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SS-03

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◆yuri0euJXw


天井が軋む。
四角い部屋がねじられるかのような振動が一瞬のうちに訪れ,
今もまだ部屋を軋ませている。

「ひゃぁっっ!!」

異様な空気を感じて目覚めた二人を襲ったのは,そんな恐怖だった。
突然襲った振動に逃げることもままならず,竦んでしまう体を何とか鼓舞して奏は雪乃を抱え込んだ。

「やだぁ,怖いよ~。」
「大丈夫だよ,雪ねぇ。」

奏は雪乃を抱きしめると,そのまま頭を抱えるように抱き締めた。
長いように感じた揺れは,きっとほんの数秒の出来事。
しばらくすると,さっきまでの軋みが嘘のように部屋は静寂を取り戻した。

ふぅ。もう大丈夫かな?

そう思って奏は辺りを見回す。
寮の廊下は辺りの様子を探る寮生の喧騒で賑わっていた。

「もう大丈夫だよ。雪ねぇ。」
「う~~ん。こ‥‥怖かったよ~。」

涙ぐむ雪乃に見とれながらも,奏では優しく雪乃の頭をなでた。

「怖がりなんだから。雪ちゃんは。」
「だってだって,この後大津波とか,宇宙人襲来とかあるんだよ!!」
「いや‥‥それってなんてSFよ?津波はともかく宇宙人って‥‥。」

真面目に心配したのが馬鹿らしいと言わんばかりに奏は大げさにあきれ顔をした。
一方雪乃は半ば本気らしく,一層興奮した様子だった。

「ばか,大丈夫よ。そんな心配してないで,さっさとテレビ見に行くよ。」
「かなちゃんは‥‥。」

ベッドから降りて,部屋を出る準備をする奏に雪乃は問いかける。

「かなちゃんは,私が宇宙人にさらわれたら助けに来てくれる?」
「そんな電波飛ばしてるのはどの口かしらね~?」
「ひゃい!ひゃい!」

雪乃の良く伸びる柔らかいほっぺたを楽しそうに奏はひっぱる。

「来てくれないの~?」
「‥‥‥命がけで‥‥助けに行きます。」

雪乃は頬をさすりながら奏の言葉を嬉しそうに聞いた。

でもね,ゆきちゃん。あたしは絶対そんなことさせないよ。

雪乃に背を向けたまま,奏は胸の中で呟いた。
奏もこの揺れにショックを受けて,今もわずかに手が震えている。
廊下に出て,ほかの寮生の様子を伺う二人の手は,いつもよりもさらに強く固く握られていた。




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最終更新:2010年11月18日 22:52
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