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SS-16

突発SS

◆yuri0euJXw


あ~。まただ。

周りは寝静まった深夜過ぎ。今日もまた目が覚めてしまった。
隣で安らかな寝息を立てているかなちゃんのほっぺをそっとつつきながら,私はひとり呟いた。

「かなちゃんは何で気が付かないのかな~?」

でも気付いたら気付いたでそれも困るかなぁ?
私は気付いてしまった隣の壁越しの物音から逃げるように布団を被り直した。

いつからかなんて,思い出せやしない。
本当に気が付いたらそうだった‥‥と,そうとしか言えないのだ。
始めは喧嘩でもしてるのかな?なんて気楽に思ってた。
他人同士の相部屋なんだから喧嘩することもあるだろうって。
でも,普段の彼女らにはそんな素振りもないし,むしろ誰よりも仲がいい二人に見えた。

だからって,こんなのはないよね‥‥。

かなちゃんは寝付くと,そう簡単には起きない。
だから今もこうしてそっとほっぺたを突いても目覚める心配はない。
時々,寝顔に絆されてちゅーしてしまうこともあるけど,かなちゃんは知らない。

‥‥私だって‥‥本当は‥‥

私の胸はキュンと締め付けられる。
今は目の前にある,かなちゃんの平和な寝顔が少し憎らしい。
どうしようもなく‥‥握った手が熱い。
壁越しのわずかな音はふしだらな想像を掻き立てる。
私はかなちゃんの手を握ったのとは違う手を下半身へそっと移動させた。
少しの後ろめたさと,わずかな欲求不満を感じながら,私はまた,悶々とした夜を過ごすのだった。

◇◆◇

「雪ちゃん!朝だよ。また食堂しまっちゃうよ~。」

いつもなら,早起きのかなちゃんをからかうくらいの余裕があるけど,さすがに今日は無理みたい。
それに,昨日に引き続いてあまり気分が優れない。

かなちゃんに気づかれないようにしなくちゃ‥‥。
でも,最近かなちゃんのこと,ギュッとしてないなぁ‥‥。

ふわふわと寝ぼけた頭で,ぼんやりと考えてみる。
寝ぼけたふりして,かなちゃんをベッドの中へ誘ってみようか。
うまくいったら,この前みたいに一緒に寝てくれるかもしれない。
私はまだ一度もかなちゃんにばれたことのない寝ぼけたふりでかなちゃんを誘惑した。

「‥‥かなちゃん‥‥はやくぅ‥‥。」

目をつぶって,かなちゃんを待つ。
しばらくの間をおいて,私を襲ったのはかなちゃんではなく,ほっぺたの激痛だった。

「いひゃいひゃいひゃい!!」
「早く起きないとっ,また遅刻しちゃうんだからぁ!」

かなちゃんは顔を真っ赤にして,ちょっとむくれていた。
さんざん迷った挙句の結果が,ほっぺた抓りとはかなちゃんも可愛いなぁ。
でもほっぺ痛いよぉ~。

痛いほっぺたを擦りながら,クスッと笑ってしまった。

そうだね‥‥。

まだしばらくは内緒にしておこう。
初心なかなちゃんのことだから,気が付いたらきっと慌てふためいておかしくなっちゃう。
そんなことを思いながら,かなちゃんの顔を見て,私の最高の笑顔をかなちゃんに向けた。
かなちゃんは顔を真っ赤にしながら,どぎまぎとした様子で髪をまとめ始めた。

ほんと可愛いんだからっ。かなちゃん♥

そんなかなちゃんの様子がおかしくて,クスッと笑うと,
かなちゃんはバツが悪そうにまたむくれてそっぽを向いた。
可愛いかなちゃんでストレス発散に成功した私は,大きく伸びをしてから,登校の準備を始めるのだった。

私はかなちゃんが一番好きで,かなちゃんは私が一番好き。
ずっと一緒にいられるんだから。それだけで十分のはずだよね?
これ以上のことを望んだら,きっと罰が当たっちゃうよ。
だから,かなちゃんが気付いてないなら私は知らせないよ。
私の,私の中だけの秘密‥‥。
かなちゃんがいつかそう思うようになったらでいい。
それに,もしかしたら思わないかもしれない。
私はいつでもかなちゃんのこと見てるからきっとわかるはずだよね?
私,いつまでも待ってる。私はかなちゃんのこと大好きだからっ。

「でもちゅーくらいしてくれてもいいのにね~。かなちゃんのケチ~。」

最後に考えてたことが口から出てしまって,私はまたかなちゃんにほっぺたをつままれた。

「駅のホームで何言うか!バカ姉!」
「ひゃいひゃい!!」

私の頬は,今日もかなちゃんによく引っ張られています。

◇◆◇

「雪乃先輩の胸って綺麗ですね。」
「そぉ?」

大きい胸をした咲ちゃんが着替えながら私に声をかける。
私は咲ちゃんの声に何気なく答えた。
かなちゃんの話をしてはあやしく悶えているけど,着替え中にそれをやると,また一段と怪しさに磨きがかかって見えるよ?
でもいつも着替えのときには視線が行ってしまう。
一度この娘の柔っこい大きな胸に触れてみたいと思うけど‥‥。

「‥‥触ってみます?」
「へ?」
「だって,いつも雪乃先輩って,じーっとあたしの胸見てるから‥‥。」

咲ちゃんはなかなか鋭いですね。
でもお姉さんは誘惑されません。されませんよ?されませんてば‥‥。

「うわぁ~~wwwやわっこ~い♥」
「くっくすぐったいですよぉ~,雪乃センパぁイ♥」

結局咲ちゃんのお誘いに乗ってしまった私でした。

◇◆◇

「あ‥‥‥。」
「‥‥どうしたのよ?」
「あ‥‥あの子たちってね,‥‥‥付き合ってるのかな?」

帰り道,隣の部屋の子が二人揃って帰っている姿に遭遇した。
私たちと同じように,手をつないで歩いている。
楽しそうに微笑みあって,全然周りなんか関係なくて‥‥。

「あの子たちが付き合ってるんなら,あたしたちのが深い関係よね?」
「えっ?!」

かなちゃんの思わぬ一言に衝撃を受けて,はっと顔を見つめてしまった。

「‥‥だって,姉妹だし,それに双子だし。‥‥ん?」
「そう‥‥だね。そうだよね。うん♪」

やっぱりかなちゃんはかなちゃんだった。
つないだ手を取って,かなちゃんの腕を抱きしめる。

「歩きにくいよぉ。雪ちゃん。」
「だってぇ,かなちゃんとこうしていたいんだも~ん♥」

かなちゃんが私のことそう思ってるならそれでもいい。
そうじゃなくなってきてることも気づいてるけど,きっとまだかなちゃんは戸惑っているのかもしれない。
自分で気が付いていないだけ。
いいよ‥‥私は,いつまでも待ってる。かなちゃんが自分に答えを出せるまで。
それが私が求めるものでなくても,かなちゃんの出した答えなら私は受け入れられる。
でもね,まだ‥‥‥他の人だけは選ばないで。もう少しだけ,この位置は私のために‥‥。

夕暮れの日差しの中で,私たちはだれにも負けないくらい幸せな笑顔を振りまいていた。

◇◆◇

ん‥‥?あれ‥‥?かなちゃん起きてる‥‥。

寝静まった深夜半。かなちゃんがもぞもぞしてるのに気がついて目が覚めた。
なんだろ?トイレかな?
でも違う。あ‥‥今日もだ。あたしは隣の様子に気がついた。
かなちゃんは私の様子を探ってる感じだったので,そのまま寝たふりをした。
かなちゃんは首をかしげながら,そわそわしてる。

「ねぇ‥‥雪ちゃん。起きてよ。」
「ん~~。どうしたのぉ?」

かなちゃんが私をゆさゆさと揺さぶるので,さも今起きたように答えた。

「‥‥なんかさ‥‥隣から変な声聞こえるんだけど?調子でも悪いのかな?」
「‥‥へんなこえ?」

あ‥‥気づいちゃったの?かなちゃん。でもちょっと違うみたいね?
心配そうにそわそわしてる。なんかこのまま変な騒動になっても困る‥‥よね?
仕方がないので私は空のコップを手にとって壁と耳をそれでつないだ。

「‥‥なにそれ?」
「えっへっへ~。昔から盗聴と言えばこれでしょ?はい!かなちゃんもやってみて~。」
「ったく,なによ,こんなの‥‥。」

と言いつつ,素直にまねをするかなちゃんはやはり可愛い。

「えっ?!ええっ?!なっなっなっなに?!」
「なんだと思う?」
「え~っと‥‥‥その‥‥‥。」

かなちゃん,真っ赤になって俯いちゃって。ほんと可愛いんだから。
コップ越しに聞こえてきたのは,必死に押し殺してるけど,確かな喘ぎ声と,愛しげに囁かれる二人の名前。
こんなにはっきりと聞いたことはなかったけど,大体想像通りだった。
軋むベッドは時々壁にぶつかったりするので,それだけでも十分想像できたからだ。
あ~あ。かなちゃんに知られちゃった。なんてごまかしたらいいんだろ。
そう思って,かなちゃんの様子を確かめるために視線をそちらに向けると,かなちゃんは,赤い顔をしたまま,小さい動きで,太ももをすり合わせていた。
あからさまな動きではない。本当に小さな動き。私でなければ気がつかなかったかもしれない。
そして視線を私のほうへ向け,目が合いそうになると,そっと背けてしまう。

うんと‥‥。この反応は?

落ち着かない様子でそわそわしているかなちゃんは居たたまれなさそうに,なんだか本当に落ち着きがない。

「どうかしたの?」
「いや‥‥雪ちゃんは平気そうだなって思って‥‥。」
「かなちゃんは違うの?」
「だって‥‥その‥‥こんなの‥‥なんていうか‥‥。」
「興味無い?」
「なっなっないわけ‥‥‥ないけど‥‥‥その‥‥。」

恥ずかしいのか照れてるのか,かなちゃんははっきりとは言わなかった。
ひょっとしてこれはチャンスなのかな?
私は,ついっとかなちゃんの傍へ詰め寄った。

「好きな人と一緒にいたいっていうのは,自然なことじゃないのかな?」
「っ‥‥雪ちゃん。」

ベッドに座っているかなちゃんの背中にぴったりと体を寄せた。
そっと背中をさするようにかなちゃんの背中に触れた。
びくっと震える体は緊張のためか,硬直していた。

「っぁ‥‥雪ちゃん。」
「どうしたの?かなちゃん。」

そのまま,指先だけを動かして,かなちゃんの背中を這いずりまわる。

「っぁん‥‥ゆきちゃぁんっ!」
「なぁに?かなちゃん。」

高揚した顔を私のほうに向け,かなちゃんは何とも言えないような顔をしていた。
どう言ったらいいんだろう?
恥ずかしそうに,でもうらやましそうに,私に熱っぽい視線を向けて‥‥。

お隣さんの熱に‥‥かなちゃん‥‥あてられちゃったのかな?
それとも,ずっとじらされてきた私の方があてられてるのかな?

かなちゃんが求めて来るまで,ずっと待ってようと思ってたよ?

ホントだよ?ホントなんだからね?

でも,かなちゃんのこんな顔‥‥見てたら私‥‥我慢できない‥‥よ‥‥。

いい‥‥‥‥‥よね?ちゅーしても‥‥‥怒んないよね?

私は,そっとかなちゃんにキスした。
触れる唇で,かなちゃんの感触を確かめる。
驚いた顔はしてたけど,嫌そうじゃなかったから,そのまま唇を塞いで,軽く吸いついた。
目を瞑ったまま,かなちゃんは顔を赤くしたまま,じっとしていた。
私はもう一度かなちゃんの唇に唇を重ねると,そっと舌を挿し入れた。
かなちゃんの中‥‥あったかい。かなちゃんの味がする。
私はかなちゃんの口の中を探検しながら,かなちゃんの舌を探した。
熱くうねったものにそっと舌先を伸ばすと,かなちゃんの喉が鳴る。
そのまま,舌を絡めて吸い上げると,またかなちゃんの喉が鳴った。
プルプルと震えるかなちゃんがかわいくて,もっと触れていたいと思う。
でもそのままそっと唇を離して,かなちゃんの顔を覗き込んだ。

どう‥‥‥かな?
私の出した答えは,かなちゃんのと違ってた?
そんな問いかけを視線に乗せて,じっとかなちゃんを見つめた。

「はぁ‥‥‥雪ちゃん‥‥あたし,あたしね‥‥。」

眼尻に浮かんだ涙に唇を寄せる。かなちゃんを抱きしめて,そっと頭を撫でた。

「あたしもね‥‥‥。」

うん,わかったよ。かなちゃんの言いたいこと‥‥。

「ねぇ,かなちゃん‥‥‥してもいいかな?」

かなちゃんは,コクンと頷いた。
改めて深く絡み合うキス。唾液が甘く感じる。
それは媚薬みたいで,頭の奥から体の奥から,じわじわと熱が込み上げてくる。
もっと深く,もっとたくさん‥‥。かなちゃんを感じたい。
長く,じっくりと交わしたキスは蕩けそうなほど甘美だった。
文字通り蕩けそうな表情で,かなちゃんが私を抱きしめた。
かなちゃんが仰向けに,その上に私が覆いかぶさるように抱き締め合って,また深く口付け合った。
私とかなちゃんの混ざりあった唾液が唇を伝って私たちを繋ぐ。

「あたしねっ‥‥ずっとっ‥‥ずっと‥‥雪ちゃんとこうしたかったの‥‥。」

消え入りそうな声が私の耳元で呟かれる。
普段聞きなれたかなちゃんの声と,感極まった感情的なそれと,まだ聞いたことのない甘く囁かれた艶っぽい声‥‥。
かなちゃんも,私と同じだったんだ。ただ‥‥そのきっかけが掴めなかっただけで‥‥。

「私も‥‥‥かなちゃんとこうしたかったの‥‥。」

ちょっとだけ感極まって,声が震えた。かなちゃんも私と同じだって知ったら,嬉しくて。
嬉しくて,大好きなかなちゃんにもっと触れたくて,ほっぺたをかなちゃんにくっつけた。
私も,普段よりもずっとずっと甘えた声になってる。
こんな風に優しく囁けるなんて,自分でも知らなかった。

大好き‥‥大好き‥‥。
想いが溢れだす。言葉では言い尽くせない。
私は,精一杯かなちゃんを抱きしめ,想いを全てを乗せてかなちゃんを愛した。

◇◆◇

「雪ちゃんはさ‥‥‥知ってたの?」
「なにを?」
「隣のこと‥‥。」
「‥‥‥‥うん。」

かなちゃんは私の胸に頭を埋めて,そこにキスしながらうとうとしていた。
隣にはばれないようにとは思ったけど,どこまでごまかせてるかはわからない。
でも,目一杯かなちゃんを愛せたことに比べればそんなのはもうどうでもよかった。

「なんで言わなかったの?」
「‥‥かなちゃんにはちょ~っと早いかなぁ~~って思って♥」
「ひっど~い。子供扱いして!」
「本当はね,かなちゃんと気まずくなるのが怖かったの。」
「っ‥‥‥。ばか‥‥‥。」

自然に重なる唇が愛しい。大好きだよ。
伝えたい気持ちを乗せて,私はまたかなちゃんと愛を交わした。

◇◆◇

目覚めの朝,いつもの日常が始まる。
すがすがしさを感じて,私は部屋を出て,シャワー室へ向かった。
途中,例の二人の片割れに出会った。きっと目的地は同じじゃないかな?

「雪ちゃん,おはよ~。」
「ん~,おはよ~。」

昨日までは,それが気恥ずかしかった。何でもない素振りをしてた。
知らないふり,だって,本人たちは私がが知ってることを知らないのだから。
でも今日は,それも解消。返ってこっちがお礼したいくらいだったから。

「ねぇねぇ,つかぬことをお伺いしますが‥‥。」

ヒソヒソ声で,私はその娘に尋ねた。
何をって?それは決まっているでしょ。当たり障りのないことをさりげなく聞くだけだって‥‥。

「二人って付き合ってるんだよね?」
「えっ?!」
「ふふふっ‥‥お幸せにっ。」

シャワー室の別れ際に尋ねた一言で,その娘が唖然としているのが面白かった。
ばれてないとでも思っていたのだろうか?
でも私はご機嫌で,その娘を応援するとか協力するとか色々言ってたみたい。
あとからテレテレな顔してその娘は少し話してくれたから。
でも面白いのは,さりげなく探りを入れても,私たちのことは何とも思ってないみたい。
これから,羽目を外さないように気をつけないとねっ。

私はご機嫌で部屋に戻った。
今日はかなちゃんより早く起きたから,かなちゃんのこと,ちゅーして起こしてあげよ~~っと♥

そしてまだあたしは知らないんだけど,このあと咲ちゃんとの事がばれて,思いっきりほっぺた引き伸ばされちゃうんだよね~。
「かなちゃんのことは大好きだけど,柔っこいものはやめられません。」なんて口が裂けても言えない‥‥‥よね?



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最終更新:2010年11月10日 23:36
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