前の光景を表現するならば、圧巻の一言しかないだろう。 「ブレイブソード!!」 ブレイブハートの炎を纏い、最前線で縦横無尽に駆け回りながら、手当たり次第に斬りつけるティール。 その後に続くように、他の前衛にあたる仲間達も奮戦しているが、相手のレベルがワンランク下とはいえ、こちらの4倍以上の数で向かってくる兵士達にはさすがに苦戦を強いられていた。 「――!? ま...
  • Wonderland of Alice
    ―Wonderland of Alice― 「なっ…!?」 床に降り立った4枚のトランプが突如光を放ち、次の瞬間には手足と兜を被った頭のようなものが現れ、丁度人間と同じサイズにまで巨大化。 スペードのAは刀身にスペードのマークが刻印されたロングソードを、クローバーのJはクローバーマークが刻印された長槍を、ハートのQは先端がハートの形をした杖を……そしてダイヤのKは、ダイヤマークが刻印された戦斧を構え、アリスを守るような布陣でティール達の前に立ちはばかった。 「武器から察するに、Aがブレイブマスター、Jはパラディンナイト、Qがマージナル、Kがベルセルクといったところですか」 周囲が驚く中、カネモリは冷静に現れた敵のいでたちを分析する。 「……しかし、チェスボードの舞台にハンプティ・ダンプティの椅子、そしてウサギとにやついたネコ、トランプの兵士……『不思議の国』に迷い込んだ...
  • その3.代理人
    ―3― エミリアの姿をしたリスティと別れた後、ティールはリエステール市街の”屋根の上”をあますとこなく駆け回っていた。 明らかに何事だという声や注目を浴びていたのは気付いていたが、状況としてあまり気にしてはおれず、かまわず足を動かすことに集中する。 「いたっ……」 そして、その見据えた先にみつけた一つの人影。 半ばティールの推測通り、とある家の屋根の上で佇むのは……足首まで伸ばされた桃色の長い髪を、根本から一本のみつあみにして下げている一人の少女……『代理人』と呼ばれる『創造主』がひとり、流界ひずみ。 『流るる界の歪』の名のごとく、世界そのものを改変する能力者たる彼女ならば、人間二人の精神を入れ替えるくらい造作もないことだろう。 「ティール。 そろそろ来ると思ってたよ」 特に何かを気にした様子もなく、にこりと笑ってティールを迎えるひずみ。 「思ってたじゃ無...
  • 捕獲作戦その1
    人生とは危険の連続だ。 安全な時期もあるけどそれは危険と危険の間にある緩衝地帯。 その次には危険が待っている。 どうがんばっても、そこから抜け出すことはできない。 そう、誰かが言っていた気がする。 だからといって、逃げ出さずにその場で突っ立ているわけにも行かない。 そうでなければ地面に埋まることは確実なのだから。 「いーやーーーーーっ!」 背中に届く地響きから逃れようと私はとにかく走り続けていた。 地響きはまっすぐこちらに向っており、そして私達の周囲に隠れる場所は無い。 振り向くと相手が見えた。 細長い足、もっさりとした胴体。 長い首に、鋭いクチバシ。 なんでこの場所でダチョウなんかに追われなければならないんだ。 仕事とはいえ、こんな場所でダチョウは無いだろう。 というか巨大動物の相手だなんて、マスターから聞いていない。 動物に...
  • その2.指輪再び
    その2 数日後、ミナル在中のクリエイター、レイスにブレスレッドの加工を頼み、再びリエステールまで戻ってくるエミリア。 その間、シアはひとまず教えられる範囲まで教えておいてくれというエミリアの言葉に従い、呪文の詠唱も含めた術式に関することを中心に教えていた。 ……言葉を発する事が出来ない現状では、それ以降まで進める事が出来なかったが…… エミリアが持ち出してきた一つの道具で、一時的ではあるが彼女に声を与える事はできそうだった。 そして、ある朝。 朝食の準備すらもまだ行われていないにもかかわらず、リビングにはシア、ユキ、銀牙も含めたメンバー全員が集まっていた。 「……事情は分かった。 だがなぜリスティなんだ?」 そんな中で、いつも通り表情はいまいち察する事はできないが、ヴァイは腕を組んで席についているリスティとユキへ交互に目を向けながら、そんな一言を...
  • その1.母親面談
    ―1― 教会では、多くの少年少女が物事を学ぶ為の施設が用意されている。 その実情はと言えば、教会関係者……つまりはセントロザリオとアリスキュアの教育を主として、他には貴族の令嬢が花嫁修行として教会で物事を学ぶ事も多い。 勿論、この学び家を出たからといって必ずしも教会関係のジョブになることはなく、在籍中には通常の学問的なことだけを学び、聖術について学んでいない場合は、そのまま無関係のジョブになるのが普通である。 ……その学び家に在籍する子ども達は、基本として貴族クラスと一般クラスに分類され、それぞれの教室も宿舎も別に用意されている。 元々、区別なく扱っていた時代もあるにはあったのだが、生徒の間で格差を傘に着て、いわゆる孤児達をさげすむような風潮が問題となってからは、今のようなクラスわけがされるようになったという。 それからというも...
  • その2.問題提示
    ―2― 教会の中には、孤児達が住まう孤児院と、正式に教会入りした幼いセントロザリオとアリスキュアが泊まる寮があり、その二カ所と昼間の“教室”と呼ばれる部屋では、まだ幼い子ども達の声がいつも響いている。 仮にも教会に属している場所ではあるのだが、シスターやビショップ、そして卒業が近い者達を除けば思慮分別にはまだ欠けるだろう子ども達ばかりであり、教室の他の場所と比べれば騒がしいものである。 とはいえ、年少期の少年少女は遊びたい盛りの真っ最中でもあるので、時と場合、そして限度を越えない間は指導者である教会の教員達は黙認していた。 ……要するに、授業時間外の年少組の教室はいつものごとく子ども達の声で賑わっていた。 「ゆきちゃーん、教えてほしいところがあるんだけどー」 その中で、比較的おとなしいか真面目な部類に入る組は、隅の方の席で勉強の復習などをしていることもあり、この日も...
  • SS1.その意味
    SS1 ヴァイ  ギルド、Little Leggendより出る影。  足取りは少々荒々しい。  その装備は軽装。しかし、腰にはロングソードの柄の覗かせる剣。  ……ヴァイである。  彼は考え事をしていた。 (・・・本当にコレで良いのか・・・?)  それは、自分の役割と言うものである。  専らLittle Leggendのメンバーでパーティを組み戦闘を行うのであれば、役割は、  リスティが回復。エミリアが魔法攻撃。  その二人を守るのがディン。  そして、速さに秀でている自分とティールは切り込みを行う。  まさに理想と言える。 (・・・・だが)  彼の考え事とは、『リスティと二人の場合』である。  もちろん、メンバー全員が全員で向かえるなら良い。だが、大抵はそんな事は無い。  ディンはエミリアと依頼を行う。ヴァイはリスティと依頼を行う。 ...
  • その6.最後の旅路
    エピローグ 翌朝、朝食を終えた後のリビングで、ギルドの面々はとある一箇所を見つめるようにして集まっていた。 彼らの視線の先には、両腕に複雑な紋様が刻まれたリングをつけたユキと、片手に小さなナイフを持ったシアの姿。 ……昨日と一昨日の二日間、ユキは換魂の指輪の力をもってリスティと入れ替わっていたが、今朝起きた時には互いに元の身体に戻っていた。 ただ、ユキはリスティの身体のままでシアと同じベッドにもぐりこんでいたため、朝起きたときにリスティが軽く焦ったというのは別の話。 「それじゃあユキ、準備はいい?」 真剣な面持ちでユキの瞳を見つめながら、シアはそう呼びかける。 対してユキは、二、三度リングをつけた両手を握ったりひらいたりした後に、”うん”とでも言うように口を動かしながら、こくりとうなづいた。 どうも、昨日までの声を出せていた間のクセが若干残っているらしく、出な...
  • その1.シアの憂鬱
    その1 教会において『聖術』と呼ばれている奇跡の力は、今では聖術始祖とも呼ばれているエルナン・フロリアが独自に作り上げた魔術様式の一つである。 その理屈は『人を攻撃する能力があるならばその対になる癒す能力もあるはず』という考えから始まったと言われているが、その真偽は定かではない。 とはいえ、マージナルやネクロマンサから見れば、聖術は方向性が違うだけであくまで自分たちと同じ『魔法』に変わりないと言うだろう。 教会では、その主張を認めずにあくまで『奇跡』であることを強調する人間もいるが、多くの人は議論するような問題でもないと黙殺しているのが現状だった。 ……実際、議論したところでどうなるという問題でもないのだが。 「エミィさん、お時間いただいてよろしいですか?」 リエステール市外の端に本拠をおく支援士ギルド『Little Legend』。 支援士である...
  • その3.対岸の会話
    その3 「あ、え、い、う、え、お、あ、お。 はい、続けて」 「あ…あー、えーい、う、え、お、あ、お……」 そもそも発声という行動自体を行ったことのない子が、いざ声を出せるようになってもまともに発音することができないのは明白なことだった。 とはいえ、他人が音として認識できないレベルではあるが、大きく驚いた時や必死な時に”ほんのわずかこもれでる”程度には出していた事実もある。 そんな瞬間のうろ覚えな感覚を思い出させることで、ユキは発声そのものはわずかな時間で習得していた。 ……問題は、「あいうえお」など基本50音に濁点、半濁点、そして「ゃ」や「ょ」などを織り交ぜた、発音の区別である。 こればっかりは本人に感覚で覚えてもらうしかなく、シアはつきっきりで一音づつ発声を繰り返させる訓練から始めることにした。 「うん、まだ少しムラがあるけど…あ行は大丈夫そうね。 それじゃ、次...
  • その5.降り積もる悲哀
    その5 コンコン、とドアの向こうからノックする音が聞こえる。 夕食も終え、それぞれがそれぞれの部屋に戻っていったこの時間、わざわざ足を運んでくる相手と言えば、ギルド内でも限られてくる。 シアとユキは恐らく今日はもう休むだろうし、ヴァイとディンはこんな時間に必要も無く人の部屋まで押しかける事は考えにくく、イリスは9時前にはすでに熟睡しているのでありえない。 となると、考えられるのはティールかリスティのどちらか。 「カギはあいてるのじゃ」 そこまで考えてから、エミリアはドアの向こうにいる誰かにむけてそう呼びかけた。 ……直後に2、3秒ほど間があいて、キィとドアが開いていく。 そして、その向こうから現れたのは、まだ10さいにも満たない少女、ユキ――の、姿をしたリスティ。 その様子を見ていると、あの時は立場こそ逆だったが、前にも似たようなことがあったのを思い出される...
  • XW11-B:蟲の軍勢
     ここは植物園『シュヴァル』の入場口に向かう一本道。 〈ヴゥウオォーーッッ……!!!〉 V8エンジンの爆音を轟かせて疾走する一台の4輪駆動車。 〈……ブウゥワァァーーン!!!〉 それとは反対の方向−クルマに突ッ込む方向−に群れ飛ぶ奇ッ怪な虫の大群。  カラスと同じほどもの大きさがあるハチ。  座布団大の翅を広げて羽ばたくチョウ。  頭から尖った角を生やしている大型犬サイズの真ッ赤なセミ。  尻から光を明滅させる1メートル級の特大ゴキブリ。 …そんな大型虫どもが黒雲の固まりの如く密集して突進してくるのだ! 「何てこった! 普通の虫なら蹴散らしてやるんだが、あんなデカいヤツらなんて全部は…。」 「え…えぇっ!! エンリケ先生!? せっかく殺虫剤を持ってきたのに、それで何とかならないんでしょうか?」 「リスティ、残念だけどちょっと無理みたいね。 …そもそも、あれだけ...
  • アルカナジョーカー
    「なんとか……全部片づけたけど、どうするの?」 52枚のカードが詰め込まれたトランプケースを手にし、それをジッとみつめるアリスにティールはそう呼びかけた。 今までは戦っている最中でもカードの再生は行われていたが、”まとめて全部”修復するには相当の時間がかかるらしく、もはや戦う手段は残されていないだろう。 「……一枚ずつ直すのは出来るけど……一枚づつ出していっても、意味ないよね」 トランプ兵一体と、こちらの前衛一人ではこちらのほうが戦闘力は上。 エミリアが抜けた今、最後の纏めて潰すような事は出来ないが、追いつめようと思えば最低でも20枚近くは同時に出さなければならず、完成した一枚を順に出していったところで結果は目に見えていた。 「アリス様……まだ、私がいます」 「でもアレは……できれば使いたくない……」 しかし、アルが突然動き出し、アリスに耳打ちするように言葉を発し、それを受...
  • その3.Chapel Deck
    ―3― 教会の授業も、何も教室の中だけで行われるような事はない。 時には敷地の外に出て、課外学習という形で社会勉強をさせるのも一つの学習の形である。 この日のエルナのクラスは、他のクラスの子達も交えて、街の清掃ということで総出で箒やごみぶくろを携えて、ボランティア活動に踏み出していた。 「先生達の目の届かないところまで行ってはいけませんよ」 とはいえ、流石に屋外で子ども達全員を見るのは担当の教員だけでは足らず、他のところからも数名かりだされていたりするのだが。 「ねー、ふくろもって来てー」 ぶんぶんと手をふり、細かいゴミのかたまったちりとり片手に手近な誰かをよぶリコの姿。 それに気が付いたユキは、手元にあったごみぶくろを拡げ、そちらへと足早に駆けていく。 「シア先生って、優しくていい先生だねー。ゆきちゃんって、先生といっしょにいろんなところに行ったこと...
  • すっとこ情報局.その1
    エリス「さぁ、すっとこ情報局はーじまーるよー」 アル「・・・・・・何なのそれ?」 エリス「えーっと、このカンペによると『作者の力量不足で話の中で語られてなかった事の補足』のためにやるんだって」 アル「そ、そうなんだ(汗」 エリス「今回は第一回目ということで質問は無いから、補足の方をやっちゃいましょ」 アル「というわけで今回は―」 エリス「びっくりドッキリキャラ、ショコラについての補足でござーい!」 ■補足データ■ ショコラ ジョブ:スナイパー 装備:試作型30mm対物狙撃『砲』・ドレッドノート アル「え・・・これだけ?」 エリス「下手に書くとネタバレとか盛大にとんでもない事になりかねないので一応これだけ。 後々キャラ紹介は書くとのことで、伏せていたジョブの紹介だけだってさ」 アル「そうなんだ・・・・...
  • その7.自覚と覚悟と乙女心
    ―エピローグ― ――朝、リエステール市街から少し離れた二階建ての木造物件。 そこは、ごく最近『Little Legend』と名乗るギルドの者達が、本拠地として買い取った家。 ……昨日はその住人の一部を巻きこむちょっとした事件が引き起こされたのだが、果たしてその結末は…… 「おはようございます」 リビングでティールが一週間に2~3回程度届く新聞をぺらぺらとめくっていると、カーディアルトの僧服を身につけたリスティが、いつもの微笑みを浮かべて呼びかけてきた。 「おはようなのじゃ、ティール」 その後ろから、追従するように現れるエミリア。 そちらはいつもの黒いドレスとベレー帽ではなく、シンプルに着こなされた淡い色のワンピースを身につけている。 それは、特に出かける予定がない時に、彼女がよく着ている服だった。 「うん。 おはよ」 ティールは真ん中ほどまで開...
  • 第1話『ギルド・セレスティアガーデン』
    『セレスティアガーデン』第1話『ギルド・セレスティアガーデン』 1 2 3 4 あとがき その1 ――リエステール~ミナル街道――   ――の橋の下。 「はぁ~・・・」  深くため息をつく。  無理もない。もう朝の10時からこの採掘作業を進めているのに、日が西に傾きはじめた今になっても一向に成果が上がらないのだから。 「あー、もうっ!! いつになったら出てくんのよーっ!! 翠水晶石はっ!!」 「リリー、無駄口叩いてる暇があったら手を動かさないと、このままじゃ晩御飯までに終わらないよ。」 「なによ~、そういうセーはさっきから全然手伝ってないじゃない。」 「さっきからじゃなくてはじめからよ。・・・じゃなくて、私はこんな格好だから土木作業なんてできるわけないでしょ!!」  透明な羽根をパタパタさせて頭上を飛び回りながらそう言い放つ妖精、...
  • チャプター1.日課
    ―1― 今日の夕ご飯は白米と鮭、野菜の煮物、出汁巻きの4品。あとは茶でもあればひとまず満足といったところだろう。 ホタルは少し厚着をして工房を出、財布片手に十六夜の食品市場で今夜の夕食の食材を吟味している。 そういえばお酒がもう少しでなくなりそうだったことを思い出す。 あまり大量に飲む方では無いものの、寒波が厳しいこの時期に、身体を内から温める酒の有無は十六夜ではかなり重要だった。 ―まぁ、飲めない者はもっと厚着をすればいいという話だが。 「ふぅ~……今日は寒いね……」 十六夜の民が漏らすこの言葉に対し、他の町の感覚で”いつでも寒いだろう”などという台詞を言ってはいけない。 夏でも雪が残る事があるこの大地、冬の寒さは筆舌に尽くしがたい。 要するに、寒い。とにかく寒い。 雪が降らずに太陽が出てるだけマシである。 ホタルは自分の着ているコートを軽く着なおす。...
  • 一方その頃場外編『東方ネタ再び』
    「だれだ! パロプンテなんて唱えたヤツはー!!」  『まじん』の重量にものを言わせた攻撃で重症を負ったセー。 人間ぐらいの大きさだったら、そこまでのダメージを受けることはなかっただろうが、 セーの大きさから考えると、圧迫重量系攻撃に弱いのは目に見えている。 「もっかい出て来なさーいっ!! 正々堂々と勝負しろーーーっ!!」  フラフラしながらも、なんとか飛び上がるセー。 その動きはどことなくぎこちない。 だが、それとは裏腹に、威勢だけはいつもにも増しているセー。 「セー、そんな事言って、本当に出てきたらどうするのよ!!」 「その時は、私があの『まじん』をぶっとばーーす!!!」  突然出てきた『まじん』に、先ほどまで桟橋の隅で震え上がっていたリリーがそう言うも、セーはやる気マンマンだ。 マグノリアとシルエラは、船を探しに言ったきり、まだ姿...
  • XW13-B:対決! 三大昆虫
     それは、植物園のアルバイト・ネクとロキが魔物化したラフレシアに追われる羽目になる 少し前の出来事—  『……………………。』 巨大カブトムシ・メルカーバ。 巨大カマキリ・キラーマンティス。 巨大トンボ・ギガネウラ。 獣(けだもの)と違い、昆虫どもは獲物を前にしてさえ吠えも唸りもしない。 ただ静かに、捕食のタイミングを図るばかりだ…。 —SKILL TRACE SYSTEM ON. TIME COUNT 120sec ・・・・・・START—  強敵を目前にして、持てる力を全解放しない手はない。 空也・エンリケ・リスティ・ルイン・シータの5人は迷わず、携帯電話のスキルトレースを 実行していたのだった! 「シータさんはギガネウラ。 ルインさんはキラーマンティス。 エンリケ先生と私はメルカーバを相手に! …リスティさんは、後方支援です。」 ...
  • カラオケに行こう!:その1
    えりわー学園、カラオケに行こう!! エミリア「いやー、こんな大勢でカラオケに来る事になるとは思ってもみなかったのぉ」 ディン「……つーか、こんな人数全員が入れるような部屋があったのに驚きだ」 エルナ「なんでもいいじゃないの。 せっかくだからみんな楽しみましょ♪」 シア「それにしても、教師である私達が生徒達の中でこういうところにくるのはどうなんでしょう(汗」 ティール「深い事気にしてたら負けだと思うけどね。 あ、ヴァイ飲物はどうする?」 ヴァイ「…そうだな、コーヒーでも頼む」 ティール「はいはーい。 イリスはいつもどおりメロンソーダーだね」 イリス「うん♪」 ほたる「それにしても、なんだか緊張します。 カラオケなんて初めてですし……」 空也「ホタル殿も私も、普段来る事はありませんからね。 ですがたまにはこういうのもいいでしょう」 エミリア「そうそう、人生どー...
  • カラオケに行こう!:その8
    リスティ「じゃあ、次の人どうぞ~」 エミリア「なんだか凄い人が来ていたのぉ……まぁ、気を取り直して、誰が歌う?」 リーゼ「はーい、じゃあそろそろボクがいこうか。 思いっきり歌うよー」 ティール「ん、リーゼ歌得意なの?」 カノン「そうですね~、リーゼは~、わりとなんでも歌えますよ~」 リーゼ「へへーん。 ま、でもとりあえずこれでしょ!」 (イントロ)~♪ マグノリア「おっ、こいつはいいな!」 ディン「らしいっちゃらしい選曲だが……」 リーゼ『光る 雲を突き抜け Fly Away!  からだじゅうに 広がるパノラマ  顔を 蹴られた地球が怒って 火山を爆発させる』 エルナ「『CHA-LA HEAD-CHA-LA』ね。 これもいまだに覚めない人気曲よねー」 リリー「アニメソングの代表格の一つですからねー」 ティール「でもそろそろ世代が古くなってきてる気がしない...
  • カラオケに行こう!:その5
    その5 ソール「あー、楽しかった☆ 次は誰が歌うのかなー?」 ディン「というかだな、別にアニソンにこだわる必要は無かった気がするんだが……」 エミリア「まぁいいではないか。 これもまた一興じゃよ」 シア「歌にジャンルは関係在りませんよ。 ただ心のままに歌えればいいのですから」 ティール「あはは、上手い事言うね。 ……ふむ、じゃあもう一回私がいこうかな?」 エルナ「あら、また歌うの?」 イリス「はーい、ママ、イリスも歌いたいー」 ティール「元よりそのつもりだよ」 リスティ「親子でデュエットですね、なんだか期待できそうです」 空也「……親子? ティール殿は、まだ14では……」 ディン「いや……なんか事情があって、長い事親代わりで面倒見てたらああなったらしい」 空也「そうですか。 少々驚きました」 ジュリア「あ、曲入ったよー」 ティール「おっけー、行くよイリス...
  • カラオケに行こう!:その9
    エミリア「やれやれじゃな。 ……さて、次に行こうか?」 ジュリア「♪舞い上がれよ」 兼守&ジュリア『♪この空へと 外の世界へと』 全員『!?!?』 兼守「♪どんな冷たい闇に縛られてても」 ジュリア「♪いつまでも追い続ける」 兼守&ジュリア『♪明日への光を…』 ティール「わっ、弾幕同人系アレンジボーカル曲が続いた!?」 ディン「なになに…、やっぱり『二つの翼』だな。」 マグノリア「知ってるのか、ディン兄も?」 ディン「あぁ、…ディスクはエミィからの借り物だけどな。」 シア「あの…、その辺りの話は分からないのですが、これでハッキリしたことも    ありますね?」 エルナ「そうね。     まず最初に、カネモリ先生もジュリアちゃんも、ホントはお互いに     歌好きで実力者なのを知っていること。」 ヴァイ「それから、あのふたりに共通の持ち...
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