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SS-27

完全なパラレルワールド。和風ファンタジー。SS

名無しさん


かかり火が赤々と燃えてる広場で、奏は立ちすくんでいた。
奏が、周囲を見回す。
その背後に、巨大な影が現れた。
身長が三メートルほどの、キバを剥き出した巨大なサルである。
「まさか、ヒヒ!?」
いつの間にか囲まれたようだ。
怯える奏の肩を、背後からヒヒが掴む。
奏は、その場から動けなかった。
術にもかかっていないのに次々と自分の目の前で繰り広げられる展開についていけず、立ちすくむしかなかった。
表情も、目の焦点が留まっておらず、うつろである。
何で?どうして?
あたしはただ迷子の女の子を助けようとしたのに…。
ありがとうございました。お礼はたっぷりさせていただくわ!
、と目の前の女の子が変わった。
ヒヒ達を操り、いけにえを集めている人喰い妖怪“肉吸い(にくすい)”に。
そして、美しい女妖怪・肉吸いは、満足げに微笑んだ。

「ほう、うまそうな娘じゃのう。気に入ったぞ…。安心せい。痛くないよう、喰うてやるほどに」

クックッと喉を鳴らして笑い、奏に近づき肉吸いの指から液体が滴り落ちる。
それが奏の肩に当たり、白い煙りを出し、シュワーッと制服が溶けかけている。

ドオ………ン!!

突然、肉吸いの背後に火柱が立った。
ヒヒが、炎に巻かれる。
岩の後ろから少女が飛び出した。

「これぞ法術“火炎地獄”(かえんじごく)。かなちゃんから離れなさい!」

雪乃が叫んだ。
涙目になっている奏が振り向いた。

「ゆき…ちゃん?…」
「肉吸いを倒しに、かなちゃんを助けに来たよ!」
「ウガアッ!」

ヒヒが雪乃を襲う。

「“烈風破”(れっぷうは)!」

風が巻き起こり、ヒヒ達を切り刻んだ。
だが、魔法の風を免れた肉吸いが奏に襲いかかる。

「こ、こうなったら…この娘も道連れじゃ」
「そうはさせない!」

雪乃は腰にさしてある刀を鞘から抜いて肉吸いに駆け寄った。
真っ向から切り付ける。

「くらえ、退魔刀・三日月!」
「ギャアアアアッ」

肉吸いは、腰まで切り裂かれて倒れた。

「そ、そんなぁ…く、くやしい…っ!!」

切り口から光を発し、肉吸いは、わめいた。
そして、光る傷口から消滅してゆく。
肉吸いが完全に消滅した頃、空に暗雲が立ちこめていた。
それはやがてぽつぽつと雨粒を降らしていた。


二人が部屋に戻ると外の雨は更に激しさを増した。
幸い二人は降り出す前に寮に着いたのだが、奏は後悔していた。
あのまま雪乃との待ち合わせ場所から離れなければ、こんな思いをせずにすんだのに…、と。
奏は始めて寮に来た時以上に、ぼーっと降り続ける雨を窓の前で眺めていた。
まるで外の雨は今の奏の心の中を表しているようで、それを見ている奏は、自嘲気味に笑い、雪乃に話しかける。
後ろでは奏を心配そうに見つめている雪乃がいるのに、奏は雪乃と目を合わそうとしない。

「ゆきちゃんは、さ…?」
「ん?」

力無く話す奏に優しく返事を返す。

「ホントに…人間と妖魔は分かり合えるって思ってるの?」
「かなちゃん…」

今日あったことを、まだ雪乃は奏から聞いていない。雪乃は待ち合わせ場所に奏がいないことを心配し、奏の気配を探りながら奏を探していたら妖怪に捕まっている奏と遭遇したのだった。
奏は迷っているのか?
上京した時も自分と奏は同じ気持ちで迷う事もなく、これからするべき事を二人で全うしようと決めたのに…。

「かなちゃん…」

雪乃はベッドの上に置いてある武具箱を取り出し、奏に見せる。
奏は、雪乃の開けた蓋越しに、のぞき込んだ。

「あっ…」

箱の中身は、刀だった。
つややかな光沢の黒い太刀と、それより丈が短く細身の緋色の刀の二振り。
雪乃は黒い太刀を指差し…、

「こっちが、かなちゃんの分…」
「うん…」

そして緋色の方は、

「これが私ので、家にあるもう一本の分は、しーちゃんの分」
「うん、そうだね…」
「お父さんから聞いた話だと、私達が持っているような刀は後、残りどこかに二本あって…」

言葉を言い終えず、じーっと奏を上目使いに見る。

「な、何…?」

その、つぶらな瞳に一瞬たじろぐ奏。

「かなちゃん、私達がするべき事は?」
「………」
「かなちゃん、かなちゃん」

せかす雪乃に観念したのか、やっと奏は答える。
何を緊張しているのか、消えかかるような声でボソボソと答えた。

「…わ、悪い妖怪を、…倒す事…」
「それだけじゃないでしょ~?」
「……悪い妖怪や人間から、この刀を守る事と残りの刀を探す事と、…」

まだまだ雪乃は奏の答えを待っている。

「もっと大事なこと、まだあるよ~?」
「……」
「……人間と、妖魔が、分かり合える世界を、創る事……」
「よく、言えました……!」

雪乃は優しく微笑み俯いている奏を抱きしめようとした。
が、その瞬間、奏は雪乃の腕を振りほどき突き飛ばした。

「…どうしたの?かなちゃん…」

奏の髪が、陽炎のように揺らめいた。
纏めてあった髪も重々しく下ろされ、ゆっくりと開いた口には、いつしか野獣の牙が見え隠れしていた。

「…あたし、分かんなくなっちゃった……」

いつの間にか雪乃を振りほどいた奏の右手は人間のそれではなくなっていた。
どす黒く変色し、獣の皮膚のようなものに包まれた腕の先には、しなやかな鞭のような指が生え、刃物のように鋭く研ぎ澄まされた長い爪が伸びていた。

「…見なよ、雪ねぇ。あたしの体、人間じゃないでしょ?もう、何を信じたらいいのか分からないよっ!今日みたいなことがあると…!」

奏は鳴咽を交えて泣き叫んだ。
雪乃は、ゆっくり奏に近づく。

「たしかに私達は人間じゃないよ?でもね、かなちゃん、私達のお父さんやお母さんみたいに…」

奏は雪乃の言葉を遮り、きっ!と強い視線を向けた。
今日、起きた出来事によって、何かが自分の中で変わっていくようだった。
それは、本当に心の中で大事に守りながら育てていた、とても脆い“ナニカ”だった。
雪乃を睨み付けたまま奏は泣き叫ぶ。

「…あたし達は、妖魔でありながら人間の心を持つ、一族の生き残り…。結局、人間にもなれない、妖魔にもなれない……」

奏は苦しそうに、ヒトではなくなった右手を震わせる。

「今日みたいな思いを、これからもするくらいなら、あたしは……!!」
「人間の、心を…、捨てて、妖魔として、生きる…!!」

鳴咽混じりに言い放った奏をぱちくりとした目で雪乃は奏を見つめた。
しかし、その目は、すぐに伏せられた。

「かなちゃん……」

雪乃は、ゆっくり奏に近づき、ヒトではない奏の右手を、きゅっと両手で包む。しかし、ヒトの時よりも二倍以上に膨れあがった腕の筋肉のせいで、普段は頼りになる姉の手が、なんだか小さく、頼りなく見えた。

「…かなちゃん、本当に、それでいいの?」
「……うん」
「本当に?」
「うん……」
「え~っとぉ、じゃあ~、かなちゃんは、妖魔になったら何がしたいの~?」

優しく撫でてくれる、ヒトでない右手に視線を落とし、奏は赤面しながら、途切れ途切れに答える。

「……泥棒も、たくさんして…、に、人間を、み、みんな、食べちゃ、ぅ……」
「お父さんやお母さんや、しーちゃんの事も?」
「……う、うん…。悪い事、するんだから、あ、当たり前じゃん……」
「み~んな食べちゃうんなら、それじゃあ妖魔じゃなくって、鬼になっちゃうよ~?」
「……もう、妖魔でも鬼でも、どっちでもいいよ…」奏は自嘲気味に吐き捨てる。
「じゃあ~。私の事も、食べちゃうの?」

瞳を潤ませながら上目使いで奏を見上げる。
そんな雪乃に奏が敵うはずもなく、変貌していた奏の右手は、いつしか人間のそれに戻っていた。
見え隠れしていた獲物を喰い殺す牙も元に戻っていた。
しかし、奏はドキドキしっぱなしだった。
雪乃がヒトでない自分の手を優しく触れてくれた時から、ずっと…。
雪乃は、優しく奏の右手を撫でながら、

「かなちゃん、お母さんの昔話、覚えてる?」

奏に話かける雪乃の吐息がまた、奏の胸を熱くする。奏は、何かを懐かしむように目を細めた。

「うん、覚えてるよ。ゆきちゃん、このお話大好きだもんね…」

雪乃を選んだ緋色の刀・三日月は、その昔、人間に育てられた子狐が、その恩返しに人間のために作った物だという話だった。
双子の母親、その母親から、数えるとキリがないくらい、先祖代々から受け継いだ刀だった。
昔、双子の母親のように、ヒトとの共存を望む妖魔が、同じ思いのヒトと結ばれることは多かったらしい。
妖魔でありながらも人間の心を持つため、一部では妖魔から裏切り者の烙印を押されたため多くは闇の世界にたどり着くことなく、また抵抗することもなく死に絶えた。
そのせいか、現代にまで生き残っているのは、ほんの一握りだとか。
そのため純粋な妖魔の血も、だんだん薄くなっていき、櫻井三姉妹は四分の一しか、妖魔の血は受け継がれていなかった。

「ちょっぴり悲しいけど、なんだかあったかいね…」「うん……」
「かなちゃん、人間と妖魔は分かり合えるよ?私達の持ってる刀だって、その証じゃない」

その昔、剣を志す者であれば一度は聞いた事のある、「天下五剣」という、平安時代から、この国のどこかにある五振りの刀があった。
いずれ劣らぬ名刀とされるが、単なる噂だという者も多かった。
霊山より採ってきた鉄を、仏前からもらった火で鍛え、人の踏み入らぬ清らかな源流にて浄めて造った物や、雪乃の三日月のように妖魔が造った物もある、と伝えられている。

だが、いつの世も独裁者はいるものだ。
この刀を戦に使う者もあれば、自らの欲のために高く売ってオークションに出したり、とか…。
それを見兼ねた、刀を造った子孫が、また人の欲望のために刀を使われないように人里離れた場所へ隠したという。
また、一説によれば、刀は自ら主となるべき者を選ぶという。
すなわち、それを造った者の子孫のみである。
双子が実家の倉から、この刀を見つけたのも、運命だったのだろうか?

「かなちゃん、私のこの刀も、人間と妖魔が分かり合えたから、キツネさんが造ってくれたんじゃないかな?」
「うん、そうだね……」

外の雨のせいか、今日起きた出来事のせいか、どっちのせいか分からなくなるほど冷たくなり、荒んでいた奏の心は、いつしか、ほくほくと暖かいものに変わっていた。
いつからだろうか?
雪乃が自分に触れた時から?
自分は人間ではないけれど、人間の暖かさを知っている。

「雪ねぇ、あたし達の他にもさ、あたし達みたいな生き残りって、いるのかな?」
「刀も残り二本見つかってないから、いるんじゃないかな?」
「…だったら、さ。…もし、その仲間達が人間を襲ったり人間に追われてたりしたらさ、あたし達が教えてあげようよ、人間と妖魔は分かり合えるってことを」
「かなちゃん…!」

感嘆の余り、奏に抱き着く雪乃。
その瞬間、暖かい空気が奏を包み、頬も思わず緩んでしまう。
が、しかし、それもつかの間。
雪乃がいつの間にか手に持っている、それで奏を包んでいた暖かいものは消え去った。

「あっ!あたしのおやつ!」

雪乃が手に持っていたのは、奏が楽しみにしていた「カナ」印の、まるまるバナナだった。

「っ!返してっ…!」
「おや~?奏さんは人間をやめたんじゃないんですかぁ~?だったら、もうこれはいらないですね~~♪」
「っ!!」

奏は雪乃が持ってるまるまるバナナを取り返そうと、もがくがひょいひょいと、それをかわし、二段ベッドのハシゴを登り、上の段で雪乃は、それを見せびらかす。

「かなちゃん、まだ私に謝ってくれてないよ?それと、かなちゃんの気持ちも聞いてないよ?」

悔しそうに涙目になってベッドの上にいる雪乃を睨み付ける奏に、こそっと耳元で、

「かなちゃん、私はね、自分が人間でなくても、かなちゃんと一緒だから、どんなことでも耐えられるんだよ?それに人間とか妖魔とか関係ないよ。かなちゃんは、かなちゃんでしょ?」

耳元で囁く雪乃の声が、愛しい。

しだいに体全体が、暖かくなっていく。
ふと、奏は雪乃の言葉を遮り感極まってしまったことを思い出す。

「ゆきちゃん、突き飛ばしちゃって、ごめんね……」
「うん…」

雪乃はベッドから下りて、コツンと奏と、おでことおでこをくっつける。
奏は後、もう一つ言いたい事があるのだが、素直になれなくて、中々言い出せない。
真っ赤になってる奏に不敵な笑みを浮かべた雪乃は、わざと奏の目の前で、まるまるバナナの封を開け、アーンッと大きく口を開け、もうすぐ食べちゃうぞ~?というそぶりを見せる。
すでに雪乃の唇には生クリームが付いている。
ついに奏は観念した。

「分かった!…分かったから、もう人間やめちゃうなんて言いません、ず~っとゆきちゃんの側にいるから!ああ…、あたしの最後のおやつ……」

がっくりと肩を落とす奏に雪乃は、

「じゃあ、半分コしよっか?」
「……うん」

机の上には器用に分けられた、まるまるバナナがあった。

「ホントにずっと側にいてくれる?」
「……うん」

雪乃を優しく見つめる奏は雪乃の唇に生クリームが付いているのに気付く。
奏は、それを人差し指で優しく、すくってやる。
そして、その行き場のない人差し指の生クリームに奏はドギマギしていると、雪乃はクスッと微笑み、一口で、その生クリームを舐め取ったのである。

「~~~!!!」

案の定、真っ赤になった奏は今の自分の精神状態を落ち着けるのに必死だ。
だが、そんな奏に追い撃ちをかけるように雪乃は奏に、とんでもないことを言い出すのだった。

「じゃあ、かなちゃん、制服脱いで♪」
「へっ……!?」

いきなり何を言い出すのか、この姉は!と思う奏をよそに、雪乃は何事もないように奏に近づき、肩の方を奏に見せる。

「ほら、ここ~。焦げちゃって、ほつれてるよ~?」「あっ……」

すっかり忘れていたが、妖怪に捕まった時に、強い酸で溶かされた部分に焦げが染みになっており、糸も伸び放題で肩の部分が破けてしまっている。

「あ~、どうしよう……。もう一枚の制服はクリーニングに出してるし……」
「大丈夫。かなちゃんが寝てる間にお姉ちゃんが縫っておいてあげるから」
「ん、ありがと雪ねぇ」
「じゃあ~、ばんざいして~?」
「えっ!?いいよ!自分で脱げるから……!!」

早く~、とせがむ雪乃に敵わず大人しく両手を上げ、雪乃にされるがままになっている。

「はい、よくできました~♪」
「ったく……」

ブツブツ言いながら奏は椅子にかけてあったラフな上着を制服の代わりに着る。
お風呂も入って体も温まり、安心したのか、奏はベッドに入ると、すぐに眠りについた。
一通り奏の制服を繕った雪乃もベッドに入る。
安らかな寝息で眠る奏に、そっと雪乃は囁く。

「かなちゃんは、今日、ちょっとだけ傷付いただけだよ」

人にも生(な)れぬ、怪(あやかし)にも生(な)れぬ、果てぬ躯(むくろ)の棘途(いばらみち)。

「私はね、かなちゃんと一緒だから全然平気なんだよ…」

寝付いた奏の右手を優しく握る。
感極まっていた時、ヒトでなかった奏の右手も、すっかり元の柔らかい人肌である。

「おやすみ、かなちゃん」
「ゆきちゃん、これは何!?」

翌朝、ドスの効いた奏の声が部屋に響く。
まだ眠いのか、目を擦りながら、ぼーっとしたまま奏の方に振り向く。
奏の持っているのは雪乃が直した制服なのだが、繕った肩には、なんと……、

「かわいいでしょ~~、それ♪」

それ、と指差した物は、タヌキのアップリケが肩に付いてある制服だった。クリーニングに出した予備の制服も後二日しないと届かない。
最悪、奏は今日この制服を着ていかなければいけないのだが、高校生にもなってアップリケは、ありえない。
何としても着て行くのだけは避けたい。

「じゃあ、ゆきちゃんの制服貸してよ!」
「ん~~、貸してもいいけど、かなちゃんのお腹のお肉のせいで、サイズが……」
「……これ以上言うと、分かってるよね!?」

雪乃は、すでに顔に青すじを立て、引き攣っていた。なぜなら、目の前の奏の、すでに纏めてあった髪が自然に下ろされており、右手も、どす黒く変色していたのだから……。

「わ、わかってま~す、奏さま~~」
「ったく、でもどうすんのよこれ?」

奏は雪乃に制服を差し出す。

「着てくれないの~~?」
「当たり前じゃん!」

先生に事情話して体操着で今日一日過ごすしかないかなあ、なんて呟いていると……、

「せっかくお姉ちゃんが直してあげたのに、着てくれないの~~?」

なんて、上目使いで言うものだから、もう……。

「分かった!分かったから着て行けばいいんでしょ!!」
「わ~~♪かなちゃん大好き~~」

もう半分以上ヤケに、ならざるを得ない奏であった。しかも、朝起きると楽しみにしていた、まるまるバナナの姿がないし、おまけにタヌキのアップリケの制服……。

「…っ最悪っ!!」

更には案の定アップリケについて、寮生(人間)にからかわれる始末…。
散々の始まりを迎える奏であった。
しまいには電車で会った咲夜に写真を撮られるハメに…。

「マジで人間やめちゃおうかな……」

騒がしい通勤ラッシュの中、ボソッと呟く奏であった。
奏は誰にも聞こえないであろうと呟いたのだが、しっかり雪乃には聞こえていた。
電車に駆け込む時、雪乃は、そっと奏の耳元で、

「かなちゃんは、かなちゃんでしょ?」

ぎゅっと握った手の温もりが奏の胸を熱くする。
この温もりが忘れられないから人間やめられないんだよね……。
って元々人間じゃないけど。
悪い妖魔のせいで、この人間の暖かさを決して無くさせはしない、護ってみせる、と改めて奏は誓うのだった。

「あぁ~、今日の奏先輩のアップリケ超かわいかったですぅ~。眼鏡も決まってすぅ~。下ろした髪も素敵です~奏先輩~。」
「でもでもぉ、奏先輩は、きっと人間なんだろうな……。いやいや…、愛に種族は関係ありません!あたしは負けませんよ!奏先輩!」

その瞬間、咲夜の鞄の中にある、布に包まれた刀が、咲夜の自信たっぷりの言葉に相槌を打つように、ポウッと輝き、リイ……ンと、氷のベルのような、透明な音が鳴った。


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最終更新:2010年11月11日 17:27
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