Aerial World内検索 / 「第2話『買い出しの果てに』」で検索した結果

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  • 第2話『買い出しの果てに』
    『セレスティアガーデン』第2話『買い出しの果てに』 本編 1 2 3 4 5 6 Ending 1 2 3 その1 ――中央都市リエステール――   ――旧市街 in酒場。 「マスターっ!! アタシたちに頼める依頼がこれしかないって、どういうことっ!!?」 「分かってくれ、嬢ちゃんたち…。 こっちにもいろいろと事情があるんだ…。」  朝の酒場にマグノリアの大声が響き渡る。  ただでさえ未成年の女の子だけで酒場なんて異色な空間に入り込んでいて目立つのに、 その発言は否応なしに周囲の注目を集めることになる。  とはいえ、日も昇りきらない午前中なだけあって、テーブルに着いているのは、 今日の最初の仕事を探そうとやってきた支援士か、朝まで飲んで酔いつぶれたチンピラぐらいしか見当たらないわけだが。 「けど、いくらなんでもこの依頼内容はない...
  • 第2話『買い出しの果てに』Ending
    『セレスティアガーデン』第2話『買い出しの果てに』 Ending 本編 1 2 3 4 5 6 Ending 1 2 3 結果報告その1 ~リリー編~ ――中央都市リエステール――   ――セレスティアガーデン 「ただいま~♪」 「あら、おかえり、リリー、セー。」  台所で私たちを出迎える店長、そして・・・。 「先輩!? 何食べてるんですか!!?」  何故かテーブルに着いて、ハンバーガーを食べているヴィオレ先輩。 先輩の前には紙コップに入ったジュースとポテトも置いてあり、その側には『M』と刻まれた紙袋が置いてある。 「店長!? 先輩は一体・・・!?」 「まさか、『既製品』を買ってくるとは思ってなかったわね~。」 「『てりたま』・・・確かに卵を前面に押し出した商品だけど・・・。」  セーが拾い上げた、ハンバ...
  • 作品
    ...がき キャラ紹介 第2話『買い出しの果てに』 1 2 3 4 5 6 Ending 1 2 3 第3話『堕ちた聖女』 1 2 3 小話集『なにこの依頼』 1 2 深淵の白石 【著・龍獅】 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 EX あとがき キャラ紹介 おまけ Holiday of White Noise 【著・龍獅】 1 2 3 4 5 6 7 あとがき キャラ紹介 Turning Point 【著・龍獅】 プロローグ 1 2 3 4 5 6 7 8 あとがき キャラ紹介 天刃 【著・龍獅】 プロローグ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 エピローグ あとがき キャラ紹介 ひだまり 【著・龍獅】 プロローグ 1 2 3...
  • 買い出し
    「セオ~おっきろ~!」 「起きてるよ、怒鳴らないで…。」 「とりあえず起きてよ、買い物行くから。」 「ライとでも行ってくれば…?俺、腹いたいから…。」 それだけ言うとまたもぐりこんだ。 「じゃあ、セオのために何か作ってあげる!」 それを聞いた本人はベットから飛び出し、慌てて着替える。 その様子を微笑しながらイルの姉ルウは見ていた。 「じゃあ行ってくるね。ルウお姉ちゃん!」 「気をつけてね。」 遠ざかっていく二人、それを見送ってからルウはまた本を読み始めた。ライはルカとフェイの様子をしばらく見ていた。 「ん?あれは…。」 フェイもルカもその人物を見てライのところへ走ってきた。 「支援者。怪我してるみたい…。」 ルカはそれだけ言うと、愛用のチャクラムを両手に持ち支援者のほうへ走っていく。それに続き、槍を持ったフェイも走る。 「ルカッフェイッ武器持ってどうする...
  • 第2話「雪原の2人」
    ????「くそっ、この吹雪じゃ見えやしない!! 何処に人影があるんだ!!」 ????「前方約10mぐらいですよ八雲さん!! ほら、すぐ目の前じゃないですか!!」 ????「馬鹿! あれは岩陰だろ!! どう見てるんだ!!」  ・・・。どうやら前方にいる人影の主たちはこの視界の悪さで思いっきり迷っているみたいだ。 どうみても5m足らずの距離だというのにおめでたい連中だ。 っと、そんな事を考えている暇は無い。この子は今にでも寒さと傷で弱り切っている。 此処はあちらさんが俺を見つけるのを待つよりこっちから向かった方が賢明だ。 あちらさんのあのような状況だと何時になるかわかったものじゃない。 烈心「こっちが待っていても埒があかねぇ・・・。こっちから行くしかないか・・・。」  俺は傷付いた子を抱きかかえ、声のする方へ向かって歩き始めた。 ...
  • チャプター1.名声
    ―1― もうすぐ春に差し掛かろうかというこの時期、暖かくなり始めた空気の中を歩く人達は、まだ厚着をしていたり、若干薄着に変わっている人もいたりと、人によって冬服と春服が入り混じるこの時期は、それはそれで面白い光景であるかもしれない。 アウロラの場合、彼女にとってはまだ肌寒いのか、比較的薄手のものではありながらも、コートを一枚羽織って街中を歩いている。 ……外出そのものに意味は無い。 強いて言うなら、じっとしていることが出来なかった、としか言う事はできないだろう。 とりあえずなにかしなければいけないような衝動に駆られながらも、その感情をカンバスに向ける気分にはならない。 それはスランプに陥った時によくある状態ではあるが、代わりとなるはけ口は早々見つかるものでもなかった。 「期待の新星とか、神童アウロラとか……周りは騒ぎ立てるばかりだし……」 とは言ったもの...
  • 第2話「破落戸(ごろつき)」
     俺が十六夜に来て…と言うか牢にブチ込まれていたのを長老である安曇の爺さんに助けられてから1週間…。 行く当ても無い俺は安曇の爺さんの家に厄介になっている。 爺さん曰く『お主は客分の身分だからのんびりしているといい』だが、どうも俺はのんびりするのが性に合わない。 だから俺は一宿一飯の礼として雑用やら色々手伝いをしている。 烈心『よっこらしょっと…。』  俺は安曇の爺さんの家の裏手にある倉庫の屋根に上り、スコップ片手に降り積もった雪を下に降ろしている。 北国の十六夜では万年雪らしく、頻繁に雪降ろしをしないと雪の重さで家が傾いたり挙句の果てには倒壊したりする。 温暖地域育ちの俺には到底考えられない事だ。雪など年に数回降るか降らないかの代物だっていうのに。 烈心『ふい~、ちっと休憩するか…。』 俺はスコップを傍の雪の塊に突き刺し、屋根の上に座り込...
  • 第2話「レッドガール」
    ここは河川の街ミナル。町の東部を流れるミナル川と西部を流れるアルナス川の合流扇状地に位置する市街地であり、南大陸ではリエステールに次ぐ都市機能を備える。 街中はアルナス川からの支流が流れており、それを利用した河川運搬を中心とする流通業で栄え、名物の酒類を中心に様々な交易品が行き来している。 また街中を行き来するのにも船での移動が多く使われており、それは一種のミナルの観光にも大いに役立っている。 そして清流であるミナル、アルナス両河川から獲れる新鮮な鮮魚を使った料理もミナルの名物となっている。  そのミナル中心街から少し外れた旧商業街の一角に一軒の古ぼけた屋敷と言うには少々こじんまりした建物がある。 そこはミナルでも指折りの豪商である「ハートゥーン商会」の当主でもあるハートゥーン・アルラシードの屋敷であった。 彼は6年前にミナルの西部にあるエルギュン砂漠にて発火しやすく、膨大なエネルギーを...
  • プロローグ.画聖の憂鬱
    ―プロローグ― この世界には、いろいろな人がいる。 それは平穏に日々を暮らす町人だったり、そんな人達を守る騎士だったり、名声を求めて旅する冒険者だったり…… その人生の形も様々で、それら一つ一つが世界と言う名の書物に刻まれる。 人間は、一人一人がそんな物語の主人公であり、人それぞれの苦難にも出会うだろう。 たとえ成功者と呼ばれる者であっても、幾度の試練を超え、またこれからも挫折と成功を繰り返しながら生きていくのだ。 ――人は、明日への希望を忘れない限り、どこまでも歩いていけるのだから。 「―ふぅ」 ……そう思って、毎日を生きている。 今まで生きてきた時間も、大きなもの、小さなもの、様々な壁があったと思う。 時には、大きな壁にぶつかって先へ進めなくなったこともあったけれど、それでも、回り道を探したり、無理にでも乗り越えたりを繰り返して、なん...
  • HevenlyTears01-05
      それから、数時間 「なんだこれ…」  目を覚ましたオレは、その目の前の情景に、呆れたというか、アホらしくなったというか、  「どうしてこうなった」と言わんばかりに空笑いをしながら、つぶやいていた。 「ゴミ拾いの成果ですわ!」  えっへん! と、その豊満な胸をさらに自信満々に張り、エリスは『それ』を自慢した。  そんなエリスの隣には、なぜかゴミの山が出来上がっていたのだ。  …一体、オレが気絶している間に何があったというのか。 「え、エリスお姉ちゃん…? 依頼は、ゴミ拾いじゃなくて、翠水晶石を探すことだよ…?」  ミュールの至極当然なツッコミに、エリスはその細い目を困ったような表情にし、頬に指を添えて答えた。 「だって、見つからなかった場合、ミューちゃんの言う通り一人5000フィズぽっちですのよ?  ですから、お姉ちゃんが...
  • ニコニコ動画:らきすた架空戦記各話詳細
    らき☆すた架空戦記 エリアル☆ワールド 現在、ニコニコ動画にてらき☆すたとのクロスオーバーの設定で、RPGツクールによる制作の動画を投稿しています なぜらき☆すたであるかという理由は特にありません 強いて言うなら、イメージしやすかったからと、個人的な趣味です(汗 ここは、各話における登場人物、舞台となった場所などを記載していきます なお、AW本編において二次創作キャラは基本的に主役に据えるのは不可なので(脇役程度なら可だそうですが)、 wiki内の本編でらき☆すたキャラとの関わりを明示することはありません あくまで動画内のみの、パラレル的なストーリーであることを念頭に視聴をお願いいたします ※話数部分をクリックするとニコニコ動画の該当動画に飛びます 制作者:龍獅 第一幕 北部編 第1話 ダンジョン:シュヴァルツヴァルト 浅層  ...
  • 名無し屋という店
    とある街の商店街。 今日も賑わいが絶えず、店によっては売り上げが上々であったり、それなりであったり。 薬草等を始めとする医療関係の品を売る店、旅の役に立つ物を売る店、様々な店がずらりとここには並んでいる。 あちらこちらで、物々交換を持ちかける者や値下げを頼み込み挙句の果てに土下座をする者、様々な人達で賑わっている。 そしてその商店街の一番端。いつもは何も無いフリースペースのような場所にはひっそりと荷台と急造で作ったのがよくわかる 小さな店が佇んでいた。 『名無し屋』と呼ばれる店。知る人ぞ知る、珍しい物を各地から集め、売っている店である。 人によっては『何でも揃っている萬屋』『無いもの知らずの隠れたお店』等と様々な呼ばれ方をしている。 発見報告は様々な場所で報告されているが、不定期、そして誰にも知らせずに転々としている事から半ば都市伝説と化している。 この話は、そんな小さな...
  • —砂上墓所4—
    《BACK》  砂上墓所・地下2階。 〈コツ コツ コツ…ザッ……〉 地上に近い地下1階とは異なり、獣の気配はほとんど感じられない。 それに代わり… 「この階では死臭が感じられますね? 死した人間が発する、独特の腐臭が…。」 「…ここからは不死魔(アンデッド)が出没するんだ。 かつて愚王の道連れにされた沢山の可哀想な人々の怨念が、その屍を突き動かすんだって…。」 「『死んでも死に切れない』とは、正にこのことですね。」 「カネモリ、…実はボク、弱点を突いて倒せない不死魔がちょっと苦手なんだ。 不死魔との戦いは少し長引くから、その間の護身はしっかりしておいて欲しいよ。」 「…分かりました。」  ふたりは墓所の回廊や小部屋で、「グロリム」と呼ばれる不死魔に何度か遭遇した。 グロリムたちは手にしたボロボロの剣や杖を振り上げて襲いかかるが… 〈トスッ!〉 ...
  • 駆け出しと中堅と先人と
    駆け出しと中堅と先人と 「まあ気持ちはわからんでもないんだけどな」 良くも悪くも威勢のいい二人組が酒場を出て行った直後、やれやれと微妙な表情を見せながらそれを見送っていたマスターの前に、スカイブルーの髪をした、やや小柄な少女が現れてそんなことを口にした。 彼女もまたマスターや他の客と同じ感想を抱いていたのか、その表情は妙に生温かい。 「おう、ティオ。 来ていたのか」 そんな彼女――ティオの様子を見て、もう一度やれやれ、と思う。 まあ、外見こそやや細身で少々頼りなさげな雰囲気は否めないのだが、一応支援士――ついでにいえば、実力のランク的にはCとBの中間あたりにいるブレイブマスター(仮)である。 (仮)と付けた理由は、まあ色々あるのだがそこは今は重要ではないので流しておこう。 「実際、支援士の有名な話っていうと、華々しい武勇伝。 だから駆け出しの連中は意外と誤解してる...
  • —リエステール2—
    《BACK》  それは今日を遡ること一週間前、町の酒場であった出来事。 〈ギキィ…ガタン〉 「いよぅ、カネモリの旦那じゃねぇか!? 昼間ッからここに来るたぁ、また『材料探しの護衛依頼』ですかい?」 「そうです、マスター。」 筋骨隆々で威勢の良いマスターがいるカウンター前の席に、静かに腰を降ろすカネモリ。 彼が昼酒をあおるタイプの人間でないことはマスターも十分承知なので、酒の代わりに 熱い茶を淹れる準備を始める。 「今度はどこだい? ミナル郊外の草原か? それともモレクの鉱山(ヤマ)かい?」 「それが…、目的地は決まっていないのです。 …強いて言うなら、 『目的の品が見つかるまでどこへでも』 でしょうか?」 「何だってぇ!!?」 マスターが茶葉に湯を注ぐ手を思わず止めてしまうのに構わず、カネモリは続ける。 「マスターもご存知でしょう? わたくしがかねてか...
  • XW:モンスター辞典・改
    一般モンスター(低級) リザードマン 能力:- 武器:爪 所持アイテム:トカゲの鱗 生息地: 初出:第1話 所持能力 なし 所持技 なし 詳細 緑の蜥蜴人間。レムリナルの下位版。 生身でも倒せる数少ない敵。ただし、鱗が硬く、ある程度強力な武器が必要。 さらに爪による引っ掻きは強く、直撃は避けたい。変身後なら雑魚同然。 ウェアウルフXW 能力:- 武器:爪 所持アイテム:魔獣の牙・魔獣の爪 生息地: 初出:第2話 所持能力 なし 所持技 パワークロー:力を溜めた爪の一撃 詳細 狼の頭に人のそれに近い身体をした人狼型の魔物。 知能は低く人語を解す事は無いが、パワーとスピードは高い。 武器は使用せず素手で攻撃するので、十分な武道の心得があれば こちらも武器なしで戦うこともできるだろう。...
  • 一般モンスター
    スライム 能力:- 武器:- 所持アイテム:スライムの粘液 生息地:大陸全域 所持能力 なし 所持技 なし 詳細 ゲル状の物質の集合体、基本的に雑魚 オブ 雑魚。キング・オブ・雑魚 駆け出しの冒険者でも余裕で倒せるので、主に初心者魔法系、ハンター系支援士の的代わりである。 ゲル状の身体の中心に球体状の核があり、ここを攻撃すればほぼ一撃で倒す事が出来る。 スライムドート 能力:毒 武器:- 所持アイテム:スライムの粘液 ・粘着毒 生息地:大陸全域 所持能力 毒液 所持技 なし 詳細 ゲル状の物質の集合体、ただし、スライムと比べて好戦的で獰猛。 動きは鈍いが近付かれると厄介。スライムと間違えると痛い目を見る スライムラージ 能力:- 武器:- 所...
  • チャプター23.契約取引
    ―23― そこまで話がまとまったところで、ティール達は宿を立つ事にした。 そもそも宿の一室に留まって話をしていた理由は、他に聞かれては少々面倒な事になりかねないという点であり、今回の件について話もついた今となっては、あそこに留まってもただ狭いだけである。 ひとまず外へと出た一同は、すこし遅れた昼食を食べるべく、酒場へと向かっていた。 「……そういえば、さっきシアさんが”夢”とか言っていたが、あれはどういう意味じゃ? 私達とチームを組むのと、関係あるのか?」 スプーンでカレーを口に運ぶ途中で手を止め、思い出したようにそんなことを口にするエミリア。 その目はしっかりとティールの方に向けられていて、その”夢”は誰が語ったものなのか、しっかりと把握しているようだった。 確かに、シアは部屋に入ってきた際に、ティールに対して『ようやく、夢への第一歩ですか?』と言っ...
  • 第3話『堕ちた聖女』
    『セレスティアガーデン』第3話『堕ちた聖女』 本編 1 2 3 その1 魔王降臨 前編 ――中央都市リエステール――   ――セレスティアガーデン・商品展示フロア 「へぇ~、ギルド『リトル・レジェンド』かぁ~、最近よく聞くようになったなぁ~」  カウンターに山積みにされた新聞、その表紙に書かれた記事に惹かれ、手に取って読む。 『リトル・レジェンド』・・・最近急成長中のギルドで、酒場でもよく聞くようになった名前だ。 ギルドとしての総合力もさることながら、個々としても名の通ったメンバーが多く、 伝説という名に恥じないギルドとなっている。 「私たちもがんばらないとなぁ~・・・」 「まあ、ギルドとして頑張るのは当たり前として、リリーの場合は個人としても頑張らないとね~♪」 「それ、どういう意味よーっ!!」  その新聞を前から覗き込むよう...
  • →天宮智香と竜泉空也と犠牲者
    「あらあら。まさか本当に言っちゃうなんてねぇ」 「カンベンしてください。マスター…」  十六夜の酒場。たまには外で食べるか、と竜泉空也は天宮智香を誘い、いつも依頼を受けているマスターの店に来ていた。  空也が蕎麦を食べ終え、お冷を飲む傍らで、智香は焼き魚を器用に箸で食べていた。  ため息をつく空也の理由は、数日前の事。  客人を連れて空也が竜泉道場に帰った時に、智香は空也を出迎えた。  いや、これだけ言えば聞こえは良いかもしれないが、その時に言った言葉というのは 『お帰りなさいませ空也殿!! お食事になさいますか! お風呂になさいますか! それとも私めにございますか!!』  …今思い出しただけでも、空也は頭を抱えたくなる。  幸い、客人はそういうノリに理解のある人物なのが幸いだったが、頭の固い老公方達なら訝しがられ兼ねない。  いや、或いは酒の肴とされ...
  • チャプター8.デンジャーゾーン
    ―8― ―モレク鉱山 元々鉱山の町モレクの山男達が、鉱石の採取に使っていた鉱山で、それゆえに町のすぐそばにあるダンジョンでもある。 幸いな事に、内部の魔物は太陽光が苦手らしく滅多な事では鉱山の中から出て来る事は無い。 が、逆に言えば一歩でも中に入ればそれだけ危険度が増すとも言える。 「はっ!」 ディンは自分達の道を塞ぐ泥人形(クレイゴーレム) の一撃を、その巨大な剣を盾がわりにして受け止め、弾き飛ばす。 目の前にいるゴーレムは図体は人間より大きいが、せいぜい頭一つ分で、耐久力も見た目ほどは無い。 「クロスブレイク!!」 ゴーレムが二撃目を放とうというその瞬間、一歩下がったディンの前にティールが割り込み、その長い槍を振り回し、胸の辺りに十字の傷を刻みこむ。 その一撃で少しのけぞるようにふらつくゴーレム、ティールはそのままヒットアンドアウェーの要領で相手の射程...
  • チャプター7.即席チーム
    ―7― 『わたし、おおきくなったら冒険者になる! 冒険者になって、いろんなところに行きたい』 『いろんなところ?』 『おばあちゃんが、むかし冒険していた時のことを話してくれた。 七色の羽をもつ鳥とか、水晶でできたお屋敷とか、いろんなすごいものが、せかいにはいっぱいあるって』 『・・・ぼくも一緒に行きたいな。 エミィと一緒に行って、いろんなものを見てみたい』 『じゃあ、わたしが”ぱらでぃんないと”になって、ディンを守ってあげるのじゃ』 『ううん、ぼくが、エミィを守るよ。 だって、男の子は女の子を守るものだって、おとうさんが言ってたもん』 『泣き虫で、いっつもわたしの後ろにいるのに?』 『大きくなったらおとうさんみたいに強くなるから! ぜったい、エミィを守れるようになるから!』 ―――朝 「…………...
  • チャプター3.ひとやすみ
    ―3― 「どうぞ」 ホタルはコトリ、とちゃぶ台の上にお茶が注がれた湯飲みを三つと、茶瓶を置く。 そしてかるく衣服を正すと、二人と向かい合うような位置に、正座で腰を下ろした。 「すまぬな、ここまでしてもらうつもりではなかったのじゃが……」 エミリアはかるく苦笑いを浮かべつついつもかぶっているらしい帽子を足元に置き、自らも佇まいを直し、丁寧に湯のみを受け取った。 「いえ。 ……あのディンさん、慣れないようですし、足崩していただいても結構ですよ」 「……ああ、悪い……」 正座、というのは”椅子”というものがあまり使われず、床に直に座るという風習が主となっている十六夜独特の文化の一つであり、一般的に外から来た人間には馴染みのない座り方である。 ……慣れない者なら、短時間でも足に強い痺れを感じ、しばらくは立つこともままならなくなる場合があるという、外の者達にはこんな座...
  • そんな事情
    「わ、私を雇って下さい!!」 夏も過ぎると、日差しも緩やかになりはじめる。 過ごしやすい気候になりつつあるこの時期は、食物も豊富に出回り始める秋の始まり。 読書、食欲、スポーツといろいろやりたいことが増え始めるこの時期、リエステールの支援士ギルドであるリトルレジェンドでも、少なからず秋の訪れに生活の形に動きが見えはじめていた。 ……これは、その少女の叫びにも似た声もまた、その一つなのだろうかと思わされた出来事である。 そんな事情 「……いきなり雇えといわれてものお」 いくらなんでも唐突すぎる、とでも言いたいのがありありと分かる微妙な表情で、エミリアは少女に言葉を返した。 そもそも、どちらかと言うと雇われる側にある支援士の自分達に、雇ってくれと言う事自体が不思議である。 「ま、とりあえず順を追って説明してよ。いくらなんでもいきなり来て雇えじゃこっちも困る...
  • 鏡合わせの少女―夢の国より―:11
    人の縁とは奇妙なもので、なんということのない出会いから、時に思わぬ関係性に発展することも珍しくはない。 自分も人の中で生きる支援士の一人であるからには、そういった事も無かったわけではないのだが…… 多少は予想外なこともあるだろうと考えていた今回の出会いで、ここまで自分の事を考えさせられることになるとは思わなかった。 「ベティお嬢様、お帰りなさいませ」 見慣れた自宅の門を潜ると、必ず聞こえてくるメイド達の声。 これは、自分――“ベティ・ベルレフォート”にとってはなんということのない日常の一つだ。 「ただいま。フォルツェは何処に?」 しかし、“もうひとり”であるティールは、きっと知らない世界だろう。 貴族として産まれなかった自分……そんなifの存在。 しかしifであるということは、自分とは既に違う存在であるということでもある。 しかし、哀しくも揺るぎ無い強さを秘め...
  • チャプター4.天乃の重み
    ―4― 「ふむ……なるほど」 特に断る理由も無い、という事で、ホタルは二人を連れて工房へと戻り、ここ数か月の間に自分が作った、試作品も含めた数本を持ち出し……そして基本的に珍しいもの好きという性格から、一般人よりは目の利くらしいエミリアは、その一本一本を感慨深げに眺めていた。 「……悪いな、名品とか呼ばれてるのに目がないやつで」 「いえ。 『片刃剣』というだけでありがたがる人とは違うようですし」 その光景を呆れつつもどこか慣れた調子で眺めるディンと、少し調子を崩されつつも、少し微笑むような表情を浮かべ、そう答えるホタル。 「……やっぱり多いのか? 名前だけでありがたがるやつって」 「形だけ見て質を見ない。 そういった方は、ナマクラでも『片刃剣』と言うだけで満足して帰っていきます」 後に”ナマクラでも早々折れる事は無いですけど”と付け加え、あまり笑っているとは思え...
  • チャプター1.七色のたまご
    ―1― オース海岩礁洞穴。 鉱山の町モレクから更に西に向かった先にある、海に深く密接した事で有名な中級ダンジョン。 その特性から内部には所々に海水の溜まり場があり、季節や時間による潮の満ち干きで進入できる場所などが変わってくるという。 浅い部分であればそういった事も少ないのだが、深い部分になってくるとその変化は顕著に現れ、時には完全に海水に沈んでしまう場所もある。 そんな理由から、これ以上踏み込めば海に呑まれるかと思われる場所に支援士の少女が一人。 岩塩の採取依頼を受けて入りこんだのだが、知らず知らずの内に中腹まで足を伸ばしていたようだ。 「これでもう十分かな。 さすがに水が多くなってきた気もするし」 何事も、引き際が肝心である。 満潮の海に沈んで終わるなどというのは、そういったものをわきまえていない支援士のする事。 まだまだ命を捨てるつもりなどない少女は...
  • チャプター1.浮き足立って
    ―1― 河川の町ミナル―『河の上に建つ町』とも呼ばれるこの町は、いたるところに河が流れ、町の中の交通手段といえば、あらゆる場所に河がつながっているという地形から、渡し舟が主要なものとして扱われている。 まだ太陽も低い朝、一日の始まりを告げる明るみを帯び始めたばかりのその町は、河のせせらぎだけをBGMに、静かな時間を刻んでいた― 「起きろディン!! 鉱山に行くぞ!!」 ……とある宿屋の一室を除いて、の話ではあるが。 「……エミィか……また唐突だな。 もう少し寝かせろよ」 部屋中に響き渡るかのような勢いのその声に叩き起こされた青年―ディンは、一度引っぺがされた布団を、めんどくさそうに被りなおした。 しかし、エミィと呼ばれた少女―エミリアは、相手のその行為にも一切引かず、さらに勢いづけてもう一度それをひっぺがし、さっき以上に叫びたてるような声を張り上げる。 「何...
  • チャプター12.黒き旋風
    ―12― 「オオオオオオオオオオ!!」 エミリアはディンが受けるはずだった攻撃の身代わりとなり、ディンはそれで吹き飛ばされた彼女を追うようにして駆け出し始める。 ―しかし、負傷したその足では、敵であるゴーレムの方が僅かに動きが速い。 「くっ……」 このままでは、駆け寄るその前にやられてしまう……いや、このまま駆け寄れば、更にエミリアを敵の攻撃に巻き込み兼ねない。 少し進んだところでそれらを察したディンは、振り返り、ゴーレムに向けて剣を構える。 一人でどうにかなる相手では無いかもしれないし、こんな言葉を発するのは手遅れかもしれないが…… 「あいつだけは……俺が守る!!」 気合い一声、足の痛みも無視し、向かい来る巨体に渾身の力を込めて斬りかかる。 しかし、本気になったらしいゴーレムの攻撃はそう簡単に弾かせてはくれず、逆にディンの剣が力に押され、後方に吹き飛ばさ...
  • チャプター10.天乃 蛍
    ―10― クウヤの途中参戦もあり、鎧武者の一団をなんとか退けた一行。 撃退後に本来町から出る事の無いクリエイター系列であるはずのホタルがあの場所にいた経緯も話し、その後はクウヤも交えてオーロラの発生を待つ事となった。 ……しかし、その日はオーロラそのものを見る事は叶わず、一旦十六夜へと帰還することとなり、町へついた後にもエミリアとディンは少し残念そうな表情を見せており……特にエミリアの方はかなり露骨な溜息を交えていた。 ただ、その横で非常に充実した表情を見せるホタルの姿もあったことを、クウヤは見逃してはいなかった。 ……そして、その2日後の早朝。 十六夜のはずれにある、どんな寒さでも凍らず流れ続けるという霊水の池に、ホタルは一人向かっていた。 昨日一日を使い天衣岬で見えた『答え』の意味を考え……今、戒めと決意の意味を込め、禊を行う。 今すべきは、剣を打つ...
  • 後退中
    「……。」 「セオ?空ばっかり見てるけど何かあるの?」 船が引き返す間、ブツブツと呟きながらずっと空を見ている彼にイルが言った。 「…え?船?」 一瞬だけ見え、そしてすぐに見えなくなってしまった。 「セオ、あれなんだったの?」 「幽霊船…船ごと来るか?普通…。」 呆れた口調でいい、傷口を突き始めた。 「あっ、ダメですよ!止血してるんですから!」 「……ん?」 顔をしかめたまま、指を止めた。 「何か、聞こえる…。」 クリスが口を閉じ、じっとする。 「船長!どうなってるんですか!」 「しらん。」 「しらんじゃないでしょ!落ちますって海に突っ込みますよ!」 「大丈夫だろう。コイツは飛行船だが、あくまでも船だ。大丈夫大丈夫!」 微かに聞こえてくるのはどうやらどこぞの船長と乗組員の喧嘩らしい。 「お、おい!あれなんだ!突っ込んでくるぞ!」 一人の支援者が急降下し...
  • チャプター19.変わるもの、変わらないもの
    ―19― ―数日後、河川の町ミナル。 その日も朝日は町中を照らし、水面はその光をうけてキラキラと輝いている。 夜の寒さがまだ残るその時は、今日も皮のせせらぎをバックに、静寂の朝を迎えていた。 「ディン、何をしておるか。 今度はグノルの下層の方にいってみようと言ったじゃろうが」 しかし、今日も今日とて朝っぱらから叩き起こされるディンと、普段から朝は早いエミリアには、そんな静かな空間など全くもって関係ないかのようだった。 「……あのな、前にも言ったが、ちゃんと自分の言った事を覚えているのか?」 「何?」 寝惚けまなこでむくりと上半身を起こし、いつかどこかで見せたような呆れた表情を、再びエミィの前にちらつかせた。 エミリアは、はっと何かに気がついたように一歩後ずさると、気まずそうな目でそんなディンの顔をみつめている。 「俺は慣れたからいいが、ちゃんと自分...
  • -け-
    【ケーニヒスマルク伯爵】 人物 本名:オットー・ヴィルヘルム・フォン・ケーニヒスマルク    -Otto Wilhelm von Koenigsmark- 大陸北部にルーツを持ち、現在は南都リエステールに居住するケーニヒスマルク伯爵家の 当主。 若かりし頃は守備警団のナイト(レンジャーナイト)として活躍し、相当の武芸者として 名を馳せたが、守備警団や教会の暗部を数々目の当たりにして志気を失い、早々に引退。 武器職人たちのギルドと強い関係を持つようになり、自ら考案した新しい武器を作らせては 販売するようになった。とは言え働かなくても暮らせるほどの財産はあり、あくまで趣味や 道楽の延長線上である。 伯爵の発明品としては自らの名前を冠した細身の刺突剣・コリシュマルドが有名であるが、 それ以外にも種々のものが世に出回っている。中には首を傾げたくなるよ...
  • 知らない…
    ―中央都市リエステール商店街― とある酒場 「…ん?セオ、イルはどこにいったんだ?居ないみたいだが?」 「いや…それは俺が聞きたい。」 隣で幼竜二匹が人の姿で朝食を食べているのを見ながら言う。 グギュゥゥゥ… 「セオにぃ、大丈夫か?げっそりしてんぞ?」 「……お腹、減った?」 腹の音が聞こえたらしい、心配そうな顔でこちらを見てくる。 「セオにぃ、何か食わないと成長がとまるぞ?」 フェイがそういう。 「だいじょぶだー、一日朝食抜いたぐらいで成長はとまんねーさ…。」 本当のことを言えば、フェイの食費代がもの凄く高いものだから、 自分は食えないわけであって…。 「おとーさん。あーん。」 ルカがちぎったパンを口元まで持ってくる。 「……ありがと。」 ルカの頭に手を置き、クシャクシャと撫でる。 「あぁ…いま思い出したんだが、これを渡してくれとルウが...
  • 鏡合わせの少女―夢の国より―:1
    カードの表と裏。 一枚一枚違う模様が描かれているのが表で、すべて同じ模様で統一されている裏。 カードを利用したゲームは、裏面からは区別がつけられないことこそがその肝であり、裏面の模様が違っていては意味がない。 トランプの神経衰弱などがいい例だろう。 ……人というものも、案外そんなカードの表と裏のようなものなのかもしれない。 外見的には同じ双子でも、性格が全く違うことはよくあることで、外面だけ見てもその内側というのはなかなか分からないものである。 鏡合わせの少女 ―夢の国より― 町の中を、歩く。 変わらないようでいて、毎日、誰も気づかないようなゆるやかな速度で、様相を変えていくのが人の町。 変わったと気付いたころには、以前の姿など忘れ去っていることも珍しくはない。 「もう、復興も終わっちゃってるんだね」 北部の首都、リックテール。 大陸の南北...
  • 置き去り
    ※全てはネタとネタとネタで出来ています 「・・・置いていかれたわね」 「ああ・・・見事に置いて行かれたな」  寄せる波が、ざぱーと虚しく響き、  エルナとヴァイは、明後日の方向をぼーっと見ていた。 「つか、メイン管理人。放置しすぎ」 「まあ、仕方無い・・・っては言えるのかどうかだがな」 「と言うわけで、趣向を変えてもうエルナせんせネタに走っちゃうからね!!」(エルナ) 「ちょっ・・!! つか、なんか雰囲気一変しやがった!?(汗々」(ヴァイ 「ケルトとリスティは真面目だから医療に走ったし、せんせーとヴァイは逢引中(はーと♪)」(エルナ) 「何が逢引だぁぁぁぁああああ!!!!!」(ヴァイ) 「あ。ついでにグリッツは金にならないと判断した時点で軽く観光状態みたいね」(エルナ) (つか、無茶苦茶伏線とか含んでたのに、ネタ化によって全パーかよ・・...
  • エミリアの場合
    大陸南部の町のひとつ、ミナル。 大陸随一の美しさを誇るといわれている河川の流れるこの町は、時に河川の町、と称されることがある。 そして、全体から感じられるその清廉な雰囲気から、教会の存在も他の町より深く浸透している町でもあった。 それゆえに、普段は大騒ぎとは無縁な町でもあるのだが、それでも時期によってはほんの少し湧き立つことがありえないというわけでもない。 …………この世で愛や恋ほど厄介で面倒なものはないと思う。 それは彼女が旅をつづけて……というより、昔からちょっと気にはなっていた存在と旅を続けていて、辿り付いた結論である。 今日は休憩と称してミナルで宿をとり、二人ともゆっくりと身体を休める予定だったのだが…… 「……はぁ……」 その片方……エミリアは、どうにも気が休まる様子はなさそうだった。 ―エミリアの場合 ~In minal― 女性が男性にチョコと共...
  • 第1話『ギルド・セレスティアガーデン』
    『セレスティアガーデン』第1話『ギルド・セレスティアガーデン』 1 2 3 4 あとがき その1 ――リエステール~ミナル街道――   ――の橋の下。 「はぁ~・・・」  深くため息をつく。  無理もない。もう朝の10時からこの採掘作業を進めているのに、日が西に傾きはじめた今になっても一向に成果が上がらないのだから。 「あー、もうっ!! いつになったら出てくんのよーっ!! 翠水晶石はっ!!」 「リリー、無駄口叩いてる暇があったら手を動かさないと、このままじゃ晩御飯までに終わらないよ。」 「なによ~、そういうセーはさっきから全然手伝ってないじゃない。」 「さっきからじゃなくてはじめからよ。・・・じゃなくて、私はこんな格好だから土木作業なんてできるわけないでしょ!!」  透明な羽根をパタパタさせて頭上を飛び回りながらそう言い放つ妖精、...
  • エピローグ.虹のふもと
    エピローグ ――あれから一ヶ月。 結局件のネクロマンサの男の行方は知れず、現状も捜査隊は編成されているものの、情報が全く無いことからその士気は目に見えて落ちてきているとの事だった。 ティール達にとってもそのあたりは気になる要因ではあるが、実際のところ今更関わりたい相手でもなく、特に気にしようという様子はない。 ……それよりも、この日はもっと重要な出来事がある日で、その程度の事に気を割くような気分にはなれなかった。 「う…わぁ……」 その気になればちょっとした宿でも開けるんじゃないかという家屋を前に、感嘆の声を上げるティール。 ……クローディアの口からこの家の買い取りの話が出てきてからの一ヶ月間、改装工事の際にも色々と自分達の希望を取り入れてもらっていた。 その結果、内装に関してもほぼ自分達の理想通りの姿になっている事は間違いないだろう。 「メンバーが...
  • —モレク〜モレク鉱山1—
     風をもとめて —モレク〜モレク鉱山— 《前回に戻る》  〈チィ チィ! パタタ……〉 「…カネモリ、歳の割には頑張るねぇ〜。 支援士(ヘルパー)のボクとおんなじペースで、もう一時(いっとき:約2時間相当)以上も 歩き続けてるじゃない?」 「これもわたくしが調合した『活力薬』のおかげですよ、ジュリア。 冒険に出る以上、自分の体力不足はきちんと補わなければいけませんからね。」 「えぇーっ、自分だけそんなクスリ飲んでズルイよぉ〜〜! ボクにもちょうだいちょうだーい!!」 「それは困ります。あなたまで一緒に飲んでは、体力の差が埋まらないではありませんか…」 南都リエステールと鉱山の町・モレクを結ぶ街道をモレク方面に向かって歩くは、 黒髪の中年男・錬金術師(アルケミスト)カネモリと 栗色の髪の若き女剣士・支援士ジュリア。  ふたりが早朝にリエステールを...
  • フェアリーローズ:2
    ―2― 「ぶっはははは! あーっはっはは!!」 「いつまで笑ってんだ!!」 「ごぶふっ!!」 日も傾き、西空が赤く染まる夕方。 世間様は丁度夕食時かその準備でもしているであろう時間で、外を出歩く人も少なくなってくる頃だ。 そんな中、リトルレジェンドのギルドハウスのリビングの辺りから、鈍い打撃音とカエルが潰れたような声が聞こえていた。 「まとまった金が欲しかったんだが、酒場に適当な依頼が無かったんだよ」 依頼が枯渇して多くの支援士が暇をもてあます時期は、このリエステールに限らずやや不定期ながらどこの酒場でもあるものなのだが、そんな時期に残っているものと言えば、簡単だが時間がかかり、報酬も少ないものが殆んどだ。 それならむしろ自分の足で日雇いや短期のアルバイトを探した方が稼げる場合があるのも事実である。 「そういえば酒場にもバイト募集の貼り紙がはってあった...
  • フリージア
    ―Freesia― まぁなんというか、世の中には色々な物語があるものである。 それは書物として残されていたり、伝記として伝えられている物に限らず、そのへんにいる人間一人が歩む人生も、一つの物語として見る事はできるだろう。 アリスキュア達の昇格の儀を終え、友人であるエルナと話し……その後、二ヶ月前に知り合った、ティールと言う少女とも話した。 そういえば、1か月ほど前にもミナルへの道中で出会ったディンとエミリアという支援士もいたが、あの二人は今はいったいどうしているのだろうか。 ―我ながら、ひとくせもふたくせもある友人が多いものですね― 今思い浮かんだ人達の顔を思い返し、それぞれから聞かされた話を思い出す。 『世界』という宝島で夢を追う少女と、彼女を導き、守護者(ガーディアン)として盾となる青年。 心の内に測りしれぬ罪を抱き、自身という答えを探しづつける少女。...
  • Side.Erna02
    ■定例友会三日目  「さて、三日間の定例友会も最終日。皆さんとお別れする日がやってきました」  初日の交流会と同じく、最後のお別れ会も生徒皆が一つの部屋に集まり、対面して座る形になっており  そして、初日と同様に進行をするビショップの話を聞いていた。  違いがあるとすれば、今回はお菓子やケーキは置いておらず、机の上にあるものは、お喋りで乾いた喉を潤す為のお茶と水である。というくらいのものだろうか。 「まあ、また来年辺りに会えますが、少なくとも教会の行事で会えるのはしばらく先になります。  まだリエステール組の皆さんが出発するまで時間がありますので、   お手紙の交換をする約束をするなり、友達の顔をしっかり覚えるなりと、それまで自由にしていてください」  以上で説明を終わります。と、ビショップが話を締めるその直後に、  エルナは淡々とした様子で手を上...
  • チャプター1.戦闘訓練
    ―1― リエステール西街道・ミナルへの道。 この日も若干の雲は存在するものの、太陽はさんさんと輝き、川に沿って散歩でもすると、川のせせらぎもあいまって気持いいかもしれない。 ……そんな中、ミナル川を渡る橋の付近で、ひとつの支援士のグループが魔物の一団と交戦していた。 「我が右手に集え紅を纏う火精 我が左手に集え緑旋を宿す風精」 その中の一人――三人の前衛に守られるように立つ小さな少女が、呪文の詠唱を開始する。 …彼女達の前に立ち塞がるのは、この世界でも最弱とされる魔物であるスライム。 主に集団で現れる事の多い魔物だが、戦闘能力そのものが微弱であり、駆け出しの支援士のいい的だったりする。 ついでに言うなら、赤、青、黄……と様々な色が並んでいるものの、実際は色能力すらも持たない個体であり、弱点等を気にする必要もない。 「我が力を糧に一つとなりて敵を討て! ...
  • 機械兵器
    『やぁラビ、生きていて何よりだ』 壁をぶちぬいた先にあった通路に入ったところで、今まで隠れていたネコが再び姿を現した。 相変わらずのにやついた表情だが、その目はアルトの胸に抱かれているウサギの方へと向けられている。 ラビと呼ばれたウサギはピスピスと鼻をならして猫に向かって返事しているようだった。 「…これで、女の子が一人助かるんだな?」 『そうだね、あとはラビをあの子に手渡せば、あの子がこの船に従う理由も無いよ』 レオンの問いに、ネコは心なしか嬉しそうにそう答えていた。 表情は相変わらずだが、その女の子がとても大事なのだろう。 「それにしても……この子、なんで時計ぶらさげてるの?」 今まで敵から逃げ出すのに必死で気が付かなかったが、ラビの首からひとつの懐中時計がぶら下がっている。 よく見れば毛皮にまぎれて細い首輪もされていて、そこにくっついているようだった。 『クロッ...
  • 絆~Tale of Vai アフターシナリオ Tale of Listy~
    絆~Tale of Vai アフターシナリオ Tale of Listy~ わたしは、何? □リエステール教会  久しぶりに歩くリエステール教会。  以前、教会では『アルティア様を連れ戻せ』だとか、『ヴァイ・リュークベルの誘拐』という話もあったけれども、  エルナ先生やケルト先生。それに、他の先生。色んな方たちが協力してくださって、ヴァイさんとリエステールの街に帰ってこれる事が出来た。 「でさー。あの先生、絶対やらしい目で見て来るんだよー」 「やだぁ! キモチワルイよねぇ!」  廊下の向こうから、話をしながら歩いてくるアリスキュア。  その年齢は、自分と同じくらいに見えた。  私は教会の事情で、早く卒業してしまったけれど、本当はまだまだ自分もアリスキュアのハズで、あんな風に友達の隣を歩いてお喋りをしていたハズなんだ。  でも、...
  • チャプター8.つながり
    ―8― 「そっか、チームに入るつもりはないんだな」 一部逃げ出してしまった末端の兵士を除いて、モレク鉱山裏の洞窟を根城にしていた盗賊団は壊滅し、自警団の手でそのメンバーは連行されて行った。 ティールとレオン達のチームは自警団のメンバーに去り際に報酬を手渡され、今はモレク~リエステールを結ぶ街道の上で別れの挨拶をしているところだった。 「うん……ちょっと、今は一人で考えたい事があるから……」 その時、レオンの口から自分達のチームに入らないかという提案が出されていたのだが、ティールは決して首を縦には振らなかった。 どちらかといえば、今は誰かと組むにしても、様々な人と関わっていきたい。 誰かと組みたいとは望んでいても、一つのチームに留まって、あまり情を深く持ちたくは無いと考えていた。 ―こんな考え方をするという事は、まだまだトラウマは払拭されているとは言えないだろう...
  • チャプター6.恩師来たりて
    ―6― ――朝。 普段は喧騒に満ちているこの鉱山の町でも、深夜から早朝にかけては静寂に包まれた世界となる。 それでも、太陽が高く昇るにつれて町を歩く人影も増えていき、昼を回るその前には普段通りの賑わいを見せるのもまた必定。 ……今は、その中間にあたる時間帯。 窓から外を覗き見れば、外を歩く人も増え始め、太陽が高くまで差し掛かろうとしている。 「――……う……ん~……」 そんな中で、一人宿をとり一夜を過ごしたティールは、いつもより少し遅れた時間に目を覚ましていた。 七色の羽根を持つ――ティール自身がイリスと名付けた小鳥や、それをつけねらうような言動をしていた男…… その存在が、多少なり精神的な疲れを感じさせていたのかもしれない。 「……はぁー……」 もっと小さな頃……かつて生まれ育った世界にいたころから、比較的アクシデントに巻きこまれやすい...
  • —フローナ〜ルナータ1—
     風をもとめて —フローナ〜ルナータ— 《前回に戻る》  〈ミャア ミュウ……〉 「そんじゃボクたち、行ってくるよ。父ちゃん、母ちゃん! 漁に出てる兄ちゃんたちにも、よろしく伝えてね☆」 「おぅ! ジュリアもしくじるンじゃねェぞ!」 「カネモリさん、ウチの娘をよろしくお願いするよ。」 「…いいえ。 わたくしの方がジュリア…さんに護衛をお願いしているのですから。 こちらこそ、よろしくお願い致します。」 大陸南部の港町・フローナ。 ここは大陸北部の港町・ルナータに通じている定期旅客船の発着場。 その桟橋に見送りに来た漁師の夫婦に手短に挨拶するは、 黒髪の中年男・錬金術師(アルケミスト)カネモリと 栗色の髪の若き女剣士にして夫婦の娘・支援士(ヘルパー)ジュリア。  ふたりの出会いは数週間前。 「あらゆる病と傷を癒す」と伝えられる究極の薬・エリクシ...
  • チャプターEX.二人の調律者
    ―EX― 「あら、トゥール。 そっちから出向いて来るなんて、珍しいわね」 ――氷昌宮。 アウドムラは大きな氷の鏡の前で、その中に映る光景を眺めながら、背後に現れた来客に言葉を向けた。 ……鏡の中には、つい先程自らの力を分け与えたエミリアとその仲間達。 そして、『轟雷宮』の加護を受けた少女、リーゼとその姉の姿。 さっきまで正面からぶつかり合うように戦っていた二組が、のんびりと支援士向けの衣装店で服を見繕っている姿は、妙に微笑ましかった。 まぁ、その中で唯一の男性である一人は、満身創痍だったこともあり、先に家に戻っていってしまっているのだが。 「謀らずも我々の加護を受けた者同士の戦いになったわけだが、挨拶にと思ってな」 来訪した男性の名は、トゥール。 世の人に”雷帝”と称される、轟雷宮(ライトニングパレス)のパレスキーパー。 ……そう、リーゼに力を与えた者で...
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