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SS-10

甘酒の効能

◆yuri0euJXw


「う~,寒い。」
「かなちゃん,私よりたくさん着てるのに寒いのぉ?」
「えっ?着てる枚数同じじゃなかったっけ。」

部屋で机に向かっている奏と雪乃の会話だ。

「えっとぉ,それはねぇ。」
「‥‥‥まさかあたしのおなかのお肉の分とか言わないでしょうね?」
「‥‥‥。」

奏はせわしく動く手を止め,ジト目で雪乃を見る。
奏の方を見ていた引きつった笑顔のまま,雪乃はカクカクと機械仕掛けのように前を向き直し,何事もなかったようにブログの更新を始めた。

「さってと,きょうもぶろぐぶろぐ~。」
「全く,ゆきちゃんてば性懲りもないんだから‥‥。」

奏はぶーと頬を膨らませると,気を取り直して机に向かった。

流石に古いと言っても,学生寮だけあって奏たちの住んでいる建物はしっかりした造りだ。
各部屋の電気容量は少ないが建物全体の温度管理は最低限稼働している。
しかしやはり冬というもの。温かさが恋しくなるのは必然だ。

「かなちゃん。そんなに寒いんだったら,私が温めてあげる~♥」
「いい。ゆきちゃんの足,ひゃっこいんだもん。」
「むむむ~。そんなこと言うと‥‥。えいっ!」
「うっひゃぁ!」

集中する奏に雪乃がちょっかいを出すのはいつものこと。
そして,いつものように雪乃の頬っぺたはまた盛大に伸びた。

「いひゃいよ,かなひゃん。」
「大人しく待っとれんのか,このバカ姉!」

二人しかいない部屋で天然コントを公演中,パタパタという駆け足とともに勢いよく部屋のドアが開いた。

「ゆきちゃん,奏。良いモノあるからおいでよ。」
「ひとの部屋に入る時はノックくらいしなさいよね。」

雪乃の頬を引っ張っていた手を離し,奏が寮生に声をかけた。

「みーなの実家からたくさん届いたんでみんなにおっそわけなんだって。」
「なにが?」
「甘くておいしいもの。この季節にはぴったりなヤツだわさ。今食堂で準備してるから。」
「えぇっ!甘くておいしいもの?!」

痛そうに頬をすりすり撫でていた雪乃の目の色が変わる。

「そうそう。皆で温まろうって今声掛けて回ってんの。」

そう言って,その寮生は慌ただしく次の部屋へ駈け出して行った。

「何だろうね?」
「ん。とりあえず行ってみようか。」

二人はひとまず手を休め,食堂へ向かうことにした。
二人が食堂についたときには既に多くの寮生で賑わっていた。ほんのりと米麹のいい香りが漂っている。

「あぁ~。なんか『日本の冬』って感じだね,こりゃ。」
「なんか懐かしいね。」

部屋に広がるほのかな香りに感想を述べる二人に手渡されたのは予想通りのものだった。

「本格甘酒だよ~。生姜入ってるから温まるよ~。」
「わぁ~。いっただきま~す。」

多くの寮生と同じように,というかやや際立って雪乃は甘酒を食す。それに倣って,というよりは控え目に奏も口にした。
意外なおいしさ。それが一口目に二人が感じた感想だ。二人だけではない。皆そう思ったに違いない。
本格甘酒とはいったものだ。甘酒独特の癖も控えめで何と口当たりがいいのだろう。

「たくさんあるから,どんどんおかわりしてね~。」

声を張り上げるのは,「甘酒で温まろうの会」の材料提供者。
声をかけて回っていた発起人は,現在3回目のお代りに満足そうな顔をしていた。

「これならいくらでもいけそう。」
「うん。おいし~ね。」

二人も他の寮生と同じように結構な量を口にすることとなった。
一通りおなか一杯になってくると,今度はおしゃべりに花が咲くのも毎度のこと。

後片付けをしながら,みーなと呼ばれた寮生はほっと胸を撫で下ろしていた。

「も~。ひとみ~。ほんと助かったよ~。お母さんたら,あんなにたくさん送ってくるんだもん,どうしようかと思っちゃった。」
「でもさ,ほんとおいしかったよ。甘酒ってあんなにおいしいものだったっけ?って感じ。」
「一応うちの方は米処だからね。米麹使った本格甘酒でないと甘酒じゃないって感じ?」
「うん。私も何かそれわかる。」
「でもね。ちょっとアルコール分が多いから酔う人は酔っちゃうかもしんないんだ。」
「甘酒で酔うなんて聞いたことないし。大丈夫だよ~。」

そうだねなんて,軽く笑うみーなとひとみであった。
ところが,甘酒で酔う奴なんていないはずの『酔う奴』が実は身近にいたことを彼らは後から知ることになる。

「ねぇねぇ。ところでさ。ゆきちゃん。」
「なぁに?」
「例の子,どうなったの?」
「例の子って‥‥あぁ!咲ちゃんのこと?」

うわさ好きの寮生は咲夜の本命が奏であることをまだ知らず,真相を聞くために,雪乃をターゲットにする。

「咲ちゃんは部活の後輩で,別になんでもないよ~。」
「だって告られたんでしょ?」
「いつも駅で待ってるじゃない。」
「学校だってずっと一緒だしね~。」
「白状しちゃえって,このこの~。」

確かに咲夜は雪乃の後輩だ。
だがしかし,告白されたのは奏のことであって雪乃ではない。
駅で待ってるのは,奏を追いかけているのであって雪乃ではない。
学校では,ほとんど公然とローアングラーだし‥‥。
白状するもなにも,すべて奏絡みのことだ。
雪乃は,ちらっと奏の方を向き,話すべきかどうか雪乃は少し迷う。
しかし雪乃は,奏の様子がいつもと違うことに気付いたのだった。

「あれ~。かなちゃん,顔真っ赤だよ?」
「あれ,ほんとだ。」
「何,ゆきちゃんの赤裸々な恋愛事情に興味津々なわけ?」

雪乃と談笑をしていた他の寮生にからかわれても,奏ではボーっとしたままだ。
普段なら,面白いくらいにからかい甲斐のある奏なのだが,ボーっとしたまま,奏では隣に座る雪乃の肩に頭をぽてっと倒した。
寮生の喧騒から離れて,雪乃は奏のことを気遣う。

「大丈夫‥‥‥かなちゃん?」

心配そうに雪乃は声を掛けるが,奏は頭を雪乃の肩に預けたままだった。
よいしょっと,雪乃は奏を起こすと,まっすぐに座らせる。頬を高揚させ,ボーっとする奏は何だか様子がおかしい。

「かなちゃん?」
「んとっね,何か熱くって‥‥。ふわふわしてる感じがする。」
「もしかして‥‥‥かなちゃん酔ってる?」

奏の様子をうかがう雪乃はまさかの可能性を疑ってみた。しかし奏から返ってくる返事は,予想を十分に現実にした。
「酔ってなんかないも~ん。」

と言って奏はぷうっと頬を膨らませた。まぁ,少し大人しくしてれば大丈夫だろうと思い,雪乃は自分に奏をもたれさせ,暫くゆったりとしていた。
そっと奏の顔を撫でる雪乃の手はひんやりとしていて,奏にはとても心地よかった。

「ゆきちゃんはさ~。」
「ん?なぁに?」

穏やかに雪乃に撫でられたまま,ちょっとまじめな顔して奏は言う。

「ゆきちゃんは咲ちゃんのこと‥‥どう思ってるの?」
「ん?可愛い後輩だと思ってるよ?」
「いや‥‥そうじゃなくって‥‥。」

先ほどの話を気にしたのか,奏はボショボショと続きの言葉を濁しながら言う。
雪乃がそれをもう一度聞き直すと,今度は小さいがはっきりとした声で言った。

「‥‥おやつとあたし‥‥どっちが大事なのかなーって‥‥。」

奏は甘酒以外の原因で顔を赤らめながらも,ぼそっと零した。
そんな仕草が雪乃にはとてもいじらしく見え,奏の頭をくりくりと撫でる。

「かなちゃん,可愛い♥」
「もぅ。誤魔化さないでよ。」
「さぁ,どっちかなぁ?」

冗談めいた口調で答える雪乃に,奏はまた膨れっ面を見せた。

「ぷぅ,ゆきちゃんの‥‥いじわる。」
「えへっ♥」

珍しく大人しくしている奏にほかの寮生もちらほら声をかけてきた。

「奏~。酔ったんだって~?」
「だから,酔ってなんかないって。」
「甘酒で酔うなんてよっぽど弱いんだね?」
「だ~か~ら~,酔ってないって!」

勢いに乗って立ち上がった奏だったが,言葉とは裏腹に足元はもつれる。

「あっ,ほらぁ。」

足元が絡まり真っ直ぐ歩けない奏は支えてくれている雪乃の胸元に倒れ込む。
それがなんだかちょっとかっこ悪かったが,傍で雪乃が助けてくれるのがやっぱり心地よくて,いじけながらも礼を言うのだった。

「むぅ‥‥ありがと‥‥。」
「はいはい♪」

素直な奏に雪乃はクスっと笑い、奏の額に軽くキスした。

「ふふっ,かなちゃん,良い子♥」
「もぅ‥‥ゆきちゃんてば。」

唇が触れた額を指で触れる。そこだけなんだか熱をもったように熱い。
雪乃はふらつく奏を冗談めかして笑いながらも,ちゃんと傍にいて支えている。
いつも握っている手は,今日は奏を支えるために働いている。
ふわふわとした高揚感のまま,奏は雪乃をより近くに感じていた。
側に感じる温もりが優しい。ちょっと天然だけど頼りになる。そんな雪乃が大好きで‥‥。奏の胸がキュンと痛む。

あたしは、ゆきちゃんのこと‥‥何にも代えられないのに‥‥。

そう思うと一人,奏は雪乃のことを想う。

やっぱり‥‥酔ってるのかな?

奏は自問自答する。そんなこと悶々と考えていても始まらないのに。
でも,奏の胸をかすめる不安は少しずつだけれど大きさを増していくのだった。

「はい!かなちゃん,お水。」

雪乃は部屋に着くと,奏をベッドに座らせ冷たい水を手渡した。奏はそれを受け取り,ごくんと一口飲んだ。
熱く火照った体には気持ちよく,冷たい水は喉を通り過ぎる。
雪乃は奏の隣に座ると奏の飲みかけを手にとり,自分も一口飲んだ。ほっと一息吐くと,雪乃は奏の方を向いてクスッと笑う。

「かなちゃんがアルコール弱いなんて知らなかった~。」

雪乃はしみじみと言う。奏だって信じられないだろう。いや、実際信じられないでいた。
まさか甘酒で酔うとは思ってもみなかったのだ。

「ゆきちゃんは平気なの?」

赤い顔を雪乃に向け不思議そうに奏は尋ねる。

「ん~。実を言うとね‥‥。」
「うん。」
「全然平気なの♪」
「‥‥あっそう。」

やけに神妙な顔して言うからまじめに聞いたのにと,奏はため息をつく。

「あたしたち,双子なのにね。」

お互いに顔を合わせてクスッと笑う。

「でもね‥‥。」

雪乃は小首を傾げて奏の続きを聞く。

「ちょっと‥‥寂しいかな‥‥。」
「かなちゃん‥‥。」

奏は雪乃の肩に頭を乗せ,ぼんやりと視線を彷徨わせながら雪乃に言った。

「ゆきちゃんさ‥‥さっきも‥はっきり言ってくれなかったっしょ。」

雪乃は返答はせず,優しくて微笑んだまま黙って奏の独白を聞いていた。

「なんかね,さっきもゆきちゃん優しくて,あったかくって,あたしはすっごく嬉しいのに,ゆきちゃんのこと‥‥大好きなのに‥‥。ゆきちゃんは‥‥。」
「私が?」

たった一言だけれど,雪乃の優しい響きは奏を心地よく包む。

「‥‥ゆきちゃんは‥‥違うのかなって‥‥。離れたくないのに,ずっと一緒にいたいのに‥‥。」

抑えきれない想いとともに,奏の目から透明な滴が一つ二つ零れ落ちる。

「ん~~,もう,何言ってるかわかんないよぉ。」

よしよしと奏をなだめるように,雪乃は奏の頭を撫でる。そしてそっと雪乃は口を開く。

「かなちゃん。私言ったよ?ずっと一緒だよって,かなちゃんのこと一番好きなんだからって。」
「うん。」
「それじゃダメ?」
「‥‥‥ダメじゃ‥‥ない‥‥でも‥‥。」
「不安?」
「‥‥そんなんでもない‥‥。」
「じゃぁ‥‥。」
「分かんないよ!!もうっ!!」

奏はキッと,雪乃の方に強い視線を向けると,そのまま雪乃の胸に飛び込んだ。
勢いあまって,二人はベッドに倒れこんでしまう。そっと重なる唇は,温もりを伝えるとすぐに離れた。

「かなちゃ‥‥ん。」
「‥‥ゆきちゃん。」

奏は馬乗りになると,雪乃の手を握り,ベッドに押し付ける。
奏は雪乃を見下ろすと,不安とも驚きとも取れる雪乃の表情が見えた。
戸惑いはあった。でも,抑えきれない感情に導かれるように,奏は再び雪乃の唇に自分のそれを重ねた。
雪乃は抵抗する様子もない。ただじっと,奏のなすがままに身を任せていた。
何度も唇の感触を確かめるように奏は触れ合わせる。
何度目かの触れ合いの後,奏ではそっと雪乃の中に自分を侵入させた。
驚きの声が上がるが,雪乃はそれを受け入れる。
時間が止まったかのような静寂の中,二人の発する僅かな音だけが耳につく。
湿った音と,だんだん激しくなる吐息だけが部屋に響いた。

「ゆきちゃんが‥‥‥好きなの‥‥。なんて言っていいかわかんないけど‥‥大好きなの。」

触れていた唇が離れると,奏の告白が雪乃に届いた。熱のこもった視線が雪乃に向けられる。
雪乃はキスの余韻の残った濡れた瞳を奏に向けた。

「私なら,ゆきちゃんの何一つ‥‥‥誰にも渡したくない。」

奏は雪乃を抑えていた手を放すと,その手で雪乃に触れた。
ギュッと雪乃を抱きしめて,肩口に顔を埋める。首筋なのか,髪の毛からか,雪乃の香りが奏の鼻を擽った。

「ふふっ‥,同じシャンプー使ってるのにゆきちゃんの匂いがする。」

雪乃に擦りよる奏の頭を雪乃はそっと抱きしめた。

「かなちゃん。ごめんね。」
「なに‥‥?ゆきちゃん。」

奏の頭をなでながら,雪乃は穏やかに告げた。

「かなちゃんなら,大丈夫って思ってた。気持ち繋がってるから大丈夫って‥‥。」
「ゆきちゃん。」
「‥‥私も‥‥ピアスより強い絆‥‥欲しいかな?」

奏が顔を上げると,優しい瞳が奏を待っていた。
再び二人は唇を重ねた。求め合うように濃厚なキスはやがて激しさを増していく。
奏の唇は,雪乃のそこから離れると,華奢な首筋へと移動していく。
服の下から忍び込ませた手は,雪乃の膨らみを大事そうに撫でていた。

「ぁ‥‥かなちゃ‥‥っ。」
「何か雪ねぇ‥‥えっちぃよ‥‥。その声‥‥。」
「そっ‥‥それはっ‥‥かなちゃんが‥‥触るからっ‥‥。」
「ひゃぁん。」
「じゃぁさ‥‥もっと聞かせてよ。ゆきちゃんのえっちぃ声‥‥。」

奏は雪乃の背に手を回すと,背筋に沿って指を這わせた。
するすると背筋に感じる感触が,雪乃の口から艶声を紡がせる。
まくりあげられた服の中からは雪乃の素肌がさらけ出され,無防備な雪乃の双丘には奏の手が添えられている。

「ゆきちゃんのおっぱい‥‥柔らかいね。」
「かなちゃんだってぇっ‥‥柔らかいよ?‥‥私‥‥ぁ‥‥好きぃ。」
「ここも‥‥いい?」

雪乃がいい終わる前に奏が雪乃の先端を口に含んだ衝撃が,
雪乃の言葉尻を嬌声にすり替えてしまう。
熱心に施される愛撫に雪乃は翻弄されていた。
甘酒程度の刺激ではない。触れられる感触と触れられた余韻が体中に広がっていく。
じんわりと甘く切ない感情があふれてくるようなそんな幸福感。
そして,触れられるたびに募っていく焦燥感。
体の奥の方に溜まっていく熱が,だんだん激しさを増していくのを感じた。

「かっ‥‥かなちゃん‥‥積極‥‥的‥‥ぅん‥‥はっ‥ぁん‥‥。」

キスをねだっても,なんとなくはぐらかして決してしようとしなかった奏とは思えない積極的な行動に雪乃は一番戸惑っていた。

「なんでかな?‥‥今日はそういう気分みたい‥‥。」

お互いに求めあっているうちに二人は肌を直接触れあわせていた。
遮る布地がないだけで,お互いの距離が縮まった気がする。
ほんの少しでも傍にいたい。いっそのこと一つになってしまいたいと感じてしまう。
でもお互いがお互いであるために,こうして触れ合うことができるのだと本能で理解していた。

「きゃぁっ。」
「あっ‥‥すごい。」
「~~~もぅ。」

奏が雪乃の秘所へ手を滑り込ますと,雪乃は驚嘆の声を上げる。
すると,奏は別の意味で驚嘆の声を上げた。

「すっ‥‥好きな人に触られたら‥‥もぅ,かなちゃんだって一緒じゃないっ!。」
「‥‥うん。ゆきちゃんが凄いえっちぃ声出すから‥‥感じちゃった。」
「もっ‥‥ぁっ‥‥あっはぁ‥ん‥‥あっ‥まっ‥‥そこぉ‥‥。」

奏は面白いとでも言うように,雪乃の秘芯に触れ,そこを撫でるように指で捏ねる。
雪乃の敏感なそこは奏の指先に過敏に反応して体をピクンと反らせる。

「えっちぃよ,雪ねぇ‥‥。こっちも凄くぬるぬる‥‥。」
「やっ‥‥言わないでっ‥‥言っちゃヤっ!」

奏は,激しく悶える雪乃を嬉しそうに見ると,ゆっくりと雪乃の中へ指を挿入した。

「っ!!!」
「痛くない?」
「‥‥大丈夫‥‥みたい。」

雪乃の中は熱くて絡みつくように狭い。でも,奏の指をきゅっと捕まえて,離そうとしない。
そっと,奏は指を動かしてみる。痛そうなそぶりがあればすぐやめようと思っていたが,雪乃の表情は,それまでの行為よりももっと艶な色を示し始めていた。
体の奥をかき乱すような快感が雪乃の体を走り抜ける。
刺激されているところはたった一か所なのに,全身が同時に愛撫されているようなそんな強い刺激。
ちょっと奏が指を動かすだけでそれは雪乃の全身を覆いつくす。

「っぁあぁあ‥‥‥かなっ‥‥ちゃぁん‥‥!!!」

雪乃が奏を必死に抱きしめ,全身を責める快感に耐えようとしていると
廊下からざわざわとした喧騒が聞こえだした。

「ふぅ‥‥むぅ‥‥ん!!」
「声出したら聞こえちゃうよ?」

寮生たちが個々の部屋に戻ってきたことを示す喧騒が聞こえると,空気が凍ったように身動きが取れなかった二人だった。
しかし,緊張に体を強張らせている雪乃の中で,奏はゆっくりと指を動かすのだ。
雪乃の中のざらついた部分を念入りに揉み込むように撫でると,雪乃は声を必死にこらえてその刺激に耐えていた。
全身に響き渡る快感は声を出せない分何倍にも膨れ上がっているだろう。
玉のような汗が,噴き出してくる。
胸元に溜まる汗を,奏はペロッと舐めた。

「‥‥‥ひどいよ‥‥かなちゃん‥‥。」

ヒクヒクと小刻みに体を揺らしながら,雪乃は恨めしそうに奏を見つめた。
でもその視線は虚ろで,目尻には涙も溜まっていた。
軽く達した雪乃から指を抜くと,奏ではひょこっと上半身を起こして雪乃を眺めた。
すらりと伸びた手足がまだヒクヒクと震えている。
滑らかな曲線が,ところどころ髪に隠れ,優雅な肉体美を作り出していた。
ほんのりと色付いた肌は扇情的ですぐにでもまた触れたくなる。
奏はまだ細かく上下している雪乃の胸に頬をよせ,雪乃の鼓動を聞いた。
トクトクと鳴り響く鼓動がリズミカルに刻まれている。
それは次第に穏やかなリズムに変わっていく。

「ねぇ,ゆきちゃん。」
「なぁに?」
「一緒に‥‥‥ダメ?」

奏が雪乃に甘えるように擦り寄って言う。雪乃と一緒がいいと,いつも奏はそうだ。
体が別々だから,心は一つになりたい。一緒に,同じ思いを共有したいと。

「どうするの?」
「本で見たんだけど,うまくいくかな?」

そう言って,ひょこっと起き上がると,雪乃の脚の間に奏は体を割り込ませる。
奏の濡れそぼった秘所を雪乃の熱く滾ったそこへ押し当てる。

「んん!!!」

少し変則的な正常位。
秘芯をこすり合わせるように腰を動かすと,見事にどちらも擦り合った。
指とは違う衝撃が二人を襲う。

「あぁ‥ん‥‥こんなのっ!‥‥ひゃっ‥‥かなっ‥‥いぃ‥ん‥‥!!」
「あっ‥‥すごっ‥‥ダメ,止まんない。‥‥ゆき‥‥ちゃん‥‥!」

押し殺した喘ぎと,湿った水音がひどく耳に衝く。
重なる二人の影は一層激しく絡み合う。
ドロドロに溶けて一つになってしまうかのような錯覚と,絡み合う場所から広がっていく快感の波が二人の理性を溶かし始める。

「あ‥あぁ‥‥ゆきちゃん‥‥好き‥‥大好き‥‥だからっ‥‥一緒にぃっ‥!」
「くぅっ‥‥んもう‥‥ダメぇ‥‥はぁ‥‥一緒‥‥イくぅっ‥んんん!!!!」

二人同時に達すると,激しく訪れた絶頂感の中で,二人は抱き合うように倒れ込んだ。
シンクロした動きと同時に達した快感が予想以上の一体感をもたらしたようだ。
激しく息を吐いてたが,二人ともいつの間にか穏やかな寝息に変わっていた。

あれ?なんかだるい。頭はスッキリしてるのに。

どのくらい寝ていたのか,奏は目をパチパチさせて目覚めた。
二段ベッドの天井を見ながら,ぼんやりしていると,隣から視線を感じる。
寝返りを打つと,隣にはじ~っと奏を見つめる雪乃がいた。

「あ‥‥起きてたの?ゆきちゃん。」
「うん。」

優しい笑顔なのに視線が痛いのは気のせいだろうかと,奏は引きつった顔で自問していた。

「かなちゃんはさ‥‥‥。」
「はい?」

妙に気だるい表情で,雪乃が言う。

ゆきちゃんて,こんな色っぽい表情したっけ?

奏が頭を悩ませている間に,雪乃からは爆弾発言が。

「かなちゃんは,酔うと狼になっちゃうのね?」
「‥‥‥‥はい?」

なんとなく,奏の背中に冷汗が流れる。視線が痛いのは気のせいではなかったらしい。
雪乃は倦怠感の残る体をくいっと起こし,奏に擦り寄りながら言った。

「だって,はじめてなのにあんなに激しく‥‥‥。」
「わぁ~~~!!ストップ!ストップ!」
「‥‥‥なんで?」
「いや‥‥‥だって‥‥‥その‥‥‥。改めて言わなくても‥‥。」
「?‥‥‥ひょっとして‥‥酔い醒めた?」
「あ‥‥‥‥ん‥‥‥‥スッキリしてる‥‥‥頭は‥‥‥。」

体の方はクタクタだとはとても言えない奏であった。

「なんかいつものかなちゃんだね?」
「そんなに変だったかな?」
「ん~~?いつもよりとっても素直だったよ♥」

と,雪乃は奏の頬にキスする。

「‥‥‥でも‥‥なんか‥‥ごめんゆきちゃん。」
「くすっ,変なかなちゃん。」

雪乃の手が,奏の胸に触れる。

「謝らなくてもいいよ。これで私も,我慢しなくていいから。」
「へ?」
「うふふ~♥えへっ。」

意味深な言葉を残して雪乃は奏の胸で丸くなり,幸せそうに微笑んでいた。

はたまた別のある日,奏の寝顔の写真と引き換えに咲夜がケーキを渡した。

「だって,すっごく美味しいんだよ?かなちゃん!」
「も~!!ゆきちゃんは。あれほど言ったのにまだ懲りんか!!」
「いひゃいひゃいひゃい。かなひゃ~ん。」

頬を撫でながら,懲りずにケーキを受け取る雪乃にあきれる奏。

「あ,ほんとは写真とか関係なくお渡ししようと思ってたんです。奏先輩。」
「ん?何で?」
「それはですねぇ~。バレンタインの準備‥‥。いえ,大好きな奏先輩に気持ちです。」
「気持ちねぇ‥‥‥。」
「あぁ~!!」

奏と咲夜の会話を遮るように雪乃が大きな声を上げた。

「どうかしたの?」
「これ~,お酒入ってる~。」
「はい~。濃厚なブランデーはチョコのおいしさを引き立てるという甘さ控えめ大人のケーキです♪」

るん♪と効果音が似合いそうな咲夜のしぐさを背景にじーっと雪乃は奏を見つめた。

「‥‥‥な‥‥なに?」
「奏さんにはこれはダメですね~。」

しげしげと,雪乃は奏に言う。

「な‥‥なんで!」
「だって~,またかなちゃんが狼さんになったら,たいへ‥‥。」
「わ~~~!!!」

真顔で何をしげしげと言い出すかと思えば,動揺するのは奏の方で,慌てて,雪乃の言葉をかき消す。

「何ですか?雪乃先輩!狼って‥‥。」

照れ顔にジト目で見つめる奏にクスッと笑顔で返す雪乃の方が一枚上手か。
それとも,咲夜のケーキが今度は雪乃を狼にするのか‥‥。
それは今後のお楽しみ。

「いや~ん。狼な奏先輩も素敵ですぅ。」

目で会話する二人の影で,一人妄想に耽る咲夜であった。


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最終更新:2010年11月08日 09:38
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